日立電線 (株) 2010年3月期の動向

ハイライト

業績

(単位:百万円)
  2010年
3月期
2009年
3月期
増減率
(%)
要因
全体
売上高 372,450 493,151 (24.5) -
営業利益 (6,381) (14,740) - -
経常利益 (4,939) (19,974) - -
当期純利益 (9,110) (53,775) - -
電線ケーブル事業
売上高 181,810 253,028 (28.1) -巻線はハイブリッド自動車向け製品が好調を維持する等、電装分野向けを中心に回復基調が続いたものの減少。
営業利益 (139) (2,058) - -
高機能材料事業
売上高 139,510 177,822 (21.5) -自動車用部品は、各種車載用センサが好調だったほか、下半期からは主力のブレーキホースも在庫調整の終了により回復に向かったが、第2四半期までの落ち込みの影響により減少。
営業利益 (7,826) (17,284) - -

国内事業

-リチウムイオン二次電池の負極集電体などの用途に用いられる粗化を施した圧延銅箔の本格量産を開始したと発表。土浦工場に表面処理設備を導入、月産50万平方メートルの体制を構築した。圧延銅箔は鋳造した銅塊を圧延機で薄く延ばしたもので、負極集電体のほかフレキシブルプリント基板に用いられる。電解銅箔に比べ屈強性や強度に優れることが特色。今回、圧延銅箔事業の拡大と、一貫生産による品質、コスト競争力強化を目的に、表面処理設備を導入。同社は無酸素銅から高強度銅合金まで多様な圧延銅箔を製造しており、需要先のニーズに合わせた表面処理付き圧延銅箔を供給していく。(2009年12月2日付日刊自動車新聞より)

海外事業

<米国>
-自動車分野を中心に事業構造改革を加速する。2012年3月期中に行う予定だった北米の自動車用ブレーキホース、ワイヤーハーネス製造拠点の集約を2011年3月期上期中に前倒しして行う。これにより北米の製造拠点は5拠点から3拠点になる。ハイブリッド車(HV)用の電源ハーネス開発に関しては、今後の需要拡大を見越して経営資源を集中。自動車向け製品を手掛ける高機能材料事業の収益性を高める。拠点はインディアナ州、フロリダ州とメキシコにある。インディアナ州の2拠点で行っているブレーキホース、ワイヤーハーネスの製造を廃止し、HVや電気自動車(EV)向けの大容量電源ハーネスなど高機能製品の生産に切り替える。同社は2008年第3四半期、第4四半期が需要低迷の底とみている。(2009年5月14日付日刊自動車新聞より)

<タイ>
-ハヤカワ電線工業と合弁で展開しているタイの電線メーカーの持株の一部をハヤカワ電線に売却したと発表。これによりタイ合弁は同社の持分法適用会社から除外される。タイ合弁は電子機器用の電線、配線部品および部品加工事業を行うタイ・ワイヤ・アンド・ケーブル社で、同グループとハヤカワ電線が45%ずつ株式を保有していた。同社はこのうち37%を売却、持株比率が8%に下がった。同社は急速な景気悪化に伴い業績が悪化、事業再編による経営の立て直しに取り組んでいる。その一環としてタイ合弁の株式を売却した。(3月29日付日刊自動車新聞より)

>>>次年度業績予想(売上、営業利益等)

開発動向

研究開発費

(単位:百万円)
  2010年3月期 2009年3月期 2008年3月期
全社 9,612 11,078 10,526
電線・ケーブル事業 1,404 1,500 1,628
高機能材料事業 3,282 4,292 4,535

研究開発体制

-技術本部(技術研究所)と事業本部の開発部門で推進。

-(株)日立製作所をはじめとする日立グループの研究開発機関と密接な連携・協力関係を保つとともに、必要に応じ顧客及び政府の研究開発機関とも共同研究を推進。

研究開発活動

<高機能材料事業(自動車用部品分野)>
-ブレーキホース、パワーステアリングホース等の自動車用ホースや電装部品、情報機器用部品等の研究開発を推進。

ハイブリッド電気自動車用ノンハロゲン150℃耐熱電源ハーネス
-ノンハロゲン材料を使用したハイブリッド車(HV)用耐熱電源ハーネスを開発したと発表。環境保全意識の高まりからHVに使用される部品に対しても環境阻害物質の除去が求められている。同社は独自の配合技術により耐熱性に優れたノンハロゲン材料を開発、ケーブルの被覆材に用いた。塩素や臭素を含まないノンハロゲン化への要求に対応する。ノンハロゲン材料を使ったHV用電源ハーネスでは、初めてセ氏150度の使用環境を実現した。新開発したケーブルは、ノンハロゲン材を被覆材料としながらも、柔軟性と耐熱性を両立させた。接続部のコネクターは銅合金とステンレス製バネを組み合わせた2ピース構造。アルミ合金製の端子カバーも開発し、小型でありながら通電能力、耐振動性などを向上させた。(2009年4月9日付日刊自動車新聞より)

高強度・高耐熱圧延銅箔
-次世代リチウムイオン二次電池向けの高強度・高耐熱圧延銅箔を開発したと発表。電池の負極活物質にケイ素などの合金系材料を用いた二次電池用で、従来の製品に比べて強度と耐熱性を高めるとともに、10%程度の長寿命を実現可能にした。新素材には、モバイル機器を中心として実用化が見込まれるほか、ハイブリッド自動車を始めとした車載用途でも需要が見込まれるとしている。(2010年1月6日付日刊自動車新聞より)

設備投資

設備投資額

(単位:百万円)
  2010年3月期 2009年3月期 2008年3月期
全社 13,862 30,382 27,823
電線・ケーブル事業 5,603 10,087 7,819
高機能材料事業 5,815 15,535 16,700

電線・ケーブル事業
-絶縁線・産業用ケーブルの生産設備の合理化・拡充を中心に投資。

高機能材料事業
-半導体パッケージ材料生産設備及び伸銅品生産設備の拡充を中心に投資。