横浜ゴム (株) 2013年12月期の動向
ハイライト
業績 |
(単位:百万円) |
2013年 12月期 |
2012年 12月期 |
増減率 (%) |
要因 | |
全社 | ||||
売上高 | 601,629 | 559,700 | 7.5 | - |
営業利益 | 56,647 | 49,696 | 14.0 | - |
経常利益 | 59,503 | 52,365 | 13.6 | - |
当期純利益 | 35,007 | 32,611 | 7.3 | - |
タイヤ事業 | ||||
売上高 | 479,522 | 444,592 | 7.9 | -高級車およびエコカー向けのタイヤが好調。 -市販用タイヤは国内、海外ともに販売量が増加。 |
営業利益 | 46,021 | 43,369 | 6.1 | - |
事業提携
韓国クムホタイヤとの提携-2013年11月、将来に向けたタイヤ関連技術の研究開発力強化のため、韓国のクムホタイヤと技術・資本提携にかかる基本契約を締結。環境対応技術等のタイヤ関連技術の共同研究開発を実施する予定。また、技術提携にとどまらず資本提携についても協議を進めている。
海外事業
<メキシコ>-メキシコで自動車用エアコンホースを生産すると発表。現地企業に委託し、メキシコ国内で自動車を生産している日系自動車メーカーや米国自動車メーカー向けに、2014年夏からエアコンホースを供給する。同社のホース生産拠点としては北米3番目となり、多数の自動車メーカーの工場があるメキシコ中西部のアグアスカリエンテス市の近郊で生産を実施する。
受注
-2013年の主な受注:製品名 | 搭載モデル | 装着サイズ |
低燃費タイヤ「BluEarth A34」 | ダイハツ 「TanTo」 | 155/65R14 75S |
フラッグシップタイヤ「ADVAN Sport V105 MO」 | Mercedes-Benz 「S-Class」 | 245/50R18 100W |
Mercedes-Benz 「A-Class」、「B-Class」 | 225/45R17 91W | |
低燃費タイヤ「BluEarth E70」 | スバル 「XV Hybrid」 | 225/55R17 97V |
低燃費タイヤ「BluEarth E51」 | トヨタ 「Lexus IS」 | 225/45R17 91W |
低燃費タイヤ「BluEarth A34」 | スバル 「Pleo Plus」 | 155/65R14 75S |
2014年12月期見通し |
(単位:億円) |
2014年12月期 (予測) |
2013年12月期 (実績) |
増減率 (%) |
|
売上高 | 6,470 | 6,016 | 7.5 |
営業利益 | 630 | 566 | 11.3 |
経常利益 | 575 | 595 | (3.4) |
当期純利益 | 375 | 350 | 7.1 |
為替レート: USD/円 95円、EUR/円 130円
原材料:天然ゴム 250円/1kg
>>>次年度業績予想 (売上、営業利益等)
中期経営計画
中期経営計画「GD100 (グランド・デザイン100)」(2006年3月期-2017年12月期)-中期経営計画で長期財務目標売上高1兆円、営業利益1,000億円、営業利益率10%を掲げている。2012年12月期よりフェーズⅢが開始しており、数値目標 (3年間累計) は以下の通り:
- 売上高:1兆8,000億円
- 営業利益:1,500億円
- 営業利益率:8.3%
1) 大規模なタイヤ供給能力の増強:フェーズIIIの3年間で、2014年度までに生産能力を6,674万本に拡張する計画。
-2014年度の主な施策:
- フィリピン拠点の第1次拡張が終了:年間生産能力が1,000万本に
- 中国の蘇州工場で乗用車用タイヤの生産開始:2017年に年間生産能力600万本に
- ロシアの乗用車タイヤ工場の拡張:2014年後半に年間生産能力が160万本に
- インドの乗用車用タイヤ工場が稼働開始:2014年に年間生産能力が40万本に
