Visteon Corporation 2014年12月期の動向

ハイライト

業績

(単位:百万ドル)
  2014年
12月期
2013年
12月期
増減率
(%)
要因
全社
売上高 7,509 6,371 17.9 -Johnson Controlsのエレクトロニクス事業買収およびYanfeng Visteon Automotive Electronicsの連結化
-製品ミックス、為替差益
純利益 (295) 690 - -
部門別売上高
クライメート 5,092 4,871 4.5 -アジア、欧州における生産量の増加
-為替差益
-一部、製品価格の下落によるマイナス要因により相殺
エレクトロニクス 2,386 1,455 64.0 -Johnson Controlsのエレクトロニクス事業買収およびYanfeng Visteon Automotive Electronicsの連結化
-生産量の増加
-一部、為替差損、製品価格の下落によるマイナス要因により相殺

事業再編

<クライメート部門>
クライメート事業 (Halla Visteon Climate Control) の売却
-同社が保有するHalla Visteon Climate Controlの株式約70%を、韓国の非公開投資会社Hahn & Companyの関連会社およびHankook Tireへ売却することで合意。売却金額は約36億ドル。手続きは2015年上期に完了する見込みで、これにより同社はクライメート事業から撤退する。(2014年12月17日付プレスリリースより)

<内装事業/その他>
インドの内装事業売却
-インドにおける内装事業をCerberus Capital Management傘下のReydel Automotive Holdingsへ売却。すでにVisteonの内装事業の大部分をReydelへ売却する計画が発表されており、今回はその一環となる。Reydelへのその他の売却手続きは2015年上期に完了する見込み。今回の売却には、Pune拠点の全ての生産とChennai拠点の内装事業が含まれる。Chennaiの工場自体は引き続きVisteonが保有する。Reydelに買収された事業の従業員数は約550名。さまざまな自動車メーカー向けにインストパネル、ドアパネル、フロアコンソールなど樹脂トリム部品を生産している。(2014年12月1日付プレスリリースより)

欧州、アジア、南米の内装事業売却
-自動車内装部品事業をReydel Automotive Holdingsに売却する計画において、大部分の売却手続きが完了したと発表した。2014年11月1日付で完了したこの最初の手続きは、2015年第1四半期までに完了する手続き全体の大部分に相当するもの。今回売却した事業では、グローバル自動車メーカー向けにコックピットモジュール、インストパネル、ドアパネル、フロアコンソールなどの製品を納入している。同事業の2013年の売上総額は約10億ドル。生産17拠点、ジャストインタイム方式の組立6拠点、エンジニアリング8拠点を欧州・アジア・南米に展開している。今回の売却により、内装事業の生産・エンジニアリング・管理部門で従業員約5,000名に影響が出ているという。(2014年11月3日付プレスリリースより)

合弁会社の徳洋産業 [Duckyang Industry] の株式売却
-韓国で自動車用内装部品を生産している合弁会社の徳洋産業 [Duckyang Industry] の株式50%を24.1百万ドルで売却。売却先は徳洋産業の経営陣や関連団体。(2014年5月2日付プレスリリースより)

買収

<クライメート部門>
-Halla Visteon Climate Control (HVCC) は、Cooper-Standard Holdings子会社のCooper-Standard Automotiveより、自動車向け熱交換・排ガス関連製品事業の買収を完了したと発表した。買収金額は46百万ドル。買収した製品ラインには、EGRモジュール、電動クーラントポンプおよびバルブ、電動ウェイストゲートアクチュエーター、電動スロットルボディなどが含まれる。(2014年8月1日付プレスリリースより)

-Halla Visteon Climate Control (HVCC) は、日本クライメートシステムズの中国子会社である杰希思 (南京) 汽車空調 [Jie Xi Si (Nanjing) Automotive Climate Control] の株式51%を取得し、主要株主となることで合意したと発表。取得金額は6.4百万ドル (65億ウォン)。手続きは、2014年第3四半期に完了する見込み。杰希思 (南京) は、自動車用熱交換器の生産会社。なお、日本クライメートシステムズは、HVCC、マツダ、パナソニックによる等分出資の合弁会社。(2014年6月3日付プレスリリースより)

