TRW Automotive 2007年度の動向

ハイライト

業績

(単位:
百万ドル
2007年度 2006年度 増減率
(%)
要因、背景
総売上高 14,702 13,144 11.9 売上高は、主に新製品の販売増および海外市場における業界の堅調な販売によって製品の生産量が増加したことにより増加。この売上増は、北米の納入先における車両生産台数の減少および販売価格低下によって部分的に相殺。
2007年度は、為替差益(約856百万ドル)も売上増に寄与。
為替変動の影響を除いた2007年度通期の売上高は前年比5.3%(702百万ドル)増加。

総純利益

90 176 (48.9) 2007年度の総純利益は、155百万ドルの負債返済により減少。
セグメント別売上高
シャシー
システム
7,997 7,096 12.7 売上高は増加。主に北米およびアジア地域におけるモジュールの好調な販売による売上増419百万ドル並びに、為替差益による482百万ドルが寄与。
乗員安全
システム
4,714 4,326 9.0 売上高は増加。主に為替差益の252百万ドルと生産量増加による売上増分136百万ドルが寄与。
自動車部品 1,991 1,722 15.6 売上増は、生産量増加による148百万ドルおよび121百万ドルの為替差益による。

受注

2007年度の主な新規受注
2007年1月、TRW Automotive Components (Shanghai) Co., Ltd. (TACS)はShanghai Automobile Industry Corp. (SAIC)製の新型Roewe 750用にABSと横揺れに対する制御機能をもつトラクション・システム双方の機能を兼ね備えた、高性能タイプの横滑り防止装置(ESC)を供給していると発表。

2007年7月、MINI Cooper、同Cooper Sハードトップ、Saab 9-3、GMブランド大型ピックアップトラック等、複数の新型モデル向けに、横滑り防止装置(ESC)システム部品を供給すると発表した。

2007年8月、ミニバン「Dodge Grand Caravan」および「Chrysler Town & Country」2008年モデル向けに、多岐にわたるアクティブ/パッシブセーフティーシステムを供給していると発表。

2007年11月、ブレーキシステム「Slip Control Boost(SCB)」を開発したと発表。SCBは、回生ブレーキ対応のブレーキシステムで、フル機能StabiliTrak(横滑り防止装置)としてGMの新型ハイブリッドSUV「Chevrolet Tahoe」「GMC Yukon」に搭載される。

2007年11月、Mazdaの新型(小型車用)グローバルプラットフォーム向けに、コラム式電動パワーステアリング(EPS)システムを供給と発表。Mazdaでは、このグローバルプラットフォーム採用の新型小型車を、海外では「Mazda2」のネーミングで、日本では「デミオ(Demio)」のブランド名で販売している。同社は、2007年7月上旬、「Demio」2008年モデルデビューに合わせ、EPSシステムの供給を開始した。

2007年11月、日本法人のTRW Automotive Japan Co., Ltd.がMazdaの新型SUV「CX-9」向けに、ブレーキシステムを提供していると発表。横滑り防止装置ESC((エレクトロニック・スタビリティ・コントロール)、ブレーキアクチュエーションに加え、サスペンション用ボールジョイントも供給している。

合弁事業
2007年度、Sunとステアリングホイールを生産する合弁会社をインドに設立。

企業買収
2007年9月、同社の子会社とDelphiは、北米のDelphiのブレーキ部品生産・組立事業関連資産の一部の売却につき合意した。北米のブレーキ部品生産・組立事業関連資産のうち、売却対象となるのは、Saginaw工場(ミシガン州)、Springhill工場(テネシー州)、Oshawa工場(カナダ)の各種ブレーキ部品生産・組立用機材、在庫製品、ならびにSaginaw工場の一部施設の5年リース契約(契約期間延長可)となっている。

