住友ゴム工業 (株) 2012年12月期の動向
ハイライト
業績 |
(単位:百万円) |
2012年 12月期 |
2011年 12月期 |
増減率 (%) | 要因 | |
全社 | ||||
売上高 | 710,246 | 676,903 | 4.9 | 1) |
営業利益 | 69,722 | 53,924 | 29.3 | |
経常利益 | 67,351 | 49,927 | 34.9 | |
当期純利益 | 35,451 | 28,386 | 24.9 | |
タイヤ事業 | ||||
売上高 | 619,361 | 591,045 | 4.8 | 2) |
営業利益 | 63,089 | 48,819 | 29.2 |
要因
1) 全社
-東日本大震災の影響で減少していた自動車生産台数が回復し、天然ゴムの相場価格も比較的安定。しかし、国内外の需要は世界経済の減速を反映し、力強さに欠けた。
-低燃費タイヤなど高付加価値商品の更なる拡販と、生産性の改善や経費節減などで収益力が向上。
2) タイヤ事業
-国内新車用タイヤは、自動車生産台数が前期を大幅に上回り、低燃費タイヤをはじめとする高付加価値商品の拡販を進めたことにより、売上高は前期を上回った。
-海外新車用タイヤは、新興国を中心とした海外での自動車生産の拡大に対応して販売数量を伸ばしたことにより、売上高は前期を上回った。
経営戦略
-2012年9月、同社は2020年度に売上高1兆2千億円、営業利益率12%以上を掲げる新長期ビジョン「ビジョン2020」を策定した。目標達成に向けて新興市場での生産・販売体制を強化するとともに、タイヤの技術革新を進める。海外自動車メーカー向けの新車用タイヤの納入比率アップにも取り組む。同社は06年に策定した長期ビジョンに沿って取り組みを推進してきたが、中間目標である今期の売上高7千億円、営業利益率8.9%を達成。最終目標でもある15年の数値目標である売上高8千億円、営業利益率10%以上もほぼ達成のめどが立ったことから、20年度に向けた新しい目標を策定した。 (2012年9月27日付日刊自動車新聞より)-「ビジョン2020」における財務数値達成目標 | (単位:億円) |
2015年 (見直し) | 2020年 | |
全社売上高 | 9,400 | 12,000 |
タイヤ事業売上高 | 7,800 | 10,000 |
全社営業利益 | 1,000 10%以上 |
1,500 12%以上 |
対処すべき課題
-国内市場においては、低燃費タイヤのラインアップの充実。
-海外市場においては、アジア市場のニーズに合わせたアジアスタンダードタイヤの更なる拡販と、各国で導入が予想される環境規制に適合する商品の発売。
-「100%石油外天然資源タイヤ」の開発。
-世界各地でのタイヤ増販に合わせた供給能力の拡大。2013年にはブラジル工場が稼働開始。トルコでのタイヤ工場の建設着手。
グローバル展開
トルコ進出-2012年9月、タイヤ事業でのグローバル展開の一環としてトルコに進出すると発表した。トルコは欧州に加えて中東・北アフリカ・ロシア各市場へのタイヤ供給拠点となる。現地のタイヤメーカーのアブドゥルカディア・オジャン・オトモティブ・ラスティク (AOO) との合弁会社で、社名は未定。2012年10月に設立し、2015年7月から生産開始する予定。資本金は3千万ドル (約24億円) で、住友ゴムが80%、AOOが20%出資する。新工場の生産能力は19年末に日産3万本を計画している。投資額は約400億円。 (2012年9月25日付日刊自動車新聞より)
海外生産比率の引き上げ
-2012年8月、海外生産比率を2012年の52%程度から2015年までに60%へ引き上げる方針を発表した。自動車市場の成長が新興国にシフトしている中で、同社では2012年7月に中国第2の生産拠点となる湖南工場の本格稼働を開始。タイ工場では生産能力を増強しており、世界最大級の工場となる予定。こうした投資を背景に、タイヤ生産の海外比率は10年の36%から12年末までに46%へ上昇。ブラジル新工場が立ち上がる13年にはさらに高まる予定だ。 (2012年8月11日付日刊自動車新聞)
環境対応タイヤ
-2012年1月、ダンロップの環境対応タイヤ「エナセーブ」のグローバル展開を1月から開始すると発表した。第1弾商品として「エナセーブEC503」を1月からタイ、3月から中国、下期にインドネシアの各市場に順次投入する。グローバル展開するEC503はエナセーブシリーズ開発で培ってきた低燃費タイヤ技術を投入、タイヤの転がり抵抗低減によるエネルギー効率の向上に加え、アジア市場で求められる耐久性を高次元でバランスさせたとしている。各国でタイヤラベリング制度が今後導入されるなど、海外市場で低燃費タイヤの需要拡大が見込まれていることからエナセーブをグローバル展開して販売の拡大を目指す。 (2012年1月20日付日刊自動車新聞より)
