Weifu High-Technology Group Co., Ltd.[無錫威孚高科技集団股份有限公司] 2022年12月期の動向
業績 |
(単位:百万元) |
2022年12月期 | 2021年12月期 | 増減率 (%) | 要因 | |
売上高 | 12,729.63 | 13,682.43 | (6.96) |
-中国における商用車市場の需要低迷や全体的な景気減速などが影響した。 |
営業利益 | 181.63 | 2,765.21 | (93.43) | |
経常利益 | 179.61 | 2,740.36 | (93.45) | |
純利益 | 190.95 | 2,649.36 | (92.79) |
-主要事業概況:
- フューエルインジェクション事業:2022年12月期、コモンレールポンプの年間販売は135万台、VEポンプは40万台弱。メカニカルポンプは16万台超で前年比22%増となった。
- 排ガス後処理システム:ガソリンセパレーターの年間販売は217万セット超、ディーゼルセパレーターは約25万セット。
- 吸気システム:4気筒ディーゼルターボチャージャーの年間販売数は52万台超。ガソリンターボチャージャーは22万台超、複数の中国国内OEM新エネルギー車プロジェクト向け製品の量産を開始している。また、モーターシャフト製品の年間販売台数は56万台超となった。
- 水素関連製品及びコネクテッド:複数のOEMより受注し、生産販売台数が増加。
最新の動向
‐新エネルギー車(NEV)向け製品が国内外の複数メーカーからの受注を獲得したと発表した。駆動モーターシャフトは量産開始しており、2025年には年産能力が500万個に達する見込み。電動オイルポンプは2023年上半期に量産開始予定。4Dミリ波レーダーは現在、技術開発段階にある。同社はまた、水素エネルギー事業部や燃料電池の合弁会社を設立し、燃料電池部品の国産化を促進する。また、威孚高科はBoschとの提携事業について、ディーゼル油、ガソリンシステムから電動駆動、燃料電池などの新エネルギー分野に拡大していると明らかにした。両社合弁の博世動力総成有限公司はセル、エアコンプレッサーなどを中心に燃料電池事業を推進しているほか、研究開発センターの建設も行う。威孚高科子会社の無錫威孚氫隆動力科技有限公司隆動力科技有限公司は、燃料電池部品事業を推進する。(2023年2月8日付威孚高科投資家イベント公告より)
水素エネルギー事業の動向
水素エネルギー事業の発展戦略
-同社は、水素エネルギー事業の発展戦略を策定し、水素エネルギー事業部を設立すると発表した。この事業部は「水素エネルギー研究開発センター」、「燃料電池部品事業」、「再生可能エネルギーによる水素製造事業部」の3部門を管轄する。「燃料電池部品事業」では、膜電極、グラファイト/金属バイポーラプレート、BOP主要部品などの事業整備に重点を置き、アジア太平洋地域、欧州、北米の製造センターの生産能力を拡大する。2025年までにグローバル生産能力として、膜電極800万枚、グラファイトバイポーラプレート900万枚、金属バイポーラプレート400万枚及びBOP主要部品10万個の整備を目指す。そのうち約半分の生産能力は、アジア太平洋地域(中国)で整備する。「再生可能エネルギーによる水素製造事業」では、PEM型水電解による水素製造システム装備技術を重点的に育成する。同社は2025年までに、「燃料電池部品事業」に約26億元、PEM型水電解による水素製造システム装備事業に約4億元投資する計画で、総投資額30億元のうち約8億元はすでに投資済みだという。(2022年1月11日付プレスリリースより)
無錫に燃料電池中核部品工場を設立
‐Bosch(ボッシュ)の子会社Robert Bosch Internationale Beteiligungen AGおよび無錫市高新区新動能産業発展基金(有限合伙)と共同で合弁会社を設立したと発表した。合弁会社は社名を無錫威孚氫隆動力科技有限公司とし、燃料電池部品の生産を行う。威孚高技グループが3億7,500万元(75%)、Boschが7,500万元(15%)、新動能基金が5,000万元(10%)の出資を行う。(2022年7月2日付プレスリリースより)
-同社は、無錫ハイテク産業開発区の管理委員会と契約を締結したと発表した。威孚高科は、同区で燃料電池の中核部品事業および再生可能エネルギーによる水素製造事業の2つを推進する。また、合弁会社を新設して燃料電池中核部品の開発・生産を行う。拠点の敷地面積は約20万平方メートルで、第1期では約5万3,000平方メートルを整備する。なお、威孚高科は2021年から2025年の間にグラファイトバイポーラプレート500万枚、金属バイポーラプレート200万枚、膜電極400万枚の生産を行うほか、BOP中核部品の小ロット生産にも対応する。また、PEM型水電解水素製造ラインを導入し、基礎的な開発能力を整備する計画。(2022年5月7日付プレスリリースより)
戦略的提携
東風技術センター
‐同社は、東風汽車と共同開発したホイールハブ駆動乗用車の実証実験を江蘇省で始動したと報じた。このモデルは、ホイールハブモーターとコントローラーの統合技術を採用したEVの4駆。フロントシャフトには東風汽車が開発したセントラルモーターを、後輪にはホイールハブモーターを配置した3モーター方式で4輪駆動を実現した。2022年3月、両社は連携し四輪駆動乗用車の開発を進めている。(2023年3月13日付複数メディア報道より)
