(株) ブリヂストン 2016年12月期の動向

業績

(単位:百万円)

2016年12月期 2015年12月期 増減率 (%) 要因
売上高 3,337,017 3,790,251 (12.0) -
営業利益 449,548 517,248 (13.1) -
経常利益 432,534 507,303 (14.7) -
当期純利益 265,550 284,294 (6.6) -
タイヤ部門
売上高 2,759,274 3,168,218 (12.9) 1)の下記要因に加え、為替円高の影響
営業利益 414,711 472,762 (12.3) -

要因
1) タイヤ部門
<日本>
-乗用車および小型トラック用タイヤ、並びにトラック・バス用のタイヤの販売本数は前年度を上回り堅調に推移。

<米州>
-北米タイヤ事業において、乗用車および小型トラック用タイヤの販売本数は前年を上回って堅調に推移。トラック・バス用タイヤの販売本数は、新車用の減少により前年度を下回った。

<欧州>
-乗用車および小型トラック用タイヤ、並びにトラック・バス用タイヤの販売本数は、前年を上回り好調に推移し、トラック・バス用タイヤの販売本数は前年を上回り順調に推移した。

<中国・アジア・太平洋地域>
-乗用車および小型トラック用タイヤ、並びにトラック・バス用タイヤの販売本数は、前年を上回り好調に推移し、トラック・バス用タイヤの販売本数は前年を上回り順調に推移した。


売却

<ベネズエラ>
-2016年5月、Bridgestone Americasは、ベネズエラにおけるタイヤ製造子会社のBridgestone Firestone Venezolana (BFVZ) をCorimon Groupに売却したと発表。Bridgestone Americasは、2015年第3四半期にBFVZを連結除外しており、今回の売却は他の中南米市場での事業拡大・投資に注力する戦略的決定であるとしている。(2016年5月23日付プレスリリースより)



意匠権侵害訴訟に勝訴

<中国>
-2016年5月、中国の大手タイヤメーカーである三角輪胎に対する意匠権侵害訴訟に勝訴したと発表。 ブリヂストンが意匠権を持つスタッドレスタイヤのトレッドパターンを採用したタイヤを三角が製造、販売していたとして、ブリヂストンは2013年10月、中国長春市中級人民法院に意匠権侵害で提訴していた。この結果、15年7月にブリヂストンの主張が認められ製造、販売の中止、損害賠償金の支払いを命じる判決が下された。さらに、控訴審の吉林省高級人民法院でも16年1月に一審判決を支持するとの判決が出され、今回勝訴が確定した。(2016年5月20日付日刊自動車新聞より)


中期経営計画

-2016年10月、ブリヂストンは、2017年から21年までの5カ年を対象とした 「2016中期経営計画」 を策定したと発表。15年に策定した中期経営計画から事業環境の変化や将来展望を反映し、必要と考える戦略・施策を追加・更新したもの。新しい計画では、 「真のグローバル企業」 と 「業界において全てに 『断トツ』」 を目指してグローバル企業文化の育成やグローバル経営人材の育成、グローバル経営体制の整備を重点項目として推進する。また、技術面では、ICT技術と人工知能 (AI) 技術を活用した最新鋭タイヤ成型システム 「エクサメーション」 を海外工場へ16年内に導入し、競争力の強化を図る。これまでエクサメーションはフラッグシップ工場である彦根工場のみで展開していた。(2016年10月18日付日刊自動車新聞より)

-2016年6月、同社はICT(情報通信技術)を活用した新タイヤ成形システム「エクサメーション」を彦根工場に導入した。同社が持つ材料加工の知見や、タイヤ1本当たり480項目にも及ぶ品質データを独自のアルゴリズムにし、AI(人工知能)を活用してタイヤの成形工程を自動制御するシステムだ。システムの構築により成形工程の全自動化を実現したほか、タイヤの真円性を15%以上向上する。エクサメーションで生産するタイヤは17インチ以下の量産タイヤが対象で、今後、国内外の工場にシステムを順次導入していく方針だ。システムを初めて導入した彦根工場は、乗用車用タイヤ専用の製造拠点だ。生産能力は日産5万3千本で乗用車用タイヤの生産工場では同社グループで最大規模となる。一方で、人手不足が常態化しており、自動化による省人化技術の導入が求められていた。同社では、新しい生産システムの導入により、彦根工場全体の生産能力を1.4倍に高めることを目指している。(2016年6月14日付日刊自動車新聞より)