アジア・スタンダードタイヤ
-2012年1月、同社はアジア専用タイヤ「アジア・スタンダード・タイヤ」を開発し、年内にアジア各市場に投入することを明らかにした。従来、アジア各市場に投入していたタイヤは、市場ごとに仕様を決めていたが、アジア域内で仕様を標準化することでコストダウンを図る。中国や韓国のタイヤメーカーの低価格タイヤとの販売競争が激化している中で、従来製品よりも低価格ながら耐久性の高い製品をアジア主要市場に投入して対抗していく。アジア専用タイヤは中国、タイなどで生産する計画で年間1千万本程度の販売を目指す。 (2012年1月18日付日刊自動車新聞より)
受注
ブランド | タイヤ名 | 車両メーカー | 車両モデル | 販売年 | 特徴 |
ダンロップ | エナセーブ EC300 | ホンダ | 「N -ONE」 | 2012 | 低燃費タイヤ |
ダンロップ | SP・スポーツ・マックスA1 | トヨタ | 「Lexus LS」 | 2012 | 高性能タイヤ |
ファルケン | SINCERA SN831A ECORUN | Volkswagen | 「up!」 | 2011 | ラジアルタイヤ |
ダンロップ | エナセーブ EC300 | スズキ | 「Wagon R」 | 2012 | 低燃費タイヤ |
ダンロップ | エナセーブ EC300 | 三菱自動車 | 「Mirage」 | 2012 | 低燃費タイヤ |
ダンロップ | SP スポーツ・マックスTT | 日産 | 「Cima」 | 2012 | 高性能タイヤ |
ダンロップ | エナセーブ EC300 | トヨタ | 「Corolla Axio」, 「Corolla Fielder」 | 2012 | 低燃費タイヤ |
ダンロップ | SP スポーツ・マックス050 | トヨタ | 「Lexus GS」 | 2012 | 高性能タイヤ |
グッドイヤー | デュラ・グリップ | トヨタ | 「アクア (Lグレード) 」 | 2011 | 低燃費サマータイヤ |
>>>次年度業績予想 (売上、営業利益等)
開発動向
研究開発費 |
(単位:百万円) |
2012年12月期 | 2011年12月期 | 2010年12月期 | |
全社 | 19,538 | 19,273 | 18,697 |
タイヤ事業 | 17,033 | 16,771 | 16,253 |
タイヤ事業が占める割合 (%) | 87.2 | 87.0 | 86.9 |
研究開発体制
-グッドイヤーとの世界的提携に基づく技術交流を実施。テーマ別にプロジェクトチームを編成し、共同調査研究を行っている。>>>グッドイヤーとの提携に関する詳細へ
研究開発拠点
-2009年に竣工した、タイヤテクニカルセンター (兵庫県神戸市) をタイヤ技術研究開発の中心とし、環境に配慮した次世代タイヤの開発を行う。タイヤテストコース | 岡山県美作市 北海道名寄市 北海道旭川市 |
研究開発活動
-2012年10月、同社は「超高精度」を追求した新しいタイヤ製造工法「NEO-T01」を開発したと発表した。実際の仕上がりタイヤサイズで作った金属の成形フォーマーに各部材を貼り付けていく技術などを開発、「真円度」を向上して快適性能の向上を図ったほか、タイヤ重量を軽量化、高速走行時の形状変化を抑制したタイヤを製造できる。新工法を採用した次世代タイヤは2014年にランフラットタイヤで市場投入する。 (2012年10月6日付日刊自動車新聞より)製品開発
-2012年度の製品開発ブランド | タイヤ名 | 性能 |
ダンロップ | プレミアムコンフォートタイヤ「VEURO VE303」 | 静粛性・操縦安定性向上、転がり抵抗低減、ウェット性能向上 |
ダンロップ | スタッドレスタイヤ「WINTER MAXX」 | 氷上ブレーキ性能を従来品比11%向上、ライフ性能向上 |
設備投資
設備投資額 |
(単位:百万円) |
2012年12月期 | 2011年12月期 | 2010年12月期 | |
全社 | 56,889 | 48,515 | 32,055 |
タイヤ事業 | 53,940 | 45,777 | 28,165 |
タイヤ事業が占める割合 (%) | 94.8 | 94.4 | 87.9 |
-タイヤ事業においては、国内工場の設備改善および生産設備の合理化・省人化、生産改善に投資。
-タイヤ事業の海外工場においては、タイ工場の生産設備増強、中国・ブラジル工場の建設に投資。
