トヨタ紡織 (株) 2011年3月期の動向

ハイライト

業績

(単位:百万円)
  2011年
3月期
2010年
3月期
増減率 (%) 要因
全社
売上高 983,727 953,729 3.1 1)
営業利益 36,856 25,143 46.6 -
経常利益 36,027 24,067 49.7 -
当期純利益 11,466 6,882 66.6 -
*2011年3月期より事業の種類別セグメント情報の記載は、自動車部品の割合が90%を超えているため、記載が省略されている。

要因
1)
<日本>
-エコカー補助金制度終了による生産の落ち込みや東日本大震災の影響による稼働停止などにより、売上高は、前連結会計年度に比べ 24,662百万円(4.5%)減少の528,937百万円となった。営業利益(損失)は、収益構造改革活動の成果などがあったものの、売上減少による利益減少などにより、前連結会計年度に比べ1,388百万円(16.9%)減少の6,812百万円となった。 

<北中南米>
-前年度に立上げた米国のハイランダー、シエナ、メキシコのキャデラックSRXの新車立上げによる増産効果などで売上高は、前年度に比べ 10,818百万円(6.6%)増加の175,168百万円となった。営業利益(損失)は、前年度に比べ6,707百万円増加の5,700 百万円の損失。

<アジア・オセアニア>
-前年度に立上げた中国・天津のRAV4や広州のハイランダーの新車立上げ、タイのIMVの増産効果などにより、売上高は、41,253百万円(19.3%)増加の 255,243百万円となった。営業利益(損失)は、増産効果や収益構造改革活動の成果などにより、前年度比8,188百万円(29.6%)増加の35,845百万円の増収。

<欧州・アフリカ>
南アフリカのIMVの増産効果などで、売上高は前年度比2,587百万円(11.9%)増の24,377百万円。営業利益(損失)は、トヨタ紡織ソマン株式会社およびTBAIポーランド有限責任会社の生産準備費用の影響などで前年度比598百万円(前年度は314百万円の営業損失)減少の912百万円の損失。

合弁事業

-トヨタ紡織とアイシン精機は、ブラジルのサンパウロ州ソロカバ市で内装部品とエンジン吸気系部品を合弁で生産すると決定。生産を担当するのは、 2007年に設立したToyota Boshoku do Brasil Ltda(TBDB)。出資比率はトヨタ紡織80%、アイシン精機20%。両社はTBDBに対して段階的に約25億円増資し、会社形態を生産会社に変更することで事業運営を行う。トヨタのブラジル新工場で生産予定の新開発小型車向けにシート、ドアトリム、エアクリーナーを供給する計画。立ち上げ時の生産能 力は年間7万台分を予定している。トヨタ紡織とアイシン精機は、シートフレーム部品の共同開発・生産で協力関係にある。TBDBは中国の広州、天津、ポーランドに続く4番目の合弁会社。(2010年8月5日付プレスリリースより)

-豊田紡織(中国)有限公司と長春一汽富維汽車零部件股份有限公司は、2010年8月に吉林省長春市に自動車内装部品を生産する合弁会社を設立。新会社 の名称は「長春富維豊田紡織汽車飾件有限公司」で、豊田紡織(中国)が60%、長春一汽富維が40%を出資する。投資額は総額183百万中国元(約 1,757百万円)。2012年前半から「Corolla」向けシート、ドアトリム、カーペット、ラゲージトリムなどを生産し、四川一汽トヨタの長春新工場に納入する計画。年産能力は10万台分を見込んでいる。トヨタ紡織グループと一汽富維の合弁会社は、天津英泰汽車飾件有限公司に続き2社目となる。な お、天津英泰の長春分工場は「Land Cruiser」用シートを製造し、同じく長春に位置する四川一汽トヨタの現有工場に納入している。(2010年7月30日付プレスリリースより)

>>>次年度業績予想(売上、営業利益等)

2012年3月期の見通し

(単位:百万円)
  2012年3月期 2011年3月期 増減
売上高 930,000 983,727 (53,727)
営業利益 26,000 36,856 (10,856)
経常利益 28,000 36,027 (8,027)
当期純利益 11,000 11,466 (466)

開発動向

研究開発費

(単位:百万円)
  2011年3月期 2010年3月期 2009年3月期
全社 32,434
30,021 28,968

研究開発体制

-愛知県豊田市に「猿投開発センター2号館」を開設、内装システムの開発機能を集約・強化する。これまでは各生産拠点などに分散していた生産技術や生産管理などの機能も含めて猿投工場内に集約することで、企画から生産までの連携を高める。同センターは延べ床面積が約4万4000平方メートル、地上7 階・地下1階建て。投資額は約90億円で、収容する人員は2200人。(2010年5月12日付日刊自動車新聞より)

研究開発活動

-内装事業分野では、環境に優しく軽量のケナフ製デッキボードが2010年11月発売の新型「トヨタ ラクティス」と2010年12月発売の新型「トヨタ ヴィッツ」に採用。さらに、新型「トヨタ ラクティス」のデッキボードには、片手でデッキボード高さ調整ができるアジャスタブル機構も採用されている。また、アクティブヘッドレスト無しで鞭打ち低減に対応できる改良型のシート骨格は新型「トヨタ ラクティス」以降のトヨタ新型車に順次採用される予定。

