古河電気工業 (株) 2014年3月期の動向

ハイライト

業績

(単位:百万円)
  2014年
3月期
2013年
3月期
増減率
(%)
要因
全社
売上高 931,781 924,717 0.8 -円安効果に加え、ワイヤーハーネスが好調に推移した自動車用部品の売上が増加。
営業利益 25,456 17,763 43.3 -徹底した経費削減活動の成果に加え、前期低迷した情報通信分野の需要が復調し、自動車用部品の売上も好調に推移したことが寄与
経常利益 25,532 17,612 45.0 -
当期純利益 5,608 3,576 56.8 -
部門別売上高
電装・エレクトロニクス 282,866 236,758 19.5 -世界規模での自動車販売台数の増加を背景に、自動車用部品が売上を伸長。国内市場においても軽自動車や新車種向けを中心にワイヤーハーネスが好調を維持。
金属 125,942 124,936 0.8 -
軽金属 94,028 180,700 (48.0) -

合弁事業

<インドネシア>
-古河電池は、インドネシアにおいてIndomobilグループのPT. Central Sole Agency (CSA) と合弁会社を設立すると発表。2013年12月に、自動車用鉛蓄電池の製造会社「PT. Furukawa Indomobil Battery Manufacturing」および販売会社「PT. Furukawa Indomobile Battery Sales」をそれぞれ設立する。製造会社の資本金は19百万ドル (約19億円)。出資比率は古河電池が51%、CSAが49%となる。(2013年11月25日付プレスリリースより)

事業計画

ワイヤーハーネスの海外生産体制を強化
-自動車用ワイヤーハーネスの海外での開発・生産体制の強化に乗り出す計画。主要顧客である日系自動車メーカーが海外生産体制を増強しているのに対応して、従来、ほぼ日本に集中していた開発や営業部門の一部を海外に移管するとともに、東南アジアや中南米の新興市場を中心に、生産体制を増強する。同社は、中国・上海市にワイヤーハーネス事業に関する地域統括会社を新設したのに続いて、今後は東南アジア、北米にも設立する予定。東南アジアは、タイやインドネシア、北米は米国やメキシコを軸に検討している。新興市場でワイヤーハーネスの生産体制も増強する。同社は現在、フィリピンにある拠点の生産能力を増強しているほか、マレーシアの工場も近く立ち上げる。今後、同社グループのブラジルにある光ファイバーケーブル製造子会社でワイヤーハーネスの生産を検討するほか、メキシコに工場の新設も検討する。(2013年4月16日付日刊自動車新聞より)

中期経営計画
-2013年、中期経営計画「Furukawa G Plan 2015」を策定。対象期間は2014年3月期から2016年3月期。インフラ、自動車市場で事業を拡大するとともに、収益構造、財務体質の改善を図り、売上高は900,000百万円、営業利益は38,000百万円を目指す。営業増益分の75%をインフラ、自動車事業で稼ぐ計画。

事業再編

電解銅箔、台湾拠点で生産量拡大、国内は縮小
-ハイブリッド車 (HV) などの車載用リチウムイオン電池など向けに供給している電解銅箔の生産体制を再編する。国内は電力料金の値上げなどによって採算が悪化していることから、台湾の生産拠点で電解銅箔の生産量を拡大する。国内の今市工場 (栃木県日光市) は2014年3月末までに操業を停止し、国内での銅箔の生産は今市東工場 (同) に集約する。(2014年2月19日付日刊自動車新聞より)

車載用高機能巻線を強化
-同社および子会社の古河マグネットワイヤは、中太物ポリエステル皮膜エナメル線、および耐熱ソルダブル線の一部の製造・販売を2014年度上期中に終了すると発表した。今後は、車載用平角エナメル線や、電装用・産業用モーターの各種耐熱エナメル線等の「高機能巻線」に注力するという。(2013年12月17日付プレスリリースより)

古河スカイと住友軽金属が合併
-古河スカイと住友軽金属工業が2013年10月1日付で経営統合した。古河スカイを吸収合併存続会社、住友軽金属を吸収合併消滅会社とし、新会社の名称は「株式会社UACJ」となり同社の持分法適用会社となった。

>>>次年度業績予想 (売上、営業利益等)

開発動向

研究開発費 

(単位:百万円)
  2014年3月期 2013年3月期 2012年3月期
全社 17,461 20,210 18,949
-電装・エレクトロニクス 4,343 4,549 4,306
-金属部門 931 1,069 1,138
-軽金属部門 1,374 2,859 2,897

研究開発拠点

拠点名 所在地
自動車電装技術研究所 神奈川県
平塚市
横浜研究所 神奈川県
横浜市
メタル総合研究所 栃木県
日光市
Furukawa Electric Institute of Technology Ltd. ハンガリー

