豊田合成 (株) 2015年3月期の動向

ハイライト

業績

(単位:百万円)
  2015年
3月期
2014年
3月期
増減率
(%)
要因
全社
売上高 727,846 689,477 5.6 1)
営業利益 41,603 43,798 (5.0) 2)
経常利益 43,792 45,847 (4.5)
当期純利益 21,155 26,214 (19.3)
自動車部品事業
売上高 677,240 620,079 9.2 3)
セグメント利益 39,988 42,411 (5.7) -


要因

1) 売上高
-2015年3月期の売上高は前年比5.6%増で過去最高を記録。北米での自動車生産台数増や欧米系自動車メーカーへの拡販、円安効果などにより自動車部品事業が増収。

2) 利益
-2015年3月期の利益は、原価改善活動に努めたものの、国内および一部新興国での自動車生産台数減少や製品構成の悪化、今後の事業拡大に対応した先行投資により、減少。

3)
-2015年3月期の自動車部品事業売上高は前年比9.2%増。国内での消費税増税後の需要減やタイでの自動車生産台数の減少があったものの、米州での自動車販売が堅調に推移。また、Toyoda Gosei Meteor GmbHを新規連結したこと等により増収。

買収

-ドイツのゴム部品メーカー、メテオール社との間で進めていた資産譲受手続きが4月30日に完了したと発表。豊田合成はメテオールの工場、設備、従業員、特許などを取得し、受け皿会社となるToyoda Gosei Meteor GmbHに組み込んだ。また、ドイツのダイムラー、BMW、アウディ向けにウェザーストリップを供給するビジネスも獲得し、欧州メーカーへの販路も確立した。Toyoda Gosei Meteor GmbHの2014年度の売上高は約200億円となる見通し。(2014年5月22日付日刊自動車新聞より)

東北地方での生産体制強化

-2015年4月1日付で子会社のTG東日本株式会社の社名を「豊田合成東日本株式会社」に変更したと発表。

-豊田合成東日本株式会社は、宮城工場 (栗原市) で2015年6月にウェザーストリップやガラスラン、エアバッグなどの生産を開始するとともに、本社 (大崎市) を新工場へ移転した。従来、東北にはトヨタ自動車東日本・岩手工場 (岩手県金ヶ崎町) 内のサテライトショップに組み立て拠点を構えていた。東北に同社として初めて本格的な生産拠点を設置し、供給基盤を拡充する。投資額は約29億円。2018年度までに同拠点を運営する子会社の売上高を年50億円規模に拡大する。

中南米での生産体制強化

-2015年3月期:

  • ブラジルのGDBR Industria e Comercio de Componentes Quimicos e de Borracha Ltda. が南米初の生産拠点として稼働開始
  • Toyoda Gosei Rubber Mexico, S.A. de C.V. が生産開始
  • 内外装部品を生産するToyoda Gosei Irapuato Mexico, S.A. de C.V. を設立

受注

-2015年3月期:

  • 従来の黒色よりも約3割黒色感を増した 「漆黒めっき」 を世界で初めて開発し、トヨタ Lexus 「RC F」 のラジエーターグリルに採用。
  • 高圧水素タンクに用いられる 「水素タンクライナー」 を開発し、トヨタ 「MIRAI」 に採用。

2016年3月期の見通し

(単位:百万円)
  2015年3月期
(予測)
2014年3月期
(実績)
増減
(%)
売上高 730,000 727,846 0.3
営業利益 42,000 41,603 1.0
経常利益 42,000 43,792 (4.1)
当期純利益 23,000 21,155 8.7


>>>次年度業績予想 (売上、営業利益等)

研究開発費

(単位:百万円)
  2015年3月期 2014年3月期 2013年3月期
自動車部品事業 26,600 25,700 23,500
非自動車部品事業 2,900 3,400 3,600
合計 29,500 29,100 27,100


-2016年3月期は、32,000百万円の費用を予定。

研究開発体制

-開発本部、生産本部、オプトエレクトロニクス事業部技術部および海外子会社の豊田合成ノースアメリカ (北米)、豊田合成アジア (アジア)、豊田合成ヨーロッパ (欧州・アフリカ地域) が連携し、グローバルな研究開発活動を展開。

<中国>
-中国・上海市に設置している開発拠点を移転、拡張したと発表。現地で技術開発を手がける「豊田合成 (上海) 管理」 (上海TG) を上海市内で移転。従来に比べて4倍のスペースを確保し、材料や製品の評価試験を現地化した。従来、評価業務は日本で実施するほか、中国国内で外部委託していた。専用設備の導入に伴う費用は3億円。中国で独自に実施する開発業務を拡充することで、自動車メーカーのニーズに迅速に対応する。2018年までに上海TGの技術員数を現状の約1.5倍となる50人に増やし、開発の現地化を加速する。 (2015年1月14日付日刊自動車新聞より)

研究開発拠点

北島技術センター 愛知県稲沢市
美和技術センター 愛知県あま市
TGR Technical Center, LLC 米国ミシガン州プリマス
Toyoda Gosei North America Corporation
米国ミシガン州トロイ
Toyoda Gosei Europe N.V.
ベルギー
Toyoda Gosei Asia Co., Ltd.
タイ チョンブリ
Toyoda Gosei (Shanghai) Co., Ltd. 中国 上海

製品開発

低損失パワー半導体デバイス
-新たな低損失パワー半導体デバイス技術を開発したと発表。青色LEDの主要原料である窒化ガリウム (GaN) を用いており、GaNの持つ高電圧にも耐える物理特性を開発に生かした。新技術を活用すると、1200ボルトの高電圧をかけても通常時は電流が流れず、信号を与えた場合のみ流せるとしている。同社ではハイブリッド車などの電力制御装置を小型高効率化できると見ている。 (2015年5月23日付日刊自動車新聞より)

