Knorr-Bremse AG 2015年12月期の動向

業績

(単位:百万ユーロ)
2015年12月期 2014年12月期 増減率 (%) 要因
売上高 5,830.6 5,206.0 12.0 1)
純利益 644.8 560.0 15.1 -
商用車用システム部門
売上高 2,491.8 2,227.7 11.9 2)



要因
1) 売上高
-2015年12月期の全社売上高は、前年比12.0%増の5,830.6百万ユーロ。為替変動の影響を除くと約3.5%増。鉄道車両システム部門は、欧州、北米、南米、アジア/オーストラリア地域で増収、商用車用システム部門は、欧州、北米、アジア/オーストラリア地域で増収となった。

2) 商用車用システム部門の売上高
-同部門の2015年12月期売上高は、前年比11.9%増の2,491.8百万ユーロ。欧州ではディスクブレーキ、電動ブレーキシステムの需要拡大により増収。北米では再製造事業およびElectronic Stability Programsが好調だった。一方で、南米の経済危機により、減産や開発プロジェクトの減少があり、増収の一部が相殺された。

合弁事業

-2015年に東風電子科技股份 [Dongfeng Electronic & Technology Co., Ltd.] との合弁会社、東科克諾爾商用車制動技術有限公司 [Knorr-Bremse DETC Commercial Vehicle Braking Technology Co., Ltd.] が生産を開始。当初はABSシステムとブレーキバルブ、ブレーキ圧コントロールバルブなどの機械部品を生産する。将来的には、中型・大型トラック向けブレーキシステムや排気ブレーキ部品など、生産品目を拡充する計画。

受注

-同社グループ傘下のBendix Commercial Vehicle Systems (Bendix CVS) は、同社製のタイヤ空気圧モニタリングシステム 「SmarTire」 がFreightliner 「Cascadia」 および 「Cascadia Evolution」 に標準搭載されたと発表した。「SmarTire」 は、ダッシュボードのディスプレイに空気圧と温度をリアルタイムで表示し、走行中のタイヤに問題がないかをドライバーに知らせることができる。タイヤ内部のホイールに搭載されるセンサーは、タイヤの温度と空気圧を正確に測定してセンサーの損傷を防ぐという。(2015年3月25日付プレスリリースより)

-2015年は欧州商用車メーカー各社から下記の受注を獲得。

  • エレクトロニクスおよびスクリュー型コンプレッサー、2021年までの契約
  • エンジンフラップバルブ、2020年までの契約
  • クラッチタイプコンプレッサーおよび電動パーキングブレーキ、2022年までの契約
  • ブレーキコントロールシステム、ホイールエンドシステム、運転支援システムなどの各種契約



2016年12月期の見通し

-2016年12月期の売上高は、前年よりやや減少する見通し。

研究開発費

(単位:百万ユーロ)
2015年12月期 2014年12月期 2013年12月期
合計 347.3 295.5 252.5
売上に占める割合 (%) 6.0 5.7 5.9



研究開発拠点

-2015年末にドイツMunichで新たに開設する開発センターに、約90百万ユーロを投じていると発表した。(2015年6月29日付プレスリリースより)

製品開発

運転支援システム
-2015年秋までに欧州商用車の新車に自動緊急ブレーキシステム (AEBS) と車線逸脱警告システム (LDWS) の搭載が義務づけられるのを受け、同社は量産開始に向けて、これら2つのシステム開発に注力する。

シングルシリンダーコンプレッサー
-アルミ鋳造シングルシリンダーコンプレッサーの開発を継続。非アルミ鋳造コンプレッサーと比べると、約40%軽量化される。

燃費低減システム (ESS)
-燃費低減システムの開発を継続。2016年の量産開始に向けて、燃料使用量および油汚染を低減することに注力している

スクリュー型コンプレッサー
-ハイブリッドバスや電気バス用スクリュー型コンプレッサーの拡充を継続。このコンプレッサーの低ノイズ特性は電動車両に適している。また、回生ブレーキエネルギーによる駆動で燃費も削減する。

設備投資費

(単位:百万ユーロ)
2015年12月期 2014年12月期 2013年12月期
商用車用システム部門 81.1 57.7 67.3
鉄道車輛システム部門 117.6 93.7 84.0
その他 11.5 9.2 8.2
全社 210.2 160.6 159.5


-2015年12月期は主にドイツMunichに新設する試験・開発センターの土地や設備に投資。また、南アフリカで鉄道車両システム拠点のインフラに投資。

国内投資

-ドイツMunichで新たに開設する開発センターのインフラ整備に、2017年までに約100百万ユーロを投じる計画。これにより、同社は過去5年間で、世界の製造拠点および生産設備に10億ユーロ超を投資したことになる。同社は、約10年以上前からMunich拠点における専門技術の拡大に向けた長期計画に着手している。同拠点の北側にある施設を集約し、相乗効果を活用しながら部門間の連携を高める計画。また、同時に鉄道車輌システム部門 (Rail Vehicle Systems) の生産・組み立ておよび生産関連のサービスを、2017年半ばまでにMunich拠点から他のグループの拠点に移管する予定。これに伴い、Munich拠点の従業員302名が、ドイツのBerlin工場、ハンガリーのBudapest工場、中国の江蘇省蘇州 (Suzhou) 工場および北京の南口 (Nankou) 工場などの拠点へ異動となる見込み。(2015年6月29日付プレスリリースより)