<エレクトロニクス部門>
-Johnson Controlsのエレクトロニクス事業の買収を完了したと発表。買収金額は265百万ドル。今回買収した事業は、ドライバー情報、インフォテインメント、コネクティビティ、ボディエレクトロニクス関連の製品を自動車メーカー向けに供給している。欧州・アジア・北米において、約1,000名の技術者・専門家・設計者を含む従業員約5,000名に影響を及ぼすという。Visteonの新たなエレクトロニクス事業は、24カ所の生産拠点と8カ所のグローバルテクニカルセンターを有し、従業員数は約10,500名となる。(2014年7月1日付プレスリリースより)

-Johnson Controlsと長春一汽富維汽車零部件の合弁会社「Changchun Faway Automobile Components Co. Ltd.」の株式50%をJohnson Controls Asia Holdings Co., Ltd.から取得。

受注

-ドイツのMunichで開催される「Electronica 2014」において、「Mazda2」、「Mazda3」、「Axela」などのマツダ車に、同社のインフォテインメントシステムおよびタブレット型ディスプレイが搭載されていると発表。(2014年11月12日付プレスリリースより)
>>>2014年ITS世界会議デトロイトに展示されたMazda3向けインフォテインメントシステム

-大手欧州自動車メーカーより同社の「Fusion」コネクテッドプラットフォームを初受注したと発表。このプラットフォームを搭載したモデルは2018年に発売される予定。「Fusion」は、従来の運転情報、インフォテインメント、クラウド接続などを1つのプラットフォームに融合し、車内でのシームレスなヒューマン・マシン・インタラクション (HMI) を可能にするという。(2014年11月10日付プレスリリースより)

-同社初のワイヤレス充電システムをGMに納入すると発表。このシステムは、誘導結合技術を用いることで、ワイヤレス充電の規格であるPower Matters Alliance (PMA) の「Powermat」とWireless Power Consortium (WPC) の「Qi」の両方に対応する。また、センターコンソールやインストパネルなどコックピット内のさまざまな場所に統合できるように設計されているという。このシステムは、「Cadillac ATS」の2015年モデルに採用されたほか、2014年秋にはスポーツセダン「Cadillac CTS」、2014年末にはSUV 「Cadillac Escalade」に搭載される予定。(2014年8月28日付プレスリリースより)

-Halla Visteon Climate Control (HVCC) は、現代自動車が開発した世界初の水素燃料電池自動車の量産モデル「ix35/Tucson」向けに、さまざまな製品を納入していると発表。このコンパクトクロスオーバーSUVは2013年に欧州で発売されており、2014年春には米国で限定販売される予定。搭載されるHVCC製品には、遠心分離式エアコンプレッサー、クーラントヒーター、高電圧冷却モジュール、PTCヒーター、電動コンプレッサー付きHVACシステムなどが含まれる。(2014年2月21日付プレスリリースより)

-アジアの自動車メーカーより同社の「OpenAir I1.1」インフォテインメントシステムを初受注したと発表。東南アジア・南アフリカ・南米・中東・東欧などの市場で、2015年下期に発売されるモデルに搭載される予定。このエントリーレベルのインフォテインメントシステムは、各種機器との柔軟な接続性を持ち、また高度なエンターテインメントシステムを提供する。7型のタッチディスプレイ、高性能オーディオ、ナビゲーション、マルチデバイス接続により、アプリやメディアストリーミングなどに接続が可能。インターネットへ接続することで、クラウドベースのアプリやデータのダウンロード、無線を通してシステムのアップデートもできる。(2014年2月20日付プレスリリースより)
>>>2014年ITS世界会議デトロイトに展示されたOpenAir

