(株) デンソー 2013年3月期の動向

ハイライト

業績

(単位:億円)
  2013年
3月期
2012年
3月期
増減率 (%) 要因
全社
売上高 35,809 31,546 13.5 -北米、豪亜地域の車両生産の増加
-日本の車両生産の回復
営業利益 2,623 1,607 63.2 -売上高増加による操業度差益、合理化効果
経常利益 2,960 1,807 63.8 -
当期純利益 1,816 892 103.6 -
日本
売上高 18,088 16,399 10.3 -東日本大震災後の減産からの回復
-北米、豪亜地域の増産に伴う輸出増加
営業利益 1,706 838 103.6 -操業度差益、円安効果
北米
売上高 6,249 5,040 24.0 -デトロイト3、日系自動車メーカー向けの売上高増加
営業利益 134 87 54.0 -操業度差益
欧州
売上高 3,487 3,732 (6.6) -欧州債務問題による市場低迷で売上高が減少
営業利益 39 63 (38.1) -操業度差損
豪亜
売上高 7,345 5,797 26.7 -日系自動車メーカーの車両生産回復に伴う売上高増加
営業利益 736 594 23.9 -操業度差益

新会社

<ポーランド>
-2013年4月をめどにポーランド・ムイスウォヴィツェ市に生産会社「デンソー・ポーランド」を新設すると発表した。貸工場を借りて8月からメーターの生産を開始する。韓国・現代自動車がチェコ工場で生産する小型車「i30」向けに供給する。デンソーのポーランド工場としては3カ所目。メーターの現地生産は初となる。新会社の売上高として、2015年度までに年30億円を確保することを目指す。(2013年3月29日付日刊自動車新聞より)

<日本>
-富士通セミコンダクターから取得した岩手工場 (岩手県金ヶ崎町) が新会社「デンソー岩手」として操業を開始。半導体ウエハーの生産能力拡大に向けて取得したもので、デンソーの車載用半導体工場として3カ所目の拠点となる。当面は既存の顧客向けに製品を供給するが、順次、デンソーの生産管理、供給システムへと移行。2014年度からデンソー向けの製品を生産開始する。17年度には全量がデンソー向けの生産となる見通し。今回の工場取得により生産能力は現状に比べて5割拡大するとしている。(2012年10月2日付日刊自動車新聞より)

事業計画

現地調達比率の引き上げ
-部品、材料購入費の低減に向け、調達の"グローバル化"を加速している。
  • 2015年度までに調達コストを3割低減する「act30」の達成に向け、世界各地の現地調達比率を現状の60%強から80%に引き上げる現地化活動に取り組んでいる。
  • 新製品の立ち上げ時に世界各地で仕入先を一括して比較、選定する「グローバルソーシング」を始めた。「従来は事業部別に企画、立案し、日本に一極集中していた調達戦略をグローバル規模で管理し、最適化する狙いがある」(同社幹部)。(2012年12月14日付日刊自動車新聞より)
国内生産体制の強化
-国内生産の死守に向けて15年度までを期限とする体質強化を加速する方針を策定:
  • 中部地区に集積する1工場・8製作所のなかで、モデルラインを設定。設置面積や投資額を大幅に削減した新生産設備などを導入し、製造革新に取り組んでいる。
  • 製造管理や物流などの生産性を2倍以上に高め、将来的に人員配置をフレキシブルにできるよう業務改善を推進。
  • 主要納入先のトヨタ自動車が第3の生産拠点として基盤を強化する東北では、12年度中に新工場の建設に着手する。熱交換器系の部品を生産するほか、中部地方に一極集中する製品の分散化を図る。
ヘッドアップディスプレイ (HUD) 世界シェアを3割に拡大
-2020年度までにヘッドアップディスプレー (HUD) の世界シェアを3割に拡大する方針を明らかにした。HUDはフロントガラスに道路状況や歩行者などの注意喚起情報を表示するもので、運転者が視線を大きく動かさずに情報を把握できる利点がある。同社は1991年からHUDを生産、販売しており、トヨタ自動車と韓国・起亜自動車に納入実績がある。現在のシェアは15%前後。20年度までに市場規模が現状の約10倍、年1千万台に拡大すると見ており、新開発のシステムを迅速に市場導入して受注獲得につなげる。15年度をめどに表示面積10インチの次世代品を投入した後、18年度にも30インチの超大型HUDを実用化することを目指す。(2012年12月13日付日刊自動車新聞より)

