TRW Automotive Holdings Corp. 2010年12月期の動向

ハイライト

業績

(単位:百万ドル)
  2010年
12月期
2009年
12月期
増減率
(%)
要因
全社
売上高 14,383 11,614 23.8

-

純利益

834 55 1416.4 -
シャシーシステム
売上高 8,577 6,856 25.1
-売上高の増加は、主に生産量の拡大によるもので、その合計は1,718百万ドル。
乗員安全システム
売上高 3,482 2,922 19.2 -売上高の増加は、主に生産量の拡大によるもので、その合計は664百万ドルとなったが、104百万ドルの為替差損により相殺。
電子部品部門
売上高 1,150 864 33.1 -売上高の増加は、主に生産量の拡大によるもので、その合計は276百万ドル。為替差益は、10百万ドル。
自動車部品
売上高 1,707 1,341 27.3 -売上高の増加は、主に生産量の拡大によるもので、その合計は371百万ドル。為替差損は、5百万ドル。

受注
-大手欧州自動車メーカーから、ドライバーアシストシステム(DAS)とシャシーの統合制御ユニットを初めて受注。同社はこの「Safety Domain ECU (SDE)」を2013年から供給開始、2014年モデルに搭載の予定。(2010年11月22 日付プレスリリースより)

-大手自動車メーカーからラックドライブ式EPS(電動パワーステアリング)「Belt Drive EPS」を受注。2012年から中型乗用車に搭載される予定となっている。このEPSの納入先となるのは、Fordに次いで2社目。同製品は2年前か らFordの北米仕様車に採用されており、2010年中にはFordの欧州モデルへの搭載が開始される予定。(2010年6月24日付プレスリリースよ り)

-アジアの大手カーメーカーから新型受信機を初めて受注。同製品は、リモートキーレスエントリー(RKE)用と、タイヤ空気圧監視システム (TPMS)用の受信機を統合したもの。2013年モデル向けに2012年から生産開始の予定。(2010年2月17日付プレスリリースより)


合弁事業

-TRW Asia Pacific Co., Ltdは、中国の西安東方集団有限公司(Xi'an Dong Fang Group Co., Ltd)と合弁契約を締結した。陝西省西安市に工場を設立し、エアバッグ用インフレーターとシートベルトプリテンショナーを生産する。TRWのセーフティシステム事業は中国において、合弁6工場、独資3工場の合計9工場を保有。エアバッグ、シートベルト、ステアリングホイール、ブレーキ部品、ステアリング部品、サスペンション部品等を生産している。なお、西安東方集団は中国北方工業公司(China North Industries Group Corporation)傘下の機械メーカー。(2010年3月19日付プレスリリースより)

2011年12月期の見通し

-2011年12月期の売上高は、第1四半期の売上高約3,900百万ドルを含め、14,900百万ドルから15,300百万ドルと予想。この売上高は、生産レベルが北米で12.7百万ユニット、欧州で18.7百万ユニットに加えて中国市場の大幅な成長を期待したもの。また、期待為替レートを考慮して予測。

開発動向

研究開発費

(単位:百万米ドル)
  2010年12月期 2009年12月期 2008年12月期
全社 669 653 857

研究開発拠点

(2010年12月31日現在)

  北米 欧州 アジア
太平洋
その他
シャシーシステム 3 4 3 1
安全システム 2 3 - -
電子部品部門 1 - - -
自動車部品 1 - - -

<インド>
-同社はBrakes India Limited(インド)との間で、技術提携契約を締結した。これにより、Brakes IndiaはTRWからスリップコントロールシステム(SCS)に関する技術供与を受け、インドで製品を開発・生産する計画。現在はTRWがインド向けに ABSや横滑り防止装置(ESC/VSC)を輸出している。なお、Brakes Indiaは1962年、TRWとTVS Sundram Groupの合弁により設立された。(2010年7月13日付プレスリリースより)

