(株) ブリヂストン 2011年12月期の動向

ハイライト

業績

(単位:百万円)
  2011年12月期 2010年12月期 増減率(%) 要因
売上高 3,024,355 2,861,615 5.7 -
営業利益 191,321 166,450 14.9 -
経常利益 179,317 147,905 21.2 -
当期純利益 102,970 98,913 4.1 -
タイヤ部門
売上高 2,536,730 2,377,305 6.7 1)
営業利益 185,475 153,129 21.1 -

要因
1)
タイヤ部門
<日本>
-乗用車および小型トラック用タイヤの販売本数は、市販用タイヤの販売本数が前年を上回り好調に推移したが、新車用は東日本大震災により自動車生産台数が減少した影響が大きく前年を大幅に下回った。
-トラック・バス用タイヤの販売本数は前年を上回り好調に推移した。

<米州>
-北米タイヤ事業における乗用車および小型トラック用タイヤの販売本数は、市販用が減少した影響により前年を下回ったものの、ランフラットテクノロジー採用タイヤ、UHP(超高性能)タイヤやウィンタータイヤの市販用の販売本数は前年を上回り順調に推移した。
-トラック・バス用タイヤの販売本数は前年を大幅に上回った。

<欧州>
-乗用車および小型トラック用タイヤの販売本数は前年並となった。ランフラットテクノロジー採用タイヤやウィンタータイヤの市販用の販売本数は前年を上回り好調に推移した。
-トラック・バス用タイヤの販売本数は市販用が減少した影響により前年を下回った。
-特殊タイヤについては、建設・鉱山車両用大型・超大型ラジアルタイヤの販売本数は、前年を著しく上回った。

受注

-トヨタ自動車の「レクサスLFAニュルブルクリンクパッケージ」に新車装着用タイヤ「ポテンザRE070」を納入すると発表した。 (2011年12月8日付日刊自動車新聞より)

-「ECOPIA EP150」が、2011年9月発売のダイハツ「Mira e:S」に新車装着されたと発表。 (2011年9月20日付プレスリリースより)

-トヨタ自動車が5月に発売した「プリウスα」に同社の「TURANZA(トランザ)ER33 ECOPIA(エコピア)」が新車装着用タイヤとして採用されたと発表した。 (2011年6月9日付日刊自動車新聞より)

-Bridgestone Americas傘下のBridgestone Americas Tire Operations (BATO)は、Firestoneブランドのタイヤ「FR710」が、2011年モデルのChrysler「300 Limited」および「300C」に標準搭載されると発表。また、オプションで「Touring」サスペンションを搭載する両モデルには、同ブランドのタイヤ「Firehawk GT」が採用。 (2011年5月10日付プレスリリースより)

-Bridgestone Americas傘下のBridgestone Americas Tire Operations (BATO)は、Firestoneブランドのタイヤ「Firehawk GT」が、2012年モデルのFiat「500」にオプション搭載されたと発表した。同モデルの「Pop」グレードおよび「Lounge」グレードに採用。 (2011年5月3日付プレスリリースより)

-Bridgestone Americas傘下のBridgestone Americas Tire Operations (BATO)は、Firestoneブランドのタイヤ「Firehawk GT Pursuit」が、Chryslerの2011年モデル「Dodge Charger Pursuit」に標準搭載されたと発表。 (2011年4月29日付プレスリリースより)

-Bridgestone Americas 傘下のBridgestone Americas Tire Operations (BATO)は、Firestoneブランドのタイヤ「Firehawk GT」がChryslerの2011年型「Dodge Charger」および「Dodge Challenger」にオプション搭載されたと発表。このタイヤが採用されたのは、「Charger」のオプションパッケージ「R/T Plus」、「R/T Road & Track」、「R/T Max packages」、「Wheels & Tunes」、「Rallye Appearance Groups」。また、「Challenger SE」の「Super Sport Group」パッケージおよび「Charger R/T」にも採用されている。(2011年2月8日付プレスリリースより)

-トヨタ自動車の「レクサスCT200h」の新車用タイヤに採用されたと発表した。今回採用されたのは同社の「ECOPIA(エコピア)EP25」。 (2011年1月18日付日刊自動車新聞より)

事業計画

-「中期経営計画2011」を策定した。中計の対象年度は12-16年までの5年間。タイヤ事業の拡大とサプライチェーンの最大活用、環境対応商品事業などへの資源集中を柱とした。12年は、中国・天津市と江蘇省の乗用車用タイヤ工場の生産能力増強、新興国での販売拠点拡大など、グローバルに3千億円規模の設備投資を行う。調達施策によるコスト競争力改善などの合理化の推進、徹底した資産のスリム化により、総資産利益率(ROA)6%の到達に結び付ける。 (2011年10月24日付日刊自動車新聞より)

-荒川詔四社長は本社(東京都中央区)で記者会見を開き、自動車メーカー各社の今秋以降の増産計画への対応について「10~12月は100%の供給が厳しいかもしれない。自動車メーカーと相談して最大限の対応に取り組む」と述べ、現状では生産増強の余力が少ないことを明らかにした。ただ「来年1~3月にはしっかり供給できるよう準備する。年末年始を使って増やしたい」として休日操業を始めとした施策を早急に検討し供給責任につなげていく意向を示した。(2011年9月7日付日刊自動車新聞より)

