カルソニックカンセイ (株) 2011年3月期の動向

ハイライト

業績

(単位:百万円)
  2011年
3月期
2010年
3月期
増減率
(%)
要因
全社
売上高 748,249 619,449 20.8 1)
営業利益 19,479 (5,699) - 2)
経常利益 18,693 (6,167) - -
当期純利益 15,598 (13,281) - -

要因
1)
-部品種類の削減、モノづくりプロセスの革新、購買・物流改善によって無駄を排除する活動をグローバルに推進し、コスト競争力を向上。
-厚木工場を閉鎖し、群馬・吉見・追浜工場等に生産集約。
-売上高は顧客の販売台数の増加により7,482億円となり、前年度に比較して1,288億円(20.8%)の増加となった。

2)
-売上高の増加に加え原価低減・固定費コスト削減活動等の効果により、営業利益は194億7000万円となり、前年度に比較して251億7000万円の増益。

<日本>
-売上高(セグメント間の内部売上高を含む)4,179億円と前年度に比較し、548億円の増収(対前年度比15.1%の増収)となり、営業利益は83億6000万円と前年度に比較し、167億8000万円の増益となった。

<北米>
-北米地域においては、売上高(セグメント間の内部売上高を含む)は1,601億円と前年度に比較し、505億円の増収(対前年度比46.1%)となり、営業利益は38億9000万円と前年度に比較し、69億5000万円の増益。

<欧州>
-売上高(セグメント間の内部売上高を含む)は760億円と前年度に比較し、9億円の増収(対前年度比1.3%)となり、営業利益は11億8000万円と前年度に比較し、3億6000万円の増益(対前年度比45.0%)となった。

<アジア>
-売上高(セグメント間の内部売上高を含む)は1,450億円と前年度に比較し、358億円の増収(対前年度比32.8%)となり、営業利益は61億3000万円と前年度に比較し、12億4000万円の増益(対前年度比25.4%)。

2012年3月期の見通し

(単位:億円)
  2012年3月期 2011年3月期 前期比
売上高 7,900 7,482 418
営業利益 210 195 15
経常利益 200 187 13
当期純利益 210 156 54
設備投資額 186 151 35
研究開発費 233 210 23

地域別売上高

(単位:億円)
  2012年3月期 2011年3月期 増減
日本 4,484 4,179 305
北米 1,681 1,601 80
欧州 763 761 2
アジア 1,501 1,451 50

中期経営計画

-同社は、2016年度までの中期経営計画「CK G×4 T10」(グリーン、グロース、グローバル、グレート・カンパニーの頭文字から)を策定。売上高と営業利益額で世界の部品サプライヤーのトップ10に入ることを目標に掲げている。環境対応の新製品を10種類開発するほか、新興国では現地企業の工場で委託生産を行い需要増大に対応する。売上高は2010年度実績で7482億円。新中計ではこれを1兆円以上に増やす。また、現在の営業利益は195億円で、内製部品の売上高利益率を現在の4%レベルから7%レベルまで高めることにより、営業利益の絶対額でも世界トップ10入りを目指す。(2011年7月21日付日刊自動車新聞より)

-同社親会社にあたる日産自動車は2011年7月、2011年から2015年の新5ヵ年中期経営計画を発表し、中国の合弁会社東風汽車有限公司(DFL)に新たに総額500億人民元(約 6,100億円)の投資を行い、販売台数を230万台以上に拡大するとともに、自主ブランドによる電気自動車を含む約30車種の新型車を投入すると発表した。また、DFLの一事業部で、乗用車の開発、生産、販売を担当している東風日産乗用車公司(DFL-PV)は、車両生産工場の生産能力増強に対応するとともに、国産化率を2015年までにほぼ100%とすることをめざし、エンジン、トランスミッション等のパワートレインについても、新たな工場を建設する。(2011年7月26日付同社プレスリリースより)

開発動向

研究開発費

(単位:百万円)
  2011年3月期 2010年3月期 2009年3月期
全社 21,016
21,197 27,579

研究開発体制

-埼玉県さいたま市への開発技術部門の集結、栃木県佐野市への実験部門の集結、及び埼玉県吉見町の生産技術部門を含めた3極体制を確立し、グローバル技術センターを実現。

-製造拠点の生産性向上に関する取り組みを強化。2011年度から自動化設備の導入など生産性向上に直結する投資を増やす。同社はここ数年生産現場にお ける抜本的なコスト構造改革を進めてきた。ただ生産性向上を目的とした新規設備の導入についてはリーマンショック以降の急激な生産量の落ち込みから手をつ けてこなかった。ここにきて工場の稼働率が回復してきたことで生産性向上につながる新たな設備投資を行っても一層のコスト改善効果を生み出すことができる と判断した。具体的な投資額については調整中だが、11年度の設備投資総額の1割強を生産性向上関連に振り向けていきたい意向。(2011年1月 31日付日刊自動車新聞より)

