Schaeffler AG 2015年12月期の動向
業績 |
(単位:百万ユーロ) |
2015年 12月期 |
2014年 12月期 |
増減率 (%) |
要因 | |
全社 | ||||
売上高 | 13,226 | 12,124 | 9.1 | 1) |
EBIT | 1,402 | 1,523 | (7.9) | 2) |
自動車部門 | ||||
売上高 | 9,993 | 8,986 | 11.2 | 3) |
EBIT | 1,124 | 1,238 | (9.2) | - |
自動車部門4事業の売上高 | ||||
エンジンシステム | 2,585 | 2,266 | 14.1 | 4) |
トランスミッションシステム | 4,240 | 3,826 | 10.8 | 5) |
シャシーシステム | 1,468 | 1,360 | 7.9 | 6) |
アフターマーケット | 1,700 | 1,534 | 10.8 | 7) |
要因
1)全社売上高
-2015年12月期、全社売上高は前年比9.1%増の13,226百万ユーロ。為替の影響を除くと、売上高は前年比3.5%増となる。自動車部門の販売数量が伸びたことだが増収の主な要因。産業機械部門は減収となった。
2)全社EBIT
-2015年12月期、全社EBITは前年比7.9%減の1,402百万ユーロ。EU反トラスト手続きに関する法的リスク対応に238百万ユーロ、産業機械部門の再編費用として36百万ユーロを拠出した。
3) 自動車部門売上高
-2015年12月期の同部門の売上高は前年比11.2%増の9,993百万ユーロ。自動車1台あたりに採用される部品点数の増加により、売上高の伸びは世界の乗用車および小型商用車の生産台数の伸びを上回った。特に米国での需要が強い。
4) エンジンシステム事業
-2015年12月期の同事業の売上高は、可変バルブトトレイン部品とアクセサリードライブ製品の伸びにより前年比14.1%増の2,585百万ユーロ。サーマルマネジメントモジュール等の製造開始が売上に寄与した。
5) トランスミッションシステム事業
-2015年12月期の同事業の売上高は、前年比10.8%増の4,240百万ユーロ。自動トランスミッション部品、マニュアルトランスミッションのクラッチおよびギア部品、デュアルマスフライホイールの売上が好調だった。
6) シャシーシステム事業
-2015年12月期の同事業の売上高は、前年比7.9%増の1,468百万ユーロ。次世代ホイールベアリングの堅調な売上が寄与した。
7)アフターマーケット
-2015年12月期の同事業の売上高は、前年比10.8%増の1,700百万ユーロ。顧客ベースの拡大に成功した米州および欧州での売上が寄与。
買収
-2015年7月、Schaeffler Engineeringは、Schaeffler Technologiesの完全子会社であるIngenieurgesellschaft fur Triebwerkstechnik mbH (IFT) と合併したと発表した。これによりIFTは、「Schaeffler Engineering GmbH」としてエンジニアリングサービスを提供する予定。この2社の合併については、SchaefflerがIFTを完全子会社化した2013年から計画されていた。(2015年7月7日付プレスリリースより)
事業動向
-2015年10月8日付で新規株式公開 (IPO) を完了したと発表。無議決権普通株式7,500万株を機関投資家に売り出し、総額約938百万ユーロを調達した。株式は、2015年10月9日よりフランクフルト証券取引所のPrime Standardで取引が開始される予定。(2015年10月8日付プレスリリースより)
-シェフラージャパン(横浜市保土ヶ谷区)が日本のアフター市場の攻略を加速している。補修部品ビジネスは2011年に専任の担当者を配置して部品商社、整備工場ルートの開拓を始めたが、15年春にはディーラールートにも担当を新設。駆動、シャシー系部品を新車ディーラーで幅広く販売してもらうための提案を始めた。「従来はタイミングベルトとテンショナーを個別に扱ってもらっていたが、現在はキット部品として使ってもらえるようディーラー各社に提案している」(担当者)という。(2015年7月8日付日刊自動車新聞より)
-2015年6月、年内に中国南京工場でトラック用ホイールベアリングの生産を開始すると発表。年産量は50万ユニットに達する見込み。(2015年6月9日付け各種リリースより)
受賞
