Bosch Group (China) [Bosch Group (中国事業)] 2010年12月期の動向
ハイライト
<概要>
-近年は研究開発の現地化を促進、中国市場向けに現地化した製品の開発及び生産を拡大。-ディーゼルシステム、ガソリンシステム、自動車エレクトロニクス、電動システム、シャシーシステムの分野で事業を展開。
-2010年、中国事業が急速成長し、売上が前年同期比44%増の42億ユーロに達した(人民幣で計算すると、38%増)。(2010年同社アニュアルレポートより)
上海に新本社を開設
-Bosch Chinaが上海に新本社を開設したと発表。同グループにとって、アジア・太平洋地域の最大拠点となる。約980百万中国元(約103百万ユーロ)を投資 する。床面積は78,000平方メートル超。2011年末までに約1,500名の従業員が勤務し、2012年末までにさらに500名を増員する見込み。新 社屋にはBoschの全部門が入居し、先端素材研究所などの研究開発施設も設置される予定。(2011年4月20日付プレスリリースより)中国市場にグリーンディーゼル技術を採用
-北京モーターショーにカーメーカー各社が出展した車種のうち、ボッシュのグリーンディーゼル技術を採用したものが20車種余りに上ることがわかった。乗用 車では奇瑞汽車の威麟V5 1.9TDDIと開瑞優優、吉利汽車の帝豪EX7及び華泰汽車のB11 2.0Dなど。商用車では福田汽車の欧曼重型トラック及び解放J6重型トラックなど。このほかアウディQ7、Q5、ベンツVITOなど海外ブランドモデル でも採用されている。中国乗用車市場におけるディーゼルエンジンのシェアはまだ低いが、多くの中国自主ブランドメーカーが積極的にディーゼル車の投入を 行っており、5年後にはディーゼルエンジン乗用車の割合は20%から30%になるものとボッシュでは見ている。なおボッシュのコモンレールシステムを搭載 した開瑞優優は初の中国製ディーゼルミニバンである。 (2010年5月2日付プレスリリースより)ハイブリッド・電気自動車駆動部門設立
-2010年11月5日、深センで開催された第25回世界電気自動車展覧会(EVS25)でボッシュは最新の電気自動車とハイブリッド車の技術を展示すると ともに、中国での現地生産化を加速させる意向であることを発表した。ボッシュの子会社「聯合汽車電子有限公司」は2009年末に電力駆動業務部を立ち上げ 現地化と生産能力の拡大に努めているが、同業務部の中国現地要員を2011年までに100名超に増員し、IMG(Integrated Motor Generator)とSMG(Separate Motor Generator)を含む重要部品の現地生産を2012年に開始する見込みである。IMGはシングルまたはダブルクラッチのパラレル式ハイブリッド動力 系統のために設計したもので高い性能と起動能力を有している。SMGはIMGに比べより小さく軽くなっており、未来の純電気自動車に適している。同社はま たDC/DCコンバータを集約した電力電子コントローラーも現地生産化する計画である。(2010年11月14日付プレスリリースより)-中国でリチウムイオン電池の生産を始める意向である。現在韓国Samsung SDIと上海汽車の三社間で協議を進めている。BoschとSamsung SDIは2008年にハイブリッドカー用電池生産の合弁会社を設立した。この合弁会社の生産と研究開発業務の一部をBoschが上海汽車と新たに設立する 自動車部品会社に移転する計画。協議は最終段階に入っており、2012年の稼働開始を目指す。(2010年9月20日付プレスリリースより)
「New Baseline」ジェネレーターの量産を開始
-2010年半ばから、中国湖南省の長沙(Changsha)工場で「New Baseline」ジェネレーターの量産を開始する。低価格小型車向けで、吉利汽車 (Geely)、第一汽車(FAW)、Volkswagenに納入する計画。同製品はブラジルでは2008年から、インドでは2009年から生産されてい る。なお、将来的には南アフリカ共和国や欧州でも生産する予定。(2010年8月4日付プレスリリースより)
長安汽車にStart-Stopシステムを提供
-2008年の北京モーターショーで発表し注目を浴びたStart-Stopシステムの主要部品の国産化率が70%に達した。中でもスターターの 国産化率は90%にまで達している。すでに長安汽車との提携が始まっており、今後長安汽車の多くのニューモデルがこのStart-Stopシステムを搭載 することになる。なお、ボッシュは既に本年初めに簡易なエコノミータイプのStart-Stopシステムを中国で発表している。(2010年4月24日付 プレスリリースより)
■自動車エレクトロニクス
「聯合汽車電子有限公司」の受賞
