Autoliv 2008年度の動向

ハイライト

業績
(単位:
百万ドル)
2008年
12月期
2007年
12月期
増減率
(%)
要因

売上高

6,473 6,769 (4.4%) 下記1)参照
営業利益 306 502 (39.1%)


要因

同社の売上伸長のカギは、世界の小型車生産(LVP)の動向にある。
1)
-2008年の正味売上高は前年実績より296百万ドル(4.4%)減の6,473百万ドル。主な要因は営業売上646百万ドル減。売上減は、為替差益300百万ドルと企業買収による増収50百万ドルにより一部相殺。

- 北米、欧州の小型車生産減(9.4%)の影響で、営業売上は9.5%減。

- エアバッグの売上高は前年比10%減。北米、西欧市場で小型車生産がそれぞれ16%、9%減少したことが主たる要因。

-シートベルトについては、北米でのマーケットシェア拡大や小型車生産が新興国市場でほぼ通年にわたり好調を維持するなどの好要因にも拘らず、売上高は前年比9%減。


地域別
欧州
- 正味売上高の半分以上を占める欧州では、営業売上が前年比12%減。欧州売上の約90%を占める西欧で、小型車生産が9%減となったことが要因。
- また、 Renault MeganeやVolkswagen Golfといった同社が納入している主要車のモデルチェンジによって、モデルミックスに変化が生じ、売上高に悪影響。
- 秋に金融危機の影響で需要が落ち込むまでは、ロシアのAvtovaz向けなど東欧向けの売上やスモールカー(BMWのMini、FordのKugaなど)向けの売上が好調だった。

北米
- 正味売上高の4分の1を占める北米では、営業売上が前年度比12%減。しかしこの減少幅は北米の小型車生産台数の16%減よりも軽微。これは、生産台数が25%減少したSUVや小型トラック向けへの依存度が比較的低かったことに起因。
- その一方で、Chevrolet Malibu/Traverse、Buick Enclave、Saturn Auraなどのコンパクトカーの需要増により恩恵を受けた。

日本
- 正味売上高の10%近くを占める日本では、小型車生産は1%の減少であったが、営業売上が3%アップ。この好調の要因は、サイドカーテンエアバッグの急激な装着率の上昇による。

その他地域
- 売上の約10%以上を占める「その他地域」では、2%の営業売上減。 主たる要因は、同地域でエアバッグや各種セーフティシステムの主要マーケットである韓国の小型車生産が6%減少したことによる。

受注
- 2008年9月、新型パッセンジャーエアバッグモジュールをGMの2009年式「Chevrolet Traverse」「Saturn Outlook」「GMC Acadia」「Buick Enclave」に供給すると発表。

- 2008年10月、新型アンチスライド・エアバッグを両フロントシート用として2009年式「Renault Megane」の新型2ドア車に初めて供給すると発表。

- 2008年10月、BMWの新型7シリーズに第2世代ナイトビジョンシステムを供給すると発表。

- 2008年10月、ステアリングホイール用の熱可塑性素材が2009年型「Renault Megane」のステアリングホイールリム及びアーマチャー部分に従来のポリウレタンに代わる被覆材として採用されたと発表。

企業買収
- 2008年7月、Tyco Electronicsの車載レーダーセンサー事業を買収することで合意。買収金額は42百万ドル。同部門は、Lowell(米国マサチューセッツ州)とSchweinfurt(ドイツ)に拠点を置き、ドライバーアシスト製品やセーフティ製品用のアクティブレーダーセンサーシステムの製造を行っている。Daimlerと車載レーダーセンサー開発で提携。取引先はBMW、Chryslerなど。(2008年7月29日付プレスリリースより)

リストラクチュアリング
The Action Program
- 2008年7月「The Action Program」を発表。リストラ活動を推進。
- 2009年末までに3,000名の人員削減目標 (注: 市況に対応した結果、実際には2008年12月期の段階で5,900名の人員削減を実施)
- このプログラムでは、75百万ドルの費用に対し2010年までに合計120百万ドルの削減効果をもたらすと見込む。
- 現在2工場を閉鎖
- 2009年も引き続き大規模なリストラ活動を実施予定。