受賞

-ブリヂストンは2011年3月、GMから「2010 Supplier of the Year」を受賞した。ブリヂストンが同賞を受賞するのは、これで13回目となる。 (2011年3月21日付プレスリリースより)

>>>次年度業績予想(売上、営業利益等)

開発動向

研究開発費

(単位:百万円)
  2011年12月期 2010年12月期 2009年12月期
グループ全体 83,900 85,100 85,700
タイヤ部門 66,200 67,400 68,600

-新たなタイヤ環境技術として非空気入りタイヤの開発に成功したと発表した。非空気入りタイヤ技術「エアフリーコンセプト」は、タイヤ側面に張り巡らせた特殊形状スポークにより荷重を支持することで、空気を充填する必要が無くなる。スポーク部の材質に再生利用可能な熱可塑性樹脂を使用する。 (2011年12月5日付日刊自動車新聞より)

-「ラベリング制度」において最高グレード(低燃費グレード:AAA、ウェットグリップ性能:a)を達成する技術を開発したと発表。この技術を用いた新型タイヤ「ECOPIA EP001S」を、2012年7月頃に発売する計画。このタイヤは、同社独自の材料技術「NanoPro-Tech」と、モータースポーツ用タイヤ開発で用いられるグリップ向上技術を融合している。 (2011年11月29日付プレスリリースより)

-タイヤの内側に取り付けた加速度センサーで路面状況を判定する技術を開発したと発表した。センサーで検出したタイヤの振動を無線で車載解析装置に転送し乾 燥、凍結を始め7パターン設定した路面状況のどれに該当するかを判定してリアルタイムに車内ディスプレーに表示する。急激な路面状況の変化といった危険な状況をドライバーに伝え、注意を促す。車車間通信を活用して周辺車両に路面状況を伝えることに応用できるとしており、社会的な安全装置として実用化にも取り組む。路面状況は「乾燥」「半湿」「湿潤」「シャーベット」「積雪」「圧雪」「凍結」の7パターンに分類する。(2011年9月16日付日刊自動車新聞 より)

-次世代パワー半導体(電源管理用半導体)向けに口径5インチの高品質SiC(炭化ケイ素)ウェーハ基板を開発したと発表した。従来のシリコンウェーハと比べ耐久性、耐熱性に優れた特性を持つ素材で、量産レベルの高い結晶品質を確保した。自動車、エネルギー分野を始め幅広い分野での活用を見込む。市場ニーズの高い6インチ品についても開発に着手しており、2012年下期に製品化を目指す。(2011年8月31日付日刊自動車新聞より)

研究開発拠点数

  北米 中南米 欧州 中近東/
アフリカ
アジア
大洋州
日本 合計
技術センター 1 0 1 0 1 2 5
プルービング
グラウンド
2 2 2 0 3 2 11

国内研究開発施設

名称 所在地
技術センター 東京都小平市
化工品技術センター 神奈川県横浜市
ブリヂストンプルービンググラウンド 栃木県那須塩原市
北海道プルービンググラウンド 北海道士別市

海外研究開発拠点

国名 所在地
技術センター
アメリカ オハイオ州アクロン
イタリア ローマ
中国 無錫
プルービンググラウンド
アメリカ テキサス州フォートストックトン
オハイオ州コロンビアナ
メキシコ アクナ
ブラジル サンペドロ
イタリア アプリリア
カステルロマーノ
タイ アユタヤ県ノンケー
インドネシア カラワン
中国 宜興

設備投資

設備投資額

(単位:百万円)
  2011年12月期 2010年12月期 2009年12月期
グループ全体 201,300 182,600 178,200
タイヤ部門(グループ) 174,700 159,700 156,800


-新興国においては、需要の増加に対応するため、インドのプネ新工場の建設、中国の天津工場および無錫工場の生産能力の増強、タイのノンケー工場およびポーランドのポズナン工場の生産能力の増強を進めた。
-成熟国においては、北米での堅調な需要に対応するため、米国のエイケン工場の生産能力増強に着手した。
-2012年度はタイヤ部門で255,000百万円、グループ合計で285,000百万円を投資する予定。

海外投資

<北米>
-米国のグループ会社のブリヂストン・アメリカス・タイヤ・オペレーションズ・エルエルシーが米サウスカロライナ州に建設・鉱山車両用大型・超大型ラジアルタイヤ(ORR)を生産する新工場を開設すると発表した。総投資額は約9億7000万ドル(約825億円)で、2014年上期に生産を開始する。同社はこれまで大型・超大型ORRの生産は下関工場と北九州工場で行っており、海外生産は初となる。新工場はサウスカロライナ州エイケン郡に位置し、敷地面積は約221万平方メートル。生産能力の増強が完了する20年上期には、従業員数約550人で、生産能力は日産約130トンとなる予定。新工場開設に伴い、大型・超大型ORR用スチールコードを生産する佐賀工場とグループ会社が持つ米テネシー州のクラークスビル工場も能力を増強する。 (2011年9月27日付日刊自動車新聞より)