- フィリピン拠点の第2次拡張が終了予定:2015年に年間生産能力が1,250万本、第3次拡張計画が終了する2017年には1,700万本に
- 2015年に米国ミシシッピ州のトラック・バス用タイヤ工場が稼働:2018年に年間生産能力が100万本に
<タイヤ生産能力 (本数)> | (単位:万本) |
2014年 | 2013年 | 2012年 | |
国内 | |||
三重 (トラック・バス、小型トラック) | 590 | 590 | 590 |
三島 (乗用車) | 1,390 | 1,390 | 1,390 |
新城 (乗用車) | 1,410 | 1,410 | 1,410 |
新城南 (乗用車) | 280 | 280 | 280 |
国内 計 | 3,670 | 3,670 | 3,670 |
海外 | |||
米国 (乗用車) | 620 | 620 | 620 |
米国 (トラック・バス) | 60 | 60 | 58 |
フィリピン (乗用車) | 1,000 | 800 | 700 |
中国 (乗用車) | 740 | 510 | 510 |
中国 (トラック・バス) | 34 | 34 | 34 |
タイ (乗用車、小型トラック) | 400 | 400 | 400 |
タイ (トラック・バス) | 40 | 35 | 35 |
ロシア (乗用車) | 160 | 140 | 70 |
インド (乗用車) | 40 | - | - |
海外 計 | 3,094 | 2,599 | 2,427 |
合計 | 6,764 | 6,269 | 6,097 |
2) 高付加価値商品のグローバル展開
-ADVAN、BluEarth、iceGUARD、GEOLANDAR等のグローバルブランド商品の販売を強化。
-2014年は、2013年に引き続き、Porsche 「Panamera」などの高級車への新車装着が進む。
-販売強化のため、メキシコにタイヤ販売会社を設立。
MB (工業品) 成長戦略
-2013年まで、自動車用パワステホースの米国市場シェアで首位になるなど、ホースは配管事業は好調。2014年以降は中国で油圧用高圧ホースの生産、メキシコで自動車用エアコンホースを生産するなど、海外事業を強化していく。
開発動向
研究開発費 |
(単位:百万円) |
2013年12月期 | 2012年12月期 | 2011年12月期 | |
全社 | 12,632 | 12,824 | 9,307 |
-タイヤ事業 | 8,007 | 7,792 | 5,909 |
-研究開発本部 | 1,471 | 1,610 | 948 |
研究開発体制
-基盤技術に関する研究開発は研究本部が、直接製品にかかわる研究開発はタイヤ事業、工業品事業、その他の技術部門が担当。<タイヤ事業>
拠点名 | 所在地 |
RADIC研究開発センター | 神奈川県平塚市 |
D-PARC 総合タイヤテストコース | 茨城県久慈郡 |
T*MARY 冬季タイヤテストコース | 北海道上川郡 |
Tire Test Center of Asia 総合タイヤテストコース | タイ ラヨーン県 |
-2013年、タイ・ラヨーン県にある総合タイヤプルービンググラウンド「Tire Test Center of Asia」の拡充工事が完了。今回のテストコース拡充によってタイヤの運動性能、振動性能のすべての評価が可能となった。拡充した試験路は以下の通り:
- ドライ時でのタイヤの総合性能と車とのマッチングを試験するドライ用2.5キロメートルの「ハンドリング試験路」
- ウェット時でのタイヤの総合性能と車とのマッチングを試験するウエット用1.5キロメートルの「ハンドリング試験路」
- ウェット時のタイヤのグリップ性能をテストする「スキッドパッド」
- パターンを含めた総合的なタイヤ排水性能を評価する「コーナーハイドロプレーニング路」
製品開発
インナーライナー技術-トラック・バスなどの商用車用タイヤの空気圧保持能力を大幅に向上するインナーライナー技術を開発。新しいインナーライナーは、素材である鉱物「タルク」の特徴である板形状をそのまま微粒子化した「扁平タルク」を配合。この扁平タルクが空気の透過経路をブロックすることで、従来品と比べて空気漏れを30%低減。空気圧保持能力の向上や軽量化を実現。2013年4月から国内生産分のタイヤに採用されており、海外工場へも展開予定。