「2016中期経営計画」の主な施策

技術/ビジネスモデルイノベーション
  1. 最新鋭タイヤ成形システム 「EXAMATION」 を海外工場に導入する計画

  2. 2016年6月、「EXAMATION」 を彦根工場に導入
    -2016年6月、ブリヂストンは、ICT (情報通信技術) を活用した新タイヤ成形システム 「EXAMATION」 を彦根工場に導入した。同社が持つ材料加工の知見や、タイヤ1本当たり480項目にも及ぶ品質データを独自のアルゴリズムにし、AI (人工知能) を活用してタイヤの成形工程を自動制御するシステムだ。システムの構築により成形工程の全自動化を実現したほか、タイヤの真円性を15%以上向上する。エクサメーションで生産するタイヤは17インチ以下の量産タイヤが対象で、今後、国内外の工場にシステムを順次導入していく方針だ。システムを初めて導入した彦根工場は、乗用車用タイヤ専用の製造拠点だ。生産能力は日産5万3千本で乗用車用タイヤの生産工場では同社グループで最大規模となる。一方で、人手不足が常態化しており、自動化による省人化技術の導入が求められていた。同社では、新しい生産システムの導入により、彦根工場全体の生産能力を1.4倍に高めることを目指している。(2016年6月14日付日刊自動車新聞より)
販売網の強化/拡充
  1. 仏Speedy社の買収
    -2016年7月、仏大手自動車整備業チェーンのSpeedy France S.A.の買収手続きを完了。(2016年8月5日付プレスリリースより)

  2. 独プノイハーゲ社 (Pneuhage Management GmbH & Co., KG) との合弁事業
    -2016年7月、ドイツで自動車部品販売事業などを展開するプノイハーゲ・マネジメント (PNH) グループとドイツでのタイヤ販売事業を合弁化することで合意したと発表。現在のブリヂストングループのドイツ国内のタイヤ小売り店は190店舗。440店舗を持つPNHグループとタッグを組み、市販用タイヤの販売を強化する。ブリヂストンの欧州子会社がPNH傘下のプノイハーゲ・パートナーズ・グループ (PPG) に25%を出資するとともに、ドイツでのブリヂストングループのタイヤ小売り事業をPPGに移管する。タイヤ販売事業を合弁化するための欧州委員会の認可取得は9月以降を見込む。(2016年7月2日付日刊自動車新聞より)

  3. 加タイヤ通信販売ソフトウェア会社TireConnect Systemsを買収
    -2015年11月、カナダのタイヤ通信販売ソフトウエア会社を買収すると発表。これに合わせて、2016年3月までに北米でタイヤの通信販売を開始する。自動車需要が好調な北米での販売網を強化することで、さらなる拡販につなげていく。買収は米子会社Bridgestone Americas, Inc.が行い、11月22日までに完了する予定。(2015年11月2日付日刊自動車新聞より)



受注

-2015年12月期の主な受注

製品名 搭載モデル
Bridgestoneブランド、Firestoneブランド ホンダ 「Ridgeline」、日産 「Infiniti Q60」
DUELER H/P SPORT Maserati 「Levante」
ECOPIA 日産 「NOTE e-POWER」、三菱ふそうトラック・バス 「Canter」
ECOPIA EP150 ダイハツ 「MOVE Canbus」、スズキ 「Ignis」
ECOPIA EP160 ホンダ 「Clarity Fuel Cell」
Ecopia H/L 422 Plus FCA US 「Dodge Durango」
POTENZA RE050A Fiat 「Abarth 124 spider」、スズキ「Alto works」、トヨタ 「Voxy ZS"G's"」、「Noah Si"G's"」
POTENZA RE050A, DUELER H/P SPORT トヨタ 「C-HR」
POTENZA S001 マツダ 「Roadster」、トヨタ 「86 GT "Aero package FT"」
POTENZA S001L RFT, TURANZA T005 トヨタ Lexus 「LC500/LC500h」
POTENZA S001, TURANZA EL450 Alfa Romeo 「Giulia」
TURANZA Subaru 「Impreza」
Turanza EL440 Chrysler 「Pacifica 2017 model Limited」



受賞

-2016年9月、同社の鳥栖工場と彦根工場がGMより2015年「Supplier Quality Excellence Award」を受賞
-2016年7月、FCA USからサプライヤー賞(Foundational Principles Award)を受賞
-2016年7月、同社のブラジル子会社のBridgestone do Brasil Industria e ComercioがGMより「Supplier Quality Excellence Award」を受賞
-2016年3月、GMから「Supplier of the Year」を受賞。同社がこの賞を受賞したのは、今回が14回目。
-2016年3月、ホンダから優良感謝賞「環境賞」を受賞