展望
2008年度の業績見通しは以下のとおり。
売上高: 156~160億ドル
リストラ費用: 50百万ドル
設備投資: 対売上比4%を若干下回る

開発動向

開発研究費及びエンジニアリング費
-技術センターを世界中で展開。約5,000名のエンジニア、研究者、設計者、技術者、それらのサポートスタッフを保有。
2007年度の研究開発およびエンジニアリング費用は893百万ドル。
この金額は2007年度の対売上比6.1%を占める。

製品開発

ベルト駆動式電動パワーステアリングシステム(EPS):
同社のベルト駆動式(別称:「ラックアシスト式」)EPSは、車高のある中/大型車に適したEPS方式で、同社の従来型コラムアシスト式EPSと比べ、より優れた燃費改善、二酸化炭素排出量削減効果を発揮する。ベルト駆動式EPSは、ステアリング操作の必要時のみパワーアシストすればよいことから、消費エネルギーが少なく、結果、燃費を向上し、二酸化炭素排出を抑える利点がある。常時パワーアシストが必要な従来型の油圧パワーステアリング(HPS)に比べ、僅か10%程度のエネルギーで済む。

薄型ワイドブリッジ(TWB)ブレーキキャリパー:
TWBキャリパーは、燃費およびブレーキ寿命を向上させる特性をもつ。TRW のTWBキャリパーは、その独自設計により、既存のブレーキキャリパーに比べ、ブリッジの厚みが45%薄くなった一方、40%幅広となっている。ブリッジ厚を45%薄くしたことで、ピストン径が大きくなり、より大径のブレーキパッド、ブレーキローターと組み合わせて使用することで、ブレーキトルク出力がアップする。TWBキャリパーは先行製品に比べより軽量なハウジングを採用し、燃費向上を実現した。TWBキャリパー用ハウジングはブレーキローターの温度上昇、ブレーキ制動の低下、およびパッドの磨耗を抑える効果がある大径のブレーキパッド、ブレーキローターにも対応可能。

設備投資

百万ドル 2007年12月期 2006年12月期 2005年12月期
シャシーシステム
(Chassis Systems)
279 273 275
乗員安全システム
(Occupant Safety Systems)
170 167 146
自動車部品
(Automotive Components)
51 76 79
Corporate 13 13 3
合計 513 529 503

海外投資
中国
2007年6月、同社は、中国の国家機動車産品質量監督検験中心(上海)との共同出資により、中国国内の自動車メーカーによる乗員安全システム(OSS)技術開発を支援するため、大規模な性能試験施設を整備する契約に調印。

スロバキア
2007年7月、同社のエンジニアリング・ファスナー&コンポーネント部門は、スロバキア・Bytcaに新工場を建設し、製品需要が伸張している東欧市場での事業拡大を図ったと発表した。同社は、新工場建設にともない、現地子会社TRW Automotive Slovakia s.r.o.を新設、インテリアおよびコックピット部品を生産する。
2007年12月、同社は電動ステアリングシステム生産の増強のため、スロバキアに新工場を開設した。ステアリングシステムの新拠点であるTRW Steering Systems SlovakiaはNove Mesto nad Vahomに位置し、電動パワーステアリングシステム向けの高性能モーターを生産する。08年3月にはフル稼働体制となる見通し。新工場の建設により、 モーターの生産能力を現在の年200万個から300万個強に拡充し、欧州およびアジア市場における旺盛なEPS需要に対応する。

日本
2007年11月、同社は横浜に同社日本法人のエンジニアリングセンターを新設した。旧センターを移転し5,000平米規模に拡張したもので、研究開発 (R&D)部門、応用エンジニアリング部門を配し、また、本格的試験設備も併設した。日本での技術開発のさらなる強化を図るとともに、日系企業向 けにセーフティー関連製品のより包括的なサービスを提供するのが狙い。同センターは、ステアリング&サスペンション事業、ブレーキシステム事業、乗員安全 システム事業、アクティブ及びパッシブセーフティーシステム事業を統括する日本法人の本社機能に加え、同社全製品を対象とする試験施設としての機能も担 う。