トヨタ紡織 (株) 2016年3月期の動向

2016年3月期の業績

(単位:百万円)
2016年
3月期
2015年
3月期
増減率 (%) 要因
全社
売上高 1,415,772 1,305,502 8.4 -アジア・オセアニア地域での生産台数の増加、為替の影響
営業利益 59,492 32,393 83.7 -減益要因:主要車種のモデルチェンジに伴う生産準備費用等、諸経費の増加など
-増益要因:増収の影響、合理化など
経常利益 56,123 41,091 36.6
親会社株主に帰属する当期純利益 3,900 5,204 (25.1)



製品別の事業本部制を導入

-2016年3月、製品別の事業本部制を導入する組織改正を4月1日付で実施すると発表した。従来は開発などの機能別に分かれた組織だったが、シートなど製品別に企画から開発、生産準備までを一貫して手がける体制に改める。製品軸組織として 「シート事業本部」 「内外装事業本部」 「ユニット部品事業本部」 を新設する。(2016年3月4日付日刊自動車新聞より)

シート骨格機構部品事業の取得

-2015年5月13日、同社とアイシン精機シロキ工業は、シート骨格機構部品の事業譲渡契約を締結。事業譲渡は同年11月に実施。アイシン精機、シロキ工業が保有するトヨタおよび同社向けのシート骨格を構成するリクライナーやスライドレールなどの機構部品事業を取得。

欧州事業の再編

-2016年3月31日、欧州でトヨタ向け以外の内装事業を売却すると発表した。欧州の生産・販売子会社の3社と、欧州統括会社にある内装品の開発機能などをMegatech Industries AG (リヒテンシュタイン公国 Vaduz市) に売却する。また、Megatechと合弁会社を設立し、天然繊維同時成型技術を活用したドアトリム事業を継続する。今回の事業再編に伴い、2016年3月期連結決算で約1億7,200万ユーロ (約227億円) を特別損失に計上する。

  • 株式譲渡: Boshoku Automotive Europe GmbH (ドイツ Geretsried市)、Boshoku Automotive Poland Sp. z o.o.、Boshoku Automotive Czech, s.r.o. の連結子会社3社の全株式を譲渡。
  • 一部事業譲渡: Toyota Boshoku Europe N.V. (ベルギー Zaventem市) のドイツ Munich支店の事業のうち、自動車シート事業を除く内装事業の統括、開発機能などを譲渡。
  • 合弁会社設立: 2016年6月、内装事業のうち独自開発生産技術である 「天然繊維同時成形技術」 を活用したドアトリム事業について、Megatechと折半出資の合弁会社 「Megatech Boshoku Europe s.r.o」 (チェコ Plzen州) を設立する契約を締結。

受注

新型 「Prius」 搭載シート
-Toyota New Global Architecture (TNGA) の思想に基づいた新しいシート標準骨格を開発し、新型 「Prius」 に搭載。

表皮一体発泡工法シート
-表皮一体発泡工法を用いたシートがレクサス 「GS F」 に採用された。このシートはレクサス 「IS F SPORT」、「RC F」、トヨタ 「MIRAI」 など、順次採用車種を拡大している。

ロイヤルラウンジシート
-トヨタモデリスタインターナショナルが発売する 「Alphard」 ベースのコンプリートカー 「Royal Lounge/Royal Lounge SP」向けの高級シートを受注した。マッサージ機能や収納可能な簡易テーブル、読書灯などを装備した最上級シートで、「極上のもてなし空間を提供する」 という同モデルのコンセプトに対応した。(2015年11月16日付日刊自動車新聞より)

ウォッシャブルカバーシート
-2015年7月、取り外して丸洗いできるシートカバー 「ウォッシャブルカバーシート」 を開発し、トヨタ自動車の 「Porte」 の特別仕様車 「F“a la mode Trois」 と 「Spade」 の特別仕様車 「F“Queen」 に採用されたと発表した。(2015年7月30日付日刊自動車新聞より)