製品開発

シートベルト
-小型軽量化を図った次世代のシートベルトプリテンショナーを開発。テンショントルクの伝達に従来の金属ではなく、樹脂製ピストンを採用することでシンプルな構造にした。2013年に生産を開始する予定。 (2010年12月17日付日刊自動車新聞より)

-衝突時の胸部への負荷を低減するシートベルト部品技術「ダイナミック・ロッキング・タング(DLT)」を開発。バックルに固定する「タン グ」と呼ばれる部分に回転カムとバネを装備して、急ブレーキや衝撃によりシートベルトに45ニュートンを超える負荷がかかった場合に、DLTがベルト部分 を固定して胸部の負荷を軽減する。すでにDLT技術を採用した製品の生産を開始している。(2010年9月9日付日刊自動車新聞より)

-「セルフアダプティブロードリミッター(SALL)」を開発。後部座席用で、既に「Mercedes E Class」向けに生産を開始している。「SALL」は、シートベルト装着時に乗員が引き出す帯部分(ウェビング)の量により、乗員の体格を大小2パター ンに認識。衝突事故の際、ベルトを巻き取り乗員を拘束する力の強弱を、乗員の体格に応じて2段階に制御する。(2010年6月7日付プレスリリースより)

頭部保護システム
-コンバーチブルカー向け頭部保護システムの新製品「HPSC II」を開発。この「HPSC II」は、背もたれ部クッションに完全に格納されるよう設計されている。ヘッドレストに格納する必要がないため、幅広いコンバーチブル車種への採用が可能。2013年発売の車両から搭載開始の予定。(2010年8月18日付プレスリリースより)

歩行者保護システム
-歩行者保護システムを開発。フロントバンパー部に最大3個のリモート加速度センサー(RAS)を搭載。このセンサーは加速度信号を常時発信し、ECU でそのデータを分析する。本システムは、衝突の際にその対象が人間または物体なのかを判断。検知したのが歩行者の場合、フードリフト機構を作動させる。 フードとエンジンの間にさらに空間をつくることで、潜在的な負傷を軽減するもの。同社は現在、欧州自動車メーカーと共同で同システムの生産を行ってい る。(2010年12月13日付プレスリリースより)

タイヤ空気圧モニタリングセンサー
-タイヤ空気モニタリングセンサー(TPMS)向けの低コストクランプインセンサーを開発。 新機構の採用により、部品点数を減らしてコスト低減を実現すると同時に高い信頼性を確保した。2011年に市販される車両に搭載される予定。(2010年10月13日付日刊自動車新聞より)

ブレーキ
-ブレーキシステムの新製品「Collision Mitigation Braking (CMB)」を開発。衝突時の被害軽減を目的とし、渋滞を含む市街地を走行する車両向け。このCMBは24GHzレーダーセンサーを使用し、先行車や 前方障害物の距離や相対速度を計測。衝突の可能性を検知すると、音声、ディスプレイ表示、触覚によってドライバーに警告を発する。衝突の可能性があるもの の、警告してもドライバーが反応しない場合は、自動的に一定のブレーキ圧をかけて減速させる。一方、警告に反応してブレーキを踏む場合には、自動的に最大 ブレーキをかけて衝突被害を軽減する。(2010年7月1日付プレスリリースより)

電動パワーステアリング
-ラックドライブ式EPS(電動パワーステアリング)「Belt Drive EPS」を開発。このEPSをFordの「Fusion」、「Flex」、「Taurus」、「Mercury Milan」、「Lincoln MKT」、「Lincoln MKS」などに供給している。(2010年3月10日付プレスリリースより)

横滑り防止装置
-IMU(慣性計測装置)を統合したESC (横滑り防止装置)を開発したと発表。同製品はLancia「Delta」に採用された。(2010年2月24日付プレスリリースより)

設備投資

設備投資額

(単位:百万ドル)
  2010年12月期 2009年12月期 2008年12月期
シャシーシステム 164 97 214
乗員安全システム 49 55 149
電子部品部門 42 22 50
自動車部品 36 25 54
Corporate 3 2 15
合計 294 201 482

-2011年12月期の設備投資額は、約540百万ドルの見込み。