業績見通し

-同社は売上高、修正後EBITDA予測を以下のように計画:
  • 2015年12月期:売上高 3,300百万ドル、修正後EBITDA 240百万ドル
  • 2018年12月期:売上高 3,700百万ドル、修正後EBITDA 335百万ドル

受賞

-2014年の主な受賞は以下の通り:
部門 授与者
Halla Climate Control Fiat-Chrysler 2013年「Supplier of the Year」 (electrical export部門)
Halla Climate Control Volvo Cars Quality Excellence Award
Halla Visteon Russia Renault-AvtoVAZ Quality Performance Award

開発動向

研究開発費

(単位:百万ドル)
  2014年12月期 2013年12月期 2012年12月期
合計 446 325 299

-同社は事業再編後の研究開発費として、全社売上高の約12%-12.5%相当の金額を投資する計画。

研究開発拠点

クライメート エレクトロニクス
-韓国 Daejeon
-ドイツ Kerpen
-インド Bhiwadi
-日本 広島
-タイ Rayon
-米国 ミシガン州 Van Buren
-米国 ミシガン州 Van Buren
-英国 Chelmsford
-中国 上海
-インド Chennai
-日本 広島
-タイ Rayon

-米国のミシガン州Van Buren Townshipの本社にイノベーションセンターを新設した。面積7,600フィートの同センターは、技術ショールームや会議室、デザインスタジオ、コラボレーションスペース、体験ラボを備える。クリエイティビティやチームワークを強化し、自動車メーカー向けに新製品を提供していく。(2014年4月2日付プレスリリースより)

技術提携

-ユーザーインタラクション (UI) デザインとベンチマークソフトウェアを提供するRightwareとの提携を、自動車向けのUIおよびグラフィックソリューションの開発に向けた戦略的提携関係に拡大したと発表した。両社は、自動車メーカーに高精細3Dグラフィックレンダリング技術を使ったヒューマン・マシン・インタラクション (HMI) ソリューションを提供する。これにより、車内において写真のようにリアルな画像をさまざまな設定で見ることができるという。両社はすでに、北米の自動車メーカー向けにKanzi UIを用いた初のリコンフィギュラブル・クラスターのプログラムを立ち上げた。複数の大手欧州自動車メーカー向けにも開発を進めている。(2014年12月29日付プレスリリースより)

-同社はAutonet Mobileと、Visteonの自動車メーカー向け次世代製品とAutonetのテレマティクス技術の統合に向けた独占契約を締結。Autonetは、インターネットを利用したテレマティクスやアプリなどのサービスを提供している。両社は、車両の電気的なアーキテクチャや、ネットワークに統合できるソフトウェア・アプリのプラットフォームを開発し、自動車の新たな機能として提供する。これには、テレマティクス・コントロール・ユニット (TCU)、OSソフトウェア、アプリ、技術サポートなどが含まれる。今回の提携おいて、Visteonは自動車メーカーに対する設計および統合を主導し、Autonet Mobileはソフトウェア、インターネットプロトコル (IP)、ネットワークオペレーションサービスなどを提供する。(2014年2月24日付プレスリリースより)

-ドイツを本拠とする自動車用組込システムのソフトウェア会社OpenSynergyと、戦略的提携契約を締結したと発表。家電製品と自動車用インフォテインメントシステムの統合に取り組む。この提携に基づき、Visteon ElectronicsとOpenSynergyは、オープンソースの車載インフォテインメントシステムとクローズドな自動車分野のギャップを埋める、インフォテインメントシステムの標準化を目指す。両社はまず、Visteonのインフォテインメントシステム「OpenAir I1.2」に、OpenSynergyのオペレーティングシステム「COQOS」を組み込み、Visteon製品に仮想化技術を導入していく計画。(2014年2月21日付プレスリリースより)

