Aptiv PLC (旧 Delphi Automotive PLC) 2017年12月期の動向

業績

(単位:百万ドル)
2017年
12月期
2016年
12月期
増減率 (%) 要因
全社
売上高 12,884 12,274 5.0 1)
営業利益 1,416 1,539 13.0 -


要因
1) 売上高
-2017年12月期の売上高は、前年比5.5%増の12,884百万ドル。売上増は主に欧州およびアジア太平洋地域における販売量増加。これら増収は北米での4%の販売減により一部相殺された。

Delphi Technologiesのスピンオフ

-Delphiは、パワートレイン部門を新会社として独立させると発表した。2018年3月までに取引を完了させる予定で、Delphiの株主は両社の株式を所有することとなる。Delphiのパワートレイン部門の従業員数は20,000名で、2016年の売上高は約45億ドル。同社のElectrical/Electronic Architecture (E/EA)部門とElectronics & Safety (E&S)部門の15,000名のエンジニアと145,000名の従業員は、コンピューティング、先進安全・自動運転システム、インフォテインメント、車両コネクティビティ・電動化およびデータサービスに注力する。(2017年5月3日付プレスリリースより)

-Delphiは、パワートレイン事業を分社化して同社とDelphi Technologiesの新会社2社を設立すると発表した。同社は自動運転関連技術に特化し、Delphi Technologiesはパワートレインの開発に注力する。2017年5月時点の発表では、2018年3月までに分社化が行われるという。同社は、現在のDelphiのエレクトロニクス事業と安全製品、ソフトウェア、車両コンピュータープラットフォームなどの開発を担い、Delphi Technologyは内燃エンジン車両および電気自動車のパワートレインを開発する。Delphiの社長兼CEOのKevin Clark氏が同社のCEOとなり、Delphiの副社長兼パワートレイン事業最高責任者のLiam Butterworth氏がDelphi TechnologiesのCEOに就任する。なお、現時点で2社の本社所在地は未公表となっている。(2017年9月27日付 Detroit Newsより)

-Delphi Automotiveは、パワートレイン事業の分社化が取締役会で承認されたと発表した。これを受け、2017年12月4日付で新会社Delphi Technologiesが設立され、Delphi Automotiveは社名をAptivに変更する予定。(2017年11月13日付プレスリリースより)

-Delphiは、同社とDelphi Technologiesの子会社2社の独立が完了したと発表した。同社は米ミシガン州Troyにオフィスを構え、高度エレクトロニクス、スマートモビリティ、自動運転技術を扱う。一方のDelphi Technologiesはロンドンに本拠を置き、次世代パワートレイン事業とアフターマーケットビジネスを展開する。同社の総従業員数は米国の4,600名を含む145,000名で、2017年は125億ドルの売り上げを見込む。Delphi Technologiesは24カ国で操業し、従業員数は20,000名、売上高は50億ドル規模。(2017年12月5日付 Detroit Newsより)

買収

-Delphiは、ボストンに本拠を置く自動運転用ソフトウェア企業のnuTonomyの買収が完了したと発表した。今回の買収により、Delphiは自動運転車市場における地位強化を目指す。同社は、パワートレイン事業の分社化に伴い、まもなくAptivに社名変更する。(2017年11月21日付プレスリリースより)

-2017年1月、Delphiは米国ミシガン州を拠点とするMovimentoを40百万ドルで買収すると発表した。Movimentoは、OTAソフトウェアのライフサイクルおよびデータ管理サービスを自動車産業向けに提供する大手プロバイダー。MovimentoはDelphi傘下の独立企業となり、既存のカスタマーサービスモデルを継続していく予定。 (2017年1月4日付プレスリリースより)

再編

-2016年10月11日、東北工業集団はデルファイ機電一体化プロジェクト[Delphi’s mechanical project] 買収契約に調印した。12月30日、この買収手続きが完了した。買収後新たに「邁瑞徳汽車電子系統有限公司 [Merit Automotive Electronic System Co. Ltd.]」 を設立した。Delphi’s mechanical projectはコラムスイッチ、スイッチモジュール、スイッチを主に生産。年産能力は30百万セットで、メカニカルビジネスフィールドでは最新技術を誇る、欧州市場シェアトップクラスのメーカー。現在の従業員数は290名。うちエンジニアは50名。有効特許件数は261件。スペインに本社を置き、ポーランドにR&Dセンターを、ポーランド、メキシコ、ブラジル、中国に工場5か所を保有する。主な納入先はBMW、Daimler、Fiat、Ford、Jaguar Land Rover、GM、Peugeot Citroen、Renaultなど。(2017年1月23日付けプレスリリースより)