2017年12月期の見通し

(単位:百万円)

2017年12月期
(予測)
2016年12月期 増減 (%)
売上高 3,630,000 3,337,017 8.8
営業利益 452,000 449,548 0.5
経常利益 433,000 432,534 0.1
親会社株主に帰属する当期純利益 280,000 265,550 5.4

>>>次年度業績予想 (売上、営業利益等)



研究開発費

(単位:百万円)
2016年12月期 2015年12月期 2014年12月期
全社 95,400 94,900 94,100
-タイヤ部門 79,800 79,400 79,400



研究開発拠点

研究開発拠点数 (2016年4月1日現在)

米州 欧州・中近東・
アフリカ・ロシア
中国・アジア・
大洋州
日本 合計
技術センター 1 1 2 2 6
プルービング
グラウンド
4 1 3 2 10



国内研究開発施設

名称 所在地
技術センター 東京都小平市
化工品技術センター 神奈川県横浜市
ブリヂストンプルービンググラウンド 栃木県那須塩原市
北海道プルービンググラウンド 北海道士別市

海外研究開発拠点

国名 所在地
技術センター
アメリカ オハイオ州Akron
イタリア ローマ
中国 無錫 (Wuxi)
タイ Pathumthani
プルービンググラウンド
アメリカ テキサス州Fort Stockton
オハイオ州Columbiana
メキシコ Acuna
ブラジル San Pedro
イタリア Aprilia
タイ アユタヤ県Nong Khae
インドネシア Karawang
中国 宜興 (Yixing)



研究開発

「タイヤマティックス」 を活用した運送ソリューション
-2016年7月、独自のITシステム 「タイヤマティックス」 を活用した運送ソリューションの実証実験をブラジルのリオデジャネイロで開始したと発表した。ブラジルのBRT (バス高速輸送システム) の輸送事業者1社・4台を対象にスタートする。タイヤマティックスは、TPMS (タイヤ空気圧管理システム) で計測したトラック・バス用タイヤの空気圧、温度を車両位置情報とともに、遠隔でリアルタイムにモニタリングできるITシステム。運行中のトラックで、タイヤの空気圧異常や温度の急激な変化を検知すると、車両管理者と運転手に警告することで、タイヤに関する予期せぬ運行トラブルの未然防止に役立てる。(2016年7月22日付日刊自動車新聞より)

バス乗降時の正着性向上技術を考案
-同社は横浜国立大学と、公益社団法人日本交通計画協会と、バス停車時に縁石とタイヤを接触させることにより乗降口と停留所の隙間を小さくする正着性向上について共同研究を行っており、ドライバーの技量に依存せず縁石への進入角度を制御する手法として、僅かなハンドル操作で自然に縁石にアプローチできる「路肩スロープ」を考案した。同時に、縁石接触時のタイヤへの衝撃を緩和する「縁石底ラウンド形状」も有した、「次世代正着縁石」のコンセプト及び具体的な形状を考案し、本コンセプトの検証試験を実施。ブリヂストンは、縁石接触時のダメージを実験及びシミュレーションで定量化した結果、タイヤサイド部の摩耗量を3割程度抑制できると予測している。2020年に向けて実用化を目指していく。(2016年12月16日付プレスリリースより)

新重合触媒で分子構造制御 次世代合成ゴムを開発
-同社は、独自に開発した新しい重合触媒によって分子構造を高度に制御したポリイソプレンゴム(IR)の合成に成功したと発表した。合成に成功したIRは、天然ゴムの性能を上回る次世代ゴムの実現につながる可能性があるとしている。同社では2020年代の実用化を目指す。(2016年12月14日付日刊自動車新聞より)



製品開発

-2016年12月19日、同社はプレミアムSUV向けの新グローバルブランド「ALENZA(アレンザ)」を立ち上げたと発表した。世界的に販売台数が増加し、車両モデルが多種多様化しているSUV向けに、ターゲットを絞った新ブランド、ラインアップを展開し、販売を強化する。第1弾の「アレンザ001」は17年2月に国内で発売する。これまでSUVや4WD向けタイヤは「DUELER(デューラー)」ブランドで展開してきた。しかし、悪路を走行せず、街乗りをメーンとするラグジュアリー系SUVの販売数が増加してきたため、プレミアムSUVにターゲットを絞った製品を新ブランドとして独立させた。オンロードでの走行をベースに高性能なSUVの性能を引き出し、走りをサポートするブランドとしていく。想定車種はアウディ「Q5」やレクサス「RX」など。アレンザは、国内だけでなく、グローバルでも順次展開していく予定。(2016年12月21日付日刊自動車新聞より)