-Fordより 「World Excellence Award」 を 「Smart Pillar」 部門で受賞したと発表。Ford向けにエンジンやトランスミッション、シャシーをグローバルに生産している。製品ラインは、クラッチシステム、デュアルマスフライホイール、油圧ピボットエレメント付きフィンガーフォロワー、カムシャフトフェージングユニット、ドライブトレイン用の各種ベアリングなど多岐にわたる。(2015年6月17日付プレスリリースより)
-Toyota Motor Europeより 「Value Analysis」 部門で金賞を受賞したと発表。欧州7拠点でエンジンおよびトランスミッション部品を生産し、トヨタへ納入している。納入する製品には、英国の南ウェールズLlanelliにあるSchaeffler UKの工場で生産されているメカニカルタペットのほか、クラッチ、デュアルマスフライホイール、ディテントピン、油圧ピボットエレメントなどが含まれる。(2015年5月6日付プレスリリースより)
研究開発費 |
(単位:百万ユーロ) |
2015年12月期 | 2014年12月期 | 2013年12月期 | |
全社 | 720 | 622 | 611 |
売上に占める割合 (%) | 5.4 | 5.1 | 5.5 |
研究開発体制
-2015年12月現在、17の研究開発センターにて、6,650名が研究開発に従事。
-2015年の特許登録件数は2,643件。
-地域別拠点数:欧州 (9)、米州 (5)、中国 (1)、アジア・太平洋 (2)
研究開発拠点
<タイ>
-2015年8月、Schaeffler Asia Pacificは、タイのBangkokオフィスがシェフラーテクノロジーセンター (Schaeffler Technology Center: STC) の認定を取得したと発表。これにより、同拠点は、Schaefflerのグローバルテクノロジーネットワーク (Global Technology Network) に加わることになる。STC認定を受けるには、内部監査において取り付けサービスや故障解析などベアリングに関する12の専門分野で高度な知識を実証する必要があるという。(2015年8月6日付プレスリリースより)
<日本>
-2015年8月、シェフラージャパンは、5月に横浜市神奈川区から保土ヶ谷区に移転した開発拠点「中央技術研究所」を報道陣に公開した。横浜ビジネスパーク内の地上5階地下1階建ての建物で、シェフラージャパンの本社機能も兼ねている。延べ床面積は従来の約2千平方メートルから大幅に拡大し、4700平方メートルで稼働した。同施設には「RAPラボ」「ラボラトリー・オペレーション」「テストラボ」「デザイン・CAE」「マテリアルラボ」「トライボロジー・ケミストリーラボ」「メトロロジーラボ」の7つの開発チームを設置。現在は開発品の試験や調査をはじめ、素材や表面処理、摩擦などの研究を行っている。四元代表は同拠点について「自動車の進化とともに開発方法も変化していく。シェフラーグループの10年先の成長を見据えた重要な拠点で、欧州と日本の架け橋となる」と説明した。同社では20年までに従業員数を現在の270人から500人まで増やす計画で、合わせて今後はエンジンシステムの評価機器を導入するなど、順次試験設備を増やしていく。(2015年8月4日付日刊自動車新聞より)
研究開発活動
-日本の大学や研究機関などと素材や加工などの要素技術に関する共同開発を実施する。2015年5月の国内の研究開発体制の拡張に伴い、日系自動車メーカー向けの開発に加えて、次世代技術につながる素材開発などで日本の研究機関と連携する。新たに日本で要素技術の開発を行うことが商品力の底上げにつながると判断した。(2015年4月7日付日刊自動車新聞より)
-2015年3月、「エネルギー効率を最適化した、電気自動車のためのインテリジェントアシストによるステアリングシステム (e2-Lenk)」 プロジェクトに参加していると発表。このプロジェクトでは、ドイツ連邦教育研究省 (BMBF) の助成金を受けて新たなステアリングコンセプトを開発する。従来の車両において、内燃エンジンは車の加速のほかに、車載アシストシステムにエネルギーを供給する役割も担っている。電気自動車の場合、このエネルギーはバッテリーから供給されるため、走行距離が短縮されることになる。カールスルーエ工科大学とSchaefflerによるこの研究プロジェクトでは、個々のホイールに伝達される駆動トルクをインテリジェント制御することで、エネルギー効率を向上させたステアリングシステムの開発を目指す。同プロジェクトは2015年1月にスタートしており、BMBFが3年間にわたって約60万ユーロを支援する。(2015年3月30日付プレスリリースより)
