メキシコ:各社が生産増強計画を推進、輸出先の多角化も検討

年産能力400万台超、2016年生産台数は347万台、輸出が8割

2017/09/20

要 約

 メキシコ自動車工業会 (AMIA) によると、2016年の生産台数は前年比2.0%増の346.6万台、輸出台数は0.3%増の276.8万台で、輸出比率は80%。輸出先は米国向けが77%で、カナダを加えた北米向けが86%を占める。2016年の新車販売台数は前年比18.6%増の160.4万台で、輸入車の割合が5割以上。2017年1~6月期の生産台数は前年同期比12.6%増の188.4万台、輸出は14.0%増の151.3万台といずれも2ケタ増を維持している。販売台数は前年同期比2.9%増の74.3万台と引き続き増加しているが、前年より伸び率は失速している。

 メキシコの完成車工場は、日産とGMが3工場、FCA、Ford、ホンダが2工場を稼働している。2016年にはAudiと起亜のメキシコ工場が稼働を開始。主な工場の年産能力を合計すると400万台を超える。2017年末にはRenault日産とDaimlerの合弁工場、2019年にはBMW初のメキシコ工場、2020年にはトヨタの新工場が稼働を開始する予定で、合計約60万台の生産能力増強が見込まれる。主要メーカーはメキシコ市場で需要の高いコンパクトカーやピックアップトラックを現地生産し、北米・中南米を中心に輸出も行っている。最近は、日産Kicks、Chevrolet Equinox、Jeep Compass、VW Tiguanなど、各社が相次ぎ新型SUVを投入。メキシコ国内で生産・販売するだけでなく、グローバル市場に供給するとしている。

 メキシコは潜在性の高い国内需要への期待と、米国に無関税で製品を輸出できる北米自由貿易協定(NAFTA)の利点を活かし、外資からの投資を誘致してきた。メキシコで自動車の現地生産・輸出が拡大する中、2017年1月に米国でトランプ政権が発足。米国の貿易赤字縮小を図るとし、NAFTAの再交渉、環太平洋連携協定(TPP)からの離脱、米国への輸入製品にボーダータックス(国境税)を課すといった経済通商政策を掲げた。これにより、米国への輸出を柱としてきたメキシコ自動車産業の先行きに不透明感が生じている。NAFTA再交渉は2017年8月から協議が開始されたが、原産地規則の見直しなど各国間で隔たりの大きい項目は協議が難航すると見られている。

 一方で、メキシコは米国偏重型の経済を見直し、輸出先の多角化を図るため、各国との交渉を進めている。メキシコはすでに40以上の国や地域と自由貿易協定(FTA)を結んでいるが、今後もFTA交渉を継続して締結国をさらに増やし、市場開拓を進めていく。2017年初にFordはメキシコ新工場の建設中止を発表したが、他の自動車メーカーは米国への投資拡大とともに、メキシコでの事業継続を相次ぎ表明。各社ともメキシコ事業を計画通り遂行する構えを見せている。

出所:メキシコ自動車工業会 (AMIA) 資料より作成


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