日本電産 (株) 2017年3月期の動向

業績

(米国会計基準、単位:百万円)
2017年3月期 2016年3月期 増減率
(%)
要因
全社
売上高 1,199,311 1,178,290 1.8 -売上高は過去最高を更新、営業利益、税引前当期利益、純利益も増益で過去最高を更新。
営業利益 140,331 117,662 19.3
税引前当期純利益 142,278 119,328 21.4
当社株主に帰属する当期純利益 111,721 89,945 24.2
日本電産
売上高 218,648 229,982 (4.9) -小型モーターの売上増加があったものの、対米ドルでの円高によるマイナスの影響。
営業利益 16,556 17,677 6.3
日本電産サンキョー
売上高 136,161 129,304 5.3 -対米国ドルでの円高によるマイナスの影響があったものの、液晶ガラス基板および有機EL搬送用ロボットの売上増加によるもの。
営業利益 19,408 15,047 29.0
日本電産モータ
売上高 249,419 225,387 10.7 -対米国ドルでの円高によるマイナスの影響があったものの、新規連結子会社の日本電産ルロア・ソマーホールディング社、日本電産コントロール・テクニクス社の影響およびスリー新(新製品、新市場、新顧客)の売上増加によるもの。
営業利益 21,216 15,611 35.9
日本電産モーターズ アンド アクチュエーターズ
売上高 266,091 270,166 (1.5) -電動パワーステアリング用等の車載用モータや日本電産トーソクのコントロールバルブ製品の売上の増加があったものの、対米国ドル・対ユーロでの円高によるマイナスの影響によるもの。
営業利益 29,572 25,885 14.2

事業取得

<米国>
-米電気・電子機器メーカーのエマソンエレクトリックのモーター・ドライブ事業と発電機事業を取得すると発表。産業用製品のフルライン化と欧州やアジア地域での基盤確保を実現するとともに、日本電産のモーターと今回取得するドライブ技術を組み合わせることで顧客提案力を強化する。取得価格は12億ドル(約1224億円)で、日本電産としては過去最大の規模となる。(2016年8月3日付日刊自動車新聞より)

受注

-2016年6月、中国の低速電気自動車(LSEV)用駆動システムの主要部品を受注。モーターやギアボックスなどの構成部品をシステムとして供給する。受注金額は約30億円。環境規制が強化される見通しの中国では、LSEV市場の拡大が予想され、供給体制を拡充する。今後、東南アジア諸国連合(ASEAN)やインドなどでも事業展開を強化し、LSEV事業の売上高を100億~200億円規模に引き上げる。(2016年6月28日付日刊自動車新聞より)

2020年度 新中期戦略目標

-「利益ある高成長の飽くなき追求」

  • 連結売上目標 2兆円 (新規M&A 約5,000億円を含む)
  • 内、車載売上高目標 7,000億円~1兆円
  • 連結営業利益率目標 15%以上
  • ROE (株主資本利益率) 18%以上 (株主資本比率60%を前提目標)
  • グローバル5極経営管理体制の確立 (日本、中国、アジア、米州、EMEA (欧州、中東およびアフリカ))

-電動化部品の2020年度市場規模予想と世界シェア目標:

  • 電動パワステ用モーター: 市場規模 70百万台、シェア目標 50%
  • 電動デュアルクラッチ用モーター: 市場規模 10百万台、シェア目標 70%
  • 電動オイルポンプ: 市場規模 11百万台、シェア目標 30%
  • 電動ウォーターポンプ: 市場規模 34百万台、シェア目標 20%

-モジュール化:

  • 電動パワステ用パワーパック (日本電産製モーター、日本電産エレシス製ECU)
  • 電動オイルポンプパワーパック (日本電産製モーター、日本電産エレシス製インバーター、日本電産トーソク/Nidec GPM製ポンプおよびケース)

-パワートレイン系への展開:

  • 油圧から電動への変革期が到来。パワトレ市場への本格参入を狙う。
  • 製品例として、SiCインバーター内蔵SRモーター:モーターの小型・軽量化・低消費電力化に成功。

-中国の低速電気自動車 (LSEV) 用駆動システムの主要コンポーネントを受注。

  • モーター、ギアボックス、コントローラー、バッテリーチャージャー
  • 中国の4輪車両とインド・東南アジアの3輪車両に注力。

-部品内製化: プレス部品、樹脂成形、ダイキャスト、シャフト加工、ハウジング加工などを内製化。

-LiDAR (Laser Imaging Detection & Ranging) の適用用途拡大 (自動運転等)

2017年3月期の見通し

(米国会計基準、単位:百万円)
2018年3月期
(予想)
2017年3月期
(実績)
増減率
(%)
売上高 1,350,000 1,199,311 12.6
営業利益 160,000 140,331 14.0
税引前当期純利益 158,000 142,278 11.0
当社株主に帰属する当期純利益 125,000 111,721 11.9

>>>次年度業績予想 (売上、営業利益等)

研究開発費

(単位:百万円)
2017年3月期 2016年3月期 2015年3月期
全社 52,807 51,978 45,179
-日本電産 21,459 22,523 17,982
-日本電産サンキョー 5,137 4,689 5,384
-日本電産モータ 5,945 6,020 5,411
-日本電産モーターズ アンド アクチュエーターズ 7,311 7,336 5,201