開発動向

単位(百万ドル) 2008年
12月期
2007
12月期
2006年
12月期
研究開発費 367 396 398

- 2008年度の研究開発費は367百万ドル。うち80%は開発中の新モデルにかかわる受注済のプロジェクト/プログラム向け。残り20%は革新的な新製品の開発だけでなく既存製品の改良、標準化、コスト削減に向けた取り組み。

研究開発体制
- 全世界に11箇所のテクニカルセンターを所有
- 4,000名(全従業員の約10%)のエンジニアと関連要員が研究開発およびエンジニアリングに従事。

中国にテクニカルセンター新設
2008年、中国上海市で大型のテクニカルセンターの建設を開始。2009年初めに完成予定で、200名のエンジニアが働く。


研究開発
新型パッセンジャーエアバッグモジュール
- 2008年9月、新型パッセンジャーエアバッグモジュールを開発。 これまでスチールや樹脂が使われていたエアバッグハウジングに独自の繊維素材を採用し、従来品に比べ最大30%の軽量化を実現した。同社は、この新型エアバッグモジュールをGMの2009年式「Chevrolet Traverse」「Saturn Outlook」「GMC Acadia」「Buick Enclave」に供給する。このモジュールの持つメリットの一つは、ダッシュボード内に簡単に組み込める点。 (2008年9月16日付プレスリリースより)

アンチスライド・エアバッグ
Autolivは、新型のアンチスライド・エアバッグを開発した。エアバッグ用クッションに独自の繊維素材を採用し、従来品に比べ60%(重量にして約1キロ)の軽量化を実現した。同社は、この新型アンチスライド・エアバッグを両フロントシート用として2009年式「Renault Megane」の新型2ドア車に初めて供給する。(2008年10月1日付プレスリリースより)

第2世代ナイトビジョンシステム
- 2008年10月、第2世代ナイトビジョンシステムを開発しBMWの新型7シリーズに供給すると発表。単一の遠赤外線センサーによる歩行者検知機能を備えたナイトビジョンシステムは業界初という。同社は、新型BMW7シリーズに搭載されるこのナイトビジョンシステムに、ヘッドライトが照らし出すより2倍以上前方までの広範囲をカバーするスキャン機能を持つ赤外線センサーを採用。センサーが歩行者を検知すると、その映像がナイトビジョンディスプレーに映し出される。(2008年10月2日付プレスリリースより)

ステアリングホイール用の新素材
Autolivは、ステアリングホイール用の新素材を開発した。この新開発の熱可塑性素材(特許取得済)は、2009年型「Renault Megane」のステアリングホイールリム及びアーマチャー部分に従来のポリウレタンに代わる被覆材として採用された。(2008年10月3日付プレスリリースより)

設備投資

単位(百万ドル) 2008年
12月期
2007年
12月期
2006年
12月期
設備投資費用 293 324 328
売上高比 4.5 4.8 5.3

- 過去数年にわたって大幅な生産能力増強(特に中国、インド)を実施済み。2009年の設備投資は引き続き減少予定で、200百万ドルから250百万ドルになる。

海外投資
中国
- 2008年4月、中国広州に建設していた新工場が竣工したと発表。広州ではこれまでリース建物を利用 して生産を行っていたが、自社工場での生産に切り替える。現地での生産能力を拡充し、中国南部に拠点をおく自動車メーカー、とりわけ、Toyota、Nissan、Hondaなど日系メーカー向けのサービスおよび供給体制の強化を図る。新工場では、エアバッグおよびシートベルトを生産する。今回は工場建設の第一段階として、建屋面積8,000平方メーター(86,111平方フィート)の生産施設を建設、生産ラインなどの設備を導入した。投資総額は6.5百万ドル。(2008年4月8日付プレスリリースより)