太平洋工業 (株) 2013年3月期の動向

ハイライト

業績

(単位:百万円)
2013年
3月期
2012年
3月期
増減率
(%)
要因
全社
売上高 83,700 79,579 5.2 -
営業利益 4,340 3,699 17.3 -
経常利益 5,372 4,147 29.5 -
当期純利益 2,807 3,297 (14.9) -
プレス・樹脂製品事業
売上高 59,614 56,841 4.9 -中国で日本ブランド製品の不買運動の影響があったが、主要市場である日本および米国における主要顧客の自動車生産が、東日本大震災に起因する大幅な生産の停滞から回復したことが寄与。
営業利益 1,449 1,669 (13.2) -売上高の増加や原価改善効果、減価償却費の減少があったが、材料コストの上昇や中国における事業立ち上げに伴う初期費用などが影響。
バルブ製品事業
売上高 23,747 22,361 6.2 -米国が主要市場であるTPMS製品 (直接式タイヤ空気圧監視システム) の販売が、日系自動車メーカーの販売回復とともに増加し、タイヤバルブ・バルブコア製品、バルブ関連製品も堅調に推移し、増収。
営業利益 2,928 2,040 43.5 -売上高の増加や円高修正の影響。

国内事業

プレス部品の生産体制強化
-中部、九州、東北の3極でプレス部品生産の体質強化に乗り出す。東大垣工場に導入した高効率の新生産方式を九州や東北に移植する。新生産方式は溶接機の汎用性を高めることで、新型車向けの部品を立ち上げる際の投資低減や、多品種混流を実現したもの。これを日本の各生産拠点でフル活用することで、国内3極で需要変動に強い生産、供給体制を確立する。(2012年11月22日付日刊自動車新聞より)

海外事業

<米国>
タイヤ空気圧モニタリングシステムの生産開始
-2014年度までに米国工場のタイヤ空気圧モニタリングシステム (TPMS) の生産能力を年600万個に拡大する。現在は北大垣工場 (岐阜県) に年1,200万個の能力を確保。日米市場向けに生産、供給しているが、東日本大震災などの教訓を生かし、安定供給基盤確立ため、2012年から米国現地子会社「Pacific Manufacturing Ohio, Inc.」でTPMSの生産を開始。14年度にかけて合計10億円を投資し、最適な生産体制を確立。生産能力を段階的に600万個まで増やす。14年度時点でTPMSの世界生産能力は現状に比べ5割増の年1,800万個に拡大することになる。また欧州向けのTPMSの供給は12年度中にも開始する。米国工場を、北米市場への供給と欧州向けの輸出に活用し、事業効率やコスト競争力を高める。これにより、TPMS事業の売上高を15年度までに100億円に引き上げることを目指す。 (2012年10月29日付日刊自動車新聞より)

中期経営計画 OCEAN-15

OCEAN-15 数値計画 2015年度
(目標)
売上高 950億円
経常利益率 6%台
海外売上高比率 40%以上
総資産回転率 1.05

 

2014年3月期の見通し

(単位:百万円)
  2014年3月期
(予測)
2013年3月期
(実績)
増減
(%)
売上高 85,000 83,700 1.6
営業利益 5,000 4,340 15.2
経常利益 5,500 5,372 2.4
当期純利益 3,600 2,807 28.3

>>>次年度業績予想 (売上、営業利益等)

受賞

-トヨタより「部品標準化賞」および「品質管理優良賞」を受賞したと発表した。(2013年3月27日付プレスリリースより)

開発動向

研究開発費

(単位:百万円)
  2013年3月期 2012年3月期 2011年3月期
全社 647 603 735
-プレス・樹脂製品事業 133 122  114
-バルブ製品事業 447 344  84
-全社共通 58 133  525

 