業務提携

-同社は、同社の自立運転システムにQNXを提供することでBlackBerryと提携したと発表した。両社は、先進自立運転システム用OSのパフォーマンスや安全性向上に共同で取り組む。同社は、完全統合型自動運転ソリューション「Centralized Sensing Localization and Planning (CSLP)」を2019年に実用化し、自動車メーカーと自動運転のモビリティオンデマンド(AMoD)輸送システムに、最適なターンキー方式の自動運転ソリューションを提供する。BlackBerryのQNX OS for Safetyは、同社のOttomatikaソフトウエアの性能や安全性を向上するとしている。(2017年9月20日付プレスリリースより)

-同社は、ソリッドステートのLiDAR技術を開発するカナダのLeddarTechとの提携に合意したと発表した。両社は低コストなLiDARソリューションの開発を目指す。LeddarTechのセンサーは、自動車、インテリジェント輸送システム、ドローン、産業車両等複数のモビリティ関連市場で使用されている。(2017年9月14日付プレスリリースより)

-同社は、イスラエルのLiDAR技術企業Innoviz Technologiesとの提携を発表した。今後更なるパートナーシップ強化のため、同社はInnovizの少数株主となる。Innovizの LiDAR技術はソリッドステートを用いており、長距離のスキャン性能と物体検出、精度に優れており、高速走行での自動運転レベル3とレベル4を実現するうえで重要な技術となっている。これらInnovizのLiDARセンサーソリューションは、Delphiの自動運転用製品に組み込まれる。(2017年8月18日付プレスリリースより)

-同社とTransdevは、自動運転のモビリティオンデマンド(AMoD)輸送システム分野で提携すると発表した。システムにはTransdev Universal Routing Engine (URE)と、同社とMobileyeが共同開発したCentralized Sensing, Localization and Planning (CSLP)プラットフォームを使用する。同社とTransdevは、フランスのParis-SaclayおよびRouenのパイロットプログラムで協業を開始する。これは、EU初の公道を利用した無人オンデマンドモビリティサービスのプログラムとなる。Transdevは、Caisse des Depotsが70%、Veoliaが30%を出資する合弁企業。公共輸送機関ネットワークの日常の運用について、計画前からプロジェクト管理までサポートする。従業員数は世界19カ国で83,000名、43,000台の車両と22線の路面電車ネットワークの運営を行う。Transdevの2016年の売上高は67億ユーロ。(2017年6月7日付プレスリリースより)

-同社は、自動車メーカー向けにデータマーケットプレイスを開発するテクノロジー企業、otonomoと業務提携したと発表した。otonomoの拠点はイスラエルで、同社のコネクテッドカー・マーケットプレイスは、自動車メーカーからの自動車データを、保険、フリート車両輸送、車両修理サービス、緊急サービス、経費管理アプリなどのサービスやアプリケーションを扱うプロバイダーへ、常時かつ安全に結びつける。otonomoは、「Control-Tec」データ取得機能、「Movimento」OTA更新など、同社が持つデータ管理機能を補完することになる。 (2017年4月6日付プレスリリースより)

最近の動向
-同社は、自動車メーカー向けにデータマーケットプレイスを開発するテクノロジー企業、otonomoと業務提携したと発表した。otonomoの拠点はイスラエルで、同社のコネクテッドカー・マーケットプレイスは、自動車メーカーからの自動車データを、保険、フリート車両輸送、車両修理サービス、緊急サービス、経費管理アプリなどのサービスやアプリケーションを扱うプロバイダーへ、常時かつ安全に結びつける。otonomoは、「Control-Tec」データ取得機能、「Movimento」OTA更新など、Delphiが持つデータ管理機能を補完することになる。 (2017年4月6日付プレスリリースより)

受注

-2017年6月23日、同社は、2019年よりインテリジェント前方視認システム (IFV)、高性能中距離レーダー(MRR)、短距離レーダー(SRR)など一連のアクティブ・セーフティ技術ソリューションを長城汽車の次世代SUVに供給することで、長城汽車と合意したと発表した。Delphiは蘇州とシンガポールの工場を通じて長城汽車に関連製品を供給する。(2017年6月26日付け各種リリースより)

2018年12月期の見通し
-2018年12月期の売上を13,400~13,800百万ドルの間、営業利益を1,690~1,770百万ドルの間と予想。

研究開発費

(単位:億ドル)
2017年12月期 2016年12月期 2015年12月期
合計 882 788 720


-同社は2018年12月期の研究開発費に約10億ドルを投じる計画。

研究開発体制

-2017年12月31日現在、全世界で約16,000名の従業員が研究開発に従事している。

研究開発施設
-全世界に14の主要研究拠点を保有。

  • 北米:8拠点
  • 欧州、中東およびアフリカ:2拠点
  • アジア太平洋:4拠点

-同社は、マサチューセッツ州ボストンSeaport地区に技術センターを新設すると発表した。ペンシルバニア州Pittsburgh、カリフォルニア州Mountain Viewに次ぐ技術センター開設となる。同社は、技術的に熟練した労働力、ワールドクラスの大学、政府が掲げる「Go Boston 2030」技術イニシアチブ等が決め手となり、新センター建設地にボストンを選択したという。同社が買収した自動運転用ソフトウェア企業のnuTonomyは最近、ボストンSeaport地区で自動運転パイロットプログラムを開始した。(2017年12月12日付プレスリリースより)

