新神戸電機株式会社 2006年度の動向

ハイライト

業績
単位:百万円 2007年3月期 2006年3月期 増減率
(%)
要因
売上高 65,344 60,877 7.3

-

営業利益 4,961 4,136 20.0
経常利益 4,285 3,431 24.9
当期純利益 2,261 1,628 38.9 日立ビークルエナジー株式会社の出資比率変更等に伴う特別利益を計上。

自動車用電池

・補修用は、AI(人工知能)バッテリー「サイボックス」の汎用機種拡大などの付加価値の向上、原材料の鉛価格高騰に対応した売価改定を進めたものの、冷夏・暖冬による需要減少に加え、自動車の搭載電池が小型機種に移行したため、減収。
・新車用は、堅調な需要に支えられ伸長。
・日立蓄電池(東莞)有限公司 [Hitachi Battery (Dongguang) Co., Ltd.]は、新車用・補修用ともに、積極的な拡販に努めた結果、増収。
・実績は、前年度とほぼ横這い。

成形品
・売上高:14,906百万円(前年度比5%増)
・熱可塑性成形品:高付加価値製品への転換を推進中。IPM(インテリジェント・パワー・モジュール)用ハウジングは、ハイブリッド車の需要が好調なため大幅に増加。その他の製品は、前年度実績とほぼ横這い。
・熱硬化性成形品:バランスシャフトシステム用高強度樹脂ギアが、2007年2月に中国で本格生産を開始するなど、国内外での需要増加に対応して大幅に伸長。その他の車載用成形品もほぼ前年度実績を確保。

製品分野別動向
エンジンギアやハイブリッド車向け電装部品など、戦略商品の開発、拡販に注力。将来的には年間70億円程度の販売を目指し、主要な収益源に育成する。ハイブリッド車向けの部品は、金属複合成形品のIPM(インテリジェント・パワー・モジュール)ハウジング。トヨタ自動車の「プリウス」に採用されているが、今後もハイブリット車生産の拡大に伴い、供給が拡大する見通し。(2006年5月15日付日刊自動車新聞より)

自動車用リチウムイオン関連会社である日立ビークルエナジーが、年内にもトラック、バスのハイブリッドカー向けの供給を開始するのを機に、受注活動に注力し、10年までにハイブリッドカー市場で20-30%のシェアを目指す。同社では、リチウムイオン二次電池をかねて手がけており、00年以降、日産自動車の電気自動車やハイブリッド車向けに納入実績がある。(2006年6月9日付日刊自動車新聞より)

電動部品の駆動・制御に用いるパワーIC系の回路用基板を中心に高性能化や複合化に取り組み、新たな用途開発と受注獲得を目指す。将来的には、電子基板事業に占める車載品の比率を、現状の約30%から50%以上に引き上げ、収益拡大に結び付ける。(2006年11月7日付日刊自動車新聞より)

海外事業
中国拠点における樹脂部品生産を年内にも開始するほか、自動車用バッテリーと樹脂部品事業で、インドやロシア、タイなどへの新規参入を検討する。現状では数%にとどまる海外売り上げ比率を、09年度をめどに10%以上に引き上げる。当面の戦略としては、中国の事業体制を強化。トヨタなど現地の日系メーカーを中心に自動車用バッテリーの拡販に注力し、2007年3月期中にバッテリー事業の黒字転換を目指す。同時に、エンジン用の高強度樹脂ギアや内外装向けの高機能樹脂シートなどの本格生産もスタートする。一方、新規参入市場としては、バッテリーでインドとロシア、樹脂部品ではインド、タイなどを検討。いずれも自動車生産の拡大に沿って、現地生産などを具体化する。(2006年5月23日付日刊自動車新聞より)

開発動向

2007年3月期の研究開発費は1,595百万円、研究人員は141名、産業財産権は798件

・電池研究開発センター及び日立ビークルエナジー㈱:鉛蓄電池とリチウムイオン蓄電池を中心に、自動車用電池の補修市場や自動車用次期新システムに対応また産業用新規用途に即応する新製品の開発
・樹脂研究開発センター及び彦根事業所開発センター:積層品、成形品、シート品など短期で急速な技術革新が進む市場へ新製品を投入する研究開発

2007年3月期中に開発した新製品
・オルタネータ回生車両用バッテリー、自動車用高強度樹脂ギア、IPM(インテリジェント・パワー・モジュール)用ハウジング ほか

高強度樹脂ギアは、トヨタとの共同開発品で、四気筒エンジン(排気量2リットル以上)のバランスシャフトギアに採用されている。金属ギアに比べ、騒音を15デシベル程度低減できるほか、組み立て精度に余裕あるため、生産性も高いのが特徴。すでに約150万台に納入済みだが、今後、中国でも同部品を使用するエンジンの生産がスタートするため、供給量が大幅に拡大する。(2006年5月15日付日刊自動車新聞より)

