Leoni AG 2015年12月期の動向
業績 |
(単位:百万ユーロ) |
2015年 12月期 |
2014年 12月期 |
増減率 (%) | 要因 | |
全社 | ||||
売上高 | 4,502.9 | 4,103.4 | 9.7 | 1) |
EBIT | 151.3 | 182.5 | (17.1) | 2) |
ワイヤリングシステム部門 | ||||
売上高 | 2,668.2 | 2,399.6 | 11.2 | 3) |
EBIT | 87.4 | 104.6 | (16.4) | - |
ワイヤー・ケーブル部門 | ||||
売上高 | 1,834.7 | 1,703.8 | 7.7 | 4) |
EBIT | 63.9 | 78.1 | (18.2) | - |
要因
1) 売上高
-2015年12月期の連結売上高は、前年比約10%増の45億ユーロであった。世界中の自動車業界ならびにその他多くの産業界からの需要増を記録。唯一インフラ部門と石油化学製品部門のみが弱さを示した。自律的成長とともに、為替変動の好影響が売上増に大きく寄与することとなった。ワイヤリングシステム部門は11%強増加の26.7億ユーロ、ワイヤー・ケーブル部門は約8%増加の18.3億ユーロであった。
2) EBIT
-EBITは182.5百万ユーロから151.3百万ユーロに収縮した。縮小の原因は、第3および第4四半期に収益不足の元となったワイヤリングシステム部門の新プロジェクト費用が、当初の計画よりも高くなったことによる。
3) ワイヤリングシステム部門
-2015年度、ワイヤリングシステム部門の売上高は、約11% (268.6百万ユーロ) 増の2,668.2百万ユーロ。ケーブルハーネスとワイヤリングシステムに対して世界の自動車産業からの高い需要があり、同部門は148.8百万ユーロの売上増となった。また、為替変動の好影響で119.1百万ユーロの売上増にもつながった。その他、銅の価格変動による売上増は70万ユーロにとどまった。地域ごとに見ると、EMEA (Europe, the Middle East and Africa)は12.5%増の1,914.9百万ユーロ、米州は20.5%増の341.6百万ユーロ、一方でアジアは1%弱減の411.7百万ユーロであった。
4) ワイヤー・ケーブル部門
-2015年度、ワイヤー・ケーブル部門の売上高は、約8% (130.9百万ユーロ) 増の1,834.7百万ユーロであった。同部門は76.7百万ユーロの売上増となった。プラスの為替効果が126.6百万ユーロ分あったのと対照的に銅の価格下落が72.4百万ユーロの減少をもたらした。地域ごとに見てみると、アジアと米州の成長は為替レートの変動の影響によるものであることが判明。EMEA (Europe, the Middle East and Africa)の売上高は約3%増の1,030.9百万ユーロだった。同部門はアジアにおいて約13%弱増の408.3百万ユーロ、米州で17%増の395.5百万ユーロの売上増となった。
受注
-同社は、Volvoの次世代モデル向けにワイヤーハーネスを受注したと発表した。同社にとってVolvoからの受注は初めてとなる。アンダーボ ディ、トンネル、ドア、ルーフ、バンパーなどに使用する数種類のハーネスを生産する。(2015年12月17日付プレスリリースより)
-同社は、現代自動車よりワイヤーシステムを初受注したと発表した。6年間にわたって、数千万ユーロ相当の売上が見込まれる。2016年12月より、 現代の中型車モデルにフロントボディケーブルハーネスを装着する。チェコにある現代の工場の近郊で、部品を生産できることが今回の受注につながった。年間 13~16万のフロントボディーハーネスを納入する計画。(2015年1月20日付プレスリリースより)
合弁事業
-同社は、北京海納川汽車部件 (BHAP) と合弁会社を設立することで合意したと発表した。これにより同社は、中国の河北省廊坊 (Langfang) にあるワイヤーシステム工場の株式50%をBHAPへ売却する予定。同工場はこれまで、Daimlerと北京汽車 (BAIC) の合弁会社である北京奔馳汽車 (BBAC) のモデル向けに納入するケーブルハーネスの生産に特化していた。(2015年9月18日付プレスリリースより)
2016年12月期の業績見通し (同社による予測)
- 全社:売上高は44億ユーロ、同EBITは105百万ユーロと予測。
- ワイヤリングシステム部門:売上高は26億ユーロ、同EBITは約30百万ユーロを見込む。
- ワイヤー・ケーブル部門:売上高は18億ユーロ、同EBITは約75百万ユーロを見積もる。
研究開発費 |
(単位:百万ユーロ) |
2015年12月期 | 2014年12月期 | 2013年12月期 | |
合計 | 119.8 | 109.3 | 106.1 |
研究開発人員 |
2015年12月期 | 2014年12月期 | 2013年12月末 | |
ワイヤリングシステム部門 | 1,221 | 1,281 | 1,277 |
ワイヤー・ケーブル部門 | 448 | 356 | 359 |
合計 | 1,669 | 1,637 | 1,636 |
研究開発拠点
ワイヤリングシステム部門
-中国、ドイツ、フランス、英国、スロバキア、韓国、米国で研究開発を行っている。
-同部門の本拠地ドイツ Kitzingenでは付加価値のある開発とプロジェクト関連支援を行う。
-2015年、同部門は中国と韓国に焦点を当てて研究開発の施設拡張を実施した。
-同じくスロバキアにおいても開発拠点の拡張を行った。
ワイヤー・ケーブル部門
-主にドイツおよびスイスで研究開発を実施。
製品開発
新型Yスプリッター