再編

英国のカーエアコン事業
-英国のカーエアコン事業の再構築に着手。現地生産会社デンソー・マニュファクチャリングUKが2013年1月31日付で、デンソーグループのシミズ工業のエアコン部品生産会社シミズ・インダストリーUKを子会社化した。中長期的にもう一段の事業体制の見直しも検討するとしている。(2013年2月8日付日刊自動車新聞より)

Robert Boschとの資本提携解消
-2012年、Robert Boschは保有していた同社株式の全株式 (発行済み株式の約5%) を売却。Robert Boschは1950年代半ばから同社株式を保有してきたが、今回の売却により両社の資本関係が解消されたことになる。両社は引き続き既存の提携関係の枠内で協力していくほか、グローバルな自動車業界のニーズに応えるための提携機会を探るとしている。

主な受注

部品名 メーカー モデル
インバーター (両面冷却タイプ) トヨタ Crown Hybrid
次世代コモンレール技術「i-ART」 トヨタ Hilux (Brazil)
ガソリン直噴インジェクター、高圧ポンプ、コモンレールシステム マツダ SKYACTIV搭載モデル
蓄冷エバポレーター スズキ WagonR
衝突回避支援型プリクラッシュセーフティシステム用センサー トヨタ Lexus LS
ポップアップフード用歩行者衝突検知センサー トヨタ Crown Hybrid
スマートアシスト用レーザーレーダー ダイハツ Move
ミリ波レーダー マツダ Atenza
画像センサー トヨタ Lexus ES
グローバル・インナーフィン・コンデンサー トヨタ Corolla
グローバル・スタンダード・ラジエーター トヨタ 86
HVACユニット 日産 (ブラジル) Vプラットホームベースの小型車

2014年3月期の見通し

(単位:億円)
  2014年3月期
(予想)
2013年3月期
(実績)
増減 (%)
売上高 38,000 35,809 6.1
営業利益 2,850 2,623 8.7
経常利益 3,030 2,960 2.4
当期純利益 1,940 1,816 6.8

-2014年3月期の地域別の売上高は、全地域で増収を見込む。その中でも欧州は前期比23.6%の増加となる見込み。
-同営業利益は、欧州が前期比117.4%と伸長する一方、北米と豪亜は減収の予想。

>>>次年度業績予想 (売上、営業利益等)

2015年 (2016年3月期) 中期計画の進捗

(単位:億円)
  2016年3月期
(予想)
2013年3月期
(実績)
2012年3月期
(実績)
売上高 40,000 35,809 31,546
営業利益 3,200 2,623 1,607
営業利益率 8.0% 7.3% 5.1%

開発動向

研究開発費

(単位:億円)
  2013年3月期 2012年3月期 2011年3月期
日本 2,943 2,638 2,567
北米 135 124 133
欧州 78 79 73
豪亜 190 129 117
その他 6 12 9
合計 3,354 2,983 2,900

-2013年3月末現在、研究開発費において海外セグメントが占める比率は約12%。今後は開発体制の整備により同比率を増加していく方針。

-同社は、2014年3月期の研究開発費を、2013年3月期 (実績) と比較して4.4%増加の3,500億円と予想。

研究開発体制

-地域ごとのニーズを迅速に吸い上げ製品開発に反映するために、米国、欧州、豪亜に加え、中国、インド、ブラジルのテクニカルセンターを強化し、日本を含めた世界7地域の連携を密にした開発体制を整備。