-子会社「聯合汽車電子有限公司」は下記のとおり各賞を受賞した。吉利汽車 2010年度優秀サプライヤー賞神龍汽車 2010年度特別貢献賞東南汽車 特殊貢献賞上海汽車 2010年度ベスト品質進歩賞一汽海馬汽車 優秀サプライヤーベストテン北汽福田 2010年度優秀サプライヤー賞長安スズキ 2010年度優秀サプライヤー賞上汽GM五菱 2010年度優秀サプライヤー賞東風柳州汽車 2010年度優秀サプライヤー賞 哈爾浜東安汽車動力 2010年度優秀サプライヤー賞瀋陽航天三菱発動機 2010年度優秀サプライヤー賞(2010年4月25日付プレスリリースより)-子会社「聯合汽車電子有限公司」は上海VWよりエクセレント開発賞を受賞した。2010年、同社は上海VWのEA211エンジンプラットホーム 向けにコントローラーME17.5.22、酸素センサーLSF X4などを含む新しいシステムソリューションを提供する。(2010年1月17日付プレスリリースより)
■シャシーシステム
-2011年4月20日、ハイブリッド車及び電気自動車用の回生ブレーキシステム「HAS hev」の生産を年内に中国で開始すると発表した。このシステムは車輪の回転エネルギーを最大限に電気エネルギーに変えバッテリーに蓄積するもので、航続 距離を伸ばすと同時に燃費を向上させ二酸化炭素の排出を大幅に引き下げる。またハイブリッド車と電気自動車の動力系統分野においては、2010年、合弁会 社「聯合汽車電子有限公司」に電力駆動業務部を設立し重要部品の技術開発を進めてきており、2012年の国産化を目指している。2013年にはボッシュの 部品を搭載した新エネルギー車が量産される見通しである。(2011年4月20日プレスリリースより)
開発動向
研究開発体制
-上海(Shanghai)、無錫(Wuxi)、蘇州(Suzhou)、重慶(Chingqing)及び長沙(Changsha)の5カ所にテクニカルセンターを保有し、中国市場に特化した先端技術の研究開発を行う。中国のニーズにすばやく対応するため、開発研究者の現地採用を強化。
-2008年11月に冬季自動車性能試験センターを内蒙古牙克石 (Yakeshi, Inner Mongolia)に開設。
テクニカルセンター
所在地 | 設立年 | 名称 | 業容 |
1.上海 | 1995年 | 聯合汽車電子有限公司技術中心 (United Automotive Electronic Systems Co., Ltd.Technology Center ) |
ガソリンエンジンシステムの研究開発 |
2.無錫 | 2005年 | 博世柴油技術中心 (Bosch Diesel Technology Center) |
ディーゼルエンジンシステムの研究開発 |
3.蘇州 | 2005年 | 博世(蘇州)技術中心 (Bosch Suzhou Technoligy Center) |
自動車電子技術及びブレーキシステムの研究開発 |
4.重慶 | 2006年 | 聯合汽車電子有限公司(重慶)技術中心 (United Automotive Electronic Systems Co., Ltd. Chingqing Technology Center) |
ガソリンエンジンシステムのマッチング技術サポート等 |
5.長沙 | 2012年 <建設中> |
<仮>博世(長沙)技術中心 (Bosch Changsha Technoligy Center) |
電動システム、、スターターモーターの研究開発 |
所在地 | 設立年 | 名称 | 業容 |
1.内蒙古 牙克石 |
2007年 | 博世 (呼倫貝爾) 汽車測試技術中心有限公司(Bosch (Hulunbeier) Automotive Winter Testing Co, Ltd.) | 寒冷気候条件下でのABS、ESP、TCS等各種アクティブセーフティーシステムの走行テスト |
2.東海 | 2010年 | 博世(東海)夏季汽車測試技術中心(Bosch (Donghai) Automotive Test & Technology Center Co., Ltd.) | ABS、ESPなどのセイフティ技術と製品の研究開発及び評価測定テスト |
所在地 | 設立年 | 名称 | 業容 |
上海 | 2005年 | 易特馳汽車技術(上海)有限公司(ETAS Automotive Technology (Shanghai) Co., Ltd.) | ECU開発、ソリューション |
長沙に中国第5番目のR&Dセンター
-長沙経済技術開発区に新たに3万平方メートル超の土地を確保し、新工場1棟、R&Dセンター1棟及びその他の付属施設を建設する。2012年半ばの完成を目指す。R&Dセンターは上海、蘇州、無錫等に続くボッシュ中国第5番目のR&Dセンターで、電動システム、、スターターモーターなどの研究開発を行う。R&Dセンターのエンジ ニアは現在の200名からさらに150名が増員される予定である。(2010年8月19日付プレスリリースより)
試験センターの拡張
-既存の生産拠点と試験センターの拡張を行い安全システム分野の強化を進めている。建設中の「博世汽車部件(蘇州)有限公司」第2工場は近々完成 し、稼働を開始する。内蒙古の冬季試験センターでは二本目の走行テストコースの建設を年内に開始する。2010年10月に定礎式を行った東海県の夏季試験 センターでは2012年末に第一期工事が完了する予定である。また中国で需要が益々高まっているABSとESPはモジュール化により性能を進化させた新世 代型が年内に国産化される見通しである。(2011年4月20日付プレスリリースより)