-同社は蘇州工業園に位置する徳爾福電子(蘇州) 研発中心[Delphi Electronics (Suzhou) Technical Center]の拡張工事を行うと発表した。2017年3月1日、新しいテクニカルセンタービルの定礎式が行われた。総面積は8,000平方メートルで、800名のエンジニアの収容が可能になる。主にインフォテインメントシステム、マンマシンインターフェース、アクティブセーフティ、ボディ及びエレクトロニクスシステムの研究開発を行う。この蘇州テクニカルセンターは2014年設立、現在約300名のエンジニアが在籍している。将来的には500名を増員する予定である。(2017年3月1日付け各種リリースより

技術提携
-同社と高徳軟件有限公司[Autonavi Software Co.,Ltd.]は、インフォテインメントシステムと自動運転技術の中国市場における応用開発で提携する。2017年10月27日、両社は非排除性の戦略的提携合意書を結んだ。提携範囲はビッグデータ、ナビ、モビリティサービス、自動運転技術に及ぶ。ビッグデータ、ナビ、モビリティサービスの分野では、同社は高徳の地図を利用し中国市場向けに新たなインフォテインメントシステムとIT技術の関連サービスを開発する。合意書では、Delphiは高徳の自動運転地図データ、関連ソフト、クラウド計算を統合し、顧客のニーズに合わせ、中国市場にクラウドエンドをベースとした自動運転サービスを提供するとしている。また高徳は両社が将来展開する自動運転製品に高精度位置認識技術を提供するとともに、その位置認識技術をベースとしたHDマップを同社の他の自動運転製品に供することを確約している。(2017年10月27日付け各種リリースより)

-同社は、自動車メーカー向けにデータマーケットプレイスを開発するテクノロジー企業、otonomoと業務提携したと発表した。otonomoの拠点はイスラエルで、同社のコネクテッドカー・マーケットプレイスは、自動車メーカーからの自動車データを、保険、フリート車両輸送、車両修理サービス、緊急サービス、経費管理アプリなどのサービスやアプリケーションを扱うプロバイダーへ、常時かつ安全に結びつける。otonomoは、「Control-Tec」データ取得機能、「Movimento」OTA更新など、Delphiが持つデータ管理機能を補完することになる。 (2017年4月6日付プレスリリースより)

-AT&T、Delphi、Fordは、V2X (車車間/路車間) 通信を強化する新機能を開発していると発表した。新プラットフォームは米ラスベガスで開催されているCES 2017で展示される。3社はこのコンセプト実証 (Proof of Concept) に向けて協力。同社は車載V2Xモジュールを開発、AT&Tは分析プラットフォーム用のソフトウェアを開発するほか、ワイヤレス通信を供給する。フォードは車載機能の統合開発を担う。V2Xプラットフォームを通じて、AT&Tの全米LTEネットワークはDSRC (Dedicated Short Range Communications) の範囲を拡張する。今回のプラットフォームはそのネットワークを使用して、セキュリティ認証管理の通知と更新を各車両に送信する。新たなプラットフォームは、安全性と車両セキュリティの向上、交通渋滞の緩和、コスト削減ならびに環境保護に貢献し、車車間通信やスマートシティのインフラを促進するとしている。(2017年1月5日付プレスリリースより)

部門別設備投資額

(単位:百万ドル)

2017年12月期 2016年12月期 2015年12月期
シグナル & パワーソリューション 477 458 353
先進安全性とユーザーエクスペリエンス 196 131 102
排除およびその他 25 68 48
合計 698 657 503

地域別設備投資額

(単位:百万ドル)

2017年12月期 2016年12月期 2015年12月期
北米 301 237 186
欧州/中東/アフリカ 234 253 149
アジア太平洋 151 163 159
南米 12 4 9
合計 698 657 503

国外投資
<メキシコ>
-Mexico-Nowは、同社子会社のHellermannTytonがメキシコNuevo Leon州Escobedoの新工場の操業を開始したと報じた。投資額は1,000万ドル。延床面積10,000平方メートルの新工場は、2018年に20,000平方メートルに拡張予定。新工場では車両エンジンケーブル用ハーネスの樹脂射出成形を行う。(2017年4月10日付 Mexico-Nowより)

<中国>
-同社は、2017年2月25日、電気&電子アーキテクチャー荊州(Jingzhou)工場建設に着手した。荊州工場は同社中国の13番目のワイヤーハーネス生産工場であり、19番目の生産拠点となる。敷地面積は約74,100平方メートル。2017年10月生産開始予定。年産能力は自動車ワイヤーハーネス40万セット。製品は中西部地区市場に供給される。(2017年2月28日付け各種リリースより)