株式会社タチエス 2006年度の動向

ハイライト

業績
単位:
百万円
2007年
3月期
2006年
3月期
増減率
(%)
要因
売上高 216,857 210,790 2.9 下記1)参照
営業利益 (190) 3,084 - 下記2)参照
経常利益 583 4,477 (87.0) 下記3)参照
当期純利益 (503) 1,940 - 下記4)参照

要因
1) 国内での売上高減少はあったものの、メキシコ及び中国での新規車種立上げによる売上高増加や為替変動に伴う円換算額増加等により、増収。

2) 中国及び米国に日産事業として設立した合弁会社の生産準備費用の負担に加え、国内での販売製品構成の変化による付加価値減少、カナダ子会社での為替変動影響、国内外の新規車種量産立上げ費用が発生等により、減益。

3) 2)の影響に加え、英国に日産事業として設立した持分法適用会社での生産準備費用の負担や国内外持分法適用会社の減益影響等による。

4) 国内持分法適用会社の過年度損益調整額を特別損失に計上したこと等による。

地域別動向
[日本]
・売上高:モデル端境期による販売落込み影響や販売製品構成の変化等により、119,642百万円(対前年同期比3.6%減)。
・営業利益:売上高減少の影響に加え、新規車種量産立上げ費用の発生、販売製品構成の変化の影響等により、1,795万円。

[米国]
・売上高:為替変動に伴う円換算額増加により、43,331百万円(対前年同期比2.5%増)。
・営業利益:日産事業として設立したTACLE Seating U.S.A. LLCの生産準備費用の負担等により、84百万円(対前年同期比76.4%減)。

[カナダ]
・売上高:為替変動に伴う円換算額増加により、3,348百万円(対前年同期比2.4%増)。
・営業利益:新規車種量産立上げ費用の発生や為替変動の影響等により、581百万円の損失。

[メキシコ]
・売上高:新規車種の立上げにより、18,251百万円(対前年同期比57.6%増)。
・営業利益:量産立上げ費用が先行して発生したこと等により、161百万円の損失。

[フランス]
・売上高:開発費の回収等により、309百万円(対前年同期比50.7%増)。
・営業利益:先行開発費や固定費負担により、56百万円の損失。

[中国]
・売上高:日産事業として設立し操業準備を進めていた広州泰李汽車座椅有限公司 (TACLE Guangzhou Automotive Seat Co., Ltd.)が生産及び販売を開始したことにより、1,914百万円。
・営業利益:生産準備費用が先行して発生したことにより、364百万円の損失。

中国の関連会社で47・5%出資する小型乗用車用シートメーカー、西安秦泰汽車座椅有限公司の持分を、合弁パートナーに売却すると発表した。主要納入先の現地自動車メーカーが民営企業に売却され安定した受注の確保が困難になったため、合弁経営から撤退する。売却額は2100元(約3千万円)で、売却損が3900万円発生する見込みだ。西安秦泰はタチエスと中国の大手企業である西安北方秦川有限公司、日本の商社の朝陽貿易の3社が01年2月に設立した合弁会社。タチエスと西安北方の出資比率は同率で、タチエスの持分を西安北方が買い取る。(2006年7月24日付日刊自動車新聞より)

業務提携

同社と内装ドアトリムなどを手がける河西工業は、事業基盤の強化と企業価値の増大を図るため、製品の共同開発や生産の相互委託などを含めた業務提携を行うと発表した。両社は今春、資本提携を実施しており、関係強化を一段と進めることになる。今回の業務提携は、タチエスが持つシート製造時のフレーム加工技術や縫製加工技術と、河西工業の樹脂加工技術を相互に補完することによって、これまで以上の顧客サービスを可能にしようとするのが狙い。また、それぞれの海外を含めた拠点を活用することによって、「シナジー効果が見込める」としている。(2006年11月15日付日刊自動車新聞より)

新会社設立
グループの自動車用シートの縫製会社を一括管理・運営する新会社を発足したと発表した。製法に関する固有技術と経営資源を集中して活用可能な体制を整えるとともに、生産方式の標準化を図り、競争力の強化に結びつける。当面は縫製専門会社の立川工業(秋田県横手市)、冨士高工業(名古屋市)の2社を管理する親会社として事業をスタートする。活動が軌道に乗った段階で中国の縫製子会社を傘下に組み込み、グローバルな効果を引き出す。(2006年7月24日付日刊自動車新聞より)