地域 コアテクニカルセンター サテライト拠点
日本 愛知県日進市 日本国内グループ会社、韓国
北米 米国ミシガン州 米国テネシー州、カルフォルニア州
欧州 ドイツ アーヘン イギリス、イタリア、チェコ、スウェーデン
豪亜 タイ バンコク ベトナム、フィリピン、オーストラリア他
中国 中国上海 中国華北、西安、華南、台湾
インド インド デリー -
南米 ブラジル サンタバーバラ -

<日本>
パワーエレクトロニクス製品の評価を安城製作所に集約
-2014年4月をめどに安城製作所 (愛知県安城市) にハイブリッド車 (HV) 用インバーターなどパワーエレクトロニクス製品の評価を行う新研究棟を開設すると発表。約115億円を投じ、新建屋と評価設備を用意する。クルマの電動化や補機類周辺の電動アシストの拡大に対応したもので、インバーター、モーターステーターなどのHV部品やオルタネーター、スターターの耐久試験を行う。専用施設で製品評価の迅速化を図り、開発の効率化につなげる。新建屋は3月1日に着工し、11月末に完成する予定。14年4月から稼働を開始する。従来、パワーエレクトロニクス製品の評価は愛知県刈谷市の本社と安城製作所で実施していた。今後は安城製作所に作業の大半を集約し、効率化を図る。(2013年3月1日付日刊自動車新聞より)

<インド>
インド拠点の開設、および開発要員増強
-2012年3月、同社はインドテクニカルセンターを、ハリアナ州グルガオン市のインド統括会社デンソー・インターナショナル・インド社の敷地内に設置。投資額は約22億5千万円で、エンジンベンチやシャシーダイナモメーターなどの実験、評価設備を導入した。同社は、2015年度までに同センターの開発要員規模を現状の約2倍の120人に拡大する見込み。

<ブラジル>
南米初のテクニカルセンター設置
-2012年、同社はブラジルにテクニカルセンターを開設。同年7月に稼働を開始。同社として、南米で初めて車両実験風洞などの試験装置を導入し、開発環境を整えた。

<中国>
中国拠点の移転、拡充
-2013年をめどに中国の開発拠点を移転、拡充すると発表。上海市内に自前の開発拠点を建設し、風洞設備などの大型評価設備を導入。さらに15年度までに人員を現状の約3倍となる500人に拡大する。13年6月の稼働開始を予定しており、投資額は約72億円を見込んでいる。これまでも上海市内の拠点で日系各社の現地開発ニーズに応じてきたが、土地や建屋などを賃借していた。移転して開発能力を拡充することで、日系各社のニーズに対応できる幅を広げたり、自主開発を目指す地場メーカーをサポートする。(2012年4月11日付日刊自動車新聞より)

研究開発活動

路車間通信を利用した交通制御システムの実証実験
-中国・江蘇省太倉市で2013年3月23日から27日まで路車間通信を利用した交通制御システムの実証実験を実施すると発表した。同済大学と共同で太倉市の公道を利用して行う。公共バスと道路側の通信機器を活用し、バスが交差点で停止せずに通行するための最適な運行スピードやバス停の発車タイミングなどを知らせる。これにより、バスの燃費改善や二酸化炭素 (CO2) 削減、スムーズな運行に寄与する通信システムの研究を進める。(2013年3月23日付日刊自動車新聞より)

製品開発

<パワートレイン>
リチウムイオン電池パック >>>製品画像
-アイドリングストップ車などの回生エネルギーを蓄電し、補機類用電源として利用するリチウムイオン電池パックを開発したと発表した。鉛電池と併用し、これまで回収しきれずに捨てていた回生エネルギーを蓄電。カーナビゲーションなどに電力を供給する。これにより、オルタネーターを使用した発電を抑制する。鉛バッテリーのみを使用するケースと比べて2%の燃費改善効果がある。スズキが9月に発売した「新型Wagon R」向けに供給を開始。軽自動車では業界初のシステムとしている。(2012年10月5日付日刊自動車新聞より)

