Osram AG 2009年9月期までの動向

ハイライト

事業概況

-2009年9月期の売上高は、全ての部門で減収となり前期比13%の減少。地域別に見ると、欧州、C.I.S、アフリカ、中東、米州で大幅に落ち込んだ。稼働率の低下が利益を急激に減少させる結果となった。

 

受注

-2009年9月、Volkswagenの「L1」に新型LEDヘッドライトシステム「Joule JFL2」を供給。IAA2009(フランクフルトモーターショー)に出品されたこのコンセプトカーは2013年から生産が開始される見込み。 「Joule JFL2」はディップド・メインビーム機能を備え、従来製品に比べて消費電力低減を実現した。この新製品は2010年前半から量産の予定。(2009年9月28日プレスリリースより)

-2009年7月、ヘッドライト用ハロゲンランプ「SNAPINLITE」をVolkswagen「Golf VI」とTesla「Roadster」に供給。これは取付・交換が容易なスナップインタイプ。「Golf VI」には「H15」デュアルフィラメントランプ、「Roadster」向けには「H9B」ランプが採用された。(2009年7月15日付プレスリリースより)

-2007年10月、Osram Sylvaniaが開発した水銀フリーシステム方式のD3Rキセノン(HID:高輝度放電灯)ランプがFord 「Mustang」2008年モデルにオプション搭載された。Osram Sylvaniaが開発した水銀フリーキセノンHIDランプがFord車に搭載されるのは、Lincoln 「Navigator」に次いで、新型「Mustang」が2モデル目。(2007年10月1日付けプレスリリースより)

-2007年2月、Joule LEDをFord「Taurus X」と「Mercury Sable」2008年モデルに供給。

-2006年2月、水銀を全廃したHID(高輝度放電灯)ランプ及びバラストシステムを世界で初めて供給。このD3 HID前照灯システムは、「Lincoln Navigator」2007年モデルに搭載された。

-2005年6月、Osram SylvaniaはJoule LEDをFord「Mercury Mountaineer」2006年モデルに供給。

開発動向

研究開発費

(単位:百万ユーロ)
   2008年9月期
以降N.A.
2007年9月期 2006年9月期
合計 242 237

研究開発体制

-1998年末、自動車ライティング部門は4つのグローバル開発チームを結成。5番目として発光ダイオード(LED)を開発するチームを、Osram Opto Semiconductors内に設置。

技術提携

-2009年3月、億光電子工業(Everlight Electronics)と特許のクロスライセンス契約を締結。同社は2003年9月から、白色・カラーLEDの生産・販売に関するライセンスを Everlightに供与しており、その契約が延長された形。一方、Everlightはハウジング関連のライセンスを同社に供与する。(2009年3月 26日付プレスリリースより)

-2007年9月、豊田合成と白色LED技術を含むⅢ‐V族窒化物化合物半導体LEDの特定技術に関し、両社の子会社も含め、相互の特許を活用できる契約を締結。両社は、友好的な取引関係の維持を希望しており、公正な競争により、高品質で高輝度のLED開発とLED市場の拡大を追及する。この契約により、双方の特許を懸念する必要がなくなったため、両社における開発努力の自由度が広がり、また、両社の研究が促進され、LEDの光度改善も含めたLED技術における開発での新たな進展が期待される。

-2007年8月、韓国Seoul Semiconductors社と、白色LED及び応用技術である可視LED分野の関連特許とパッケージ関連の特許とを相互に供与するクロスライセンス契約を締結。クロス・ライセンス契約により、Seoul Semiconductorsは、同社の子会社Osram Opto Semiconductorsが保有する白色/可視LED技術を使った製品を製造し販売することが可能となる。一方、Osram Opto Semiconductorsは、Seoul Semiconductorsが保有するパッケージ関連の特許を使用することが可能となる。クロスライセンス契約を締結したことで、戦略的パートナーとしての両社の関係が強化される。Osram Opto Semiconductorsは、InGaN系半導体を使った青色LEDチップと蛍光体材料を組み合わせ、白色LEDを製造する波長変換技術を保有している。クロスライセンス契約により、Seoul Semiconductorは、そうした特許技術も使用できるようになる。Osram Opto Semiconductorsは、こうした白色/可視LEDに関する特許技術に関連し、ローム、Everlight、Lite-On、Harvatek Vishay、Samsung Electrics、Yashin およびシチズンといった複数のLEDメーカーにライセンスを供与している。