研究開発体制

-研究開発を行う各事業部の技術部門・生産技術部門と、将来を見据えた研究開発を行う技術企画部門で構成。新製品開発および競争力向上のための新材料・新工法の開発を部門相互が連携をとり推進。
-ソフトウェアの研究開発は、子会社のピーアイシステム株式会社が実施。
-専門メーカー・大学・研究機関など産学官を含めた開発体制により、技術のシンカ (深化、進化、新化) や開発スピードの向上を図る。

研究開発活動

事業セグメント 担当部門 研究開発内容
プレス・樹脂製品 -技術企画部門
-第一事業部の設計部、生産技術部

-プレス製品では、超ハイテン材の冷間プレス加工技術など新工法の研究開発を実施。

-樹脂製品では、軽量化、遮音、遮熱のための成形技術等の研究開発を実施。
-新工法開発では、塗装レスによるVOC、CO2削減を目指し、材料着色技術の開発に注力している。

バルブ製品 -第二事業部の技術部、生産技術部およびTPMS事業部 -タイヤバルブ製品では、金型と材料配合を工夫した金属調樹脂バルブキャップを開発。
-カーエアコン用バルブ製品では、ゴム材料を変更し省電力エアコンに対応したバルブコアの開発を実施。
-TPMS製品では、採用車種拡大を狙った後継機種として、ホイールへの装着性に優れた小型軽量機種の開発を行う。
-高精度プレス製品では、電動ブレーキ用アクチュエーター部品の量産化により部品用途の拡大を図る。
全社共通 -技術企画部門 -複合材料の研究開発。
-金属塑性加工の研究開発。
-TPMS応用製品の開発。
-環境負荷物質削減および使用材料低減による環境にやさしい製品の開発。

製品開発

2槽式オイルパン
-2槽式オイルパンをトヨタと共同開発。モノづくり日本会議と日刊工業新聞社が共催する2012年“超”モノづくり部品大賞において、「自動車部品賞」を受賞。

マスダンパー
-板金積層技術を用いてマスダンパーを汎用化し、トヨタより2013年「部品標準化賞」を受賞。

エンジンカバー
-トヨタの新型「Crown」に搭載されたエンジンカバーでは、化学発泡成形による軽量化と、材料着色による塗装レスを可能にした世界初の技術が評価され、「プロジェクト表彰」を受賞。

設備投資

設備投資額

(単位:百万円)
  2013年3月期 2012年3月期 2011年3月期
プレス・樹脂製品事業 4,209 4,688  3,074
-国内 2,012 3,322  2,687
-海外 2,197 1,366  387
バルブ製品事業 3,610 2,139  1,936
-国内 987 - -
-海外 2,623 - -
その他 30 - -
消去 (29) - -
合計 7,820 6,855  5,065
 
<プレス・樹脂製品>
-国内では、自動車の新型モデル用金型等の新製品対応を中心に投資。
-海外では、中国と北米におけるプレス製品事業の新製品対応を中心に投資。

<バルブ製品>
-国内では、TPMS本体組立ラインの改修やバルブ関連製品の増産対応を中心に投資。
-海外では、韓国におけるコンプレッサー関連製品の増産対応や、米国でのTPMS設備を中心に投資。

海外投資

<タイ>
-2013年をめどにタイに新工場を設置すると発表した。ホイールキャップなど樹脂製品事業の現地化や、タイヤバルブの能力増強を目的としたもので、現地生産会社「Pacific Industries (Thailand) Co., Ltd.」の第2工場として、バンコク近郊の第1工場に隣接した遊休地を活用して建設。投資額は約7億円。新工場にはチューブレスバルブの一貫生産ラインを導入、ホイールキャップやセンターオーナメントなどの樹脂部品を生産する。13年12月に生産を開始し、ホンダやスズキ、トヨタ自動車などに部品を納入する。(2012年11月2日付日刊自動車新聞より)

