トヨタ紡織株式会社 2007年度の動向

ハイライト

業績
(単位:百万円) 2008年
3月期
2007年
3月期
増減率 要因
全社
売上高 1,233,789 1,082,755 13.9% シート、ドアトリムなどの増産。
経常利益 13,553 52,143 26.0% 製品価格の変動、労務費の増加や為替の影響などの減益要因はあったものの、増産増収の効果、グループあげての合理化などにより増益。
当期純利益 40,720 30,105 35.3% 中国子会社において特別利益として過年度仕入修正益を計上し増益。
自動車部品事業
売上高 1,229,748 1,078,714 14.0% 内装品におけるシート、トリムなどの増産や、フィルター・パワートレイン部品におけるエアフィルター等の増産などにより増収。

地域別業績

<日本>
ヴォクシー・ノア、ランクル200などの新車効果や、株式会社コベルクの新規子会社化に加え、トヨタ紡織滋賀株式会社の立上げなど生産基盤の拡大を行なった結果、売上高は718,287百万円と前年度比62,801百万円(9.6%)の増収。

<北中南米>
GM向けエアフィルターの新規受注、インテークマニホールド生産能力の増強や製品構成差などにより、売上高は233,474百万円と対前年度比3,226百万円(1.4%)の増収。

<アジア>
中国・広州で前期立上がったカムリや中国・佛山で前期立上がったオイルフィルターが売上に通期寄与したことに加え、中国・天津のカローラの新規立上げ、トヨタ紡織ゲートウェイ(タイランド)株式会社の新規子会社化など、生産基盤を拡大した結果、売上高は212,228百万円と対前年度比66,233百万円(45.4%)の増収。

<その他>
オーストラリアで前期立上がったカムリや前期操業開始した南アフリカ、フランスの子会社の通期寄与、南アフリカのカローラの新規立上げなどにより、売上高は69,798百万円と対前年度比18,772百万円(36.8%)の増収。


受注

- 本革張りインストルメントパネルが、レクサスLS600hに初めて採用。

- ワンタッチスペースアップシートが、トヨタのヴォクシー・ノアに採用。

- 大型天井イルミネーションが、トヨタのマークXジオに採用。

会社設立

<米国>
- 2007年9月、米国ミシシッピ州フルトン市にシート、ドアトリムなど内装品の生産子会社Toyota Boshoku Mississippi, LLC.を設立した。

- 2007年11月、米国インディアナ州プリンストン市にシートフレームなどの生産子会社Toyota Boshoku Indiana, LLC.を設立。

<トルコ>
- 2007年7月、トルコの自動車用シート、内装部品の生産拠点、Toyota Boshoku Turkiye Otomotiv Sanayi Ve Ticaret A.S.(アダパザル市)の第2工場を開所。(2007年7月5日付日刊自動車新聞より)


>>> 詳細は設備投資 参照


国内動向

生産体制再編・強化

- 2007年6月、関東自動車工業の持ち分法適用子会社である関東シート製作所(岩手県北上市)に資本参加すると発表した。シート大手のタチエスや個人株主などの持ち分を買い取り、第2位株主となる。トヨタ自動車の増産に対応、シート及び内装システム事業の調達ネットワークを強化する。(2007年6月26日付日刊自動車新聞より)

- 2007年12月、 宮城県内で2010年をめどに、自動車用シートを生産する新工場を稼働させる方向で検討を始めた。トヨタ車を生産するセントラル自動車が同県への移転を決めたことを受け、シートの組み立てを行う新工場を近隣に構える。(2007年12月26日付日刊自動車新聞より)

>>> 詳細は設備投資 参照

- 2007年12月、自動車用シートを生産する関連会社、コベルク(愛知県刈谷市)を子会社化すると発表した。子会社化により協力関係を深め、内装システムサプライヤー事業の強化につなげる。コベルクが実施する5千株の第三者割当増資を、同社が12月28日付で全株を引き受ける。これにより、同社のコベルクに対する出資比率は40%から52%に高まり、同社の子会社となる。(2007年12月20日付日刊自動車新聞より)