開発動向

研究開発費
単位:百万円 2007年3月期 2006年3月期 2005年3月期
研究開発費 4,734 4,494 3,552

研究開発の拠点
<国内>
・1993年3月に東京都青梅市にタチエス技術センターを開設、関東地区を集約。
・中京地区では、1999年8月に愛知県安城市にタチエス技術センター愛知を開設。
<海外>
・1986年7月に米国ミシガン州にTachi-S Engineering U.S.A. Inc. を開設。
・1998年6月には、技術開発力をより強化するため新社屋を完成、日米開発拠点の相互補完体制を構築。
・2001年12月には、ドイツ、デュッセルドルフ市に欧州自動車産業の情報収集及び営業活動の拠点としてタチエス欧州事務所を開設。
・2004年10月には、フランス、ヴェリジー・ビラクブレー市にTachi-S Engineering Europe S.A.R.L. を設立し、欧州拠点を統合。

主な研究成果
-シート及びオリジナル機構部品開発
自動車及びその他乗り物用シート、またシートのリクライニングデバイス、スライドレール、大移動量リフター、床下格納デバイス、RV車用シートのロングスライドレール及びその付属機構、回転ユニット等を開発

-安全性向上技術開発
3点式シートベルト組込みシート、サイドエアバッグ組込みシート、乗員感知式スマートエアバッグ対応シート、頚部傷害軽減システムを開発。また、前後面、側面衝突に対応した安全シート構造の研究開発を実施中。

-環境対応技術開発

易解体シートの研究、自動車の燃費向上のため新材料、新構造技術をおり込んだ超軽量シートの開発

-福祉車両商品の開発
福祉車両用に操作性、乗降性に優れたヘルパーシートを開発

-原価低減商品開発
開発期間短縮を反映し、標準化、共通化を踏まえた低コスト次世代シートを開発

-生産技術開発

接着成形シートの改良技術開発、ヘッドレスト、アームレストの一体発泡成形技術開発、シート組立の省力化・自動化技術開発、CAD/CAMによる型製作等を推進。また、多品種少量生産を可能にした混流ラインを開発。

-シートの研究分野
「座り心地」評価、シートの構造方式について自主研究。CAE解析を行って、開発期間短縮、コストダウンなどに貢献。

技術導入契約 (2007年3月現在)

相手先 国名 内容 契約期間
イスリングハウゼン社
Isringhausen GmbH & Co. KG

ドイツ

サスペンションシステムの製造、販売継続権に関するライセンス契約及びシート技術と販売ノウハウの相互自由開示と自由使用(除特許)契約 1985年11月~無期限、または、一方の6ヶ月前の予告により終結

技術援助契約 (2007年3月現在)

相手先 国名 内容 契約期間
オートパーツマニュフェクチェアラ-ズ社
Auto Parts Manufacturers Co., Sdn. Bhd.
マレーシア 契約製品の製造に必要なノウハウの供与及び契約製品の製造に必要な機械・設備の供給(別契約必要)などに関する技術援助契約 2000年3月~2010年2月
ヘンダーソンズ社
Henderson's Automotive Group
豪州 技術ノウハウ、特許の情報提供及び使用権付与及び従業員の訓練などに関する技術援助契約 1986年9月~2007年8月
サミットオートシート社
Summit Auto Seats Industry Co., Ltd.
タイ 契約製品の製造に必要なノウハウの供与及び従業員の訓練等に関する技術援助契約 1997年6月~2007年5月

設備投資

設備投資費
単位:百万円 2007年3月期 2006年3月期 2005年3月期
設備投資費 6,429 4,735 2,567

2007年3月期は、新工場の建設、新規受注及びモデルチェンジ等に伴う生産対応設備を中心に設備投資を実施。


設備の新設(抜粋)

会社名/事業所名 設備の内容 投資予定総額 
(百万円)
着工 完成予定
Industria de Asiento
Superior, S. A.
de C. V. - 本社工場
自動車座席用製造設備 1,253 2007年1月 2007年12月
タチエス - 武蔵工場 自動車座席用製造設備 1,059 2007年4月 2008年3月
Setex Inc. - 本社工場 自動車座席用製造設備 772 2007年4月 2008年3月
タチエス - 栃木工場 工場施設及び自動車座席用製造設備 512 2007年4月 2008年3月
TACLE Seating
U.S.A. LLC - 本社工場
自動車座席用製造設備 491 2007年1月 2007年12月
Setex Canada GP 自動車座席用製造設備 419 2007年4月 2008年3月
タチエス - 愛知工場 自動車座席用製造設備 349 2007年4月 2008年3月
タチエス - 平塚工場 自動車座席用製造設備 181 2007年4月 2008年3月