「漆黒めっき」
-世界初の樹脂めっき技術「漆黒めっき」を開発したと発表。トヨタ自動車のレクサス 「RC F」 向けに同技術を施したラジエーターグリルを供給開始した。従来、黒色感の強い加飾を施す際には、めっき加工の後にスモーククリヤー塗装を行っていた。ただ、塗装膜が経年劣化で曇ったり、飛び石で剥がれ落ちるケースがあり、耐久性が課題となっていた。これに対し、ダークめっきよりも黒色感を30%向上しためっき薬液を開発。めっきのみでデザイン性の高い艶やかな色を出すことに成功した。同時に耐久性も向上し、受注にこぎつけた。「RC F」 向けのラジエーターグリルは、北九州工場 (北九州市八幡東区) でめっき加工を実施している。 (2014年10月29日付日刊自動車新聞より)

樹脂ウォーターパイプ
-日本初のウォーターアシストインジェクション工法を春日工場 (愛知県清須市) に導入し、樹脂ウォーターパイプの生産を開始したと発表。ウォーターアシストインジェクションは複雑な形状の射出成形を可能にする技術。これを活用して金属製が主流のエンジン冷却水用配管を樹脂製に置き換えることに成功した。従来の金属製に比べて約40%の軽量化を実現。トヨタ自動車が7月に発売したレクサス 「NX」 に初採用となり、供給を開始した。既に他メーカーからの引き合いも得ており、今後は幅広い自動車メーカーに供給する。 (2014年8月27日付日刊自動車新聞より)

技術契約

-豊田合成とOsramは、白色LEDを含むLEDおよびレーザーの特定技術に関する特許を相互に活用できる契約を更新したと発表。新たに更新した契約では、2007年に締結した契約の範囲を拡大するもので、先の契約締結後に両社が出願した特許が含まれるという。 (2014年10月7日付プレスリリースより)

技術導入契約

(2015年3月31日現在)
相手方の名称
(国名)
契約内容 契約期間
Autoliv Development AB
(スウェーデン)
カーテンエアバッグに関する特許ライセンス 2001年2月5日 -
2016年2月20日
Intier Automotive Interiors of America
(米国)
ウレタンスプレー表皮に関する特許・ノウハウライセンス 2002年11月18日 -
2019年5月10日
Daimler AG
(ドイツ)
ミリ波レーダー用カバーに関する特許ライセンス 2011年11月10日 -
2019年9月23日

技術援助契約

(2015年3月31日現在)
相手方の名称
(国名)
契約内容 契約期間
Stant Manufacturing, Inc.
(米国)
導電性フューエルキャップに関する特許・ノウハウライセンス 1998年11月17日 -
2018年12月21日
Magna Steyr Fuel Systems
(ドイツ)
導電性フューエルキャップに関する特許ライセンス 2004年2月26日 -
2018年12月21日
Pong Codan Rubber (M) Co., Ltd.
(マレーシア)
ウェザーストリップに関する技術許諾契約 2007年7月16日 -
2017年7月15日

設備投資額

(単位:百万円)
  2015年3月期 2014年3月期 2013年3月期
自動車部品事業 63,400 41,600 37,400
非自動車部品事業 1,100 1,400 1,500
合計 64,700 43,000 39,000


-自動車部品事業においては、新製品切替、海外を中心とした能力増強などに投資。
-2016年3月期は、全社で51,000百万円の設備投資を予定。 (内自動車部品事業向けは49,100百万円)

海外投資

<米国>
-北米地域生産子会社TG Fluid Systems USA Corporation (TGFSUS) がミシガン州Brightonにおいて新工場「TGFSUS ビッグブライトン工場」の開所式を行ったと発表。投資額は約10.6百万ドル (約13億円)。燃料タンクおよびエンジン周辺の燃料用樹脂チューブなどの生産を行う。土地面積は約76,900平方メートルで、建屋面積は16,600平方メートル。TGFSUSはこれまで、ブライトン工場とハウエル工場の2工場で燃料用樹脂チューブの生産を行っていた。今後、2017年までに両工場の生産設備を新工場へ移転・集約させる計画。 (2015年5月13日付プレスリリースより)

<メキシコ>
-メキシコ・グアナファト州イラプアト市に、内外装樹脂部品を生産する新会社を設立したと発表。2016年4月に生産を開始し、19年度に売上高90億円を見込む。新会社Toyoda Gosei Irapuato Mexico, S.A. de C.V. (TGIMX) を資本金4680万ドル (約47億円) で設立した。同市のCDR工業団地内に15万平方メートルの敷地を確保し、3万7千平方メートルの建屋を建設する。今年10月には工場の建設を開始し、樹脂射出成形機や塗装設備などを導入する。投資額は6700万ドル (約67億円)。新工場ではラジエーターグリル、コンソールボックスなどを生産し、米州地域で生産する自動車メーカーに納入する。従業員数は19年度に280人を見込んでいる。 (2014年9月20日付日刊自動車新聞より)

<インド>
-2015年秋をめどにインドに自動車用ゴムホースを手がける新工場を建設すると発表。インドの部品大手ミンダ社と合弁で新会社Minda TG Rubber Pvt. Ltd.を設立。北部のハリヤナ州に新たな生産拠点を開設する。投資額は約12億円。従来、ブレーキホースやフューエルホースといったゴムホース製品は日本やタイから供給していたが、現地化を図ることで競争力を高める。15年9月に生産を開始し、トヨタ自動車やスズキなどに納入する。中長期的には地場の自動車メーカーからの受注も目指す。19年までに新会社の売上高は年17億円規模になると見ている。 (2014年12月9日付日刊自動車新聞より)