村田製作所 2007年3月期の動向

ハイライト

2007年3月期のハイライト
(単位:
百万円)
2007年
3月期
2006年
3月期
増減率
(%)
要因
全社
売上高 566,805 490,784 15.5% 需要の拡大に対し、主要製品の生産能力増強を推進。また、製品価格の下落に対し、生産性改善などコストダウン活動を推進するとともに、高付加価値の新製品の商品化を進め、収益体質の改善を図った。その結果、増収増益を達成。
営業利益 113,365 89,839 26.2%
当期純利益 71,309 58,448 22.0%

製品別販売実績
(単位:
百万円)
2007年
3月期
2006年
3月期
増減率 対象部品
売上高
構成比 売上高
コンデンサ 215,255 38.1% 173,598 24.0% -積層セラミックコンデンサ
-円板型セラミックコンデンサ
-トリマコンデンサ
圧電製品 81,585 14.4% 73,242 11.4% -セラミックフィルタ
-セラミック発振子
-表面波フィルタ
-圧電センサ
-圧電ブザー
高周波デバイス 114,108 20.2% 97,178 17.4% -多層デバイス
-近距離無線通信モジュール
(Bluetooth® モジュール含む)
-誘電体フィルタ
-アイソレータ
-コネクタ
モジュール製品 59,306 10.5% 58,303 1.7% -回路モジュール
-電源
その他製品 94,601 16.8% 86,808 9.0% -EMI除去フィルタ
-コイル
-センサ
-抵抗器
合計 564,855 100.0% 489,129 15.5% -

カーエレクトロニクス市場

-2007年3月期のカーエレクトロニクス市場向け販売実績は615億円で、全体の10.9%を占める。前年度に比べて66億円(12.0%)の売上増。

-カーナビゲーションの搭載率向上により、大容量コンデンサ、Bluetooth®モジュールが増加。また、電装化の進展に伴い、リモートキーレスエントリー、タイヤプレッシャーモニタリングシステム、エアバッグ向け製品が増加したことにより、増収を達成。

企業買収

2006年4月、子会社のMurata Electronics North America, Inc. (MEA)が米国の無線通信モジュールメーカーのSyChip, Inc.を完全子会社化したと発表。SyChipは米国および中国に拠点を有し、得意先へのソフトウェアサポートを提供している。これらのソフトウェア技術やソフトウェアサポート力を、同社が保有するLTCC(低温同時焼成セラミック)技術を用いた無線通信用モジュール事業に活かし、同事業の一層の拡大を目指す。(2006年4月13日付プレスリリースより)

事業提携


エナックス(株)(本社:東京都)が保有するリチウムイオン2次電池に関する既存技術を同社に供与することで合意。また、同社、エナックス(株)、大研化学工業(株)(本社:大阪府)の3社は、リチウムイオン2次電池における開発・設計、製造、販売に関する包括的業務提携契約を締結。同電池事業参入の早期実現に向けた研究開発や、量産体制の構築を目指す。

3社の役割分担は以下の通り。
会社名 担当
村田製作所 電池の開発、製造、販売および材料の開発、製造
エナックス 電池の開発、製造、販売
大研化学工業 材料の開発、製造および製品の販売

ハイブリッド車向けの電池が、現在のニッケル水素電池からパワー用リチウムイオン2次電池に置き換えられることで、2010年以降、同電池の市場が急速に拡大すると見込まれている。(2006年9月19日付プレスリリースより)

事業譲受

同社とローム(株)は2006年11月、ロームのチップ積層セラミックコンデンサ事業を同社へ譲渡することで合意。この事業譲渡は、ロームにおいては経営資源の有効かつ効率的活用を図ることができ、同社においては顧客基盤の拡大による事業強化を図るなど、両者の意向が一致したことで実現に至ったもの。ロームは京都府に本社を置き、2006年3月期の同事業売上高は約35億円。本譲渡に関して株式、従業員、生産設備の移転は行われない。また、譲渡対象にEMIフィルタ、タルタルコンデンサは含まれない。(2006年11月9日付プレスリリースより)

国内動向

-(株)金沢村田製作所

2007年1月より6番目の生産棟を建設すると発表。

>>> 詳細は設備投資 参照

-(株)岡山村田製作所


2007年3月、新生産棟の竣工式を開催。

>>> 詳細は設備投資 参照

-(株)福井村田製作所

2007年3月、新生産棟の竣工式を開催。

>>> 詳細は設備投資 参照

海外動向


-インド

2007年1月、海外関係子会社であるMurata Electronics Singapore (Pte.) Ltd.はインドに事務所を開設。同地の電子機器市場に対して、従来はシンガポールから対応してきたが、今後は直接現地で情報収集する体制を構築する。また、得意先のインド進出や進出検討が続いており、現地マーケット情報の収集とともに、将来的に必要となる体制やその規模を見極めることも、事務所設立の目的。営業開始日は2007年2月1日。(2007年1月31日付プレスリリースより)

開発動向

研究開発体制

拠点 所在地 概要
八日市事業所 滋賀県東近江市 素材プロセス開発
野洲事業所 滋賀県野洲市 生産技術・電子材料・薄膜プロセス技術の研究開発
横浜事業所 横浜市緑区 情報通信・機能モジュール商品の開発
次世代技術研究所 京都府京都市 新技術・新事業領域の研究開発 

