古河電気工業 (株) 2019年3月期の動向

業績

(単位:百万円)
2019年
3月期
2018年
3月期
増減率
(%)
要因
全社
売上高 991,590 967,333 2.5 -自動車部品事業におけるワイヤーハーネス売上の好調
営業利益 40,842 44,804 (8.8) -情報通信ソリューション事業における北米における光ファイバ-・ケーブルの需要回復の遅れ
経常利益 39,078 46,908 (16.7) -
親会社株主に帰属する当期純利益 29,108 28,547 2.0 -

 

中期経営計画「Furukawa G Plan 2020」(2016年策定)

-自動車分野を重点領域と位置づけ、強化に引き続き取り組む。具体的には、アルミワイヤーハーネスやアルミ防食端子等により、電動化・自動運転化の進展による軽量化の需要を取り込むだけでなく、周辺監視レーダーなどの開発も加速する。
-2020年度の各種財務目標値は、連結営業利益550億円以上、親会社株主に帰属する当期純利益300億円以上、ROE10%以上。

 

事業計画

-メディア向け事業説明会で、先進運転支援システム(ADAS)用レーダーなどの車載部品の強化を加速させる方針を明らかにした。ワイヤーハーネスと車載部品などで構成する「自動車部品事業」の営業利益に占める車載部品の比率を、2025年度までに17年度実績の36%から50%へ引き上げる。レーダーやバッテリーの状態検知センサーで非日系メーカーの新規案件獲得に力を入れる。車載レーダーでは、すでに量産化している後側方検知レーダーに加え、新たにパルス式の前側方検知用を開発し、2223年ごろに量産化する。これにより、レーダー全体の生産個数を25年度までに17年度比で約6倍に増やす。このほか、48ボルトハイブリッドシステムを見据えた電源部品や高機能車載照明などを開発し、車載部品の強化を図る。一方、ワイヤーハーネス事業でもフィリピン工場の敷地面積を2倍に拡大するとともに、検査などの工程を自動化し、生産性を高める。(201876日付日刊自動車新聞より)

 

買収

-2018年11月21日、同社子会社と自動車部品メーカー・印スパークミンダグループとの合弁会社であるミンダフルカワエレクトリックの経営権を取得すると発表した。出資比率を49%から75%に引き上げる。これにともなって社名を「フルカワミンダエレクトリック」に変更する。ミンダフルカワは、2007年に設立。インドの日系自動車メーカー向けにワイヤーハーネスや自動車部品を供給してきた。古河電工は、経営権を取得し、品質やコスト、納期順守、開発能力、運営管理などの改善に取り組む。(2018年11月22日付日刊自動車新聞より)

 

国内事業

-車載用パワー半導体の基板などに用いられる無酸素銅条「GOFC」を増産すると発表した。2019年をめどに月間生産量を20トンに引き上げたい考え。無酸素銅条は、半導体の回路形成と放熱のために絶縁基板に接合される部材。プラグインハイブリッド車 (PHV) や電気自動車 (EV) の普及に伴うパワー半導体の需要拡大を見据え、生産プロセスを効率化し、増産可能な体制を構築する。(2018年9月25日付日刊自動車新聞より)

 

海外事業

<フィリピン>
-子会社の古河AS (滋賀県甲良町) がフィリピンの工場で自動車用ワイヤーハーネスの生産能力を増強すると発表した。北米市場をはじめとするグローバル車向けで新規受注を獲得したため。約100億円を投じて工場建屋面積を2倍に増やす。北米市場向けワイヤーハーネスは以前はメキシコ工場から供給していたが、アジアでもコストや品質などの条件を満たすワイヤーハーネスを生産できる体制を構築したことから、現在はフィリピン、ベトナムからも供給している。アジア生産によるコスト、品質が評価され、新規受注を獲得したことから生産能力を増強する。(2018年5月23日付日刊自動車新聞より)

研究開発費

(単位:百万円)
2019年3月期 2018年3月期 2017年3月期
全社 21,141 19,533 17,454
-電装・エレクトロニクス 5,161 4,995 4,711



研究開発活動

-自動車部品・電池では、主に以下の開発を行っている。

  • アルミ電線を使用した自動車用ワイヤーハーネス
  • バッテリー状態検知センサーの高機能化、電源マネジメントシステム関連製品
  • 車載用監視レーダーの高性能化
  • HV・EV用モーターの小型化および高出力化に対応した高機能巻線
  • カーボンナノチューブ (CNT) 電線の実用化

