株式会社日立製作所 2007年度の動向

ハイライト

業績
単位:
百万円
2008年
3月期
2007年
3月期
増減率
(%)
要因
全社
売上高 11,226,735 10,247,903 9.6 金融サービス部門が減収となったものの、電力・産業システム部門及び情報通信システム部門をはじめとして、各部門が総じて増収。
営業利益 345,516 182,512 89.3 デジタルメディア・民生機器部門が大幅に悪化したものの、電力・産業システム部門及び情報通信システム部門が大幅に改善し、その他の部門も総じて増益。
税引前当期純利益 324,782 202,338 60.5 -
電力・産業システム部門
売上高 3,568,151 3,022,299 18.1 - 電力システム事業、自動車機器事業及び日立建機㈱の売上が増加。
- 自動車機器事業は、クラリオン㈱を06年12月に連結子会社としたこと及び国内の自動車メーカーが海外市場向けに生産を増加したことに伴い販売増加。
営業利益 138,455 36,391 280.5 - 前年度に計上した国内の原子力プラントの補修費用及び米国向け火力プラントの追加費用が今年度においては計上されなかったため。
高機能材料部門
売上高 1,875,018 1,794,506 4.5 日立化成工業㈱: 半導体関連材料や自動車関連製品が増収となったが、住宅機器・環境設備事業を2008年1月に売却した影響により、前年度と同水準の売上高となった。

日立金属㈱: 自動車やIT関連の電子・情報部品や高級金属製品等の売上が増加。

日立電線㈱: 電線・ケーブルが安定的な需要の推移と銅の価格高騰による販売価格の上昇の影響によって売上増。

部門の主力である日立電線㈱、日立化成工業㈱及び日立金属㈱の各社の受注高の合計額は前年度を上回った。
営業利益 141,007 132,399 6.5 原材料価格の高騰による影響があったものの、製品販売価格の是正とコスト低減施策の効果により増益。

受注
米ゼネラル・モーターズ(GM)が2010年に発売するハイブリッド電気自動車(HEV)向けリチウムイオン電池システムを受注した。供給するリチウムイオン電池は、同社が筆頭株主の日立ビークルエナジーが生産する。供給規模は年10万台。これまでGMとの電子部品関連の取引は「タホ」向けのインバーターのほか、「サターン」系車種にインバーターとモーターを供給してきたが、バッテリーは初めて。(2008年3月6日付日刊自動車新聞より)

国内動向

日立ビークルエナジーへの増資
- 同社オートモティブシステムグループおよび新神戸電機株式会社は、2006年度末に、両社の合弁会社である日立ビークルエナジー株式会社に対して50億円の増資を実施した。日立ビークルエナジーは、世界的に市場が拡大しているハイブリッド電気自動車に搭載するリチウムイオン二次電池を製造している。増資額の半額を資本金に繰り入れたことで、日立ビークルエナジーの資本金は40億円となった。増資後の出資比率は同社63.8%、新神戸電機28.9%、日立マクセル7.3%。 (2007年4月16日付けプレスリリースより)
- 2008年1月、同社と新神戸電機、日立マクセルは、ハイブリッド電気自動車(HEV)に搭載するリチウムイオン二次電池事業の強化に向けて、3社による合弁会社の日立ビークルエナジー(茨城県ひたちなか市)への第二次増資を実施すると発表した。増資額は同社が39億8800万円、新神戸が12億円、日立マクセルが8億1200万円の計60億円。資本金と資本準備金に半額ずつ振り分ける。日立を中核にHEVの主要構成部品であるモーター、インバーター、バッテリーをセットで提供する体制を強化する。(2008年1月22日付日刊自動車新聞より)

車載情報システム開発体制再編
- 2007年12月、同社とクラリオンは、カーナビゲーションなどの車載情報システム(CIS)開発を受託する両社の合弁会社、HCXを2008年3月31日付で解散し、その開発機能をクラリオン及びクラリオンの完全子会社であるザナヴィ・インフォマティクスに移管すると発表した。

>>> 詳細は 開発動向 参照



海外動向


北米統括会社設置
早ければ2008年にも、北米に自動車事業の統括会社を設置することで検討に入った。日立本体の自動車部門が持っていた日立オートモーティブプロダクツ(HAPCO)USAの2工場に加え、旧ユニシアジェックス、トキコ、クラリオンの計7工場の運営を統括し、法務・調達・輸送など多くの面で業務効率を改善するのが狙い。北米統括会社は、現在のHAPCO・USAの統括会社に近いミシガン州内に置く。デトロイト市内が有力視されており、08年中の設立を目指すとしている。(2007年11月6日付日刊自動車新聞より)

開発動向

研究開発費
2008年3月期の研究開発費は、売上高の3.8%にあたる428,171百万円。
-電力・産業システム:  110,450百万円
-高機能材料: 50,766百万円

研究開発体制
<電力・産業システム>
電力・産業機器の信頼性及び経済性向上技術、環境保全のための省エネルギー技術や廃棄物の適正処理技術、自動車機器や交通システムの高度化等の研究開発を実施。
<高機能材料>
半導体や液晶をはじめとするエレクトロニクス分野向けを中心に、材料開発及び加工技術等の研究開発を実施

2007年12月、同社とクラリオンは、カーナビゲーションなどの車載情報システム(CIS)開発を受託する両社の合弁会社、HCX(東京都品川区)を2008年3月31日付で解散し、その開発機能をクラリオン及びクラリオンの完全子会社であるザナヴィ・インフォマティクスに移管すると発表した。同社とクラリオンは成長が見込まれるCIS事業の強化に向け、開発体制をクラリオングループに集約する。HCXはカーナビゲーションの共通プラットホームを始めとしたCIS関連製品の開発を目的に、日立、クラリオン、ザナヴィの3社により00年12月に設立された。(2007年12月12日付日刊自動車新聞より)

製品開発

電動パワーステアリング(EPS)

電装ユニットの搭載性を改善すると同時に、運転支援システムの高度化をにらみ、高出力化を実現した新型の電動パワーステアリング(EPS)を開発した。ステアリングシャフトの先端に配置されるピニオンギアにアシストモーターを装着する「ピニオン式」EPS。モーター、トルクセンサー、制御ユニット(ECU)を一体化してピニオン周辺にレイアウト可能とし、スペース効率や衝突安全対応の優位性を確保した。2リットル級車向けで2010年に量産を開始する計画。(2007年12月13日付日刊自動車新聞より)

設備投資

設備投資費
単位:百万円 2008年
3月期
2007年
3月期
増減率(%) 主な内容・目的
全社 969,087 1,048,572 (7.6)
電力・産業システム 163,039 151,964 7.3 建設機械、自動車機器、鉄道車両等の生産増強及び合理化
高機能材料 106,687 91,893 16.1 高級金属製品、磁性材料、半導体用材料等の生産増強及び合理化

設備投資計画(2008年3月末現在)
単位:百万円 2007年3月期 主な内容・目的
電力・産業システム 167,000 建設機械、自動車機器等の生産増強及び合理化
高機能材料 112,000 高級金属製品、磁性材料、半導体用材料等の生産増強及び合理化
全社 950,000 -