日本発条株式会社 2006年度の動向

ハイライト

業績
単位:
百万円
2007年3月期 2006年3月期 増減率(%) 要因
全社
売上高 428,059 383,096 11.7 活発な営業活動の展開し販売数量を増加させたことが寄与
営業利益 25,115 21,595 16.3 販売数量増加に加え、徹底した生産性向上、合理化・原価低減、業務効率化活動の推進により増益
経常利益 27,185 23,612 15.1
当期純利益 15,931 15,389 3.5
懸架ばね
売上高 104,482 94,266 10.8 自動車生産台数の増加などにより順調に推移
営業利益 1,204 2,011 (40.1) 北米事業の不振により減益
シート
売上高 144,597 136,593 5.9 自動車生産台数の増加や拡販により増益
営業利益 6,074 5,720 6.2 -

業績見通し
米国での懸架バネ事業が07年下期(6から12月)には単月ベースで黒字転換する見通しを明らかにした。04年度以降、売上構成比で30%強を占めるゼネラル・モーターズ(GM)の不振や原材料高騰などで3期連続の赤字が続いているが、2006年度には底を打ち07年度後半から回復に向かうという。米国の懸架バネ事業は、スタビライザーを生産するニューメーサーメタルス(NMM、オハイオ州トレド)とコイルバネのNHKオブアメリカ・サスペンション・コンポーネンツ(NASCO、ケンタッキー州ボーリンググリーン)の2社。06年度、NMMとNASCOの赤字額は前期比で半減する見通し。モデル途中での価格改定が難しい既存の部品で採算悪化が続くが、合理化効果が出始めた新規受注分で収益をリカバリーしつつあり、底入れの途上にあるという。07年前半には、原材料高騰のマイナス要因は残るが赤字幅を大幅に圧縮、下期には単月ベースでの黒字転換を視野に入れた。07年通期での黒字転換は微妙な情勢だが、地域別で唯一の赤字だった北米懸架バネ事業の好転により、利益面でも中期計画を前倒しで達成する可能性が出てきた。(2006年8月21日付日刊自動車新聞より)

合弁事業

早ければ08年度にも、自動車用シート生産で広州地区に進出することで検討に入った。日産自動車向けシート事業の合弁会社、フォルシア・ニッパツ(横浜市)が運営会社となる模様。同社は、懸架バネやスタビライザーなどの生産拠点は広州地区に2社あるほか、シート事業では重慶と深センに2工場を擁しているが、日系主要メーカーが集まる広州地区にシート工場は無かった。欧州や新興成長市場(BRICs)などでのシート生産を強化したい同社、日系メーカーとの取引を拡大したいフォルシアとの思惑が一致、日本以外でのシート事業でも合弁を加速することで合意していた。広州進出はその第1弾となる見通し。(2007年2月6日付日刊自動車新聞より)

開発動向

研究開発体制
研究開発本部、技術本部技術開発部、各生産本部および事業本部の開発部門、 技術部門、設計部門等および各子会社の設計、開発部門等により推進。研究開発スタッフは全体で682名(全従業員の5.8%)

2007年3月期におけるグループ全体の研究開発費は9,676百万円で、グループ全体の売上高の2.3%。

懸架ばね事業
・研究開発費は、1,307百万円
・自動車の環境保全・省エネルギー化・快適性の向上を目的とした小型軽量アキュムレータ等のガスばねの研究開発を実施中。
・ブレーキ・医療・プレス金型用等の開発が進んだ。
・耐食性を向上させ且つ低コスト化を図ったばね及びばね材料に関する研究を実施中。

シート事業
・研究開発費の金額は、3,220百万円
・後突時のむち打ち低減効果を高めたアクティブヘッドレストの機構ユニットの研究開発を実施中。
・2006年度には、本工程を完成し、2007年4月より量産開始。次期車以降の量産品標準採用を目指した軽量、低コスト仕様の確立が課題。
・シートの安全、乗心地向上に関する次世代機構の開発を実施中。