-同社は、新型のYスプリッターを開発したと発表した。高電圧ワイヤーシステムにおいて、補助ユニットの安全で低抵抗な接続を保証する。小型で高い堅 牢性を有するこの部品は、HVやEVの配線を簡素化する。例えば、エアコンコンプレッサーと電気ヒーターのように、2つの高電圧ユニットの電力を安全に分 けることができるという。この製品は800Vまで対応可能となる。(2015年9月10日付プレスリリースより)
点火式スイッチ
-同社は、フランクフルトモーターショーにおいて点火式スイッチ (pyrotechnical switch) を初公開すると発表した。このスイッチは、配電機器やプレヒューズボックスに直接統合できるため、取り付け部分や締め具が不要となる。衝突が起きると、3 ミリ秒以内に電力供給をストップしてショートを防ぐ。エアバッグ信号と連携しており、配線の変形に素早く反応するため、衝撃によるケーブルの損傷が発生す るのは電流が切れた後になる。これにより、車両火災を引き起こすショートの危険性を最小限にできる。このスイッチは、バッテリーがリア部にあり、それに対 応する長さの高出力ケーブルでエンジンルームと接続している車に適しているという。(2015年8月20日付プレスリリースより)
銅と極薄絶縁体を使用したケーブル
-同社は、自動車用ケーブルのラインナップ拡充に向けて、銅と極薄の絶縁体を使った新製品を開発した。この新型ケーブル「FLUY」は、厚さわずか 0.16mmの特殊なPVC (ポリ塩化ビニル) の絶縁体を使用しており、これによりケーブルの直径を11%縮小させた。ワイヤーシステムに使用した場合、ハーネス束の直径を最大15%縮小できるとい う。さらに、ケーブル1本あたり7%の軽量化を実現。これにより、ワイヤーの大部分にこの新型ケーブルを採用した場合、中型乗用車1台につき最大 1.5kgの軽量化につながるという。Leoniは、この新製品を欧州、アジア、米州で生産し、グローバルに供給する計画。2017年に高級ブランド車に 初搭載される予定。(2015年7月17日付プレスリリースより)
設備投資額 |
(単位:百万ユーロ) |
2015年12月期 | 2014年12月期 | 2013年12月期 | |
ワイヤリングシステム部門 | 168.3 | 139.2 | 100.2 |
ワイヤー・ケーブル部門 | 67.7 | 68.0 | 57.1 |
その他 | 11.4 | 8.6 | 11.1 |
合計 | 247.5 | 215.8 | 168.4 |
国内投資
-ドイツRothにおいて高品質ケーブルおよびコンダクターの開発・生産を行う新施設「Factory of the Future」の建設準備を開始した。敷地面積は134,000平方メートルで、建物面積は48,000平方メートル。生産施設のほか実験室、開発センター、訓練センターなどを備える。2016年半ばに建設が開始され、完成は2018年を予定している。また、2018年はじめより既存工場から徐々に移転を開始し、2019年はじめに完了する見込み。(2015年3月23日付プレスリリースより)
海外投資
<パラグアイ>
-同社は、パラグアイに同社初の生産拠点を開設した。San Lorenzoに位置する新工場では、商用車・乗用車向けのワイヤーハーネスを生産し、複数の顧客に納入する。建物と設備への投資総額は12百万ユーロ。 2016年1 月時点で敷地面積は約28,000平方メートル、生産スペースは約10,000平方メートルとなり、フル稼働時の従業員数は最大1,000名を見込む。す でに量産を開始している。同社は、メキシコとブラジルに3つのワイヤーシステム工場を保有している。パラグアイの新工場は、ブラジルとアルゼンチン にある顧客の生産拠点に納入する。(2015年11月19日付プレスリリースより)
<中国(遼寧省鉄嶺)>
-同社は、中国の遼寧省鉄嶺 (Tieling) 市に同社にとって同国で5番目となるワイヤーシステム工場を開設したと発表した。新工場では、同社の新たな顧客である華晨宝馬汽車 (BMW Brilliance Automotive) の複数のモデル向けに開発・生産を行う。建物と設備には総額35百万ユーロを投じた。総面積は25,000平方メートル超で、フル稼働時には最大 2,000名の従業員が勤務できるスペースを持つ。2016年はじめに量産を開始する予定。(2015年8月13日付プレスリリースより)
<メキシコ・中国(遼寧省盤錦)>
-同社は、メキシコと中国で生産能力を拡大し、米州およびアジアにおける事業拡大を進めている。メキシコのグアナファト州Celayaで、生産スペー ス約6,300平方メートルの工場を建設。2015年6月から自動車用単芯ケーブルの生産を開始する。年末までに約7百万ドルが工場と設備向けに投入され る予定。また、同社は中国・遼寧省の盤錦 (Panjin) に生産スペース約8,000平方メートルの工場を建設する。新工場では、自動車向けに断面積が0.13~6平方ミリメートルの単芯ケーブルを生産する。 2015年末に生産を開始する計画。(2015年2月3日付プレスリリースより)
設備投資額見通し
-同社は受注残案件から今後数年の売上増が見込めるため、2016年の設備投資費を230百万ユーロまで削減できるとしている。
-部門別ではワイヤリングシステム部門135百万ユーロを投資し、米州、アジア、東欧、北アフリカでのモデルチェンジを含めた新プロジェクト用の生産工場に用いられる。
-ワイヤー・ケーブル部門への投資は約80百万ユーロの予定。
-将来的な工場建設とその他計画とともに、焦点となる予定のものは自動車ケーブル部門、工業およびヘルスケア部門、コミュニケーションおよびインフラ部門の事業拡大である。