(株) アドヴィックス 2015年3月期までの動向

ハイライト

近年の動向

事業概況 (2015年3月期)

-2015年3月期の売上高は、海外の得意先カーメーカーの生産台数増加などにより、前年比3.1%増の527,300百万円。
-営業利益は、収益体質強化活動の成果や為替の影響があったものの、生産準備費用などの増加により、前年比31.4%減の9,600百万円。

事業計画

-同社は2018年度以降の成長目標を定める長期ビジョンの策定に着手した。2014年7月現在、 2018年3月期までの中期方針として連結売上高を6千億円に引き上げる目標を設定している。同社の2014年3月期決算は、売上高が前期比14.3%増の5115億円だった。リーマンショック以降、タイや中国などに海外生産を拡大しており、今後もインドネシア、ブラジル、チェコなどで供給体制を整備していく。これまでは日系メーカー向けの取引が主体だったが、2015年に独ダイムラーにディスクブレーキキャリパーを初供給することも決まっている。(2014年7月9日付日刊自動車新聞より)

海外事業

<メキシコ>
-2014年9月、同社は2016年をめどにメキシコに進出すると発表した。ホンダ、日産自動車、マツダなど日系メーカー各社が現地で完成車生産を拡大していることに対応し、ハリスコ州ラゴス・デ・モレノ市に工場を建設する。投資額は約15億円。2016年3月からドラムブレーキの生産を開始する。メキシコで新規受注した分を生産、供給する。アドヴィックスが中米に生産拠点を設置するのは初めて。北中米で6カ所目の拠点となる。18年度をめどに売上高34億円を確保する計画。(2014年9月26日付日刊自動車新聞より)

<南アフリカ>
-2014年4月、2016年度をめどに南アフリカに進出すると発表した。同社がアフリカ地域に進出するのは初めて。新会社 「ADVICS South Africa (Pty) Ltd.」 を設立。豊田通商の拠点の一部を賃借して生産体制を構築する。進出当初はディスクブレーキキャリパー、ローター、ドラムブレーキなどの最終組立を行い、トヨタ自動車向けに供給する。2016年度は約40億円の売り上げ規模を見込む。将来的に他メーカーにも拡販し、生産体制も拡充するとしている。(2014年4月23日付日刊自動車新聞より)

<ブラジル>
-2014年4月、同社とアイシン精機アイシンAIの3社は、ブラジルの生産体制を拡充すると発表した。アイシン精機がサンパウロ州イトゥ市に持つ生産拠点にアイシンAIとアドヴィックスが入居し、自社製品の生産ラインを設置する。アイシンAIは2014年8月をめどにマニュアルトランスミッション、アドヴィックスは2015年10月をめどにブレーキ部品の生産を開始する。アイシン精機は現地に新建屋を建設、2016年2月からエンジン部品の生産をする。設備投資額は3社合計で41億円。(2014年4月23日付日刊自動車新聞より)

<インドネシア>
-2014年4月、同社とアイシン精機はインドネシアの事業体制を拡充すると発表した。アイシングループで取得したカラワン県の用地に、アイシン精機とアドヴィックスがそれぞれ新工場を建設する。投資額は2社合計で75億円。グループ全体で経営資源を有効活用しながら、グローバル事業を拡充する。アイシン精機は2015年1月をめどに車体部品とエンジン部品を生産開始する。アドヴィックスは2014年12月をめどにブレーキブースター、ドラムブレーキなどの生産を開始。両社ともトヨタ自動車とダイハツ工業に部品を納入する。(2014年4月23日付日刊自動車新聞より)

<チェコ>
-2014年4月、チェコにブレーキ部品の生産会社を3月に設立し、2015年から欧州での現地生産を始めると発表した。欧州に生産拠点を設立するのは初めてで、海外では5カ国目となる。独ダイムラーからディスクブレーキキャリパーの初受注が内定したことを背景とするもので、今回の欧州進出を契機に同地域での事業を強化していく。チェコ・ピーセク市に 「ADVICS Manufacturing Czech s.r.o.」 を設立した。資本金は1億8600万チェココルナ(約9億5千万円)で、アドヴィックス子会社のADVICS Europe GmbHが全額を出資。アドヴィックス海外事業推進部の片岡健一氏が社長を務める。(2014年4月22日付日刊自動車新聞より)

