Daimler:2025年までに世界販売の15-25%をEVへ

CASE戦略を進展、自動運転レベル4/5の技術開発、モビリティサービスも拡充

2018/01/24

要約

2017年の販売台数は過去最高

 Daimlerの乗用車部門、Mercedes-Benz Carsの2017年の販売台数は、前年比8.8%増の242.4万台で、7年連続過去最高を更新。新型E-ClassとSUVが販売を牽引した。Mercedes-Benzブランドの販売は欧州、北米、アジア太平洋の全地域で過去最高となり、高級車販売で2年連続世界首位となった。

 

2017年1-9月の売上高、EBITは前年比大幅増

 Mercedes-Benz Carsの2017年1-9月の売上高は前年比6.7%増の697億ユーロ、EBIT(支払金利前・税引前利益)は22.2%増の68億ユーロ。2017年10月時点の予測では、2017年通年のEBITも前年比大幅増の見通し。

販売台数

 

DaimlerのCASE戦略

 Daimlerは2016年10月、2020年代のMercedes-Benz Carsの戦略を示す「CASE戦略」を発表。未来のモビリティを提供する企業として、Connected(コネクテッド)、Autonomous(自動運転)、Share & Service(シェア&サービス)、Electric(電動化)の4つの分野でリーダーシップをとるとしている。2018年も、自動車製造・販売という中核事業の堅調な業績をベースに、「CASE」の各分野に投資し、CASE戦略を進める。

 

2022年までに10以上のEVモデルを投入

 2017年10月に発表したパワートレイン戦略によると、EV、PHV、内燃エンジンの3種類のパワートレインの開発を継続する。EVについては、2022年までに10以上のEVモデルを投入する計画。新たに立ち上げたEV向けサブブランド「EQ」の最初の量産モデルEQCは、2019年から生産を開始。2025年までに総販売台数の15-25%がEVになると見込んでいる。

コンセプト
Concept EQA
コンパクトEVコンセプト (CES2018に出展)

 

自動運転技術でBoschと協力

 2017年に発売した新型E-Class Coupeと改良型S-Classは、レベル2としているが非常に高度な自動運転が可能。2017年4月には自動車部品大手のBoschと提携し、レベル4/5(高度/完全自動運転走行)の自動運転技術を開発している。Daimlerは2020年代初頭に市街地でのレベル4/5走行を可能にすることを目指している。

 

モビリティサービス事業を拡大

 子会社のcar2go(カーシェアリング)、mytaxi(タクシー配車アプリ)を通してシェア&サービス事業を拡大しているが、2017年にも新たに多くの関連企業に出資。2017年末現在、欧州、北米、中国の100都市以上でカーシェアリングやライドシェアリング等のモビリティサービスを提供している。

 なお、Daimlerは2017年10月、組織再編によってグループの構造強化を図るため、既に独立している金融部門に加え、Mercedes-Benzの乗用車・バン部門とDaimlerのトラック・バス部門をそれぞれ法的に独立させると発表。分社化は、早ければ2019年の株主総会で承認される見込み。

 

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