日本メーカーの2012年度見通し:中国・欧州不振で下方修正

日本・北米の好調で、過去最高の販売水準は維持

2012/11/30

要 約

 日本メーカー各社は、2012年度は、東日本大震災・タイ洪水の影響から立ち直り、日本での補助金制度の復活、海外での拡販で強気の販売計画を当初立てていた。上期(4月-9月)は想定通り、好調な業績を上げ、10社合計の連結販売台数は前年同期比29.1%増の1,162万台、売上高は同22.4%増の25.0兆円、営業利益は同3倍増の約1.5兆円を計上した。

 しかし、上期決算発表時には、領土問題を発端とする中国での日本車販売の急減、欧州市場の縮小を受け、通年見通しの下方修正が相次いだ。連結販売台数ではトヨタ・いすゞ・日野を除いた各社が下方修正。10社合計で2,374万台と、当初計画から約52万台引き下げた(2011年度比では15.3%増)。だが、この2,374万台は経済危機前の2007年度の2,262万台を上回り、過去最高の水準。アジア市場(含む中国)が当時と比べ拡大していることと、日本市場・北米市場が回復してきたことによる。

 売上高の2012年度見通しは、スズキ・ダイハツ・いすゞ・日野は当初計画を据え置いたが、その他のメーカーは下方修正し、10社合計で約1.9兆円減の約51.0兆円(前年度比12.8%増)。

 営業利益の2012年度見通しは各社まちまちで、日産・ホンダは1,000億円以上の下方修正を発表し、マツダも見通しを引き下げた。一方で、トヨタ・三菱・富士重工・いすゞ・日野の5社は営業利益の見通しを上方修正し、スズキ・ダイハツは当初計画を据え置いた。10社合計で見ると当初比1,520億円減の2兆5,780億円(前年度比81.8%増)。

 

日本メーカーの2012年度見通し(数値の色塗り(太字)は過去最高を示す)

 四輪車販売台数(千台)連結売上高(億円)営業利益(億円)
2012年度
計画
(当初)
2012年度
見通し
(上期決算発表時)
2012年度
計画
(当初)
2012年度
見通し
(上期決算発表時)
2012年度
計画
(当初)
2012年度
見通し
(上期決算発表時)
トヨタ 8,700 8,750
上方修正
220,000 213,000
下方修正
10,000 10,500
上方修正
日産 4,920 4,672
下方修正
103,000 98,150
下方修正
7,000 5,750
下方修正
ホンダ 4,300 4,120
下方修正
103,000 98,000
下方修正
6,200 5,200
下方修正
スズキ 2,811 2,744
下方修正
26,000 26,000
据え置き
1,200 1,200
据え置き
マツダ 1,090 1,075
下方修正
22,000 21,700
下方修正
300 250
下方修正
三菱 1,208 1,128
下方修正
19,800 18,300
下方修正
700 800
上方修正
ダイハツ 1,001 998
下方修正
16,700 16,700 据え置き 1,200 1,200 据え置き
富士重工 721 714
下方修正
18,600 18,400
下方修正
670 820
上方修正
いすゞ 506 532
上方修正
16,300 16,300
据え置き
1,230 1,260
上方修正
日野 153 154
上方修正
14,800 14,800
据え置き
470 530
上方修正
10社合計 24,256 23,735   528,700 509,850   27,300 25,780  
資料:各社の決算短信と決算発表資料
(注)
合計欄には、トヨタとダブルカウントになるダイハツと日野の連結数値を含まない。

 

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