設備投資
設備投資額 |
(単位:百万円) |
2013年12月期 | 2012年12月期 | 2011年12月期 | |
全社 | 33,500 | 28,100 | 22,400 |
-タイヤ事業 | 29,300 | 25,000 | 19,500 |
<タイヤ事業>
-新商品の上市およびタイヤのハイインチ化・高性能化に対応するため、国内工場の製造設備増強、生産性向上および品質向上等に11,200百万円を投資。
<海外子会社>
-海外子会社において、乗用車タイヤ製造設備の増設でYokohama Tire Philippines, Inc.において行った8,100百万円の投資を中心に工場の新設・設備拡張を実施。
海外投資
<米国>-2013年、米国ミシシッピ州ウエストポイントに新設するトラック・バス用タイヤ工場の起工式を開催。約200万平方メートルを超える土地に生産ライン、倉庫、事務所などを備えた工場を建設し、年間100万本以上のタイヤを生産する計画。2015年10月に操業開始予定。初期設備投資額は3億ドル (約300億円)。第1期では約500人を雇用する計画だが、将来的には、設備や従業員をそれぞれ4倍まで拡大してタイヤ生産能力を増強する可能性がある。
<タイ>
-2013年、タイでトラック・バス (TB) 用タイヤの年間生産能力を、2015年に現在の35万本から70万本へ倍増すると発表。同社はグローバルでTB用タイヤを拡販する計画で、今回の拡張はその一環。2013年7月に、生産会社Yokohama Tire Manufacturing (Thailand) Co., Ltd.の第2工場の建設を開始し、2015年4月に稼働開始予定。
<ロシア>
-2013年、ロシアの乗用車用タイヤの生産能力を増強すると発表。ロシア工場は2012年5月に本格操業を開始したが、2013年夏にはフル生産になるため、生産能力を現在の年間140万本から2014年秋までに同160万本へ増強する。
<フィリピン>
-2013年5月、フィリピン工場の第2期拡張工事を開始。2014年秋から新設備で量産を開始し、2015年にフル生産の見通し。フィリピン工場全体の生産能力を1,250万本に増強する。
設備の新設計画 (タイヤ事業)
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(2013年12月31日現在) |
事業所 (所在地) |
設備内容 | 投資予定 総額 (百万円) |
着手 | 完了 予定 |
完成後の 増加能力 |
平塚製造所 (神奈川県平塚市) |
生産設備 | 4,563 | 2013年 1月 |
2014年 12月 |
- |
三重工場 (三重県伊勢市) |
生産設備 | 6,555 | 2013年 1月 |
2014年 12月 |
- |
三島工場 (静岡県三島市) |
生産設備 | 3,936 | 2013年 1月 |
2014年 12月 |
- |
新城工場 (愛知県新城市) |
生産設備 | 8,647 | 2013年 1月 |
2014年 12月 |
- |
尾道工場 (広島県尾道市) |
生産設備 | 2,118 | 2013年 1月 |
2014年 12月 |
- |
蘇州優科豪馬輪胎有限公司 [Suzhou Yokohama Tire Co., Ltd.] (中国江蘇省) |
生産設備・その他の設備 | 26,500 | 2013年 7月 |
2017年 12月 |
乗用車用タイヤ 600万本 |
Yokohama Tire Philippines, Inc. (フィリピン クラーク特別経済区) |
生産・その他の設備 | 19,700 | 2011年 2月 |
2014年 7月 |
乗用車用タイヤ 300万本 |
11,000 | 2013年 5月 |
2015年 6月 |
乗用車用タイヤ 250万本 |