(株) アドヴィックス 2016年3月期の動向

近年の動向

事業概況 (2016年3月期)

-2016年3月期の売上高は、北米をはじめとした海外の得意先カーメーカーの生産台数増加などにより、前年比4.5%増の551,200百万円。
-営業利益は、収益体質強化活動の成果や為替の影響があったものの、減価償却費などの費用増加により8.0%減の8,800百万円。

事業計画

-トヨタ自動車、アイシン精機デンソー住友電気工業は、アドヴィックスの増資と持ち株比率の変更で合意したと発表した。今年9月にアドヴィックスが103億3800万円の第三者割当増資を行い、アイシン精機、トヨタ、デンソーが引き受ける。併せて、デンソーは住友電工から株式譲渡を受ける。この結果、持ち株比率はアイシン精機が55%から51%へ、デンソーが18%から34%へ、住友電工が18%から6%へ変更される。トヨタは9%で変わらない。増資は、アドヴィックスの事業基盤強化に活用する。(2016年5月2日付日刊自動車新聞より)

海外事業

<チェコ>
-2015年12月、アドヴィックスは、Daimlerの「Mercedes-Benz」向けにディスクブレーキキャリパーの納入を開始したと発表した。チェコにある子会社 ADVICS Manufacturing Czechで生産を行っている。(2015年12月24日付プレスリリースより)

刈谷工場の爆発事故

-2016年5月30日午後12時5分、アイシン精機の子会社でブレーキシステム大手のアドヴィックスの刈谷工場で、爆発事故があった。4人が負傷し、病院に搬送された。意識はあるという。同社によると、ブレーキ部品の塗装ライン付近でガス爆発があった。出火したあと、火は消し止められた。原因は確認中だ。工場は操業を止め、従業員は全員避難している。(2016年5月31日付日刊自動車新聞より)

-2016年5月31日、爆発が起きた2階の塗装ライン以外の製造ラインで順次、操業を再開した。損傷した塗装ライン付近は消防の事故検証が入り、生産再開のめどは立っていない。このため、工場全体の売上高の15%を占めるブレーキブースターなど生産停止が続くと見込まれる部品については、他の工場での代替生産を調整している。(2016年6月1日付日刊自動車新聞より)

-2016年6月30日、アドヴィックスは5月30日正午頃に発生した刈谷工場塗装ラインでの爆発事故の原因や対策をまとめ、発表した。排気ファンの修理中に乾燥炉内で不完全燃焼が起こり、修理後に排気ファンを回したところ、未燃ガスに引火したと推測している。このため同社は、排気ファンの停止時は、乾燥炉と脱臭炉のバーナーを自動遮断するなどの対策を実施することにした。8月に事故ラインの復旧を目指す。現在、ブレーキブースターやパーキングブレーキなどはアイシングループで代替生産している。8月に刈谷工場の復旧を目標にしている。(2016年7月2日付日刊自動車新聞より)

国内生産体制の再編

-2015年2月、アイシン精機とアドヴィックスは、愛知県半田市に設置を予定している新工場の建設に着手したと発表した。2016年以降、アドヴィックスがデンソーとアイシン精機から制御ブレーキの生産移管を受けることに伴うもので、アイシン精機・半田工場の敷地内で建設を始めた。投資額は約110億円。アイシン精機が建設し、アドヴィックスに貸与する。2016年1月以降、横滑り防止装置、回生協調ブレーキ、ハイドロブースターなどを生産する。新工場の建屋面積は、工場スペースが3万7,600平方メートル、事務所スペースが6,750平方メートル。2016年時点の従業員数は約200人を見込んでいる。(2015年2月21日付日刊自動車新聞より)

-2015年1月、アイシン精機はグループの事業再編に合わせ、中部地区の工場の生産分担を再構築する方針。2016年にブレーキ部品を半田工場 (愛知県半田市) からアドヴィックスの半田新工場 (同) に移管、シロキ工業と経営統合することを打ち出している。これに伴い、中部地区の工場全体で最適化を推進する。生産再編は一部でスタートしており、2014年5月にエンジン冷却用ウォーターポンプを半田工場から西尾機関工場 (愛知県西尾市) に移管した。2016年のグループ再編を機に生産体制の見直しを加速し、2018年頃にかけて強固な生産基盤を再構築する。(2015年1月27日付日刊自動車新聞より)

研究開発費

(単位:百万円)
2016年3月期 2015年3月期 2014年3月期 2013年3月期
合計 19,300 19,000 19,500 19,300

製品開発

-2016年4月、同社は年内に、10年先を見据えた技術開発の長期ビジョンを策定すると発表。長期的な視点のロードマップを示すことにより、次世代の技術や商品を効率的に開発する。長期ビジョンでは、先進運転支援システム(ADAS)など自動運転につながる技術への対応に加え、環境負荷を軽減できる新技術や製品開発を軸とする方針だ。同社では車両を安全に停止させる観点から、ADASの中でもブレーキシステムが重要な鍵を握るとみている。先行技術の開発を強化することで高精度なブレーキシステムを開発し、ADASの進化に貢献する。(2016年4月20日付日刊自動車新聞より)

-2015年10月、従来品よりも油圧応答性を高めた電子制御ブレーキシステムを開発したと発表した。近く全面改良するトヨタ自動車のハイブリッド車「プリウス」に採用された。新製品は機能向上で、従来よりも滑らかな作動フィーリングを実現すると同時に、エネルギーの回収領域も広くなり燃費向上に貢献するという。また、将来の高度運転支援制御にも対応できる機能拡張性を持たせた設計となっている。(2015年10月27日付日刊自動車新聞より)

設備投資額

(単位:百万円)
2016年3月期 2015年3月期 2014年3月期 2013年3月期
合計 23,730 25,800 13,180 11,412

設備の新設計画

-2016年3月31日現在、同社はブレーキおよびシャシー関連製造設備等に43,600百万円を投資する計画。