Fiat/Chrysler グループの中国事業 (1): 中期事業計画、販売体制とモデル計画

販売目標は 2014年までに乗用車 30万台強、現地生産強化へ

2011/12/26

要 約


  Fiat は南京汽車集団と提携を解消して、2008年2月に合弁会社であった南京 Fiat (現・上海VW 南京分工場) での生産を中止。一方、Chrysler は Daimler と分社化したため、2009年1月に北京汽車集団および Daimler との合弁会社であった北京 DCX (現・北京 Benz) での Chrysler モデル生産を中止。加えて、福建汽車集団傘下の東南 (福建) 汽車での Dodge Caravan 委託生産も停止した。2011年12月時点、Chrysler を含む Fiat グループの中国生産車種は、わずかながらの東南(福建)汽車における Chrysler Grand Voyager のみとなっている (2011年1~10月累計販売 10台)。

  Fiat/Chrysler グループの中国乗用車事業における現在の中核企業になる広汽 Fiat (広汽菲亜特汽車有限公司、2010年3月設立) は、2012年7月をめどに中国で本格的に生産を再開。2014年の生産・販売目標として約 30万台を掲げている。この目標を達成するために、2012年から2015年までに主に Fiat Compact Platform を採用する Fiat/Chrysler ブランドの新型モデルを中心に順次投入していく。

   中国政府は 2011年12月から 2013年12月を期限とし、米国生産輸入車を対象に反ダンピング税および反補助金税 (注) を課税する暫定措置を実施しており、主に輸入販売を中心としている Chrysler/Jeep ブランド車にとっては、現地生産化検討を促進する要因の一つになると推測される。

  また、商用車の 2011年販売見通しは約 15万台であるが、今後は主に軽型商用車に注力し、2015年までに 45~55万台の年間販売を目標としている。

  以下は、Fiat/Chrysler グループの中国における中期事業計画、モデル計画および販売体制等に関する最新動向である。

  なお、Fiat/Chrysler グループの中国における最新の完成車およびエンジン生産体制の拡張などについては、2012年 1月掲載予定の Fiat/Chrysler グループの中国事業 (2): 完成車とエンジンの生産能力増強計画にまとめる。


  (注) Chrysler に課せられる税率は、反ダンピング税 8.8%、反補助金税 6.2%。

関連レポートChrysler: Fiat のプラットフォームと省燃費技術を大幅に採用 (2011年10月掲載)
                       Chrysler: 2011年第1四半期に最終黒字、年内に Fiat が 51%出資へ (2011年5月掲載)
                       Fiat の乗用車事業: 2011年の世界販売目標は 5-10% 増の 220-230万台 (2011年4月掲載)

Fiat/Chrysler グループの中国事業計画

概要
方針 ・中国市場をグループ最重要な戦略市場と位置づける
Fiat ブランドを中心に、Chrysler (含む Jeep) /Alfa Romeo/Lancia を展開していく
・中国におけるグループ部品共同調達の推進 (現在のグループ平均調達コストより 3~4割低減)
  ・広汽 Fiat:
  Fiat/Alfa Romeoを含む、複数ブランドモデル戦略を展開していく
  Chrysler についても、Jeep の生産を検討中
  生産車種はすべてFiat の最先端エンジンおよび変速機を搭載
・南京 Iveco:
  2015年に、中国軽型トラックメーカートップ 5入りを目指す
  2020年までに、重型トラックおよび pickup 以外の商用車すべてのセグメントに参入
・上汽 Iveco 紅岩商用車:
  2015年までに、重型商用車分野での競争優位性を確立する
生産
販売
目標
・Fiat/Chrysler グループ: 2014年までに乗用車 30万台強、中国市場シェア 2%を目指す
  ・広汽 Fiat: 2014年 約30万台 →  2015年 50万台
・商用車 (提携先ブランドを含む): 2014年 23.5万台、2015年 45~55万台
  ・南京 Iveco:
  2011年 15万台 (内訳:  躍進 (Yuejin) ブランド11.5万台、Iveco 3.5万台)、売上100億元
  2015年 30~40万台  (内訳: 躍進ブランド 25万台以上、 Iveco 5万台以上)、売上 220億元
             中国軽型トラック市場シェア 11%
  2015年に EV/HV 等環境対応車 3万台年産体制を構築
・上汽 Iveco 紅岩商用車:
  2011年 4.3~4.5万台、売上 100億元
  2015年 15万台 (うち、輸出1万台超)、売上 250億元
・杭州 Iveco:  (注)
  MT と DDCT (Dry Dual Clutch Transmission) との合計販売目標は、2012年 23.5万基、2013年 36.8万基
モデル
計画
・2012年の New Fiat C-Medium 投入をはじめ、Fiat Compact Platform を採用する車種を中心に新型車を投入
  ・広汽 Fiat:
  小型、中高級クラス、SUV をカバーするモデルラインナップを構築
  2012年~2015年には、年に 1車種以上の新型車を投入
・南京 Iveco:
  主に軽型商用車に注力して事業を拡大していく
  2011年に躍進自主ブランド向け斬新なシャシーを開発
  2020年までに、既存モデルすべてをモデルチェンジ
  パワートレイン戦略として、躍進自主ブランド商用車に Iveco Sofim ディーゼルエンジンの搭載拡大を始めとして、Iveco の技術を積極的に採用していく
  さらに、長期的には、中型トラック、中高級軽型トラック、ローエンド軽型・微型トラックも更にカバーするラインナップを構築していく模様
・上汽 Iveco 紅岩商用車:
  2015年までに、やや幅狭の重型トラックおよび架装車を追加投入

 出所: MarkLines 取材、Fiat/Iveco 広報資料 (2010.04.21)、「広汽 Fiat 戦略発展計画」 (2010年9月19日発表)、毎日経済新聞 (2011.01.19)、ほかの各種報道
注:  杭州Iveco (HAVECO: 杭州 Iveco 汽車傳動技術) は車載変速機メーカーで、現在、Fiatと、広州汽車集団の部品子会社「広州汽車集団零部件公司」および杭州地場部品メーカー「杭州前進歯輪箱」と、三分の一ずつ出資。