-フィルター・パワートレイン機器部品事業分野では、ダイハツ工業株式会社と共同開発した、部品点数の削減、構造の簡素化を実現したアルミダイカスト製OCV(Oil Control Valve)ホルダ一体成形タイプの樹脂製ヘッドカバーが新型「トヨタ ラクティス」、新型「トヨタ ヴィッツ」に採用。

-繊維事業分野では、軽量で製造工程での裁断ロスを低減した袋織り+縫製ハイブリッドカーテンエアバッグが、2011年1月発売の新型「スズキ MRワゴン」に採用され、順次トヨタ新型車に採用される予定。

製品開発

内装コンセプト
-新しい内装コンセプト「T-BOP(ティー・ボップ)」を発表。ティー・ボップは、ユニバーサルデザインの視点から発想したコンセプトで、U字型の シート骨格を採用することによって、さまざまなシートアレンジを可能にする。前後のシートは床面のレールに沿ってスライドし、どの位置でも固定が出来るだ けでなく、助手席シートは前方に倒すことによって対面式のチャイルドシートとすることが可能。また、前席シートの背もたれを外すと前席が後席のフットレストになる。このほか、薄型パッドと表皮を組み合わせたものをジッパーでシートに取り付けることにより、シートファブリックを自由に取り換えることが出来る システムなども開発した。同社ではこの夏までにティー・ボップの開発を完了しており、現在はフレーム関係の特許を出願するとともに、安全基準への適合など を進めている。2、3年後の採用を目指す。(2010年11月2日付日刊自動車新聞より)

軽量シート
-シート背面の発泡ウレタンを伸縮性のあるネットに置き換えた軽量シートを開発。シート重量が同社従来比10%軽減、背面薄型化により後部席のひざ前空間が30mm拡大する。また背面の通気性が格段に向上したことで、夏場の炎天下に駐車した車両に乗り込む際には、冷房時間が短時間で済むメリットもある。空調機器の電力消費が航続距離に影響を及ぼす電気自動車に有効として採用を促す。 (2010年5月20日付日刊自動車新聞より)

設備投資

設備投資額

(単位:百万円)
  2011年3月期 2010年3月期 2009年3月期
全社 41,229
43,076 60,496

-新製品への対応、生産設備の合理化・更新などの投資を重点に、総額41,229百万円を実施。

<日本>
-新製品対応、生産設備の合理化・更新、猿投開発センター2号館の建設などに23,266百万円の投資を行った。

<北中南米>
-新製品対応、生産設備の合理化・更新などに3,401百万円を投資。

<アジア・オセアニア>
-新製品対応、生産設備の合理化・更新などに10,314百万円の投資を行った。

<欧州・アフリカ>
-トヨタ紡織ソマン株式会社及びTBAIポーランド有限責任会社の生産準備などに4,247百万円の投資を行った。

海外投資

-米ミシシッピ州に新設したシートなどの内装部品工場の生産を2011年秋から開始。トヨタ自動車が米国ミシシッピ工場で生産する「カロー ラ」用のシート、ドアトリムを年間15万台生産する。同社は07年に生産会社を設立していた。しかし、トヨタが車両生産を延期したのを受け生産開始を見 送っていた。今回トヨタがミシシッピでの車両生産を決定したことから生産準備を再開することにした。トヨタ紡織は、トヨタがミシシッピ州にトヨタ・モー ター・マニュファクチャリング・ミシシッピ(TMMS)を立ち上げるのを受けて、07年にトヨタ紡織ミシシッピ(TBMS)を設立した。しかし、トヨタが TMMSの生産計画を一時凍結したのを受けて立ち上げ準備をストップしていた。TBMSはトヨタ紡織アメリカの全額出資で設立。資本金は4,900万ドル (約40億円)、敷地面積は約16万平方メートルで従業員数は約250人。(2010年12月7日付日刊自動車新聞より)

-中国四川省成都市にある内装品生産子会社、成都豊田紡汽部件有限公司を同市内の経済技術開発区に移転、合わせて生産能力を増強したと発表した。トヨタ自動 車の現地拠点である四川一汽トヨタ自動車の移転に伴う措置で、トヨタ工場の隣接地に移転して操業を始めた。成都豊田紡汽部件は1999年の設立。現在の資 本金1566万米ドルのうち、トヨタ紡織の出資比率は53%。(2010年5月20日付日刊自動車新聞より)

設備の新設

(2011年3月31日現在)

会社名
事業所名
所在地 設備の内容 投資予定
総額
(百万円)
着手 完了予定
猿投工場 愛知県
豊田市
シート、ドアトリムの新製品対応、設備の維持更新 7,908 2011年
4月
2012年
3月
刈谷工場 愛知県
刈谷市
エアフィルター等の新製品対応、設備の維持更新 2,786 2011年
4月
2012年
3月
トヨタ紡織東北(株) 岩手県
北上市
シート、ドアトリムの新製品対応 2,160 2011年
4月
2012年
3月
トヨタ紡織ブラジル
[Toyota Boshoku Do Brasil Ltda.]
ブラジル ソロカバ市 新工場の建設、シート等の新製品対応 3,125 2011年
1月
2012年
12月