日本電産 (株) 2014年3月期の動向

ハイライト

業績

(単位:百万円)
  2014年
3月期
2013年
3月期
増減率
(%)
要因
全社
売上高 875,109 709,270 23.4 -重点事業の車載および家電・商業・産業用事業が収益構造の大幅な拡大を牽引。
営業利益 85,068 17,598 383.4
日本電産
売上高 27,599 23,748 16.2 -ビジネスポートフォリオの転換と拡大を進めたことによる。
営業利益 4,865 (4,856) -
日本電産サンキョー
売上高 98,564 73,201 34.6 -
営業利益 10,392 4,181 148.6
日本電産トーソク
売上高 36,854 31,090 18.5 -新規顧客向け車載用製品の量産開始および対中国人民元で円安が進行したことによるもの。
営業利益 3,186 1,715 85.8
日本電産モータ
売上高 175,854 119,093 47.7 -
営業利益 9,314 723 1188.2 -売上の増加および新規連結子会社の増加の影響。
日本電産モーターズ アンド アクチュエーターズ
売上高 64,420 44,707 44.1 -電動パワーステアリング用モーターの新機種量産開始および対ドル・ユーロで円安が進行したことによるもの。
営業利益 5,334 3,447 54.7

事業方針

車載事業の売上高を現在の3倍超に
-2013年5月、同社は収益基盤の改善に向けて車載事業を重点事業と位置づけ、車載事業の売上高を現在の3倍超となる3千億円まで引き上げる計画を打ち出した。新製品の投入とM&Aを積極展開し、新規受注と既存納入先との取引拡大を図る狙いだ。今後、新たに参入する予定のアイドリングストップ車用スターターやオルタネーター、ワイパー用などの製品についても、モーター単体からECUとのセットやモジュール製品化することで付加価値を高めて、グローバルで採用拡大を目指す。(2013年5月1日付日刊自動車新聞より)

企業買収

ホンダエレシスを買収
-2014年3月、同社は、電子制御装置 (ECU) などを開発・生産しているホンダ子会社ホンダエレシスの保有株式を全株式取得し、日本電産エレシスを設立。742人の従業員全てを引き継ぐほか、本社や工場所在地も変更しない。日本電産傘下に入ることで、電子部品と機械部品の一体化など高機能化を図りやすくするほか、低コスト化につなげる。

三菱マテリアルシーエムアイを買収
-日本電産サンキョーは2013年9月、三菱マテリアルの小型モーター製造・販売子会社、三菱マテリアルシーエムアイの全株式を取得することで合意。三菱マテリアルシーエムアイは車載用の中径ステッピングモーターやリレーに強みがある。日本電産サンキョーは光ディスク、デジタルカメラ、ゲーム機用などの小型ステッピングモーターを手掛けており、買収によりバルブ駆動用などの車載用モーター事業に参入する。(2013年9月27日付日刊自動車新聞より)

受注

-2013年9月、日本電産トーソクは、ホンダの新型CVT (無段変速機) 用コントロールバルブの生産・供給を始めたと発表した。ホンダとの取引は全ての製品を通じて初めて。ベトナム工場から供給する。今回納入を始めた製品は、新型 「Fit」 に採用された。

-2013年7月、日本電産トーソクは、電動オイルポンプが富士重工業の 「Subaru XV Hybrid」 に搭載されたと発表。採用された電動オイルポンプは日本電産と共同開発したもので、ブラシレスモーターを採用して耐久性を高めるとともに、小型化した。電動オイルポンプを制御するインバーターを含めシステム全体を開発した。 (2013年7月27日付日刊自動車新聞より)

開発動向

研究開発費

(単位:百万円)
  2014年3月期 2013年3月期
全社 37,808 34,278
-日本電産 19,896 18,340
-日本電産サンキョー 3,919 4,297
-日本電産トーソク 831 1,065
-日本電産モータ 4,689 3,324
-日本電産モーターズ アンド アクチュエーターズ 1,491 1,118

研究開発体制

<日本電産>
-モータ全般の要素技術研究は、中央モーター基礎技術研究所、シンガポールモーター基礎技術研究所および台湾モーター基礎技術研究所が行っており、グローバル技術開発戦略の中核となる要素技術研究の一層の高度化を推進している。滋賀技術開発センターでは、HDD用を除く精密小型DCモーターおよびファンモーター、並びに自動車のパワーステアリング用をはじめとする各種車載用モーター等に関する新製品および新機種量産化、製品の品質向上を目的とした研究開発を行っている。このほか、大連技術開発センターにおいては、ブラシ付き・ブラシレスモーターの中国系OEMとTier1に対応する現地体制を整えた。部門内に実験グループがあり、車載用モーター開発における信頼性評価や検証試験の迅速な対応が可能となっている。