国内生産体制の再編

-2015年2月、アイシン精機とアドヴィックスは、愛知県半田市に設置を予定している新工場の建設に着手したと発表した。2016年以降、アドヴィックスがデンソーとアイシン精機から制御ブレーキの生産移管を受けることに伴うもので、アイシン精機・半田工場の敷地内で建設を始めた。投資額は約110億円。アイシン精機が建設し、アドヴィックスに貸与する。2016年1月以降、横滑り防止装置、回生協調ブレーキ、ハイドロブースターなどを生産する。新工場の建屋面積は、工場スペースが3万7,600平方メートル、事務所スペースが6,750平方メートル。2016年時点の従業員数は約200人を見込んでいる。(2015年2月21日付日刊自動車新聞より)

-アイシン精機はグループの事業再編に合わせ、中部地区の工場の生産分担を再構築する方針。2016年にブレーキ部品を半田工場 (愛知県半田市) からアドヴィックスの半田新工場 (同) に移管、シロキ工業と経営統合することを打ち出している。これに伴い、中部地区の工場全体で最適化を推進する。生産再編は一部でスタートしており、2014年5月にエンジン冷却用ウォーターポンプを半田工場から西尾機関工場 (愛知県西尾市) に移管した。2016年のグループ再編を機に生産体制の見直しを加速し、2018年頃にかけて強固な生産基盤を再構築する。(2015年1月27日付日刊自動車新聞より)

-2014年11月、トヨタはディーゼルエンジン (DE)、マニュアルトランスミッション (MT) などの開発・生産事業を系列サプライヤーに集約・移管すると発表した。DEの開発、生産は豊田自動織機、MTはアイシンAIに集約する。2016年以降、順次、実施する。さらにデンソー、アイシン精機が中部地区で実施しているブレーキ部品の生産をアイシングループのアドヴィックスに集約する。アイシングループは2016年1月をめどに愛知県半田市に新工場を建設し、移管分の受け皿を整える。トヨタはパワートレイン事業の再編によって生まれる経営資源を環境、安全分野の技術開発に振り向け、競争力を高める。(2014年11月29日付日刊自動車新聞より)

研究開発費

(単位:百万円)
  2015年3月期 2014年3月期 2013年3月期
合計 19,000 19,500 19,300

製品開発

-2015年人とくるまのテクノロジー展で、ドラムブレーキのパーキング機構を世界で初めて電動化した「ドラム一体式電動パーキングブレーキ」を出展。

-同社は2013年秋に日産自動車が発売したSUV 「Pathfinder」 のハイブリッドモデルに、開発効率を高める新型の回生協調ブレーキを納入。ヤマハ発動機の 「BOLT」 には、バイク用に専用設計してサイズを半減した二輪車用アンチロックブレーキシステム (ABS) の供給を開始した。2014年度は、さらに7つの新製品を市場導入する。「自動運転などの将来技術にも対応して研究開発に取り組むが、環境技術や重大事故をなくす技術開発を最優先にする」 (川田社長) としている。 (2014年6月7日付日刊自動車新聞より)

設備投資額

(単位:百万円)
2015年3月期 2014年3月期 2013年3月期
合計 25,800 13,180 11,412

海外投資

-メキシコ: ハリスコ州ラゴス・デ・モレノ市に工場を建設。投資額は約15億円。
-ブラジル: アイシン精機がサンパウロ州イトゥ市に持つ生産拠点に入居し、自社製品の生産ラインを設置する。設備投資額はアイシングループ3社合計で41億円。
-インドネシア: アイシングループで取得したカラワン県の用地に、同社とアイシン精機がそれぞれ新工場を建設する。投資額は2社合計で75億円。
-チェコ: ピーセク市にブレーキ部品の生産会社「ADVICS Manufacturing Czech s.r.o.」を設立、2015年から欧州での現地生産を開始する。
-南アフリカ: 新会社 「ADVICS South Africa (Pty) Ltd.」 を設立する計画。豊田通商の拠点の一部を賃借して生産体制を構築する。

設備の新設計画

-2015年3月31日現在、同社はブレーキおよびシャシー関連製造設備等に28,600百万円を投資する計画。