Nexteer Automotive Group Ltd. 2017年12月期の動向

業績

(単位:百万ドル)
2017年12月期 2016年
12月期
増減率
(%)
要因
売上高 3,878.0 3,842.2 0.9 1)
純利益 355.9 301.9 17.9 2)


要因
1) 売上高
-2017年12月期の売上高は、前年比0.9%増の3,878.0百万ドル。北米は、市場需要量の減少はあったが、フルサイズのトラック生産が好調で、製品構成もよく好調。アジア太平洋地域は為替の影響や主要取引先の生産減による需要の減少により低下。欧州と南米は取引先の生産増加や為替の影響に伴って売上が増加した。

2) 純利益
-2017年12月期の純利益は、市場拡大と製品構成の改善、経費削減が寄与し、前年比17.9%増の355.9百万ドル。

合弁


-東風汽車零部件(集団)有限公司[Dongfeng Motor Parts And Components Group Co., Ltd.]とNexteer Automotive中国の合弁会社「東風耐世特転向系統(武漢)有限公司[Dongfeng Nexteer Steering Systems (Wuhan) Co., Ltd.]が、2017年10月23日、正式に設立された。合弁会社は東風グループの各種乗用車にステアリング技術ソリューションを提供し、戦略的提携関係を構築する。同時に運転支援技術と自動運転技術を東風集団各社に普及させビジネス化させる。まずシングルピニオンアシストEPS(SPEPS)から始め、続いてコラムアシスト式EPS(CEPS)、ラック式EPS(REPS)、デュアルピニオンアシストEPS(DPEPS)及び高度運転支援、自動運転のステアリング先進技術ソリューションの各プログラムを提供してゆく。2019年中に東風Nexteer初のEPSを量産する計画。事業計画では2023年までに東風グループ内完成車市場でのシェアを20%とし、売上高を12億元から14億元とする目標を掲げている。(2017年10月31日付けプレスリリースより)

-Nexteer Automotiveは、米国時間の4月10日、東風汽車集団と合弁会社を設立し、東風向けに電動パワーステアリングの設計と生産を行うと発表した。Nexteer Automotiveと東風傘下の企業が各々50%を出資し、東風汽車武漢本社付近に工場を建設する計画。(2017年4月10日付けプレスリリースより)

-Nexteer AutomotiveContinentalは、自動運転に向けたモーションコントロールシステムおよびアクチュエーター部品の合弁会社設立に合意したと発表した。両社折半による出資で、製品評価、設計、試作等の研究開発活動を行う。今回の合弁事業でNexteer ADAS技術とContinental の自動運転およびブレーキ技術を統合することにより、モーションコントロールシステム開発の早期化を目指す。新会社は2017年第1四半期から稼働を開始する計画。(2017111日付プレスリリースより)

事業提携


-WABCOは、Nexteer Automotiveとの長期提携契約に合意したと発表した。両社はNexteerのアクチュエーション技術「MagnaSteer」を用いて中大型商用車向けアクティブステアリングシステムを開発、供給する。先日、WABCOSheppardの買収を発表しており、大型商用車の業界標準であるSheppardのパワーステアリングギアと「MagnaSteer」を組み合わせる。「MagnaSteer」はフレキシブルで精密なモジュラー設計で、Sheppardのギア製品ラインと完全に一体化することができる。また、中大型トラックやバスメーカーにも効果的に適応できるという。(2017829日付プレスリリースより)

受注

-2017年に同社は32のステアリングとドライブラインの主要プログラムを立ち上げた。

<北米>
GM
ドライブライン:Chevrole Equinox, GMC Terrain
REPS (ラックアシスト式電動パワーステアリング)、ドライブライン:Chevrolet Traverse, Buick Enclave
FCA
コラム、ドライブライン:Jeep Wrangler Unlimited
Ford
コラム、REPS:Ford Expedition, Lincoln Navigator

<欧州&南米>
FCA
CEPS (コラムアシスト式電動パワーステアリング): Fiat Argo, Cronos
GM
SPEPS (シングルピニオンアシスト式電動パワーステアリング): Opel Crossland
PSA
SPEPS: Citroen C3 Aircross

<アジア太平洋>
Chongqing Bisu Automobile
CEPS: Huansu H5
BMW
SPEPS: 1-Series, 2-Series, X1
Changan
CEPS: Changan CS55, Easo PHEV (C207)
Dongfeng Liuzhou Motor (DFLM)
CEPS: Jingyi S50 EV, Jingyi SX3, Jingyi SX7
GM
ドライブライン: BUick Velite, Chevrolet Equinox
RNM
ドライブライン: Renault Lodgy
Tata
ドライブライン: Ace Iris, Majic, Zip, Osprey
SGMW
CEPS: Confero S, Cortez, Wuling C-SUV

受賞

-GMから2017年「Innovation Award」を受賞したと発表した。様々なレベルの自動運転で先進安全を実現する、同社の高可用電動パワーステアリング(EPS)が評価された。「Innovation Award」は、Nexteerを含めて4社が受賞している。(2018年4月30付プレスリリースより)

-2017年受賞したその他の賞:

  • 2017 GM Supplier Quality Excellence Award (Saginaw, 中国Suzhou)
  • 2017 Excellent Supplier Award (中国Liuzhou)
  • 2017 Ford Asia-Pacific World Excellence Award(中国Suzhou)
  • 2017 Built in Quality Award (メキシコ)
  • 2017トヨタAchievement for Quality Performance (メキシコ)

