2012年上半期の米国3社:GMとFordは欧州の大幅赤字の影響で減益
Fordは、中国とタイで生産能力増強、世界共通生産システムを導入
2012/08/14
- 要 約
- GM:2012年上半期のEBIT-adjustedは、50億ドルから43億ドルに減少
- Ford:One Ford Planをさらに推進、世界共通生産システムを導入
- Chrysler:2012年に世界販売240万台、営業利益30億ドルを見込む
- 2012年1~7月米国市場:3社の合計シェアは45.0%(前年比2.1%減)
要 約
以下は、2012年上半期(1~6月期)の米国3社(GM, Ford, Chrysler)の業績、今後の動向の概要である。米国3社は、2010年、2011年と順調に業績を回復させてきたが、2012年上半期は、欧州事業の大幅赤字と南米事業の利益急減が響いて(Fordは、アジア・大洋州・アフリカも赤字)、GMのEBIT-adjusted(支払金利前税引前利益-調整後)は、前年同期の50億ドルから43億ドルに減少し、FordのPre-tax Profit(税引前利益)は54億ドルから36億ドルに減少した。
米国3社の収益源となっている米国市場は堅調で、GMは2012年のLight vehicle市場規模を1,400~1,450万台と予測している。ただし、2010年、2011年に上昇した3社の米国シェアは、2012年1~7月では前年同期47.1%から45.0%に低下した(Chryslerはシェアを拡大)。
GMは、シェアが多少落ちても、破産法申請以前のように増産してインセンティブを積み増してシェアを維持することはせず、商品力を高めて収益性を守るとしている(2012年上半期の北米事業のEBIT-adjustedは3,656百万ドルで前年同期比4.4%増)。
Fordは、欧州や南米も含め"One Ford Plan"を徹底していく方針。さらに8月に、世界共通生産システム"Global One Manufacturing System"を導入すると発表した。
また欧州市場について、GMとFordは近く本格的なリストラ策を打ち出すとされている。
Chryslerは小売販売台数の90%が北米であり、GMやFordが受けた欧州・南米の影響が少なく、また米国市場においても2012年1~7月の販売台数は27.7%増加し、業績は順調に拡大している。2012年6月に、Fiatとの共同開発第1号モデルとなるDodge Dartを発売した。2013年から、Fiatと共同開発したモデルを大量に北米市場に投入する。
関連レポート:GM:2011年の純利益は過去最高の76億ドル(2012年3月)
:Ford:2015年の販売目標は800万台(2012年5月)
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