<空調>
蓄冷エバポレーター >>>製品画像
-アイドリングストップ中も車室内の冷却を可能にする「蓄冷エバポレーター」を開発。蓄冷材を封入した板状のケースを冷媒チューブで挟み込む独自の構造を採用。短時間で空気を冷却し、効率的に冷風を送り込むシステムを実現した。同製品のメリットは以下の通り:
  • 室内の快適性を確保
  • 高温時に再始動を早める傾向にあるアイドリングストップシステムのネックの解消
  • 従来のエバポレーターと同水準のサイズを維持しながら、付加価値を向上
新型コンデンサー「グローバルインナーフィンコンデンサー」 >>>製品画像
-小型化・高効率化を実現した新型コンデンサー「グローバルインナーフィンコンデンサー」を開発。従来16mmだった製品幅を11mmまで薄巾化し、30%の小型化を実現した。
  • チューブ全体:チューブ内部を流れる冷媒の熱を効率的に伝えるため、チューブ内のインナーフィンを小型化するとともに、最大限に高密度化した。これにより、伝熱面積が20%拡大。
  • インナーフィンチューブ:従来に比べてインナーフィンチューブの容積を25%拡大することで、チューブを流れる冷媒量が増加した場合でも消費動力の増加を抑えることが可能。
  • フィン:単位面積あたりのルーバー枚数を30%増やし、放熱性能を向上。なお、ルーバー枚数が増加しても、フィンのサイズが拡大することはない。
1席集中エアコンシステム >>>製品画像
-ドライバー席のみ等の様に1席に空調を集中させる世界初のエアコンシステムを開発。内部の吹き出し口を5つのゾーンに分けたエアコンユニットを実用化。これを車体側の吹き出し口に直結することで、エアコンの最適制御を可能にした。運転席、助手席、後部座席の3カ所で空調の"オン、オフ"をコントロールすることが出来る。従来製品は座席ごとに温度や風量の調整を行うことは可能だったが、空調を切ることは出来なかった。同システムで運転席のみの空調を行う場合、従来に比べて2割程度のエネルギー削減が可能になる。

小型ハイブリッドトラック用冷凍機システム
-小型ハイブリッドトラック用の冷凍機システムを開発。同システムは、信号待ちなどの際に冷凍・冷蔵の温度を維持しつつ、車両をアイドルストップさせることが可能になるもの。ベルトを介してエンジンの動力で駆動する従来のコンプレッサーに加え、ハイブリッド車用バッテリーに蓄えられた電気で駆動する電動コンプレッサーを新たに搭載されている。この2つのコンプレッサーは車両の走行時、停止時および外部電源使用時で、駆動が自動で切り替わる。
  • エンジン走行時:従来のコンプレッサーが駆動。
  • エンジン停止時:電動コンプレッサーが駆動。
  • 外部電源使用時:あらかじめ冷凍機システムに搭載されている電動コンプレッサーを使用するため、モーターやコンプレッサーが必要なくなり、ユニットの大幅な小型化・軽量化を実現。冷凍機システム全体で従来比約25%の軽量化を可能にした。
<ボディ>
TFT液晶ヘッドアップディスプレイ (HUD) >>>製品画像
-フロントガラス上に道路情報や歩行者などの注意喚起情報を表示するTFT液晶ヘッドアップディスプレイ (HUD) を開発。フロントガラス越しに見える実際の風景に各種情報を重ね合わせて表示するもので、ドライバーは視線を移動させずに情報を取得することが出来る。HUDは、ハンドルの奥のダッシュボードに埋め込む。液晶パネルに表示した映像を鏡の反射を利用し、その虚像をフロントガラス上に映す。HUD自体は1991年から生産、販売しているが、前方風景と連動して情報を表示するシステムは世界初としている。2015年頃をめどに製品化し、自動車メーカーを通じて市場投入する。(2012年10月20日付日刊自動車新聞より)