<日本電産トーソク>
-自動車部品に関する研究開発活動を日本電産トーソクの本社・技術開発センターにて行ってきた他、ベトナム製造子会社にも開発機能の一部を移管し、開発能力を拡充した。さらに中国市場向けの製品開発をより機動的に進めるため、中国開発拠点 (蘇州) の立ち上げ等を計画している。

研究開発活動

<日本電産>
-車載用モーターでは、先進国市場のほか、中国、インド、ブラジルといった新興国市場向け新製品の開発を強化。
-開発案件は以下の通り:
  • 小型・高性能次世代のパワーステアリング用モーターの開発
  • パワーステアリング以外のアプリケーション (シート、ブレーキ、サンルーフ等) 用のモーターおよび付帯するECU (電子制御ユニット) の開発
  • 油圧・電動システムに使用されるブラシレスモータ等の開発
  • モーターをセンサー、制御装置と組み合わせたパッケージ開発
<日本電産サンキョー>
-ステッピングモーターでは、車載への用途展開において、小型化、高性能化、コストパフォーマンスの向上を進めている。

<日本電産トーソク>
-コントロールバルブASSYの高機能化と高性能化、電磁弁技術を応用したディーゼルエンジン用燃料流量制御弁の開発、電子制御・モーター・インバーター技術分野の電動オイルポンプ等のハイブリッド車や電気自動車用の電動化対応製品の開発に取り組んでいる。

<日本電産モーターズ アンド アクチュエーターズ>
-ドイツ、スペインを中心に車載用モータの研究開発を行っている。
  • ドイツ: シート、サンルーフ用のより軽量でレアアース不要な小型モーターの商品化。また、日本電産と共同で既存製品に比べ高寿命化、小型化したABS用モーターの開発
  • スペイン: 従来よりエンジン冷却用の小型で軽量なブラシ付ファンモーターの開発のほか、ECUやインバーターを加えた高付加価値製品の開発
<その他>
-日本電産コパルは、車載用レンズの開発を強化していく方針。日本電産モータは、車両駆動用モーターとして、レアアースを使わないSRモータ技術をベースにエンコーダとのモジュール化を行ない、建機・農機など大型車両のハイブリッド化・電気化に向けた開発を行っている。

設備投資

主な設備投資額

(単位:百万円)
  2014年3月期 2013年3月期
全社 40,297 61,368
-日本電産 1,884 1,991
-日本電産サンキョー 3,712 4,777
-日本電産トーソク 9,432 5,814
-日本電産モータ 4,134 3,594
-日本電産モーターズ アンド アクチュエーターズ 3,019 1,845

海外投資

<メキシコ>
-2014年7月、日本電産トーソクはメキシコ・サンルイスポトシ州にCVT用および自動変速機用コントロールバルブを生産する子会社 「ニデックトーソク・メキシコ」 を設立したと発表した。2016年8月に稼働する。資本金は16億円。投資額は45億円、従業員数は800人を予定している。投資、人員ともに段階的に拡大し、第3期の段階で総投資額150億円、3,000人体制での生産を計画する。メキシコでは取引先のジヤトコがCVTの生産を拡大しているほか、「Fit」 向けで初受注したホンダも2015年後半からCVTを生産する。コントロールバルブの需要拡大を見込み現地での供給体制を整える。同社はベトナムでコントロールバルブを生産し、ジヤトコやホンダのCVT生産拠点に納入している。これまではメキシコ向けも取引先の拠点を経由してベトナムから供給していた。メキシコに生産拠点を構えることで現地調達ニーズに対応するとともに新規取引の拡大を目指す。

<米国>
-米国ミシガン州に車載用モーターの米市場統括拠点となる完全子会社「日本電産モータ・アメリカ」を2013年4月に設立。資本金は約4100万ドル (約38億円)。自動車生産が拡大する北米市場での拡販に向けて、生産・販売・開発の体制を強化し、受注拡大を目指す。(2013年3月29日付日刊自動車新聞より)

設備の新設計画

(2014年03月31日現在)
事業所名 所在地 設備内容 投資予定
総額
(百万円)
着手および完了年月
着手 完了
インド日本電産 インド
ラジャスタン州
精密小型モーター、家電・商業・産業用製品、車載用製品製造施設等 4,090 2014年5月 2015年3月