研究開発費

(単位:百万ドル)
2017年12月期 2016年12月期 2015年12月期
全社 249.3 232.8 205.9
収益に占める割合 6.4% 6.1% 6.1%



研究開発拠点

研究開発拠点
2017年12月現在、グローバルテクニカルセンター1箇所、テクニカルセンター2箇所、カスタマーサービスセンター14箇所を保有。

-2017年11月16日、蘇州インダストリアルパークでアジアパシフィックテクニカルセンターの起工式を行った。このテクニカルセンターは同社のアジアパシフィック本社の機能を受け継ぎ、マネジメント、技術、投資、運営を一体化させた総合的な機能を果たす。敷地面積は30,000平方メートル超。そのうち、オフィスビルが14,000平方メートル、研究開発施設が12,000平方メートルを占める。このほか、8本の道路、4,500平方メートルの車両試験場を建設し、様々な路面の試験環境を作り、中国製品の製造、研究開発、測定試験能力の強化を図る。このセンターは2019年末の竣工を予定しており、運用開始後には1,000名の雇用を創出する計画である。(2017年11月17日付けプレスリリースより)

-ソフトウェアへの戦略的投資を拡大し、インドにソフトウェアセンターを開設すると発表した。ソフトウェアセンター開設は、米国Saginaw、ポーランドTychy、中国・蘇州に続くもので、ソフトウェアの世界的な開発体制を構築するのが目的。自動車、特に安全が最重要視されるステアリングソフトウェアの役割は急激に拡大しており、同社のステアバイワイヤー (SbW) や電動パワーステアリング (EPS)においては、サイバーセキュリティを含め、セーフティクリティカルな役割を果たしている。同社が先進安全などの機能をステアリングに追加するに伴い、ソフトウェアも複雑化。初代スペースシャトルが必要としたコードが40万行だったのに対し、NexteerSbWには14.3百万行、EPSには4.3百万行のコードが必要という。(201849日付プレスリリースより)

製品開発

-完全自動運転車向け先進ステアリングシステム
-半自動 - 完全自動運転向けの先進ステアリングシステムを北米国際自動車ショー (NAIAS) で披露すると発表した。スイッチを押すかハンドルを握ると始動し、手動運転からレベル3以上の自動運転へと移行できる「Steering on Demand」システムや、自動運転中に方向転換した際にハンドルの回転を防止する「Quiet Wheel Steering」、手動・自動運転を支援するステアバイワイヤーシステムなどが出展される予定。(2018116日付 プレスリリースより)

-同社は、先進安全やSAEレベル2-5の自動運転を可能にする2つのステアリング技術を発表した。この2つは、高可用性の電動パワーステアリング (EPS) と先進ステアバイワイヤー(SbW)で、独フランクフルトで開催された2017年国際モーターショー (IAA)で披露された。このEPSは、トルクやポジションセンサーに冗長性を付加することで、インテリジェントに最適化される。SbWは、衝突回避や安定制御などの先進安全機能に新たな可能性を開くほか、SAEレベル3-5の自動運転車両において、運転手による運転と自動運転とを安全かつ直感的に移行する同社の「Steering on Demand System」もサポートする。(2017913日付プレスリリースより)

-同社の業界をリードするサイバーセキュリティ技術を活用し、悪意あるシステム侵入や不審なステアリングコマンドから保護するステアリングシステム関連製品を強化すると発表した。これらのサイバーセキュリティ技術は、半導体レベル、並びに多層レベルの暗号ソフトウェア、特殊設計のハードウェアで構成されており、ステアリングシステムと他の車載または外付けコントローラーとの間の情報および命令の識別、承認を行う。自動車は、自動運転、インターネット接続、V2Xなどのような高度なエレクトロニクス化にともない、遠隔ハッキングの影響を一層受けやすくなっている。 (2017年4月19日付プレスリリースより)

特許

-2017年12月期、北米で530、米国外で162の特許を保有し、更に566の特許を申請中。

設備投資

(単位:百万ドル)
2017年12月期 2016年12月期 2015年12月期
全社 357.4 284.7 277.5



米国以外の投資

<中国>
-同社は、中国柳州でEPSを生産する新工場の起工式を行ったと発表した。2017年末までに着工し、201810月までに完成する予定。総面積は11,884平方メートルで、従業員は約500人となる見込み。新工場の開設により、生産能力を拡大し、中国やアジア・太平洋市場におけるEPSの需要増に対応するとしている。 (20171219日付プレスリリースより)

<モロッコ>
-モロッコのKenitraに工場を開設すると発表した。シングルピニオンアシストEPS (SPEPS)の生産からスタートし、将来的にはドライブラインシステムまで生産を拡大する計画。新工場の広さは18,000平方メートルで、同社のアフリカにおける初拠点となる。20183月末に起工式を行い、2019年に稼働を開始する予定。(2018222日付プレスリリースより)

<インドネシア>
-2017年7月26日、インドネシアの新工場が開業したと発表した。同社の全額出資によるもので、同社にとってアジア太平洋地区で12番目の工場となる。インドネシアジャワ州ブカシ(Bekasi)に位置するこの工場の敷地面積は約3,000平方メートル。主な製品はブラシコラムアシスト式EPS(CEPS)で、7月にすでに生産を開始した。上汽GM五菱のインドネシア工場にEPSの製品とサービスを提供する計画である。(2017年7月26日付けプレスリリースより)