海外動向

ロシアでのシート生産開始

- 2007年12月、ロシアの子会社、トヨタ紡織ロシア(TBR)が自動車用シートの生産を開始し、トヨタ自動車のロシア工場、トヨタモーターマニュファクチャリングロシア(TMMR)への納入を開始したと発表した。TBRは06年4月にトヨタ紡織が95%、豊田通商が5%を出資し設立した。TMMRの工場内で「カムリ」用シートを年間2万台分生産する。(2007年12月25日付日刊自動車新聞より)

生産体制再編・強化

<北米>
- 2007年4月、北米地域の事業体制を再編成すると発表した。2007年8月に北米統括会社、トヨタ紡織アメリカ(TBA、ミシガン州)の本社をケンタッキー州アーランガー市に移転し、経営管理、生産管理の効率化や、グループ会社及び主要納入先であるトヨタ自動車との連携強化に結びつける。同時に、2拠点に分散していた開発機能をTBAノバイ事務所(ミシガン州)に統合する。これに合わせてエンジニアを増員して開発基盤を拡充、競争力を高める。(2007年4月11日付日刊自動車新聞より)

- 2007年12月、メキシコで内装部品の生産を行う子会社2社を2008年1月1日付で合併させると発表した。同国の事業拡大に向けて経営統括機能を強化させるのが狙い。今回合併するのは、トヨタ紡織モンテレー(TBMO)とアラコ・デ・メキシコの2社。TBMOを存続会社として合併させて社名を「TBメキシコ」に変更する。新会社は、資本金が2008万8千ペソ(約2億2千万円)、出資比率はトヨタ紡織アメリカが98%、豊田通商が2%。TBMOはトヨタ自動車の「シエナ」のシートカバーを生産。06年12月期の売上高は1億6700万ペソ(約18億円)。一方、アラコ・デ・メキシコは米ゼネラルモーターズ(GM)の「シボレーHHR」「タホ」「GMCユーコン」向けのシートを生産。売上高は12億9千万ペソ(約142億円)。(2007年12月26日付日刊自動車新聞より)

<アジア>
- 2007年7月、ASEAN地域における自動車シートや内装部品の生産体制強化を目的に、日本発条(ニッパツ)とのタイ合弁会社を子会社化すると発表した。2007年8月1日までにニッパツグループの保有する株式をすべて取得する。同社とニッパツグループは、1997年に合弁でタイ・オートモーティブ・シーティング・アンド・インテリア(チャチュンサオ県)を設立、自動車シートやドアトリムなどを生産、販売事業を展開してきた。2006年度(12月期)の売上高は約120億円だった。ニッパツグループからの株式取得後は、社名をトヨタ紡織ゲートウェイ(タイランド)に変更する。(2007年7月3日付日刊自動車新聞より)

- 2007年10月、中国統括会社「豊田紡織(上海)有限公司」を、12月に商業型会社から投資性会社へ、会社形態を変更すると発表した。同時に社名も「トヨタ紡織(中国)有限公司」に変更する。現地生産会社を統括する機能を強化し、中国事業の拡大に合わせ、事業体制の最適化を進める。会社形態の移行にともない3千万米ドル(約34億5千万円)を増資し、資本金を3200万米ドルにする。シート、内装品の開発、設計、販売業務を継続しながら、中国地域の統括業務を強化する。売上高は09年に36億円を見込む。(2007年10月30日付日刊自動車新聞より)

事業計画
- 2010年度の経営目標を上方修正すると発表した。売上高は従来目標より1千億円多い1兆4千億円に設定した。また、経常利益は700億円を目標とし、経常利益率5%の達成を引き続き目指す。10年はトヨタ車の海外での生産拡大に対応し、北米、アジアでシートなど主力製品の生産が増える見込み。(2007年11月9日付日刊自動車新聞より)

開発動向

研究開発費用
研究開発費の金額は31,717百万円

研究開発体制
2007年6月、先行開発を行う部署を集約し、先端技術開発センター(バイオ技術開発部、先行開発部、研究開発室)を新設し、次世代の新技術・新製品を開発する体制を構築。