 

研究開発拠点

拠点名 研究開発分野 所在地
自動車・エレクトロニクス研究所 自動車技術 神奈川県平塚市 (主要拠点)、
栃木県日光市 (分室)、滋賀犬上郡 (分室)
コア技術融合研究所 コア技術 神奈川県横浜市 (主要拠点)、千葉県市原市 (分室)、
栃木県日光市 (分室)、神奈川県平塚市 (分室)
先端技術研究所 新素材・新技術 神奈川県横浜市 (主要拠点)、
栃木県日光市 (分室)、神奈川県平塚市 (分室)
情報通信・エネルギー研究所 インフラ技術 千葉県市原市 (主要拠点)、
神奈川県平塚市 (分室)
Furukawa Electric Institute of Technology Ltd. (FETI) 解析 ハンガリー
OFS研究所 光ファイバー 米国
SuperPower Inc. 超電導 米国

 

-オープンイノベーションとグローバルな産学連携をより強化するため、研究拠点を米カリフォルニア州シリコンバレーに開設したと発表した。海外研究拠点としては、4番目の拠点となる。古河電工はシリコンバレーに研究拠点を開設し、最先端の技術や市場の情報収集とオープンイノベーションをより積極的に推し進める。現地の主要大学との産学連携や、企業間連携も加速していく。また、有望なスタートアップ企業の探索のため、世界最大のアクセラレーターである「プラグアンドプレイ シリコンバレー」にもブースを開設した。(2018年9月12日付日刊自動車新聞より)

 

製品開発

パルス方式24ギガヘルツ帯周辺監視用準ミリ波レーダー
-グループの古河AS (滋賀県甲良町) は29日、パルス方式の24ギガヘルツ帯周辺監視用準ミリ波レーダーの新製品を開発したと発表した。2016年に量産化した既存品と比べ、速度分解能や測位可能距離をミリ波レーダー同等に向上した。21年の採用を目指し、25年度には周辺監視レーダーの事業売上高を現在の4倍に当たる200億円に引き上げる計画だ。(2018年10月30日付日刊自動車新聞より)

スピーカー一体型ルームランプ
-拡散反射率と音響特性に優れる自社開発の発泡シート「MCPET」を活用し、光と音で非常時にアラートを発する製品。安全機能部品として提案し、2020年の量産化を目指す。 MCPETは、ポリエチレンテレフタート樹脂製の発泡シート。気泡径0.1~10マイクロメートル、1立方センチメートル当たりの気泡密度が1億~100兆個の微細な発泡構造を持っており、拡散反射率が高い。LEDの反射板に使用することにより、LED特有の鋭い光を緩和し、軟らかい光で車内を照らせる。さらに反射板裏面の中央に取り付けた圧電素子で、反射板を振動させることにより、スピーカーとしての機能も加える。(2018年7月23日付日刊自動車新聞より)

設備投資額

(単位:百万円)
2019年3月期 2018年3月期 2017年3月期
全社 50,036 38,543 31,584
-電装・エレクトロニクス 16,133 12,070 11,609

設備の新設計画

-2020年3月期の設備投資計画は48,000百万円、電装・エレクトロニクス部門は19,000百万円で、主な内容は生産能力の増強。

 

海外投資

<ベトナム>
-35億円を投じてアルミニウム電線を生産する工場をベトナムに新設すると発表した。2020年9月に稼働を開始し、21年12月までにアルミ電線の生産能力を現状の4倍に高める。日系を中心とする自動車メーカー各社は、電動化を背景にアルミ電線を組み込んだ軽量なワイヤーハーネスの採用を拡大する見通し。同社はベトナムでアルミ・銅電線を生産しており、既存工場のあるホーチミン市タントゥアン輸出加工区内に延べ床面積2万8千平方メートルの2階建て建造物を新設する。既存工場からアルミ電線の生産ラインを新工場に移管するとともに、新たに生産設備を導入し、生産能力を高める。日系自動車メーカーが21年以降に生産する車両向けに大口の受注が決まったため、能力増強を決めた。(2019年1月22日付日刊自動車新聞より)