古河電気工業 (株) 2013年3月期の動向

ハイライト

業績 - 古河電気工業(株)

(単位:百万円)
  2013年
3月期
2012年
3月期
増減率
(%)
要因
全社
売上高 924,717 918,808 0.6 1)
営業利益 17,763 15,947 11.4 2)
経常利益 17,612 12,872 36.8 -
当期純利益 3,576 (11,123) - -
電装・エレクトロニクス部門
売上高 236,758 204,461 15.8 3)
営業利益 9,308 5,106 82.3 4)

要因
1) 全社 売上高
-金属部門や軽金属部門など需要の低迷により売上が伸び悩んだ分野もあったが、自動車用ワイヤーハーネスなどの自動車部品の売上が好調に推移。

2) 全社 営業利益
-自動車部品の売上が好調であったほか、減価償却費が減少したことが寄与。

3) 電装・エレクトロニクス部門 売上高
-自動車用ワイヤーハーネスなどの自動車部品の売上が好調だったことや、ハイブリッド車向けの高効率モーター用巻線の需要が伸びたため、売上が伸長した。

4) 電装・エレクトロニクス部門 営業利益
-エレクトロニクス部門における製品価格の下落や売上の減少による影響があったものの、ワイヤーハーネスを中心に自動車部品が堅調に推移し、増益。

合併

-古河スカイと住友軽金属は、2013年10月1日付で合併することで基本合意した。アルミニウム圧延メーカートップと2位の合併で、アルミニウム板生産能力は年間120万トンクラスと、世界3位グループとなる。韓国や中国のアルミ圧延メーカーが台頭する中で、両社は合併してスケールメリットを追求するとともに、グローバルな供給体制を構築し、世界的な競争力を持つアルミニウムメジャー会社を目指す。両社は経営統合して、海外での供給体制を強化するとともに、国内の両社の生産拠点についても生産品種などを見直す。合併後の社名は「株式会社UACJ」。早期の融和を目的に、一定期間共同CEO制を採用し、取締役、監査役も両社出身者で同数にするなど「対等の精神に基づく経営統合」を目指す。

認証

-金属カンパニー銅箔事業部の今市工場 (栃木県日光市) と東工場 (同) が、自動車業界の品質マネジメントシステムの国際規格「ISO/TS16949」の認証を11月2日付で取得したと発表した。国内の電解銅箔工場での認証取得は同社が初めて。同社が手がける電池用電解銅箔は、電気自動車 (EV) やハイブリッド車 (HV) などに搭載されるリチウムイオン電池の負極集電体として採用され、自動車用電池分野ではトップシェアを持つ。(2012年12月1日付日刊自動車新聞より)

>>>次年度業績予想 (売上、営業利益等)

開発動向

研究開発費 - 古河電気工業 (株) 

(単位:百万円)
  2013年3月期 2012年3月期 2011年3月期
全社 20,210 18,949 18,296
-電装・エレクトロニクス 4,549 4,306 3,807

研究開発拠点

拠点名 所在地
自動車電装技術研究所 神奈川県
平塚市
横浜研究所 神奈川県
横浜市
メタル総合研究所 栃木県
日光市
FETI (Furukawa Electric Institute of Technology Ltd.) ハンガリー

研究開発活動

電装・エレクトロニクス部門
-アルミ電線を使用したワイヤーハーネスに関して、拡販及び受注活動とともに、関連技術の開発を進めている。
-自動車用バッテリセンサーに関して、2012年に車両メーカー向けの量産を開始した。バッテリー電力を管理することにより、自動車のエネルギー利用効率化への貢献が期待されている。
-24GHz帯域を使用したレーダーの開発を継続して実施。自動車の安全機能の向上に有用な車両周辺監視センサーとして期待され、システムメーカーおよび車両メーカーと技術協議を行っている。
-ハイブリッド車 (HV) の駆動モーターの小型化が実現できる巻線を開発し、製造・販売を開始。
-Gn (窒化ガリウム) に関して、富士電機グループと共同で設立した次世代パワーデバイス技術研究組合において、トランジスタとダイオードの開発を継続して推進。
-NEDO (独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構) の委託を受け、「カーボンバンドルをユニットとする新規軽量導体の研究開発」を実施している。

