Ford:2015年の販売目標は800万台
中国・インド等の新興国販売を拡大、低燃費小型車を積極投入
2012/05/16
- 要 約
- 中期経営計画:2020年の販売はアジア地域が3割、小型車比率は55%
- 新興国市場:中国/インド/タイ/ブラジルで生産能力拡充
- 米国:UAWと新労働協約で合意、2015年までに1万2,000名を追加雇用
- 新型車投入:北米で2012年に新型Escapeと新型Fusion/Lincoln MKZを投入
- EcoBoost エンジン:2012年に搭載車を40万台供給、2013年にエンジンを150万基生産
- 販売台数:2012年1-3月は欧州・アジアが減少し、3.2%減の135.8万台
- 業績:2012年1-3月の税引き前利益は欧州・アジアの赤字が響き26.6%減の20.4億ドル
要 約
Ford は、2011年6月に発表した2015年までの中期経営計画 (Mid-Decade Outlook) で、2015年の世界販売目標を2010年比約5割増の800万台とした。増加分の多くは、新興国での販売拡大で、車種別には低燃費の小型車販売による見込み。この中期計画の発表を機に、Fordはこれまでの経営再建の時代から、事業拡大の時代へと大きく方向転換すると見られる。
Fordは、成長市場であるアジアの新興国市場で積極的に事業を展開している。特に中国では、2012年2月に重慶第2工場が稼働し、既存工場と合わせると現在の年産能力は60万台。さらに、2015年までに重慶第3工場と杭州工場を新設し、年産能力を120万台とする見込み。
米国では、全米自動車労組(UAW)と4年間の新たな労働協約について合意し、追加雇用する一方、時間給の低い労働者の比率を増加させる。また、販売が好調な米国内の工場に追加投資を行い、生産を拡大する。
燃費改善対策では、低燃費の直噴ターボガソリンエンジン EcoBoostの搭載車を拡大する。2012年には前年比3倍の40万台を販売し、2013年には同エンジンを150万基生産する計画。
Fordの2011年世界販売台数は、北米とアジアが増加し、3.1%増の569.5万台。売上高も5.7%増、税引き前利益も21.4%増となった。しかし、2012年1-3月の販売台数は、前年同期比3.2%減の135.8万台で、売上高、税引き前利益とも減少した。北米では販売台数・業績とも向上したが、債務危機で市場が縮小した欧州の大幅赤字が響いた。
関連レポート:Fordの欧州事業 (2012年3月)、デトロイトモーターショー:米国メーカー (2012年2月)
米国の燃費規制とメーカーの対応(2) (2011年10月)、Fordの中国事業(1) (2011年10月)、(2) (2011年11月)
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