国内でも進む自動運転実証実験:Robot Shuttleは2019年にも実用化予定

TU Automotive Japan 2017での、DeNAとヤマト運輸の講演から

2017/12/01

要約

ロボネコヤマトの配送車
ロボネコヤマトの配送車(資料:ヤマト運輸)

  "TU Autonomous Japan 2017"が、2017年10月に東京で開催された。本レポートは、同講演会での、株式会社ディー・エヌ・エー(以下DeNAと略称)の執行役員オートモーティブ事業部長 中島 宏氏の講演「新たな交通サービスプラットフォームが生み出す、未来のモビリティの姿とは」と、ヤマト運輸株式会社(以下ヤマト)ネットワーク事業開発部 課長 畠山和生氏による「最新技術の活用で見えてくる今後の物流のあり方」と題した講演の概要を報告する。

  DeNAの中島氏は、自動車関連事業である個人間カーシェアサービスの「Anyca(エニカ)」(実稼働中)、自動運転小型バス「Robot Shuttle」の実証実験、タクシー配車アプリ「タクベル」(実用実験を終了)を紹介した。DeNAは、ヤマトの畠山氏が紹介した「ロボネコヤマト」の実用実験もサポートしている。「Robot Shuttle」は、2019年にも実際のサービスを開始する計画。

  DeNAは、「モビリティ・サービス・プロバイダー」として、新たなMobilityの土台となるPlatformとそれに基づくビジネスモデルの構築をサポートする。人による運転、自動運転を問わず、新しいMobilityの構築がDeNAの持ち味であり、日産が近く開始する国内戦略特区での無人運転車の実証実験においてDeNAをパートナーに選んだのも、DeNAの実績が評価されたからであろうとしている。

  ヤマトは(および宅配便第2位の佐川急便も)、2017年10~11月に27年ぶりに運賃を全面改定した。日本全体の人手不足により労働力の確保が困難な状況であり、宅配便ネットワークを維持、発展させるために、またその担い手である社員の健全な労働環境を守るために、運賃改定が必要だとしている。

  ヤマトは、多様化するニーズに減少していく労働力で対応するには、新しいテクノロジーが必要との発想から、従来商品開発はインハウスで行ってきたが、今回初めて外部組織と提携し、そのパートナーにDeNAを選んだ。

  共同で「ロボネコヤマト」と呼ぶ配送車・配送システムを開発し、2017年4月から1年間の予定で実用実験を行っている。受取人が指定する時間と場所にロボネコヤマトを到着させることにより、「再配達」をゼロにする計画。また、現在は人の運転によるが、従来の宅急便の配達に比べて、体力、配送ルート組み等のハードルが下がり、女性やシニア層にも雇用を拡大する可能性が検証されている。過疎地や労働力の逼迫した地域では自動運転車の導入を計画している。

DeNA自動車関連事業の基本スタンス
(2017年11月DeNAの個人投資家向け会社説明会資料)
「ロボネコヤマト」実用実験の目的(資料:ヤマト)

 
関連レポート:自動運転の2つのトレンド:レベル3の高速道路型とレベル4の生活道路型(2017年7月)

 

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