-Bridgestone Europeは、Aston Martinが2016年後半に発売する新型「DB11」のプロジェクトパートナーに選出されたと発表した。これにより同社は、技術開発、耐久試験、グローバルでのメディア発表などに関してAston Martinをサポートする。イタリアApriliaにある欧州テストコースの使用も含まれる。ブリヂストンはこれまで、「DB9」、「V8 Vantage S」、「Rapide」などさまざまなAston Martinのモデル向けにタイヤの開発を行ってきた。「DB11」向けには、ブリヂストンのUHP (超高性能) スポーツタイヤ「Potenza S007」が装着される予定。(2016年3月7日付プレスリリースより)

-2016年1月、スポーツタイヤブランド 「ポテンザ」 の 「アドレナリンRE003」 に、軽自動車向けに専用開発した4サイズを追加して2月14日に発売すると発表。アドレナリンRE003は、モータースポーツ用のタイヤ開発で培った高いブロック剛性と排水性の両立を図ったトレッドパターンを採用している。高速走行時から通常の街乗りまで軽快なハンドリング性能を発揮する。濡れた路面でのグリップ力も高度に追求したシリカ配合ゴムを採用した。今回のサイズ追加により、計41サイズの展開となる。 (2016年1月21日付日刊自動車新聞より)



設備投資額

(単位:百万円)

2016年12月期
(実績)
2015年12月期
(実績)
2014年12月期
(実績)
全社 194,100 253,500 296,300
-タイヤ部門 178,000 229,800 268,300



海外投資

<インドネシア>
-2016年9月23日、同社はインドネシア子会社のブリヂストン・アストラ・インドネシア(BSAI)が自動車用防振ゴムの新工場の開所式を実施したと発表した。ブリヂストングループが自社生産するインドネシア初となる自動車用防振ゴムの製造拠点で9月中に生産を開始する。生産能力は月産30万個。ブリヂストングループでは、インドネシア市場向け自動車用防振ゴムを、これまでインドネシアで自動車部品を製造するアストラ・オートパーツの子会社に技術供与してきた。今後は、BSAIの新工場に生産を移管する。新工場では新しい生産技術を導入し、高品質な製品を自動車メーカーなどにタイムリーに供給する体制を構築する。新工場で製造する防振ゴムは当面、インドネシアにある完成車メーカー向けに供給するが、将来的にはASEAN地域への輸出も視野に入れている。(2016年9月26日付日刊自動車新聞より)

<米国>
-2016年3月、Bridgestone Americasは、米国のノースカロライナ州Wilsonにある乗用車用タイヤ工場を拡張すると発表し、起工式を行った。プロジェクト期間は5年間で、投資総額は164百万ドル。第1フェーズと第2フェーズでは約100百万ドルを投じて、生産スペースを167,000平方フィート拡張する。2018年までに1日あたりの生産能力を現在より3,000本増やし、35,000本にする計画。 (2016年3月9日付プレスリリースより)

-2015年12月、米国に自動車用シートパッドの新工場を設立すると発表した。米国でのシートパッド工場は3拠点目で、グローバルでは11拠点となる。2017年3月までに生産を開始し、日系自動車メーカーの北米市場向け車両に供給する。新工場 「Sanborn工場」 は、ニューヨーク州ナイアガラ郡に設立する。敷地面積は約4万5千平方メートル、延べ床面積は約6千平方メートル。現地の不動産会社が建設する建屋を賃借し、同社が500万ドル (約6億円) で生産設備を整える。17年6~8月をめどにフル生産を開始し、17年末までに約60人を雇用する。 (2015年12月18日付日刊自動車新聞より)

<カナダ>
-2016年2月、Bridgestone Canadaは、カナダのケベック州Jolietteにある乗用車・小型トラック用タイヤ工場を拡張すると発表した。プロジェクト期間は5年間で、投資総額は300百万カナダドル (約250百万米ドル) を超える見込み。今回の拡張工事は2016年中にスタートし、段階的に行われる予定。ピックアップトラックやSUV向けの大型タイヤの生産能力を拡大し、市場需要に対応する。プロジェクト全体で、2023年までにJoliette工場の1日あたりの生産能力を現在より3,000本多い20,000本に引き上げる計画。なお、同工場は2014年にタイヤの累計生産数1億5,000万本を達成した。 (2016年2月26日付プレスリリースより)