<中国>
-湖南省に建設を計画していた新工場について、投資判断を先送りすることを決めた。中国の反日デモを受けて、日系メーカー各社の生産、販売が減速しているため、プロジェクトを一時停止して情勢を見守ることにした。同社は広汽三菱汽車から、小型SUV「ASX (日本名RVR)」向けの車体プレス部品の受注を獲得。これを受け、2011年秋に長沙太平洋半谷汽車部件有限公司 [Changsha Pacific Hanya Auto Parts Co., Ltd.] を新設。湖南省に貸工場を確保し、溶接作業を行う環境を整備した。現在は天津市にある子会社からプレス品の供給を受けて部品をアッセンブリーしている。新工場は、貸工場から2キロメートル離れたエリアに自前の生産拠点として設置、域内で一貫生産を行うことを計画していた。投資額は20億~30億円規模で、2013年度中にも建設する方向で準備を進めていた。(2012年10月31日付日刊自動車新聞より)

設備の新設計画

(2013年3月31日現在)
会社名・
事業所名
(所在地)
事業
セグメント
設備の
内容・目的
投資
予定額
(百万円)
着手 完了
予定
完成後の
増加能力
同社
西大垣工場
(岐阜県大垣市)
プレス・
樹脂製品
新製品対応等 3,157 2012年
1月
2014年
9月
-
同社
東大垣工場
(岐阜県大垣市)
プレス・
樹脂製品
新製品対応等 2,289 2012年
3月
2015年
3月
-
同社
養老工場
(岐阜県養老郡)
プレス・
樹脂製品
増産等 212 2008年
1月
2014年
4月
-
同社
東北工場
(宮城県栗原市)
プレス・
樹脂製品
増産等 2,120 2013年
3月
2014年
12月
工場を増築しプレス工程を新設。
同社
九州工場
(福岡県鞍手郡)
プレス・
樹脂製品
新製品対応 900 2012年
8月
2014年
7月
-
同社
北大垣工場
(岐阜県安八郡)
バルブ製品 新製品対応等 996 2011年
11月
2016年
1月
-
同社
美濃工場
(岐阜県美濃市)
バルブ製品 増産等 388 2012年
10月
2014年
10月
-
同社
本社等
(岐阜県大垣市)
全社 研究開発等 322 2012年
12月
2014年
9月
-
Pacific Manufacturing Ohio, Inc.
(米国 オハイオ州)
プレス・
樹脂製品およびバルブ製品
新製品対応等 1,362 2013年
4月
2014年
3月
TPMS生産設備を新設。
太平洋汽門工業股份有限公司
[Pacific Valve (Taiwan) Co., Ltd.]
(台湾 台中市)
プレス・
樹脂製品およびバルブ製品
維持更新等 31 2013年
4月
2014年
3月
-
太平洋バルブ工業株式会社
[Pacific Valve Industrial Co., Ltd.]
(韓国 梁山市)
バルブ製品 維持更新等 71 2013年
1月
2013年
12月
-
太平洋エアコントロール工業株式会社
[Pacific Air Controls Co., Ltd.]
(韓国 牙山市)
バルブ製品 増産等 1,131 2013年
1月
2013年
12月
コンプレッサー関連製品生産設備を拡充。
Pacific Industries (Thailand) Co., Ltd.
(タイ チャチョンサオ県)
プレス・
樹脂製品
維持更新等 512 2013年
4月
2014年
3月
工場を増築し、樹脂製品生産設備とバルブ製品生産設備を拡充。
バルブ製品 新製品対応等 495 2013年
4月
2014年
3月
天津太平洋汽車部件有限公司
[Tianjin Pacific Auto Parts Co., Ltd.]
(中国 天津市)
プレス・
樹脂製品
新製品対応等 1,966 2013年
1月
2013年
12月
プレス工程を拡充。
長沙太平洋半谷汽車部件有限公司
[Changsha Pacific Hanya Auto Parts Co., Ltd.]
(中国 長沙市)
プレス・
樹脂製品
新製品対応等 2,689 2013年
1月
2013年
12月
工場を新築しプレス工程を新設。