2007年5月、愛知県豊田市の猿投工場内に新技術棟「猿投技術棟」(仮称)を建設し、2009年6月から稼働すると発表。シート、ドアトリム、天井など内装部品の開発機能を集約し、内装システムサプライヤーとしての機能強化を図る。地上7階建て、地下1階建て、延べ床面積3万8千平方メートルの建屋を建設する。着工は2008年1月の予定で、投資額は約72億円となる見込み。約2千人を収容する。同社の内装部品開発拠点はこれまで、猿投工場、藤岡工場(豊田市)、大口工場(愛知県大口町)の愛知県内3カ所に分かれていた。新技術棟の建設により、設計から生産技術までの開発の各工程を集約する。また、乗り心地評価や安全実験設備も充実させ、付加価値の高い内装システムを開発する。(2007年5月22日付日刊自動車新聞より)

研究開発活動(2008年3月期)

<内装システムサプライヤー事業>
- レクサスLS600hに、本革張りインストルメントパネルを開発し、レクサスLS600hに採用された。
- ワンタッチでサードシートの折りたたみから跳ね上げまでを可能にしたワンタッチスペースアップシートを開発し、ヴォクシー・ノアに採用された。
- LEDの光を天井に反射させ間接光として室内を照らす大型天井イルミネーションを開発し、マークXジオは採用された。
- 世界で初めて抗ダニアレルゲン加工シート表皮を開発し、クラウンに搭載された。 

- 2007年11月、ケナフを使った射出成形部品を開発し、2009年にも製品化する。ポリプロピレン(PP)にケナフを60%混合することで強度を高め、従来の樹脂部品よりも、薄肉化・軽量化を可能にした。同社は、タイヤカバーやドアトリム基材など、ケナフを使ったプレス成形品を製品化しているが、射出成形材料での利用は初めてとなる。同社は、カーボンニュートラルの考え方に基づき、内装部品の全植物化を進める。6月には「バイオ技術開発部」を組織し、本格的に開発体制を整えた。ケナフのほか、さとうきび、とうもろこし、大豆油といったバイオマスを利用し、カーペット、トリム基材、天井表皮、シートファブリック、シートパッドなどで植物化を積極的に進める。(2007年11月8日付日刊自動車新聞より)

<フィルタ・パワートレイン機器事業>
- エンジン吸気系では、エンジンの高効率化や小型・軽量化に対応した吸気システム製品を開発。
- エンジン潤滑系では環境負荷を大幅に低減したエレメント交換型オイルフィルターを開発。
- 車室内空調系では高性能除塵脱臭フィルターや高性能花粉除去フィルターなどを開発。

<外装品他の事業>
- 環境に配慮した無溶剤系の材料を用いて開発した大型カーテンシールドエアバッグ用袋体を開発。横転事故にも対応できる長時間内圧保持が可能なシリコンコーティングを施したもので、北米向けハイランダー(日本名:クルーガー)に採用された。

設備投資

設備投資額
製造設備の新設および新製品対応などに総額52,961百万円を実施。

- 内装品では、シート・ドアトリムなどの新製品対応、北中南米・中国での増産対応などに42,948百万円の投資を行った。
- フィルター・パワートレイン部品では、エアフィルター・オイルフィルターの新製品対応などに5,120百万円の投資を行った。
- 繊維・外装品他では、バンパー・フェンダーライナーの新製品対応などに4,893百万円の投資を行った。

国内投資


- 2007年12月、宮城県内で2010年をめどに、自動車用シートを生産する新工場を稼働させる方向で検討を始めた。トヨタ車を生産するセントラル自動車が同県への移転を決めたことを受け、シートの組み立てを行う新工場を近隣に構える。新工場は、同社が38.3%を出資する内装部品メーカー、関東シート製作所(岩手県北上市)に運営を委託する方向で検討する。セントラル自動車が宮城で車両生産を開始する10年までに建設し、シートの組み立てを開始する。(2007年12月26日付日刊自動車新聞より)