-2018年3月期の研究開発費は全社で60,000百万円と予想。

研究開発体制

-中央モーター基礎技術研究所、シンガポールモーター基礎技術研究所、台湾モーター基礎技術研究所:全社的なモーター全般の要素技術研究を行い、グローバル技術開発戦略の中核となる要素技術研究の一層の高度化を推進している。

<日本電産>
-滋賀技術開発センター: HDD用を除く精密小型DCモーターおよびファンモーター、並びに自動車のパワーステアリング用をはじめとする各種車載用モーター等に関する新製品および新機種量産化、製品の品質向上を目的とした研究開発を行っている。

研究開発活動

<日本電産>
-車載用モーターでは、先進国市場のほか、中国、インド、ブラジルといった新興国市場向け新製品の開発を強化。
-開発案件は以下の通り:

  • 小型・高性能次世代のパワーステアリング用モーター
  • パワーステアリング以外のアプリケーション (シート、ブレーキ、サンルーフ等) 用のモーターおよび付帯するECU (電子制御ユニット)
  • 油圧・電動システムに使用されるブラシレスモーター等
  • モーターをセンサー、制御装置と組み合わせたパッケージ


<日本電産モーターズ アンド アクチュエーターズ>
-車載用モーター: ドイツ、スペイン、日本を中心に車載用モーターの高寿命化、小型化および軽量化に向けた研究開発を行っている。

  • シート、サンルーフ用モーター: レアアース不要な小型ブラシ付きモーターの商品化
  • エンジン冷却用モーター: 小型で軽量なブラシ付ファンモーターの開発

-シャシー制御領域 (ブレーキ、ステアリング):

  • ブレーキ: 回生協調ブレーキシステム用ECUの商品化 (量産) 開発、横滑り防止装置用ECUの商品化 (量産) 開発
  • 電動パワーステアリング: ブラシ付きモーター用とブラシレスモーター用ECUの開発が完了、機能安全対応を盛り込んだブラシレスモーター用ECUの先行開発を行っている。

-その他の研究開発領域:

  • 自動変速機 (A/T)、無段変速機 (CVT) 用のコントロールバルブASSYの高機能化と高性能化
  • 電動オイルポンプ:グループ会社の技術力を最適に組み合わせて実施
  • トランスミッション用電動油圧アクチュエーター


<日本電産サンキョー>
-ステッピングモーター: 車載への用途展開において、小型化、高性能化、コストパフォーマンスの改善に向けて開発を進めている。

<日本電産モータ>
-車両駆動用モーター: レアアースを使わないSRモーター技術をベースにエンコーダーとのモジュール化を行い、建機・農機など大型車両のハイブリッド化・電気化に向けた開発を行っている。

<日本電産コパル>
-東京技術開発センターにおいて、車載用レンズ、車載用モーター等のシステム機器関連の要素技術、製品開発を行っている。

  • 光学製品: デジカメ用からポートフォリオの転換として、車載用レンズやモバイル製品の開発に力を入れている。
  • モーター: デジカメ用からモバイル、車載、医療への移行を進めている。

主な設備投資額

(単位:百万円)
2017年3月期 2016年3月期 2015年3月期
全社 68,718 81,918 58,042
-日本電産 427 735 140
-日本電産サンキョー 5,386 7,949 5,790
-日本電産モータ 12,328 9,321 4,475
-日本電産モーターズ アンド アクチュエーターズ 15,505 17,637 13,797

-2018年3月期の設備投資額は全社で100,000百万円と予想。

<北米>
大型サーボプレス機の生産工場をオハイオ州に新設
-2017年2月、米国およびメキシコ向け大型サーボプレス機の生産工場をオハイオ州に新設すると発表した。同社はスペイン北部にも2工場の新設を計画中。これら新工場への投資額は88.1百万ドルで、2020年までに操業開始予定。自動車関連事業の多様化に伴い、同社では油圧モデルより圧力と速度の多様性に優れ、薄型高張力鋼板の加工に適したサーボプレス機を製造する。同社は1997年に日本のプレス機メーカーを買収してプレス機市場に参入、現在ではドイツのSchulerと日本のアイダエンジニアリングに次いで世界第3位のプレス機メーカーとなっている。(2017年2月25日付Mexico-Nowより)

日本電産サンキョーがメキシコに新工場を設立
-日本電産サンキョーがメキシコのSan Luis PotosiにあるColinas de San Luis Industrial Parkに15百万ドルを投資して新工場を設立すると報じられている。新工場建設地は、将来的に拡張を行うための十分なスペースがあるという。新工場は7月までに竣工し、8月には操業が開始される予定。2019年までに300名超の従業員を見込む。(2017年1月3日付 Mexico-Nowより)

設備の新設計画

(2016年03月31日現在)
事業所名 所在地 設備内容 投資予定総額
(百万円)
着手および完了年月
着手 完了
同社
生産技術研究所
京都府
相楽郡
基礎・応用研究施設 20,000 2016年12月 2018年
1月
日本電産(大連)有限公司 中国
遼寧省大連市
車載用製品製造設備 7,371 2017年
4月
2018年
3月
日本電産GPM(株) ドイツ
テューリンゲン州
車載用製品製造設備 6,346 2017年
4月
2018年
3月