-米国のグループ会社である「ブリヂストン・アメリカス・タイヤ・オペレーションズ・エルエルシー(BATO)」がサウスカロライナ州のエイケン工場で乗用車用と小型トラック用ラジアルタイヤの生産能力をさらに増強すると発表した。北米で好調に伸長するニーズに対応するのが目的。総投資額は約2億1100万ドル(約180億円)で、2015年第3四半期中に生産能力を約8000本増の日産約3万7750本とする。エイケン工場は1998年に北米向けを主としてラジアルタイヤの生産を開始、現在の生産能力は約2万5000本となっている。BATOでは、11年7月に同工場で日産約4750本増強すると発表し、13年第1四半期までに完了する予定だった。今回、堅調なニーズに対応するために、さらなる能力の増強が必要と判断し決定した。(2011年9月26日付日刊自動車新聞より)

-Bridgestone Americas(BSAM)傘下のBridgestone Americas Tire Operations (BATO)は、米国テネシー州のWarren工場に36.6百万米ドルを投資すると発表。トラック・バス用タイヤの生産能力を日産900本増強する。同工場の拡張は2013年第1四半期に完了し、同年第4四半期にフル稼働となる計画。なお、今回の投資は、BSAMが発表した米国生産拠点の包括的拡張計画の一環。このプロジェクトにおける総投資額は12億米ドルを超え、従業員900名超の増員が見込まれる。(2011年9月22日付プレスリリースより)

-米国で乗用車と小型トラック用タイヤの生産能力を増強すると発表した。2013年第1四半期(1~3月)までにエイケン工場(サウスカロライナ州)に新たな建屋を建設し同工場の一日あたりの生産能力を現状の2万5200本から3万本に引き上げる。北米ではここ数年乗用車と小型トラック用タイヤの需要が堅調に推移しており、今後も伸びていくことが見込まれることから能力増強を行うことにした。今回の能力増強は約1億3500万ドルを投じて行う。約8万1千平方メートルの建屋を建設するとともに120人超の従業員を新たに雇用する計画。今年中に建設を開始する。(2011年7月23日付日刊自動車新聞より)

<中国>
-中国の武漢市に自動車シート用ウレタンフォーム工場を建設すると発表した。量産開始は2012年4月で総投資額は1100万ドル(約10億円)、年産能力は30万台分を予定する。中国では2拠点目の自動車用ウレタンフォーム工場で、現地の需要拡大をにらみ増産体制を整える。新工場は敷地面積が2万平方メートル、操業開始時の従業員数は80人。10年12月に設立した現地拠点の普利司通(武漢)化工制品が運営する。(2011年9月20日付日刊自動車新聞より)

-中国で乗用車用ラジアルタイヤの生産能力を増強すると発表した。約238億円を投資し、江蘇省無錫市と天津市にある工場の能力を拡張し2工場あわせて日産1万2900本増産する。無錫工場は約83億円を投資し来年5月までに能力増強を行う。これにより同工場での日産能力は現状から4100本増となる1万6300本とする。増産後は「ECOPIA(エコピア)ブランド」など環境タイヤの生産を行う。また、天津工場は約155億円を投資し、来年7月までに設備増強を行う。これにより同工場の日産能力は現状の8800本増となる2万5300本まで増やす。天津では環境タイヤの増産に加えて、新たに冬用タイヤの生産に乗り出す計画だ。(2011年8月9日付日刊自動車新聞より)

<ベトナム>
-ベトナムに乗用車用ラジアルタイヤを製造する新工場建設に伴って新会社を設立すると発表した。新会社は「ブリヂストン・タイヤ・マニュファクチャリング・ベトナム」で資本金は3億780万米ドル(約237億円)で、ブリヂストンが100%出資して2012年2月に設立する予定。新会社は、ベトナムのハイフォン市にあるディンブー工業団地に乗用車用ラジアルタイヤを製造する工場を新設する。工場の敷地面積は約102万平方メートルで、14年上期から操業開始する。新会社の従業員数は16年上期に約1900人の予定で、生産能力は日産約2万4700本。(2011年12月20日付日刊自動車新聞より)

-乗用車用ラジアルタイヤのグローバルでの需要増加に対応するため、ベトナムに工場を新設すると発表した。同社がベトナムに進出するのは初めてで、ベトナム市場のほか、欧米や日本市場への輸出拠点として活用する。新工場の総投資額は約355億円で、2014年上期から生産を開始する予定。ベトナム工場は同社として21カ国、50工場目となる予定。生産能力は16年上期までに乗用車用ラジアルタイヤを日産約2万4700本とする計画で、その時点の従業員数約1900人を予定している。(2011年11月15日付日刊自動車新聞より)

<インド>
-インドのインドール工場(マディヤ・プラデーシュ州)で建設を進めていたトラック・バス用(TB)タイヤの生産ラインが完成し、このほど記念式典を行ったと発表した。TBタイヤの生産ラインは約33億円を投資して設置した。生産は当初日産200本、来年6月までに400本まで引き上げる計画。(2011年6月18日付日刊自動車新聞より)