製品開発

-2009年9月、OSRAM Opto Semiconductorsは車載向けLED「Oslon MX ECE」を新たに導入した。主に中級車のデイタイムランニングライト用に開発したもので、「Advanced Power TOPLED」と「Golden DRAGON」の中間グレードにあたる。この1Wクラス小型LEDは輝度70-95lm(ルーメン)で、最高150℃まで対応可能。また、0.5Wクラスで輝度40-60lmの「Oslon SX ECE」も併せて供給する。(2009年9月10日プレスリリースより)

-2007年7月、Osram Opto Semiconductorsは高輝度を誇るOSTARRヘッドランプLEDの次世代型ヘッドランプLEDを開発。この新型OSTARRヘッドランプ LEDは、白色LED素子を5個直列に接続、色温度6000K。駆動電流700mA投入時の全光束が620lmと極めて高く、OSTARRヘッドランプLEDの従来製品に比べ、2倍以上の明るさを実現した。同社特許Thin-Film技術に加え、蛍光材料を改良することで高輝度を実現し、高性能でありながら 場所をとらないコンパクト設計となっている。新型OSTARRヘッドランプLEDのサンプル出荷はすでに開始されており、2008年度第3四半期には量産体制に入る見通し。 (2007年7月5日付プレスリリースより)

-2006年11月、Osram Opto Semiconductorsは新型OSTARヘッドランプを発表。OSTARヘッドランプの導入と、引き続き導入されるOSTARヘッドランプHot Spotにより、同社はリフレクターとプロジェクター両方のシステムに基づいた車両の前方照明製品を展開する。OSTARヘッドランプを元に設計されるシステムは、明るい白色光で、ハイ/ロービームのヘッドライト、フォグライト、デイタイムランニングライト、Adaptive Front lighting Systems (AFS, 自動感知フロントライトシステム)などに適している。この新しい高出力の光源は5つの大きなThinGaNのチップを持っている。特許を取得している ThinGaNのアーキテクチャーは、ハロゲンやHIDに必要な性能を満たす輝度および照度を作り出すことができる。(2006年11月14日付プレスリ リースより)

Ceramos Reflector
-2008年5月、高出力Ceramos Reflector LEDを開発。このCeramos Reflectorは、縦2.3x横3.2x高さ0.8㎜の小型パッケージで、5‐20インチの中型液晶パネル(LCD)のバックライト光源などでの需要が期待される。摂氏150度の高温下でも本来の性能を維持することができる高耐熱性に加え、5万時間という長寿命を実現。この新製品には同社特許のThinGaN技術が採用されており、電流80mAでの発光効率は70lm/W。 自動車のダッシュボードや航空機のコックピットのディスプレイなど、太陽光が差し込む中でも画面がはっきり見える反射型ディスプレーのバックライトといった用途を想定した設計で、標準的な実装プロセスでの使用が可能。また、水銀フリーを実現した環境配慮型製品で、「RoHS指令」にも対応。(2008年5月20日付プレスリリースより)

JOULE LED
-北米で2007年よりJOULE LED というリアランプを市場展開している。このランプの採用で車両後方部分での安全性が大きく確保された。LEDをタイルゲート、ブレーキランプ、フラッシャーなどに採用。LEDを採用したブレーキランプは、ペダルを踏んだ時、瞬時(正確には約1/1000秒)にランプが点灯するため、後方の車両へよりすばやく注意を促すことができる。

NIGHT BREAKER
-2007年10月、同社は NIGHT BREAKERと呼ぶ先進的なヘッドランプを開発。この新型ランプは夜間走行や視界不良の天候の中でより優れた安全性を提供。これは、新規に開発した高性能フィラメントを採用したことでいままでの製品に比べ明るさが90%程度増加し、また、新しい塗装技術の導入により白色度も10%ほど高まった。

設備投資

設備投資額

(単位:百万ユーロ)
  2010年9月期
以降N.A.
2009年9月期 2008年9月期
合計 182 386

 

海外投資

-2008年4月、子会社Osram Opto Semiconductorsは、香港にアジア地域統括本部を開設。今回開設したのはOsram Opto Semiconductors Asia Ltd.で、当面、アジア地域での販売・マーケティング活動を展開する。香港に地域統括本部を置くことで、中国、韓国、日本を中心としたアジア地域の顧客およびパートナー企業をより近くからサポートする体制を整える。(2008年4月17日付プレスリリースより)

-2007年7月、Osram Opto SemiconductorsはマレーシアのPenangでLEDチップ工場の建設を開始。同社のLEDチップ工場は、ドイツのRegensburg工場に次ぎ2番目。投資額は数百万ユーロで総床面積は3万㎡以上。2009年春に竣工予定。この工場が完成すると生産能力は50%向上する見込み。