<日本>
-グローバルな製品要求に対する開発活動を行うセンターとして「先行・基本・アプリケーション開発」を担う。将来の開発技術の創出を行う先行・基本開発へのリソースを強化しており、競争力向上を図っていく方針。
-製品競争力の要素である価格面での優位性を高めるため原価低減活動を促進しており、その一環としてLCC開発能力の活用、具体的には中国開発センターや、シーケーエンジニアリング上海への開発移管を進めている。
-日本における研究開発費は188億2000万円。

<北米>
-日本において基本開発及び車両製品開発アプリケーション仕様が決定した後、北米における開発体制を活用し、現地顧客との調整を行った上で開発完了とする。メキシコ向け製品の開発についても北米にて管理・運営を行っている。
-北米における研究開発費は12億3000万円。

<欧州>
-北米と同様の機能を有している。ルノー社との連携においては極めて重要な開発活動の一端を担う。
-欧州における研究開発費は6億円。

<アジア>
-中国市場の拡大とともに開発の重要性が増加。同社テクニカルセンターの開発体制を大幅に拡大させている。中国向け製品開発の役割を日本と分担し、効率良い協業体制を取ることを目指している。
-アジアにおける研究開発費は3億5000万円。

研究開発拠点

研究開発センター 埼玉県さいたま市
テストセンター 栃木県佐野市
生産技術部門
埼玉県吉見町

研究開発活動

製品競争力向上
-環境技術ニーズに対応した熱交換器等、環境対応コンポーネント/システムの開発。
-燃費向上、浄化性能向上に貢献する排気システム、構成部品の開発。
-モジュールの高度化と構成部品の高性能化、軽量化開発。
-安全を促進するメータや情報提供システムの開発。
-快適な運転環境を提供する空調システムの開発。

戦略製品開発
-次世代の電動車両向けシステム、製品開発。
-CO2削減に向けた大幅な軽量化技術・製品開発。
-新興国市場向け低価格車両用システム、製品開発。

製品開発

電気自動車用の駆動系部品事業に参入
- 電気自動車用の駆動系部品事業に参入した。インバーター(電源回路)の生産を開始し、日産自動車が20日から販売する新型EV「リーフ」用に供給する。イ ンバーターはバッテリーに蓄えられた直流電力を交流電力に変換し、駆動用モーターに供給するための部品。リーフは米国や英国などで海外生産する計画で、カ ルソニックカンセイも海外での生産対応も検討する。 (2010年12月6日付日刊自動車新聞より)

EV用カーエアコン用ヒートポンプシステム
- 電気自動車(EV)向けに暖房使用時の消費エネルギーを大幅に削減する新たな空調システムを開発。家庭用エアコンに使われるヒートポンプシステムを カーエアコンに応用したもので、暖房時の消費電力を従来品に比べ50%の低減にめどをつけた。エアコンの消費電力を抑制させることにより、EVによる航続 距離の延長につなげる。次世代品への搭載を視野に入れるとともに、既存のガソリン車への応用も検討する。(2010年5月7日付日刊自動車新聞より)

設備投資

設備投資額

(単位:百万円)
  2011年3月期 2010年3月期 2009年3月期
全社 15,100
16,000 27,000
自動車部品事業 14,900
14,900 23,800

-主要受注先のモデルチェンジに対応した生産設備の投資を行なったほか、実験設備の増強投資などを実施し、自動車部品事業を中心に151億円の設備投資(無形固定資産を含む)を実施。

-セグメント別の設備投資額は、日本67億円、北米26億円、欧州7億円、アジア51億円。

-自動車用部品事業においては、新規立ち上がり製品の生産対応に加え、電気自動車向け生産設備投資を中心に149億円の投資を実施。

-熱交換器等の生産拠点、厚木工場(神奈川県愛川町)の生産を2010年9月までに終了し、生産は群馬工場(群馬県邑楽町)を中心として統合した。厚木工場の建物及び構築物等については、減損損失621百万円を特別損失に計上している。

海外投資

-2011年4月、カーエアコン用コンプレッサーを生産する新会社を中国江蘇省海門市に設立する。コンプレッサーの生産拠点は日本、マレーシア、タイに続 き、4ヶ国目となる。新会社の名称は康奈可(海門)汽車空調圧縮機有限公司(Calsonic Kansei (Haimen) Car Air-Conditioning Compressor Corporation)で、カルソニックカンセイの中国統括会社である康奈可(中国)投資有限公司が100%出資。生産開始は2012年4月頃を予定し ている。今回の新会社設立は、需要が拡大している中国でのコンプレッサー生産ニーズに対応するもの。当面は、アルミベーンロータリーコンプレッサーを年間 約60万台生産する計画。(2011年3月11日付プレスリリースより)