日本メーカーの中国事業: 反日デモなどの影響で、2012年度中国販売を65万台下方修正

年産能力は現在の420万台規模から、2015年に約600万台、2017年に約740万台規模に拡張へ

2012/12/07

要 約

 2011~2012年乗用車の月次販売台数推移 2011~2012年月次自動車販売台数中国自動車業界団体「中国汽車工業協会」(CAAM) は2012年11月、2012年の自動車生産・販売予測台数を、年初の約2,000万台 (うち、乗用車約1,610万台) から約1,900万台と100万台下方修正。また、国営輸入車最大ディーラー「中国進口汽車貿易」(China Automobile Trading Co., Ltd.)は、2012年の輸入車販売予測を当初の100万台超から97万台前後 (さらに2013年は前年比10%減) と下方修正すると発表した。
 その背景には、経済の減速による消費低迷とともに、日中領土問題をめぐる反日デモの影響もあって、例年ハイシーズンとなる9月および10月(「金9銀10」という中国語がある)の日本車販売が、大きく落ち込んだことがある。

 2012年11月時点各社のリリースやMarkLinesが実施した独自調査によると、反日デモの悪影響がしばらく続く中で、トヨタ/日産/ホンダなど日系自動車8社は、2012年今期の販売目標を合計約65万台下方修正した。しかしながら、中国における年間生産能力を現行420万台規模から、2015年に約600万台、2017年に740万台と引き上げていくという中期計画は変更していない。


 一方、日本車の販売急落を奇貨として、中国車 (外国ベースモデル一部を含む)、欧州車が大きく販売を伸ばしている。
 主要国別ブランド別の2012年月次販売シェア推移を見てみると、日本車の1~8月平均シェアは19.5%から、反日デモのあった9~10月平均シェアは10.3%まで9.2ポイントも急落した(付属表「表3: 2011年/2012年月別の乗用車販売台数シェア (工場出荷/卸売台数ベース)」 )。
 この9~10月に日本車が失った9.2ポイントのマーケットシェアを、獲得したのは中国車が一番大きくシェア増分は3.4ポイント、続いて欧州車が2.6ポイントのシェア増、韓国車は1.6ポイント、米国車も1.6ポイントのシェアアップであった。


 中国自動車調査会社Gasgoo(蓋世汽車網)が2012年10月と11月に、中国自動車関係者を対象に実施したアンケート調査では、日中関係の改善が、落ち込んだ中国での日本車需要の回復に重要な要素であるという認識を持つ人が多い。両国関係が更に悪化せず、改善に向かう環境であれば、日本車販売への悪影響は2013年3月頃まで残り、その後、回復に向けていくとみられる。
 なお、2012年の11月の中国販売速報によると、トヨタは6.38万台(前年同月比22.1%減)、日産は7.95万台(同29.8%減)、ホンダは4.12万台(同29.2%減)、マツダは1.22万台(同29.7%減)と、各社、9月と10月に比べて、減少幅が縮小している。


 以下は、最近、日本車の中国販売や、日系自動車8社の中国事業計画および中国のアンケート調査からみる今後の日本車の中国販売などについてまとめる。これに加えて、参考として日本車のライバルになっているVW/GM/現代・Kiaの中国事業の最新計画、及び2012年の1~8月と9~10月におけるモデル別中国乗用車販売台数ランキング表をリンクして添付する。

  •  (注) 本レポートのデータに、分類されている日本車、米国車、欧州車、韓国車とはそれぞれ外資ブランド、ならびに中国合弁会社の自社独自ブランド(例えば:東風日産乗用車のVenuciaブランド)として、中国において販売されるモデルを指す。 但し、中国ブランドで販売される外資モデル、例えば、FAWブランドで販売するXenia:森雅は中国車として分類される。


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