(株) パイオラックス 2018年3月期の動向

業績

(単位:百万円)
2018年
3月期
2017年
3月期
増減率
(%)
要因
売上高 67,876 64,275 5.6
営業利益 10,220 10,384 (1.6) -
経常利益 10,987 11,429 (3.9) -
親会社株主に帰属する当期純利益 8,126 8,003 1.5 -

要因

自動車関連等

ー米国をはじめ新興国市場等にグローバル拡販を積極的に推進し増収。一方利益面では材料費や労務費の高騰等による経費負担増により減益。
 

中期経営計画 (2019年3月期~2021年3月期)

ー北米・中国・ASEAN3極におけるバランスの良い収益構造構築や、地域・商品・顧客・事業の多角化を推進し、以下の目標達成を目指す。

  • 連結売上高:700億円(うち海外拠点、473億円)、海外比率68%
  • 連結営業利益:113億円、営業利益率16.1%
  • ROE12%

具体的な指標として、以下を提示

  • 地域構成⇒ 北米:ASEAN:中国:欧州=3:3:3:1
  • 商品構成比⇒ 燃料系・開閉機構商品:ファスナー・駆動系・ハーネス商品=3:7→4:6
  • 海外OEM向け販売比率15%(100億円)

>>>次年度業績予想 (売上、営業利益等)

 

事業方針

<北米>

ー増産・現地化生産に向け、18年度に新熱処理炉稼働

ーホースクランプ・金属ファスナー・燃料系部品び現地化推進

ジョージア州の工場に3基目の熱処理炉を2018年7月に新設し、金属部品の生産能力を増強する。北米での金属部品の需要が拡大しているのに加え、自動車メーカーの現地調達ニーズに対応する。19年度にはホースクランプと金属系部品の売上高で16年度比1・6倍以上となる1300万ドル (約14億5千万円) を目指す。投資額は建屋と熱処理炉、付帯設備などを含めて260万ドル (約3億円) の予定。 (2017年12月1日付日刊自動車新聞より)

-米国Big3・現代向け拡販を推進(以下現時点での状況)

  • GM:標準ラッチがグローバルに採用済
  • Ford:開閉機構部品を中心に受注拡大
  • FCA:2018年1月発売RAMトラック新規受注獲得

-FCAからグローブボックス用の開閉機構部品を初めて受注。ピックアップトラックなど複数車種での採用が決まっており、2018年から米国とメキシコのいずれかの工場から供給する予定。パイオラックスは北米では米国とメキシコそれぞれの生産拠点でロックを製造しており、FCA向けのロックもいずれかの工場から納入する。ロックはすでにゼネラル・モーターズ(GM)とフォード・モーターにも供給しており、18年以降は米ビッグスリー向けの販売量が拡大する見通しだ。パイオラックスは米国では日産自動車やホンダ、GM向けを中心に事業を展開している。(2017年10月13日付日刊自動車新聞より)

<中国>

ー2021年3月期売上高2018年3月期比+30%、営業利益率18%

ー販売体制強化のため、2018年度広州営業所新設を計画

ー中国環境規制に対応した燃料系部品の拡販推進、新エネルギー車への対応としてEV会社への拡販を推進

ー中国地場メーカー向けに拡販を推進。18年3月期比で約2.5倍まで拡大させる

<インド>

ー2021年度3月期売上高2018年3月期比+55%、営業利益率15%

ー2018年4月、北インド営業所(デリー)の移転・拡張

ーマルチスズキ・現代に加え、タタ・マヒンドラ・フォードへの拡販活動を行う。

 

製品動向

燃料系部品

ー現在国内すべてのカーメーカー、タンクメーカーとの取引があり、取引先の多角化・拡大に貢献。
今後は環境規制対応部品への取組み、海外拠点強化、2輪向けバルブへの参入、モジュール部品取組み強化等を中心に行う。

「2K部品」

ー欧米・中国で強まる燃料透過規制に対応し、2色成形することによって燃料透過防止機能を向上させた樹脂製燃料タンク向けバルブ。
2層構造のため燃料が透過しにくく、トヨタ「プラド」「サーフ」へ採用された。
2018年3月期富士工場にてライン増設。今後韓国を含め中国・米国拠点での生産拡大を計画している。

開閉機構部品

ー世界トップシェアを誇り、今後中国市場を中心にグローバル拡販展開予定。また新規部品スプリングクッション(以下)を積極展開する。

「スプリングクッション」

ーグローブボックス内に取り付ける、ゴム+樹脂+ばねを組み合わせた部品。
ゴムのへたりで生じる走行中のガタガタ音を回避。またボックスの操作性向上、ボックス変形の低減を改善。
全車種に適用可能。社内の静粛性要求が高まるEV・HEVへの展開を狙う。

ーダイハツ「ムーヴ」「キャスト」「イース」
トヨタ「C-HR」
ホンダ「CR-V」(北米)
SUBARU「インプレッサ」
Ford「LINCOLN NAVIGATOR」

以上の車種に搭載

EV対応

ー金属と樹脂の組み合わせを活用。日産「ノート」「セレナ」においては駆動系部品、精密部品カバーターミナルが採用された。

 

提携

ーファスニング製品を手がけるフランスのレイモンと提携することで合意したと発表。両社は主にグローバルで営業と技術支援、生産、販売で協力する。両社代表メンバーで構成する「ステアリングコミッティー」が具体的な提携内容について協議し、国・地域別で協力形態を決める。資本提携は行わない方針。(2017年11月6日付日刊自動車新聞より)

ー提携により今後は、ASEAN地域・ロシアでの協業、日産・ルノーへのPRなどに取組む計画。

 

研究開発費

(単位:百万円)
2018年3月期
全社 580
自動車関連 524

  

設備投資額

(単位:百万円)
2018年3月期
自動車関連 1,919

 

国内設備強化

横浜テクニカルセンター

ー横浜市保土ヶ谷区にある、設計・研究開発などを行う施設。2018年8月より移転を開始し、2022年に新テクニカルセンターとして稼働予定。投資総額は約35億円。 

真岡工場

ー栃木県真岡市において板ばね・クランプ・樹脂成形品・開閉機構部品の生産を行う。国内生産縮小の環境下で、競争力を高めるため。
投資総額は約40億円。