-同社グループの本社直轄の研究開発組織を2007年1月に変更。
-ニーズに合った研究開発のテーマ実践とその研究開発成果を効率よく事業化させるため、"技術・事業開発本部"を新設。その中の研究開発センターに、材料および応用デバイス開発機能を統合し、一本化。
-将来へ向けての対応として、同社グループの新しい事業領域を模索する"次世代技術研究所"を京都リサーチパーク内に設置、大学や外部研究機関との情報交換や共同研究を推進。
-最大の研究開発機関である野洲事業所では、新しい事業領域となるエネルギー分野の研究開発強化のために新棟を建設、開発品の早期事業化に努める。

-野洲事業所
13番目の研究開発棟の竣工式を2006年10月30日に行うと発表。主要製品に使用する化学材料の開発・生産体制の強化を目的とする。

新棟の概要は以下の通り。
項目 内容
工期 2006年3月から2006年10月まで
総投資額 46億円 (生産設備費用は除く)
延床面積 15,195平方メートル
建築面積 3,047平方メートル (東西36メートル x 南北75メートル)
用途 セラミック電子部品に使用する電極ペーストなどの化学材料、セラミックス材料の開発・生産

なお同事業所は、生産技術・電子材料・薄膜プロセス技術の研究開発を担うグループ最大の研究開発拠点。(2006年10月27日付プレスリリースより)

-本社
同社本社敷地内において、2006年12月より研究開発新棟を建設すると発表。

新棟の概要は以下の通り。

項目 内容
工期 2006年12月 着工 / 2007年9月 竣工
延床面積 8,063.65平方メートル
建築面積 1,746.33平方メートル
用途 研究・開発・設計

同社は今回の新棟を野洲事業所、横浜事業所に続く第3の研究開発拠点として位置づける計画。(2006年11月6日付プレスリリースより)

研究開発費用 (2007年3月期)
2007年3月期の研究開発費用は総額38,670百万円。

主な研究開発実績(2007年3月期)

(1)カーナビゲーション用超小型低背のMEMSジャイロの商品化
従来の圧電タイプに比べて大幅な高精度と小型化を実現したジャイロセンサ"MEV-50A-R"を商品化。サイズは10.0mm x 10.0mm x 3.3mmであり、表面実装に対応。同製品はMEMS(注)技術を駆使した振動ジャイロであり、振動子構造体に単結晶シリコンを採用している。更に、MEMS素子からの微小信号を処理する回路部も、専用ICを開発することにより温度特性など安定な動作を可能とした。本製品は2006年4月より量産開始。

 (注)MEMS:Micro Electro Mechanical Systemsの略。
        半導体微細加工技術による微小な部品から構成される電気機械システム。

(2)パワーエレクトロニクス用セラミックコンデンサの商品化
インバータ機器の小型化や高効率化への貢献を目指して開発した、パワーエレクトロニクス用途特化型の積層セラミックコンデンサ "ECVシリーズ"を商品化。ハイブリッド自動車や電気自動車の駆動モータ、電動エアコンのインバータに使用されている平滑用コンデンサ用のフィルムコンデンサやアルミ電解コンデンサに比べて、ECVシリーズは特に高周波側でのESRが低い。また、セラミックを誘電体としているため小型大容量であり、より高温で動作保証が可能となっている。本製品は2007年1月より量産を開始。

設備投資

設備投資額 (2007年3月期)
項目 金額
(単位:百万円)
生産設備の増強・合理化等 63,842
建物建設 19,926
研究開発用設備の増強 6,954
合計 99,651

国内投資 (2007年3月期)

-(株)金沢村田製作所

2007年1月より、敷地内において6番目の生産棟を建設すると発表。

新工場棟の概要は以下の通り。
項目 内容
工期 2007年1月から2007年10月まで
総投資額 300億円/5年 (建物、生産設備含む)
生産面積 16,000平方メートル
建築面積 75メートル x 105メートル
用途 高周波用デバイス商品の生産

新工場棟完成後は、現状の移動体通信市場のみならず、新市場への拡大に伴う新商品開発・生産に注力し、新製品比率を更に向上させる計画。このため当面の2年間で、技術者・生産作業者を約200名増員する予定。
(2006年9月7日付プレスリリースより)

-(株)岡山村田製作所

2007年3月22日、第6番目となる新生産棟の竣工式を開催。

新工場棟の概要は以下の通り。
項目 内容
工期 2006年8月から2007年2月まで
総投資額 174億円
延床面積 27,000平方メートル
用途 積層コンデンサ、多層デバイスの製造

なお、(株)岡山村田製作所は同社グループ企業の中で最大級のコンデンサおよび多層デバイスの製造拠点。(2007年3月20日付プレスリリースより)

-(株)福井村田製作所

2007年3月28日、第6番目となる新生産棟の竣工式を開催。

新工場棟の概要は以下の通り。
項目 内容
工期 2006年8月から2007年3月まで
総投資額 150億円
延床面積 17,200平方メートル
用途 積層コンデンサ

(株)福井村田製作所はセラミックスをベースとした電子部品(積層コンデンサ、高周波デバイス、EMI除去フィルタ等)の開発・製造拠点。(2007年3月27日付プレスリリースより)

設備の新設計画 (2008年3月期)
会社名
事業所名
設備の内容 投資予定
総額
(百万円)
着手 完了
予定
(株)村田製作所
野洲事業所
研究開発設備および半製品等生産設備 16,100 2007年4月 2008年3月
(株)村田製作所
八日市事業所
原材料等生産設備 5,200 2007年4月 2008年3月
(株)出雲村田製作所 コンデンサ生産設備および生産用建物 21,100 2007年4月 2008年3月
(株)金沢村田製作所 高周波デバイス生産設備および生産用建物 18,200 2007年4月 2008年3月
(株)福井村田製作所 コンデンサ等生産設備 13,200 2007年4月 2008年3月