<走行安全>
ポップアップフード用歩行者衝突検知センサー >>>製品画像
-ポップアップフード用の歩行者衝突検知センサーを開発し、市場参入したと発表した。競合他社が手がける既存品はバンパーに加速度センサーを配置する方式が多いが、樹脂製の中空構造体と圧力センサーに置き換えて検知精度を高めた。トヨタ自動車 「Crown」のハイブリッド車向けに供給開始。今後は2020年までに同製品で世界シェア20%を目指す。 (2013年2月16日付日刊自動車新聞より)

新型ミリ波レーダー
-検知距離と角度を大幅に拡大した新型ミリ波レーダーを開発。検知距離を従来品の151メートルから205メートルに延長。角度は前方35メートル地点でプラスマイナス10度からプラスマイナス18度の範囲に拡大した。アンテナの材質を金属から樹脂に切り替えたほか、構成部品の統合などを実施してコスト低減も図った。新開発品は第4世代にあたるもので、大安製作所で生産を開始した。(2012年11月22日付日刊自動車新聞より)

世界最小の新型画像センサー
-車線逸脱警報システム (LDW) や自動ハイビーム制御システム (AHB) 用として世界最小の新型画像センサーを開発。従来製品と比べて体積を約50%小型化している。開発した画像センサーは、7月に中国を皮切りにグローバルで発売されるトヨタ自動車の「Lexus ES」のメーカーオプションとして採用。(2012年7月26日付日刊自動車新聞より)

<その他>
車載用スマートフォン向けワイヤレス充電器
-車載用として世界で初めて、スマートフォン (スマホ) 用ワイヤレス充電器を開発。ワイヤレス充電の規格Qi (チー) に対応したスマホを充電できる。同規格に対応していない場合でも、Qiに対応した充電機能のついたカバーをスマホに装着することで利用できる。トヨタ自動車の北米向けモデル「Avalon Limited」のオプション品として販売開始。(2013年1月23日付日刊自動車新聞より)

EV-住宅間電力相互供給システム
-電気自動車 (EV) と住宅の間で電力を相互供給する新システムを開発。従来はプラグインハイブリッド車 (PHV) 向けの技術を実用化していたが、EV向けのシステムを確立した。家庭用蓄電池やホーム・エネルギー・マネジメント・システムを活用し、充電の効率化や家庭の電力使用量の低減などに役立てる。EVの主な充電方法となる急速充電は短時間で大量の電力を使うため、家庭に急速充電器を設置する場合は電力契約の引き上げが必要だった。これに対し、蓄電池のエネルギーを充電に活用し、契約変更の手間などを省いた。(2012年7月25日付日刊自動車新聞より)

設備投資

設備投資額

(単位:億円)
  2013年3月期 2012年3月期 2011年3月期
日本 1,243 1,030 954
北米 204 121 90
欧州 191 186 121
豪亜 625 382 228
その他 40 72 55
合計 2,305 1,793 1,450

-生産拡大対応、次期型化、新製品切替および新製品開発のための研究開発投資に重点的に投資。

海外投資

米州
<北米>
-2015年度までに北米事業に約10億ドル (約890億円) を投資すると発表した。米デトロイト市で開催中の北米国際自動車ショーで表明した。北米市場が回復基調にあるため、パワートレーン関連などを手がける現地生産拠点の生産能力を増強する。また、日本から供給しているハイブリッド車 (HV) 用部品の現地化も検討する。生産体制の拡充に伴い、北米事業の従業員も現状の約1万4千人から約1万6千人に拡大する計画。(2013年1月18日付日刊自動車新聞より)

<メキシコ>
-2014年度までにメキシコ新工場 (13年10月稼働予定) に約30億円を追加投資し、生産品目を拡充することを決めた。メキシコ新工場では当初、カーエアコンを生産する計画を打ち出していたが、現地に進出する欧米メーカーからオルタネーターの受注も獲得した。このため、急遽、建屋を拡張することにした。13年10月にカーエアコンを立ち上げた後、14年10月にオルタネーターも生産開始する。(2012年12月27日付日刊自動車新聞より)