設備投資

2007年3月期は全体で34,661百万円の設備投資を実施。

懸架ばね事業
・新製品の受注および既存製品の生産性向上を主な目的に、グループで8,202百万円の設備投資を実施。
・主な設備の内容は、New Mather Metals, Inc.、横浜工場、NHK of America Suspension ComponentsおよびNHK Spring (Thailand) Co., Ltd.の懸架ばね生産設備。

精密ばねの主力工場である伊那工場(長野県上伊那郡)にAT用スプリングの新工場を建設する。総投資額は約15億円。07年中にも完成させる。同社の精密ばね事業は、厚木工場と伊那工場の国内2地区のほか、米国・タイ・中国の4カ国5工場体制。伊那工場はマザー工場として、アイシンAWやジヤトコなどATメーカー向けの供給基地となっている。伊那工場は敷地内に工場がすでに10棟あり、新工場は11番目となる。同工場棟の完成を機に、伊那工場全体のスクラップ・アンド・ビルトに着手する。同工場の精密ばね生産量は、新工場の稼動により20%増強される見通し。(2006年8月8日付日刊自動車新聞より)

シート事業
・新製品の受注、既存製品の生産性向上および品質向上を主な目的に、グループで6,925百万円の設備投資を実施。
・主な設備の内容は、豊田工場およびNHK Spring (Thailand) Co., Ltd.のシート生産設備。

同社と仏フォルシアは、フォルシア・ニッパツ九州(FNQ、福岡県苅田町)の生産能力を増強する。2007年度に日産自動車が投入する新型車向けシートを受注したことから、工場隣接地を取得し生産ラインを増設する。土地・建物を含む総投資額は約15億円。これによりFNQの生産能力は現在の3倍に拡大する。FNQは、同社とフォルシアが01年に均等出資で設立した、日産自動車向けシートの合弁会社フォルシア・ニッパツ(横浜市)の九州工場。06年末時点のシート生産能力は年10万台分で、小型セダン「ティーダ」、ミニバン「プレサージュ」向けに供給している。07年後半からは、日産九州工場で上級SUV「ムラーノ」や小型SUV「エクストレイル」など数車種の新規モデルが相次いで立ち上がり、これらのシートをニッパツが受注したことから能力増強を決めた。08年には年30万台規模に生産能力が拡大する模様。(2007年2月15日付日刊自動車新聞より)

設備の新設(自動車部品関連)
会社名 事業所名
(所在地)
セグメント 設備の内容 投資予定
総額
(百万円)
着手年月 完了予定
年月
日本発条(株) 横浜工場 懸架ばね ばね生産設備 1,575 2006年7月 2007年7月
横浜工場 懸架ばね ばね生産設備 310 2006年7月 2007年7月
滋賀工場 懸架ばね ばね生産設備 1,356 2007年4月 2008年3月
横浜工場 シート 自動車用シート生産設備 526 2007年10月 2008年8月
横浜工場 シート 自動車用シート生産設備 596 2007年8月 2008年4月
豊田工場 シート 自動車用シート生産設備 451 2006年4月 2007年9月
NHK Spring (Thailand) Co., Ltd. ウェルグロー工場
(タイ、チャチェンサオ県)
懸架ばね ばね生産設備 1,337 2007年1月 2007年12月
バンポー工場
(タイ、チャチェンサオ県)
シート 新工場 1,590 2006年3月 2007年12月
バンポー工場
(タイ、チャチェンサオ県)
シート 自動車用シート生産設備 1,571 2007年1月 2007年12月
タイ、サムトプラカーン県 シート 自動車用シート生産設備 588 2007年1月 2007年12月
広州日正弾蓑有限公司
(NHK-Uni Spring(Guangzhou)Co.,Ltd.)
中国広東省
広州経済技術開発区
懸架ばね ばね生産設備 300 2007年4月 2008年3月
NHK Seating of America, Inc. 米国インディアナ州 シート 自動車用シート生産設備 1,642 2007年7月 2008年12月