アイドリングストップ機能を持つ自動車に最適化した新型バッテリーを開発、国内の商用車メーカーから受注した。新車向けの供給を近く開始する。頻繁に充放電を繰り返す環境でも、良好な始動性と耐久性を維持できるようにした。今後は国内外の自動車メーカーへ対する技術提案などに注力し、大型受注の獲得を目指す。(2006年11月20日付日刊自動車新聞より)

日立製作所、同社などの日立グループは、リチウムイオン電池事業の拡充に向けハイブリッド車(HV)用の製品開発と拡販活動を加速する。大型トラック、バスなど商用HV向けの試作が大詰めの段階を迎えており、早ければ08年にも製品供給を開始する。同時に、現在手がけている開発案件や新規引き合いへの対応力を高め、大型受注の獲得を急ぐ。早期に10億円程度の売り上げを達成し、事業ユニットとしての体制を構築する。将来的には、HV用リチウムイオン電池でトップクラスのシェアを目指す。(2006年11月30日付日刊自動車新聞より)

技術援助契約 (2007年3月時点)
相手先 国名 契約内容 契約期間
EXIDE Industries Ltd. インド 自動車用鉛蓄電池 2004年3月29日より5年間
台湾神戸電池 台湾 制御弁式(シール)鉛蓄電池の製造 2003年3月24日から5年間
パナソニック・ストレージ・バッテリー 日本 鉛蓄電池に関する技術ライセンス契約 2004年7月1日から10年間

設備投資

2007年3月期は、成長製品の設備拡充及び合理化などを目的として総額3,145百万円の設備投資を実施。
・電池・電気機器製品:自動車用電池の品質向上設備などに1,045百万円
・合成樹脂製品:自動車用成形品増産設備などに2,093百万円

2007年3月期の設備投資計画として、前年度比14.2%増の34億円を策定した。中国での樹脂部品事業の立ち上げや車載用電子基板など、戦略事業の拡 充に振り分ける。研究開発費は、同4.6%増の17億円を計画している。同社は、2006年3月期までに、主力の自動車用バッテリーで、主に生産能力増強 目的の設備投資を実施、世界的な自動車生産拡大への対応を終えている。今年度の設備投資では、バッテリー・電気機器部門は、同17.3%減の15億9千万 円に抑えるのに対し、樹脂部門では同71.7%増の18億1千万円の計画とした。大型の案件は、中国拠点における樹脂製自動車部品の生産準備から立ち上げ までの投資と車載用基板事業のてこ入れで、中国においては、トヨタ自動車の現地拠点向けに07年初頭から樹脂製エンジン部品を供給するのに伴い、生産体制 を整える。また、車載用基板事業は、一般向け電子基板などを手掛けてきた電子材料部門の新たな戦略分野と位置付け、今後はこれに特化する方針。このための 研究開発や生産設備へ投資する。(2006年5月10日付日刊自動車新聞より)

ヒヤリング情報(2005年7月実施)

同社は、電池・電気部門と合成樹脂部門の2本柱で事業を展開。以下は電池・電気部門における最近の事業動向。

■事業概観
鉛価格の高騰などのマイナス要因はあるものの、電池部門は全般的に好調。特に電動車用(フォークリフト)電池の売上増加が顕著。

■新製品、開発中の製品及び、今後の注目分野
[新製品]
・AIバッテリー : 2004年7月に発表した状態検知機能付バッテリー。今後は、運転中にバッテリーの状態がわかるようなシステム構築にむけて開発中。
・捲回型高性能バッテリー: 2004年7月に発表。2005年7月現在、OEMでの採用実績はなく、拡販中。今後は、コストダウンを図りHEVマーケットへの参入を企図している。
[今後の注目分野]
・上記の既存製品の技術の応用や深耕のほか、鉛の出力効率の向上による使用量の低減にも注目。

■他社との提携関係
2004年4月に松下電池工業との鉛蓄電池事業分野で業務提携。 
特に、製品開発分野では、両社の技術を融合した共同研究開発を進行中。

■海外展開
・中国: 2004年から生産を開始した中国広東省の「日立蓄電池有限公司」で展開。東風汽車へ納入。近く、日系自動車メーカーへも納入予定。
なお、売上が好調な電動車用電池に関しても、中国進出を視野にいれている。

・インド: 技術供与先であるEXIDE Industries Ltd.を基点とし、日系自動車メーカー向けの対応準備を強力に推進中。

■設備投資
・国内工場、では生産設備合理化を実施中。
現時点での年産能力は、国内が約400万個、中国が80万個。

■環境対策
業界全体で新しい自動車用バッテリーのリサイクルシステムを構築中。
中国工場のISO14001認証を年内取得に向けて活動中。