研究開発費

(単位:百万円)
2016年3月期 2015年3月期 2014年3月期
全社 38,450 38,821 40,189



研究開発拠点

地域 所在地
日本 -猿投開発センター (愛知県豊田市)
-大口開発センター (愛知県丹羽郡)
-刈谷開発センター (愛知県刈谷市)
-多治見技術センター (岐阜県多治見市)
北中南米 米国ミシガン州 (テクニカルセンター)
米国カリフォルニア州 (シリコンバレーオフィス)
中国 上海 (R&Dセンター)
アジア・オセアニア タイ バンコク (R&Dセンター)
欧州・アフリカ イタリア ミラノ (デザインスタジオ)


<米国>
-2016年3月、米カリフォルニア州サンノゼ市に自動運転など先進技術の情報調査や分析を行う 「シリコンバレーオフィス」 を4月1日付で開設すると発表した。新オフィスは米国法人の研究開発組織の傘下に置く。日本の基礎研究所などとも連携し、グループで次世代技術の開発を強化する。人員は3人で日本から2人、欧州の統括拠点から1人を派遣する。(2016年3月25日付日刊自動車新聞より)

<中国>
-2015年11月、中国本社・R&Dセンターは移転先の上海自由貿易試験区で新社屋の開業式を行った。新社屋の敷地面積は1.87万平方メートル。新しいR&Dセンターは同社が世界各国に有する5大R&Dセンターの一つ。現在200名近い開発要員が自動車シート、内装トリム、フィルター、エンジン部品などの開発にあたっている。(2015年11月25日付け各種リリースより)

<日本>
-多治見技術センター・テストコース: 2015年4月運用開始。敷地面積 約36万平方メートル、テストコース面積 約14万平方メートル。周回路 全長1,800m、うち直線670m。

研究開発活動

速涼シート
-夏の炎天下におけるシートをエアコンの冷風を活用して即時に冷やす「速涼シート」などの新製品を開発。

高性能小型オイルミストセパレーター
-ブローバイガスからエンジンオイルを取り除く 「オイルミストセパレーター」 の訴求活動を強化する。同社のセパレーターは高性能フィルターを採用した方式でオイルミストの捕集性能を高めた。現在はオイルミストの粒子が細かいディーゼルエンジン (DE) 用が主体となるが、ガソリンエンジン (GE) への適用も視野に入れた開発を進め、ニーズが高まる内燃機関車の環境性能の向上に対応する。また、セパレーター単体だけでなく、エンジンヘッドカバー一体型まで用意して自動車メーカーのニーズに合わせた製品供給を実現して採用拡大につなげる。(2015年7月4日付日刊自動車新聞より)

設備投資額

(単位:百万円)
2016年3月期 2015年3月期 2014年3月期
全社 36,898 50,190 51,116


-新製品対応、生産設備の合理化・更新などの投資を重点に実施。

  • 日本: 15,141百万円
  • 北中南米: 5,149百万円
  • 欧州・アフリカ: 4,300百万円
  • アジア・オセアニア: 12,307百万円、瀋陽豊田紡織汽車部件における生産準備など

設備の新設

(2016年3月31日現在)
会社名/事業所名 所在地 設備の内容 投資予定
総額
(百万円)
着手 完了予定
猿投工場 愛知県
豊田市
シート、ドアトリムの新製品対応、設備の維持更新 6,932 2016年
4月
2017年
3月
刈谷工場 愛知県
刈谷市
エアフィルター等の新製品対応、設備の維持更新 2,972 2016年
4月
2017年
3月

2017年3月期の見通し

(単位:百万円)
2017年3月期
(予想)
2016年3月期
(実績)
増減率 (%) 要因
全社
売上高 1,330,000 1,415,772 (6.1) -為替の影響に加え、先行費用等の諸経費増加などにより減収減益を予測。
営業利益 52,500 59,492 (11.8)
経常利益 52,500 56,123 (6.5)
親会社株主に帰属する当期純利益 29,000 3,900 643.5

>>>次年度業績予想(売上、営業利益等)

-シート生産台数は、2017年3月期予想が738万台 (前年比4.1%増)、2016年3月期実績が709万台。

-2017年3月期までは足許の体質強化に向けた投資を最優先。