日立オートモティブシステムズ (株) 2012年3月期の動向

ハイライト

業績

(単位:億円)
  2012年
3月期
2011年
3月期
増減率
(%)
要因
全社
売上高 8,080 7,339 10.1 -新興国市場の伸長、米国市場の回復など世界的な自動車需要の増加により、増収。
営業利益 370 237 56.1 -売上増加、原価低減策等が奏功し、増益。

受注

-GM 「Chevrolet Volt」向けにモーター、インバーターを納入していると発表。GMの2モーター電動システムに供給している2つのモーターは、走行用モーターとバッテリ充電用の発電機モーター。また、インバーターは、大型車向けとなる第1世代品と比較して、およそ40%の小型化を実現している。なお、同社はGMのハイブリッド車「Saturn Vue」(2006年)向けにモーターとインバーターを納入。さらに、「Chevrolet Tahoe」(2007年)へインバーターを、「Buick LaCrosse」(2011年)向けにリチウムイオンバッテリーを供給している。(2011年11月23日付プレスリリースより)

海外事業

<タイ>
-Hitachi Automotive Systems Asia, Ltd.において、2013年からエンジン系・走行系電子製品の生産増強を予定。

-Tokiko (Thailand) Ltd.にて、2012年4月から走行系製品の生産を増強する。

新会社

<中国>
-2012年4月、中国の上海市に日立海立汽車系統(上海) [Hitachi Highly Automotive Systems (Shanghai) Co., Ltd.]を設立。2012年7月に標準型スターター、2014年にアイドルストップ用スターターの生産を開始。

-同社は、日立(中国)有限公司と共同で広東省増城市に自動車機器システムの開発、設計、製造を行う新会社「日立汽車系統(広州)有限公司」を2012年1月末に設立すると発表した。13年4月までに稼働する。新会社は、日立オートモーティブシステムズが90%、日立(中国)有限公司が10%を出資し、資本金4億2000万人民元(約50億円)で設立する。従業員数は14年で約350人とする予定。増城市に約23万平方メートルの敷地を確保し、直噴エンジンの制御システムやABS(アンチロックブレーキシステム)、横滑り防止装置といった電子制御製品などを生産するほか、新製品の開発や設計業務を行う。現地の需要増に応じて生産能力を増強するとともに、現地の自主ブランド車などに向けた製品の開発・設計を行う。(2011年12月21日付日刊自動車新聞より)

<チェコ>
-Hitachi Automotive Systems Czech, s.r.oをチェコに設立。2013年3月からサスペンションの量産を開始する予定。

2013年3月期の見通し

(単位:億円)
  2013年3月期
(予想)
2012年3月期
(実績)
増減率 (%)
売上高 8,000 8,080 (1.0)
営業利益 370 370 0.0

-2013年3月期の売上高は、新興国を中心に引き続き堅調に推移し、横這いとなる見通し。

事業目標

-同社は2014年3月期の数値目標を以下のように設定。
  • 売上高:1兆円超
  • 営業利益率:5.0%超
  • 顧客海外拠点向け売上高*比率:60%超
*自動車部品が完成車に組み込まれる顧客拠点ベースで算出。

開発動向

研究開発費

(単位:億円)
  2016年3月期
(計画)
2012年3月期
(実績)
全社 800 528
電子・電動化開発 480 240

研究開発体制

-2012年9月、中国にテクニカルセンターを新設予定。
-ミュンヘン工科大学をはじめとした、ドイツ・米国の大学と共同開発を実施。
-2012年3月末のグローバルエンジニアは、3,600名 (電子・電動化開発に携わる人員は500名)。2016年3月末には全体で4,000人まで増加。そのうち、事業強化が計画されている電子・電動化開発は、2012年3月末時点の2倍にあたる1,000名に増員される予定。
-2012年3月末時点の海外の研究開発人員は200名 (米州:130名、欧州:20名、中国・アジア:50名)。2016年3月末には、2012年3月末時点と比較して2.4倍の480名に増員する計画 (米州:200名、欧州:40名、中国・アジア:240名)。

製品開発

直接水冷型両面冷却技術
-同社と日立製作所は、電気自動車(EV)やハイブリッド車(HV)用インバーターのパワーモジュールの小型化に寄与する直接水冷型両面冷却技術を開発した。今回新たに開発したパワーモジュールは従来、片面放熱だったパワー半導体を両面放熱構造とすることで放熱経路を拡充、冷却性能を一層高める。具体的には、パワー半導体の両側に放熱経路を形成するためのグリースを用いずに絶縁層を介して放熱経路を形成して冷却性能の向上を図った。熱流体、電気発熱、応力などの解析技術を駆使して最適な放熱構造などの設計技術により小型化した。日立がこの技術を適用して試作したパワーモジュールは、従来型のパワーモジュールと比べ放熱特性は35%を向上、床面積は50%に低減できることを確認したとしている。(2011年11月26日付日刊自動車新聞より)

設備投資

設備投資額

-2012年3月期は、主に自動車機器等の生産増強に383億円を投資。

-同社は、2012年3月期から2014年3月期の累計で2,000億円の設備投資を計画しており、2009年3月期から2011年3月期(累計:900億円)と比較すると、2.2倍に拡大する予定。そのうち、電子・電動化に関する投資は同3.7倍に拡大。また、設備投資額の国内・海外投資比率は国内40%、海外60%を予定。

海外投資

<米国>
-ケンタッキー工場において、電子系製品・製造ラインを増強。また、リチウムイオン電池モジュールラインを立ち上げ、2012年11月から試作を開始する予定。

-ケンタッキー州ベレアに、ハイブリッド自動車用モーター工場を新設した。2012年11月から試作を開始。

<メキシコ>
-メヒコ州レルマにおいて、第2工場を立ち上げた。2012年9月から点火コイルの量産を開始。