海外投資

<北米>
- 2007年8月、米ミシシッピ州に内装品の生産会社「トヨタ紡織ミシシッピ」を設立すると発表した。トヨタ自動車がミシシッピ新工場で生産する「ハイランダー」用に、2010年ごろからシート、ドアトリム、フロアカーペットを生産する。同社はハイランダー用の内装品を開発し、国内ではトヨタ自動車九州に供給している。今回、ミシシッピで生産するハイランダーでもシート、ドアトリム、フロアカーペットの全量を受注した。年間15万台分を生産し、フル操業時の売上高は年間250-260億円を見込んでいる。(2007年8月30日付日刊自動車新聞より)

- 2007年10月、米インディアナ州プリンストン市に、シート用部品を生産する新会社「トヨタ紡織インディアナ」を設立すると発表した。トヨタ自動車がインディアナ工場で生産している「シエナ」用のシートフレーム、シートウレタンを生産する。新会社は、北米統括会社のトヨタ紡織アメリカ(TBA、ケンタッキー州)の全額出資会社として11月に設立する。9万8千平方メートルの用地に、1万9千平方メートルの工場を建設する。2010年の稼働を予定しており、年間17万台分を生産する。総投資額は5700万米ドル(約66億円)で、230人を雇用する予定としている。(2007年10月17日付日刊自動車新聞より)

<欧州>
- 2007年7月、トルコの自動車用シート、内装部品の生産拠点、トヨタ紡織トルコ(アダパザル市)の第2工場開所式を行ったと発表した。同工場は、欧州・トルコ地域では、同社として初めてのシート用骨格部品の工場で、2007年1月から生産を開始していた。2009年に売上高約42億円を計画し、従業員は同年に約540人とする。第2工場は、これまで日本などから輸出していたシート用骨格部品を現地生産化するために建設した。シートフレームや機能部品を生産し、約700メートル離れた第1工場のほか、南アフリカのシート生産拠点、トヨタ紡織南アフリカへの供給を開始している。(2007年7月5日付日刊自動車新聞より)

設備投資計画
- 2008年度から10年度までについては、年間500億円を超える設備投資を継続すると発表。海外での工場増設や国内での技術棟、研修センターなどの建設が進むためで、07年度を含めた4年間の設備投資額は、総額2600億円に上る計画。海外での供給力増強に加え、国内ではグローバルな競争力確保に向けた製品開発力、人材育成の基盤を構築する。同社は、07年度の設備投資額として、前期比28%増の610億円を計画している。4-12月期までに、5割強の337億円を実施した。08年度以降も高水準の設備投資が続く見込み。10年度までの総投資額の内訳は、国内と海外でほぼ半々となる。(2008年2月22日付日刊自動車新聞より)


設備の新設 (単位:百万円)
会社名
事業所名
所在地 設備の内容 投資予定
総額
着手 完了
予定
猿投工場 愛知県
豊田市
シート、ドアトリムの新製品対応、設備の維持更新 8,970 2008.04 2009.03
刈谷工場 愛知県
刈谷市
エアフィルター等の新製品対応、設備の維持更新 5,414 2008.04 2009.03
豊橋南工場 愛知県
豊橋市
ドアトリム、フロアカーペットの新製品対応、設備の維持更新 2,579 2008.04 2009.03
高岡工場 愛知県
豊田市
シート、ドアトリムの新製品対応、設備の維持更新 2,238 2008.04 2009.03
大口工場 愛知県
丹羽郡
大口町
成形天井、サイレンサー等の新製品対応、設備の維持更新 2,181 2008.04 2009.03
岐阜工場 岐阜県
岐阜市
バンパーの新製品対応、設備の維持更新 2,093 2008.04 2009.03
豊橋北工場 愛知県
豊橋市
シートの新製品対応、設備の維持更新 1,572 2008.04 2009.03
御殿場工場 静岡県
御殿場市
シートの新製品対応、設備の維持更新 1,120 2008.04 2009.03
Toyota Boshoku Mississippi, LLC. 米国
ミシシッピ州
シート、ドアトリムの新製品対応 8,200 2008.04 2009.03
Toyota Boshoku Indiana, LLC. 米国
インディアナ州
シートフレームの新製品対応 5,303 2008.04 2009.03