-東風技術センターは、同社傘下の無錫威孚電駆科技有限公司[Wuxi Weifu Electric-Drive Technology Co., Ltd.]と協業すると発表した。両社は、インホイールモータ―「ProteanDrive」や分散駆動制御などの分野で共同開発などを行うほか、東風技術センターの先進研究センターを経由してリソースの整合を行い、東風公司の各事業分野におけるインホイールモーターや分散駆動制御技術の開発や搭載、実証、産業チェーン構築などの分野で幅広く提携する。(2022年3月17日付東風技術センターの公式Wechatより)
吸収合併
-同社は、約6,000万ユーロでRobert Bosch S.p.A. Societa Unipersonale (RBIT)が保有するVHIT S.p.A. Società Unipersonale(VHIT)及びその子会社である意沃汽車系統(無錫)有限公司[VHIT Automotive Systems (Wuxi) Co. Ltd.](VHCN)の全株式を取得すると発表した。VHITおよびVHCNは本社をイタリアに置き、現在約570名の従業員を抱える企業で、機械式・電動式の真空ポンプや、電動オイルポンプ、油圧バルブなどの研究開発、生産、販売を行っている。また、乗用車及び商用車用のポンプ、バルブ製品のTier1サプライヤーであり、欧州、アジア太平洋地域の大手自動車メーカーに長く製品を供給してきた。現在開発中の新エネルギー車(NEV)向けサーマルマネジメントシステムのサブシステムとして中核となる電動オイルポンプは、すでに複数のグローバルメーカーからの受注を獲得しており、2022年下半期には大量生産段階に入る計画だという。威孚高科は今回の取引を契機として、電動オイルポンプ事業から「NEV向けサーマルマネジメントシステム製品事業」に参入し、バッテリー用冷却プレート、熱交換器などの主要部材及びサーマルマネジメントシステム製品の研究開発や応用を推進していく。(2022年2月9日付プレスリリースに基づく)
研究開発体制
-1999年、ポスドク科学研究ステーション、国家レベルの承認を得た企業技術センターを設立。
-エンジニアリングセンター(省レベル)、排気後処理システムセンター、過給機研究開発センターを保有。
-半導体メーカー STMicroelectronics と自動車用パワーICの研究開発を行う共同実験室を同社のテクニカルセンター内に設立。同社はSTMicroelectronicsの先進的な自動車エレクトロニクスソリューションを導入し、電子制御ディーゼルポンプや電子制御後処理システムの技術レベルを国際水準まで引き上げたいとしている。
-2021年、「威孚インテリジェント製造5G+」研究所の建設を完了。
研究開発費 |
(単位:百万元) |
年度 | 2021年12月期 | 2020年12月期 | 2019年12月期 |
研究開発費 | 595.41 | 532.58 | 417.92 |
研究開発費の売上高に占める比率(%) | 4.35 | 4.13 | 4.76 |
-2022年末現在、同社は研究開発員1,232名を保有、総従業員の20.92%を占める。
進行中の研究開発プロジェクト
プロジェクト名 | 進捗 | 備考 |
クリーン燃料噴射システムのコアコンポーネントの開発と応用 | 進行中 | 従来の燃料噴射システムに代わる技術(天然ガスなど)の研究開発を実施 |
Euro VII排出ガス規制に適合するコモンレールポンプの製品開発と応用 | 進行中 | |
国6排ガス基準を満たす乗用車用の後処理製品の開発と応用 | 進行中 | - |
Euro VII排出ガス規制を満たす商用車用の後処理製品の開発と応用 | 進行中 | - |
国6排ガス基準を満たすガソリンエンジンターボチャージャーの開発と応用 | 進行中 | - |
国6排ガス基準を満たすディーゼルエンジンターボチャージャーの製品開発と応用 | 進行中 | - |
国6排ガス基準を満たす天然ガスエンジンターボチャージャーの開発と応用 | 進行中 | - |
レンジエクステンダーエンジン用ターボチャージャーの開発と応用 | 進行中 | - |
水素燃料電池のコア材料の開発と応用 | 進行中 | 水素燃料電池のコア材料(膜電極、グラファイトバイポーラプレート、金属バイポーラプレート、触媒)を開発 |
水素燃料電池BOPの主要コンポーネントの開発と応用 | 進行中 | 水素燃料電池BOP(バルブ、ポンプなど)の主要コンポーネントの製品開発を実施。 |
新エネルギー車用電気駆動部品の開発と応用 | 進行中 | 新エネルギー車の電気駆動部品(モーターシャフト、モーターハウジングなど)の製品開発を実施。 |
インテリジェント知覚コアモジュール製品の開発と応用 | 進行中 | インテリジェント知覚コアモジュール製品(ミリ波レーダー)の開発を実施 |
スマートシート製品の開発と応用 | 進行中 | - |
ブレーキシステムのコアコンポーネントの開発と応用 | 進行中 | - |