製品開発
次世代電気駆動システム
-2017年に、次世代電気駆動システムの量産を開始する。リアアクスルやトランスミッション用クラッチに駆動用モーターを組み込んだシステムで、アジア系自動車メーカーのプラグインハイブリッド車 (PHV) 向けに供給する。同社が電気駆動システムを量産するのは初めてとなる。動力源やトランスミッション形式を問わず幅広く活用できるシステムとして、自動車メーカーへの提案を積極化していく。(2015年12月8日付日刊自動車新聞より)
電動アクティブロールスタビライザー
-電動アクティブロールスタビライザーの量産を開始すると発表。このシステムは、カーブや急な回避行動時に車体のロールを最小限にする従来の油圧スタビライザーを代替するもので、ねじり制御機能も備える。従来の油圧システムと比較し、0.3L/100kmの燃費向上が見込まれる。この新システムの量産開始に向けて、ドイツのSchweinfurt拠点に新たな生産設備を建設している。(2015年9月3日付プレスリリースより)
中国市場向けコンセプトカー
-中国でハイブリッドシステム 「P2」 を搭載したコンセプトカー 「Schaeffler Efficient Future Mobility China」 を開発した。「P2」 とは、エンジンとトランスミッションの間に電気モーターが設置されているという意味で、専用のハイブリッドクラッチが電気駆動の間、内燃エンジンを切り離す仕組み。このコンセプトカーに搭載されるパワートレイン部品には、ダブルクラッチトランスミッションや1.0L 3気筒ターボエンジンが含まれる。これらの部品は、ベースとなる長安汽車 「逸動 (Eado)」 セダンの2013年モデルに搭載されている1.6L 4気筒エンジンとオートマチックトランスミッションを代替するものとなる。(2015年4月19日付プレスリリースより)
E-クラッチシステム
-メカニカルクラッチまたは油圧クラッチの置き換えとして、電動のE-クラッチシステムを開発した。特殊なドライブ条件下で作動させるモードと完全自動のオールクラッチモードを選択できる。エンジンをトランスミッションから切り離したり、電気的に駆動をサポートすることで、マニュアルトランスミッション車の燃費向上に寄与する。
設備投資額 |
(単位:百万ユーロ) |
2015年12月期 | 2014年12月期 | 2013年12月期 | |
全社 | 1,025 | 857 | 573 |
-2015年12月期の設備投資は、以下の分野に投下された。
- 38%: 生産能力の拡大
- 31%: 新製品の製造ライン構築
- 14%: 工場の再編
- 11%: 工場の機能拡大
- 4%: 合理化
海外投資
<メキシコ>
-メキシコのプエブラ州Huejotzingoに新工場を開設したと発表。新工場では、米国および日本の自動車メーカー向けにトルクコンバーターを生産する。約16,000平方メートルの生産スペースのほか、研究開発センターを備える。従業員数は約550名を予定しており、すでに拡張計画も進められている。(2015年12月18日付プレスリリースより)
<チェコ>
-チェコのSvitavyに新工場を建設し、東欧における事業拡大を後押しする。今後3~5年間で同拠点に92.5百万ユーロ超を投資し、960名の新規雇用を創出する見込み。Svitavyの工業地域で建設を開始した。生産棟の建設には18.5百万ユーロを投じる予定。新工場は、2016年秋に生産を開始し、2019年までにフル稼働に達する見込み。主にサーマルマネジメントモジュールを生産する。Schaefflerは、新工場をはじめ同国Lanskrounにある既存工場に大規模な投資を行い、新たな設備を導入する計画。(2015年11月5日付プレスリリースより)
<タイ>
-タイのチョンブリ県において新工場建設に向けた定礎式を実施したと発表した。新たな生産ラインを追加することで、東南アジアをはじめとするアジア太平洋地域での生産能力を大幅に拡大する。新工場の敷地面積は55,000平方メートル。2016年第1四半期に生産を開始する予定。第1フェーズでは、クラッチディスク、クラッチプレッシャープレート、機械式・油圧式ベルトテンショナー、シンクロナイザーリング、クラッチレリーズベアリング、クラッチレリーズシステムなどを生産する。(2015年2月9日付プレスリリースより)