Honeywell International Inc. 2015年12月期の動向

ハイライト

事業概況

輸送システム事業
-2015年12月期の輸送システム事業の売上高は、前年比19%減 (本業の売上は3%増)。新モデル向けの製品搭載の増加、世界的なターボ搭載率の上昇などがあったものの、為替の影響と摩擦材事業の売却による減収がそれを上回った。

電動化への取り組み
-2015年9月、フランクフルトモーターショー (IAA) にて、同社の電動化への取り組みが紹介された。シミュレーションおよび試作機作成の段階であるという。紹介されたアプリケーションは以下の通り:

  • E-チャージャー (E-Charger):補完的にタービン側でコンプレッサーホイールをモーター駆動し、エンジンへのエア供給速度を上げる。
  • E-ターボコンパウンディング (E-Turbo Compounding):E-チャージャーと逆方向に働き、ホイールの排気エネルギーを発電機に回送。
  • フル電動ターボ (Full electric turbo):一体型ユニット。電気エネルギーを自らの動作に使用する以外に周辺機器に供給する。ハイブリッドシステムでは、エネルギーをクランクシャフトに回し、エンジンの効率を上げることができる。
  • 燃料電池車のための電動エアコンプレッサー:水素燃料電池セルにエアを押しだすための電動ポンプの働き。

(2015年9月15日付プレスリリースより)

受注

<インド>
-2015年4月、Volkswagenがインドで設計・開発を行った新型1.5L TDIディーゼルエンジンに、同社の可変ジオメトリーターボチャージャーが採用されたと発表。この1.5Lエンジンは、Volkswagen 「Polo」 および 「Vento」、Skoda 「Rapid」 に搭載されている。この可変ノズルタービン (VNT) 式ターボチャージャーにより、空間効率が30%向上する。また、小型化したディーゼルターボチャージャーは、これまでの同等の出力の自然吸気エンジンに比べて、最大40%の燃費向上・排出ガス低減を実現するという。 (2015年4月2日付プレスリリースより)

<中国>
-2015年8月に中国で発売されたCitroenの新型セダン 「C4L」 向けにガソリンターボチャージャーを納入していると発表。この1.2L 3気筒のダウンサイジングエンジンは、2.0L 4気筒自然吸気エンジン並みの出力 (110kW) とトルクを実現。燃費は5.4L/100kmとなる。このエンジンプラットフォームは、Peugeot 「208」、「308」、Citroen 「C3」、「C4」、「DS3」、「DS4」など多数のPSA Groupのモデルのほか、4月に中国で発売されたPeugeot 「308S」 および 「408」 などに搭載されている。(2015年8月28日付プレスリリースより)

-2015年上海モーターショーに展示される50台超のモデルに、同社のターボチャージャーが採用されたと発表。奇瑞汽車 (Chery) の 「Tiggo 5」 や「Arrizo 7」、Peugeot 「408」 のほか、華晨汽車 (Brilliance) 「V3」、江淮汽車 (JAC) 「S5」、上海汽車 (SAIC) のSUV 「MG GS」 など、大型車や新型SUVにも搭載されているという。 (2015年4月22日付プレスリリースより)

-その他の主な受注
<2015年>
ディーゼル乗用車

国・地域 製品 顧客 モデル エンジン
欧州 ターボチャージャー BMW 1 Series、 2 Series 3 Series 4 Series
5 Series
2.0LI4
米国 ターボチャージャー BMW X1 Series
X3 Series
2.0LI4
米国 ターボチャージャー Chevrolet Colorado 2.8LI4


ガソリン乗用車

国・地域 製品 顧客 モデル エンジン
米国 ターボチャージャー 日産 Infiniti 「Q50」 3.0LV6
韓国 ターボチャージャー 現代 Genesis 「G90」 3.3LV6
米国 ターボチャージャー FCA Ram 「1500」 3.0L
欧州 ターボチャージャー Mercedes-Benz E-Class 2.0LI4
米国 ターボチャージャー Ford Mustang
2.3LI4
米国 ターボチャージャー BMW X6 M 4.4LV8
米国 ターボチャージャー 日産
Frontier -


ハイブリッド乗用車

国・地域 製品 顧客 モデル エンジン
欧州 ターボチャージャー Audi Q7 e-tron 3.0LV6 diesel

研究開発費

(単位:百万米ドル)
  2015年12月期 2014年12月期 2013年12月期
全社 1,856 1,892 1,804
売上に対する比率 (%) 4.8 4.7 4.6

研究開発体制

-同社のR&Dの活動拠点は、4カ所:米国、欧州、インドおよび中国。

製品開発

2ステージ可変ノズルタービンターボチャージャー
-2015年9月、フランクフルトモーターショー (IAA) にて、最新のディーゼルエンジン向け「TwoStage」可変ノズルタービン (VNT) ターボチャージャーシステムを発表した。2種類のサイズのVNTターボを用いた「TwoStage」システムは、BMW 「125d」、「X1 2.5d」、「225d」に搭載されている4気筒ディーゼルエンジンに採用された。小型高圧ターボはエキゾーストマニホールドの上段に、大型低圧ターボは下段に配置される。すべての車速範囲で応答性が向上するため、燃費向上と排気削減に寄与する。 (2015年9月15日付プレスリリースより)

低GWP (地球温暖化係数) 冷媒
-2015年1月、地球温暖化係数 (GWP) を低減する素材の本格生産を開始したと発表。エアゾール噴射剤や絶縁材料、空調用の冷媒として使用されるもの。業界では「HFO-1234ze」として知られており、同社は低GWP素材のSolsticeシリーズとして販売している。生産は、米国のルイジアナ州Baton Rougeにあるのフッ素製品工場で行っている。SolsticeシリーズのHFOには、自動車のエアコン向けの「Solstice yf」が含まれる。 (2015年1月6日付プレスリリースより)

-2015年6月、ハネウェルジャパン (東京都港区) は、同社のカーエアコン向け低GWP (地球温暖化係数) 冷媒などが「フロン類の使用の合理化及び管理の適正化に関する法律 (フロン排出規制法)」の規制対象外として確認されたと発表。これに伴い、経済産業省の「ノンフロンマーク」が適用可能になったとしている。 (2015年6月8日付日刊自動車新聞より)

半導体製造用の先進放熱材料
-2015年10月、半導体製造用の先進放熱材料を開発し、販売を開始した。高性能半導体デバイスの信頼性を高める材料として、車載機器向けなどに拡販していく。新開発の「PTM6000」は、相変化化学や最新フィラーの技術を応用することで発生熱の伝達と放出に対する性能を高めたのが特長。ハイパワー型の車載機器モジュールなど、特に長期的な熱安定を図るためには有効だとしている。 (2015年10月28日付日刊自動車新聞より)

設備投資額

(単位:百万米ドル)
  2015年12月期 2014年12月期 2013年12月期
全社 1,073 1,094 947
-宇宙航空部門 314 315 310