製品開発

4G LTEテレマティクスシステム
-Wi-Fiホットスポット用の4G LTEテレマティクスシステムを搭載したデモカーを開発した。このシステムは、1つのハードウェアに組み込まれており、製造時の複雑さを低減する。 Autonet Mobileと共同開発したこのシステムには、テレマティクスコントロールユニット (TCU) のほか、OSソフトウェア、アプリ、クラウドサービスなど一式が組み込まれている。Wi-Fiホットスポットもしくは4G LTEネットワークを通じて、全ての乗員にインフォテインメントサービスを提供する。さらにプレミアムテレマティクスサービスでは、モバイル機器に車両を接続し、遠隔診断やエンジン始動、ドアロック/解除などの遠隔指示を可能にするほか、コンシェルジュアプリ「Find My Car」、「Parental Controls」などを使用することができるという。(2014年6月2日付プレスリリースより)
>>>2014年ITS世界会議デトロイトに展示された4G LTEテレマティクスシステム

「Horizon」コックピットコンセプト
-自動車用の「Horizon」コックピットコンセプトを開発。このコンセプトには、コックピット内の空調温度調節やオーディオ・ナビゲーションなどの操作方法をこれまでとは大きく変える3つの新技術を統合している:
  • ジェスチャーコントロール:カメラシステムがユーザーの手の動きを読み取り、センタースタックの画面上に仮想の「手」を映し出す。これにより、インストルメントクラスターに直接触れることなく、手や指を動かすだけで各機能を容易に操作することができる。
  • 仮想タッチスクリーン:感圧タッチパッドを内装部品と統合することで、センタースタックに届かなくても各機能を操作できる。
  • デュアルレイヤー・ディスプレイ:高解像度グラフィックスが2つの異なる平面上 (全面/背面) に情報を表示し、ドライバーが使用している操作のみを前面に表示する。ドライバーはグラフックスを通して「押す」操作をし、次の画面 (背面) にアクセスすることが可能。
(2014年5月14日付プレスリリースより)

設備投資

設備投資額

(単位:百万ドル)
  2014年12月期 2013年12月期 2012年12月期
クライメート 215 187 152
エレクトロニクス 87 46 23
その他* 31 35 45
コーポレート 7 1 9
合計 340 269 229
*非継続事業分を含む

海外投資

<チェコ>
-Halla Visteon Climate Control (HVCC) は、チェコのHlukに位置する生産拠点Halla Visteon Autopalにおいて新工場を開設。既存の床面積37,230平方メートルに生産スペース7,330平方メートルが加わり、これにより同拠点の生産能力は約30%拡大する。新工場は、2015年第1四半期に生産を開始する予定。今回の拡張は、2013年にHlukでHVCCが設立されて以来、2度目となる。現在は約450名を雇用し、欧州の大手自動車メーカー向けに空冷・水冷式チャージエアクーラー、低温ラジエーター、EGRなどパワートレイン冷却部品を生産している。(2014年11月4日付プレスリリースより)

<メキシコ>
-Halla Visteon Climate Control (HVCC) は、メキシコ中部に建設した新工場「Climate Systems Mexicana, S.A. de C.V.」が、2014年9月中に生産を開始すると発表。同地域に拠点を持つグローバル自動車メーカーからの受注増加に対応する。ケレタロ州に位置する新工場では、HVACユニットを生産する予定。当初の生産能力は年間26万ユニット超を計画しており、50万ユニット超まで拡大が可能だという。HVCCは現在、メキシコ北部のCiudad Juarez市に、3つの全額出資の生産子会社を保有している。(2014年9月12日付プレスリリースより)

<ブラジル>
-Halla Visteon Climate Controlは、同社にとって南米初の生産工場を開設。ブラジルのサンパウロ州Atibaiaに位置する新工場「HVCC Climatizacoes do Brasil Industria e Comercio Ltda.」では、同地域の自動車メーカー向けにHVAC部品の組み立てを行う。生産スペースは3,000平方メートル (約32,000平方フィート) で、需要に応じて拡張が可能だという。従業員約40名を雇用し、6月初旬に生産を開始している。(2014年8月13日付プレスリリースより)