-2013年全社投資予定金額は、56,959百万円。
海外投資
-2012年12月、同社は2013年の設備投資について「600億円程度の規模を続けていく。主に海外市場のタイヤ生産能力増強投資に充てる」と述べ、高水準の設備投資を継続する方針を示した。同社の今期の設備投資は590億円を見込む。海外生産拠点の生産体制を強化しているため、2年連続で高い水準の投資を続ける。具体的には、欧州や中東市場向けタイヤを製造するトルコ工場の建設や、13年秋から操業開始する予定のブラジル工場、世界最大規模の生産能力にするタイ工場などに投資する。 (2012年12月21日付日刊自動車新聞より)-2012年7月16日、同社の中国第2の拠点となる「住友橡膠 (湖南)」 (SRH) は、湖南省長沙市の工場で開所式を開催した。まず市販用の乗用車ラジアルタイヤを生産する。新工場の投資額は生産能力が日産1万5千本の第1期 (2013年末) までで3億ドル (約240億円)、売上高30億元 (約360億円) を目指す。第2の生産拠点となる湖南新工場の稼働で、住友ゴムグループの中国での生産能力は2013年末までに日産5万1千本となる。新工場は、市販用乗用車ラジアルタイヤを生産、13年からSUV用タイヤ、ハイパフォーマンスタイヤ、13年末から14年にかけて自動車メーカー向けに新車用タイヤを生産する予定。 第2期 (2015年末) には、生産能力を日産3万本に増強するが、需要動向に応じては日産6万本に引き上げることも視野に入れる。 (2012年7月18日付日刊自動車新聞より)
-2012年2月、同社は、ブラジルのパラナ州Fazenda Rio Grandeにおいて、同社にとって中南米地域で初となるタイヤ工場Sumitomo Rubber do Brasil Ltda.の起工式を実施したと発表。新工場では乗用車用ラジアルタイヤの製造・販売を行う。投資額は第1フェーズで約560百万レアル (約280億円)、敷地面積は50万平方メートル。2013年10月に生産を開始し、生産能力は2016年末で15,000本/月を見込む。 (2012年2月8日付プレスリリースより)
設備の新設計画 (自動車事業関連) |
(2012年12月31日現在) |
会社名 事業所 (所在地) |
設備の内容 | 投資予定 総額 (百万円) |
着手年月 | 完了予定 年月 |
完成後の 増加能力 |
住友ゴム工業 名古屋工場 (愛知県豊田市) |
自動車タイヤ製造設備 | 6,692 | 2012年1月 | 2013年12月 | - |
住友ゴム工業 白河工場 (福島県白河市) |
自動車タイヤ製造設備 | 9,474 | 2012年1月 | 2013年12月 | - |
住友ゴム工業 泉大津工場 (大阪府泉大津市) |
自動車タイヤ製造設備 | 1,991 | 2012年1月 | 2013年12月 | - |
住友ゴム工業 宮崎工場 (宮崎県都城市) |
自動車タイヤ製造設備 | 7,097 | 2012年1月 | 2013年12月 | - |
P.T. Sumi Rubber Indonesia (インドネシア ジャカルタ) |
自動車タイヤ・ゴルフボール 製造設備 |
4,162 | 2012年1月 | 2013年12月 | - |
住友橡膠 (常熟) 有限公司 [Sumitomo Rubber (Changshu) Co., Ltd.] (中国 江蘇省) |
自動車タイヤ製造設備 | 2,194 | 2012年1月 | 2013年12月 | - |
住友橡膠 (湖南) 有限公司 [Sumitomo Rubber (Hunan) Co., Ltd.] (中国 湖南省) |
自動車タイヤ製造設備 | 23,500 | 2010年9月 | 2017年12月 | 生産能力30,000本/日 |
Sumitomo Rubber (Thailand) Co., Ltd. (タイ ラヨーン県) |
自動車タイヤ製造設備 | 17,835 | 2012年1月 | 2013年12月 | 生産能力39%増加 |
産業車両タイヤ製造設備 | 9,900 | 2012年5月 | 2017年12月 | 生産能力50,000本/月 | |
SUMITOMO RUBBER DO BRASIL LTDA. (ブラジル パラナ州) |
自動車タイヤ製造設備 | 28,000 | 2011年7月 | 2016年12月 | 生産能力15,000本/日 |
Sumitomo Rubber AKO Lastik Sanayi ve Ticaret A.S (トルコ共和国 チャンクル県) |
自動車タイヤ製造設備 | 40,000 | 2012年10月 | 2019年12月 | 生産能力30,000本/日 |