<ブラジル>
-同社は、2012年9月からブラジルで四輪車用電子制御ユニット (ECU) の生産に乗り出す。生産子会社「デンソー・インダストリアル・ダ・アマゾニア (アマゾナス州マナウス市)」に4億円をかけて専用ラインを設置、エンジン制御に使うECUを集中生産する。従来は日米から供給していたが、現地化して競争力を高める。トヨタ自動車が9月から生産する「Etios」向けにまず供給し、ECUの品ぞろえを順次増やして他メーカーにも拡販する。(2012年8月13日付日刊自動車新聞)

-2012年、同社はブラジル・サンパウロ州に新工場を開設。新工場は現地生産会社デンソー・ド・ブラジルの第2工場として設置。2011年1月にカーエアコン、クーリングモジュールを生産開始していたが、さらに生産設備の導入を進めて今年7月上旬に体制整備が完了した。9月からスターター、ワイパーなども生産する。

アジア
<インドネシア>
-2014年にインドネシアに新工場を設置すると発表。現地生産会社デンソー・インドネシアの第3工場として西ジャワ州ブカシ県に建設する。投資額は約94億円。14年2月からエンジン向けの電子制御ユニット、可変カムタイミング、スターター、オルタネーターなどを生産する。これまで現地では空調、熱交換器分野の製品を生産しており、新工場で手がける品目は初めて現地生産することになる。インドネシア市場の拡大に合わせて現地化を加速し、20年度までに生産会社の売上高を現状に比べて2.4倍の年1千億円に拡大することを目指す。新工場の敷地面積は20万平方メートル、建屋面積は2万4千平方メートル。12年12月に着工し、13年11月に建屋などを完成させる。16年3月までに約1300人の従業員を雇用する計画。(2012年9月12日付日刊自動車新聞より)

<タイ>
-2013年度までにタイで増産体制を構築する。生産会社デンソータイランドの3工場のうち、東部にあるウェルグロー工場 (チャチュンサオ県) とバンパコン工場 (チョンブリ県) に新たな建屋を建設。ラジエーターやオルタネーター、スターターなど幅広い品目で能力増強を図る。投資額に関しては建屋のみで約20億円を計画しており、順次設備分も積み増す。ウェルグロー工場の拡張は7月に完了しており、13年中にバンパコン工場の増強も実施する。足元ではトヨタ自動車が13年までに新工場を建設。さらに休止していた拠点の稼働再開などで、現地生産能力を年76万台に引き上げる計画を進めるなど、自動車各社の増産が見込まれている。このため、デンソータイランドも能力を増強し、複数の製品で供給を拡大。また、従来は現地生産していなかった次世代品なども立ち上げ、納入先の商品力向上に貢献する考え。(2012年8月27日付日刊自動車新聞より)

<インド>
-2013年をめどにインド北部に新工場を建設すると発表した。現地生産会社デンソー・ハリアナの第2工場として設置し、ワイパーやパワーウインドウに搭載する小型モーター、エンジンクーリングモジュールの生産能力を増強する。投資額は約42億円を見込む。2012年5月中に着工し、2013年7月に生産開始する計画だ。マルチスズキやタタ・モーターズなど北部地域に完成車工場を置く自動車メーカーに供給する。新工場は、ハリアナ州ジャジャール市に建設する。敷地面積は約7万3千平方メートル、建屋面積は約1万2千平方メートルを予定している。稼働に合わせ、従業員・約450人を新規雇用する計画。(2012年5月8日付日刊自動車新聞より)

設備投資額 2014年3月期の見通し

(単位:億円)
  2014年3月期
(予想)
2013年3月期
(実績)
増減 (%)
日本 1,300 1,243 4.6
北米 320 204 56.9
欧州 210 191 9.9
豪亜 700 625 12.0
その他 70 40 75.0
合計 2,600 2,305 12.8