軽金属部門
-リチウムイオン電池に関して、電池の正極集電体やラミネート型外装材用のアルミ箔、角型外装材用のアルミ板の開発、製造を行っており、国内外に供給している。また、負極用集電体に用いられる圧延銅箔の開発も行っている。
-電気自動車などの次世代自動車向けに、従来よりも大幅に冷却性能を向上させたアルミ製新型空冷冷却器「VLフィン」を開発したが、更に性能を向上させるべく研究開発を実施。また、次世代自動車において進展が期待される同部品のアルミ化についても、開発を進めている。
-自動車熱交換機器用材料に関しては、薄肉・高機能化材料の開発を実施している。

製品開発

車載用鉛バッテリー状態検知センサー >>>製品画像
-同社は古河ASと共同でエンジン停止時や、スターターモーターを搭載していない電気自動車 (EV)、ハイブリッド車 (HV) でも鉛バッテリーの状態監視を高精度に行える車載用鉛バッテリー状態検知センサーを世界で初めて開発し量産を始めたと発表した。バッテリーの充放電性能や劣化度を把握するにはバッテリーの内部抵抗を測定する必要があり、一般的にはスターターモーター始動時の電流、電圧応答から内部抵抗を算出している。新製品はセンサー内にパルス放電回路を搭載。センサーがタイミングを制御してパルス状の放電を行い、電流、電圧応答から内部抵抗を算出するようにした。自動車の燃費改善や二酸化炭素 (CO2) 削減のための発電制御、アイドリングストップ車向けの受注活動を行い、2015年にバッテリー状態検知センサーの世界市場で10%以上のシェア獲得を目指す。(2012年6月25日付日刊自動車新聞より)

高耐電圧平角巻線
-同社は古河マグネットワイヤと共同で、高い絶縁破壊電圧を備えた平角巻線を開発したと発表した。従来より高い設計電圧を持つ電気自動車 (EV) やハイブリッド車 (HV) の駆動モーターに対応、トヨタ自動車のHV「Aqua」に採用されている。高耐電圧平角巻線は、高耐熱のエナメル線をベースに、その上層に押出樹脂層を形成することで、自由度の高い絶縁層を確保した。相間絶縁紙が省略でき工程の省略や機器の小型化に貢献する。高占積率が可能な平角形状のため高効率化と軽量化が可能で、高耐熱のエナメル層により耐熱性と信頼性を高めた。(2012年6月22日付日刊自動車新聞より)

フッ素樹脂アルミ電線
-古河電工グループの協和電線株式会社は、軽量のフッ素樹脂アルミ電線「KANZACC~ALC-T-ETFE」および「KANZACC~ALC-T-FEP」を開発した。このフッ素樹脂アルミ電線は、アルミにすずコートを施した導体を用いて、絶縁体にFEPやETFEなどのフッ素樹脂を用いた軽量・高信頼性電線。アルミ導体は容易にはんだ付けが可能であり、絶縁体のフッ素樹脂は電気的特性・耐熱性・耐薬品性等に優れるため、より過酷な環境に適応する。同社のフッ素樹脂電線シリーズは、銅・銅合金・鋼・ステンレス等のラインアップにこのアルミ導体が加わることで、さらに幅広いニーズに対応が可能になる。導体のメタルコートからフッ素樹脂被覆までの一貫生産ができるという強みを活かして、フッ素樹脂アルミ2012年5月から電線の販売を開始し、2013年度に2億円の売り上げを目指す。(2012年5月31日付プレスリリースより)

設備投資

設備投資額 - 古河電気工業 (株)

(単位:百万円)
  2013年3月期 2012年3月期 2011年3月期
全社 47,772 33,582 27,947

電装・エレクトロニクス部門
-自動車用電装部品の増産、および自動車用バッテリー新製品の量産化を目的とした設備投資を主に実施。

金属部門
-自動車市場、IT・エレクトロニクス市場に向けた銅箔の増産、銅および銅合金条の製造設備の維持更新等に主に投資。

軽金属部門
-タイにおけるアルミニウム板圧延工場の建設や、福井工場の熱延スラブ用加熱炉の増設等の設備投資等を主に実施。

設備の新設計画

-2014年3月期の設備投資計画は40,000百万円。その内、電装・エレクトロニクス部門では、自動車用電装部品等の増産および合理化、電子機能材の量産化および増産に12,400百万円投資する予定。