研究開発活動

電装・エレクトロニクス部門
-アルミ電線を使用したワイヤーハーネスは、拡販および受注活動とともに、適用部位拡大に向けた関連技術の開発を進めている。
-自動車用バッテリセンサーは、バッテリー電力を管理することにより自動車のエネルギー利用効率化への貢献が期待されており、拡販および受注活動とともに、高性能化に向けた開発を進めている。
-24GHz帯域を使用したレーダーは、自動車の安全機能の向上に有用な車両周辺監視センサーとして期待されており、引き続き開発を進めている。
-巻線の絶縁状態の薄膜化に向けた研究開発を加速している。
-電界方式のワイヤレス給電システムの開発を進めている。非接触での電力給電方法として期待されており、システムメーカーと技術協議を進めている。
-GaN (窒化ガリウム) に関して、富士電機グループと共同で設立した次世代パワーデバイス技術研究組合において、トランジスタとダイオードの開発を進め、技術的な目標を達成し、実用化検討を開始できる技術レベルであることが確認できたため、2013年9月に解散した。本組合において得られたパワーデバイスの技術については、実用化に向けた開発を行っている。
-NEDO (独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構) の委託事業「カーボンバンドルをユニットとする新規軽量導体の研究開発」に参画し、カーボンナノチューブのみからなる線材についての電気伝導度の低抵抗化を達成した。

金属部門
-自動車の次期ワイヤーハーネス向けにアルミ合金電線を開発し、顧客への提案を進めている。
-リチウムイオン電池用電解銅箔の特性向上に取り組み、顧客の要求特性に関して改善効果を実現した。

軽金属部門
-リチウムイオン電池に関して、電池の正極集電体やラミネート型外装材用のアルミ箔、角型外装材用のアルミ板の開発、国内外に供給した。また、負極用集電体に用いられる圧延銅箔の開発も行った。
-自動車熱交換機器用材料に関して、薄肉・高機能化材料の開発を実施した。

研究開発活動

-子会社の古河電池とアイドリングストップ車用の回生充電システムを開発する。電池の充放電制御システムと電池を持ち寄り、電池モジュールとして自動車メーカーに提案する。従来はそれぞれ独自に提案していた。両社の技術を組み合わせて安価で軽量なアイドリングストップ車用電池モジュールを開発する。電池の特性を引き出す独自の制御を盛り込み耐久性も高めることで、自動車メーカーのニーズに応える。(2014年2月5日付日刊自動車新聞より)

製品・技術開発

複数の充放電サイクルに伴う負極電極の厚み変化を測定する技術を確立
-リチウムイオン電池 (LiB) が充放電を繰り返すことによって生じる電極の厚み変化を、その場で測定する手法を確立したと発表。電極の集電体 (銅箔) は、LiBのエネルギー密度を高めるための薄肉化の要望が高まっている。電極の厚み変化を充放電中に定量的に捉えることにより、薄肉化と強度を両立する最適な銅箔の開発につなげる。同社は、負極の厚みを高さ情報として充放電中に測定し、複数の充放電サイクルに伴う負極電極の厚み変化を測定する技術を確立した。体積変化の大きいシリコン系電極で、充放電サイクルの早い段階での電極の膨張と銅箔の変形による異常な厚み変化を測定し、解体後の電極観察の結果と矛盾しない電極状況を確認できた。この手法を使うことにより、電極の厚み変化と集電体の変形、銅箔強度の関係を定量的に把握することができるようになる。(2013年10月29日付日刊自動車新聞より)

自動車用電線

-ハロゲンフリー、リンフリーに対応した自動車用電線「エコビーメックス―120α AESSX」を製品化したと発表。電子線照射架橋技術に、同社独自の「新型化学架橋技術」を組み合わせ、非ハロゲンフリーの電線と同等のコストで自動車用の厳しい規格に適合した。(2013年5月31日付日刊自動車新聞より)

設備投資

設備投資額

(単位:百万円)
  2014年3月期 2013年3月期 2012年3月期
全社 37,436 47,772 33,582

電装・エレクトロニクス部門
-自動車用電装部品の増産、および自動車用バッテリー新製品の量産化、社屋建設を目的とした設備投資を主に実施。

金属部門
-自動車市場、IT・エレクトロニクス市場に対応するための海外における銅箔の増産、国内生産設備の集約を目的とする投資。

軽金属部門
-増産を目的としたアルミニウム圧延工場の建設等の設備投資を主に行った。

海外投資

<フィリピン>
-古河ASはフィリピンでワイヤーハーネス (WH) を増産すると発表。同国バタンガス州のWH工場内に新工場を建設する。投資額は約25億円で2014年1月に稼働する。全量を日本に輸出し、売上高は現状比2倍の約120億円を見込む。新規受注した日系自動車メーカーへ供給することに加え、既存の中国工場から輸出量を増やすことに伴う人件費高騰や労働争議などの生産リスクを回避する狙い。(2013年5月23日付日刊自動車新聞より)

<メキシコ>
-グアナファト州にワイヤーハーネスの生産・販売を手がける新会社を設立すると発表。日系自動車メーカー向けに販売し、2016年度に売上高約50億円を見込む。新会社は同社が40%、グループの古河ASが60%を出資し、資本金550万ドル (約5億円) で5月に設立する。工場を建設し14年1月に稼働する。従業員数300人で生産を開始し、16年には1,000人にまで拡大する。(2013年5月1日付日刊自動車新聞より)

設備の新設計画

-2015年3月期の設備投資計画は40,000百万円。そのうち電装・エレクトロニクス部門では自動車用電装部品等の量産化および増産に13,300百万円、金属部門では伸銅品工場建屋および生産設備等の復旧に10,200百万円を投資する計画。