-2010年10月26日、江蘇省東海県に自動車試験センターを建設する定礎式を行った。投資額は3.6億元、完成は2012年を予定している。主に ABS、ESPなどのセイフティ技術や製品の現地化のための研究開発や評価測定テストを行う。試験センターの面積は百万平方メートルで、各種のプルービン ググラウンドを備える。また完成後は顧客であるアジア太平洋地域のカーメーカーが車両開発に利用するため設備を提供する。(2010年10月26日付プレスリリースより)
製品開発
-無錫威孚高科技股份有限公司との合弁会社「博世汽車柴油系統股份有限公司」は乗用車及び軽型商用車用の新しいエコノミー型高圧コモンレールシステ ムCRS1-16を2011年下半期より正式に販売する。国Ⅳ排ガス基準に対応しており、特に微型バン、微型トラックに適している。同社は更に商用車用排 ガス後処理システムDenoxtronic 6を2012年に販売する予定である。国Ⅳまたはそれ以上の排ガス基準に対応しており、異なる走行環境でのいろいろなニーズに合わせたオーダーメード仕様 が可能である。(2011年4月20日付プレスリリースより)
-エアバッグコントロールユニットの新製品「AB light」を開発した。中国、インド、ブラジルなどの新興国市場で需要が拡大している低価格車向け。中国江蘇省の蘇州(Suzhou)工場で東風汽車 (Dongfeng Motor)向けに量産を開始した。「AB light」は設計の標準化に加え、自社開発した特定用途向け集積回路(ASIC)を使用することにより、部品点数削減と小型化を実現した。(2010年 6月22日付プレスリリースより)
技術提携
-2011年2月25日湖南省長沙市において湖南江麓容大車輌伝動股份有限公司(Hunan Jianglu & Rongda Vehicle Transmission Limited Company)(略称:江麓容大)と小型乗用車用無段変速機CVTの共同開発に関する合意書を結んだ。ボッシュは技術指導を行い、江麓容大はボッシュか ら部品を購入し生産する。共同開発した製品の知的財産権は江麓容大が所有する。開発するCVTはボッシュの最新技術を採用し、モジュール化してトルクコン バーターやハイブリッド動力系統などの搭載も可能な、顧客ニーズに適応できる製品とする。また変速機の効率を高めるだけでなく、15%の軽量化、20%の コストダウンを実現する。現在中国の自主ブランド車のCVT搭載率は10%に満たない状況であるが、ボッシュは2016年までに22%まで拡大すると予測 している。なお、江麓容大は2003年設立で、中国で初めてCVTを自主開発した年産能力5万台を有するトランスミッションメーカー。(2011年2月 26日付各種リリースより)
設備投資
エコロジー技術開発への投資
-創業125周年に当たり、ドイツ、中国、インド及び米国の大学と研究機関に対し、今後10年で5千万ユーロを拠出し研究開発の支援を行うことを 表明している。このうち中国では4つの大学及び中国科学院に対し10年間で5百万ユーロを助成しエコロジー技術の分野で提携をする。具体的には、同済大学 (Tongji University)、上海交通大学(Shanghai Jiao Tong University)と電気自動車用モーター、電子制御部品、回生ブレーキ、電池などの研究開発を行うほか、復旦大学(Fudan University)、清華大学(Tsinghua University)とリチウムイオン電池の電気自動車における標準化の研究と改善を行う。(2011年5月プレスリリースより)長沙工場の拡張
-長沙工場の拡張を行う。長沙経済技術開発区に新たに3万平方メートル超の土地を確保し、新工場1棟、R&Dセンター1棟及びその他の付 属施設を建設する。投資総額は2.4億元。2012年半ばの完成を目指す。拡張後長沙工場の生産能力は倍増する。R&Dセンターは上海、蘇州、無 錫等に続くボッシュ中国第5番目のR&Dセンターで、電動システム、、スターターモーターなどの研究開発を行う。R&Dセンターのエンジ ニアは現在の200名からさらに150名が増員される予定である。(2010年8月19日付プレスリリースより)「博世汽車部件(蘇州)有限公司」に第2工場
-子会社「博世汽車部件(蘇州)有限公司(Bosch Automotive Products (Suzhou) Co., Ltd.) 」に第2工場を建設し、ABSとESPの生産量を拡大する。竣工は2011年5月を予定している。現在蘇州のABSとESPの年産量は200万セット。新 工場の生産能力は明らかにされていないが、ボッシュはESPを搭載する中国の乗用車は2015年までには現在の12%から25%に増加すると見込んでい る。(2010年11月16日付各種リリースより)「聯合汽車電子有限公司」の新工場
-2011年4月8日、子会社「聯合汽車電子有限公司」は無錫新区に第2工場を建設することで同区と合意した。面積は約8万平方メートル。無錫工場から約8.5キロメートルの距離に位置する。(2011年4月8日付プレスリリースより)-2011年3月21日、子会社「聯合汽車電子有限公司」は安徽省蕪湖(Wuhu, Anhui Province)で蕪湖工場の開業を祝う式典を行った。(2011年3月21日付プレスリリースより)