住友電気工業 (株) 2019年3月期の動向

業績

(単位:百万円)
2019年
3月期
2018年
3月期
増減率
(%)
要因
全社
売上高 3,177,985 3,082,247 3.1 ー日本・米国での新車立上げ、新規受注により売上は増加したものの、研究開発投資および米中貿易摩擦におけるコストの増加、また欧州WLTPの影響、防振ゴムの不振によって増収減益。
営業利益 166,260 173,139 (4.0)
経常利益 188,649 195,010 (3.3) -
親会社株主に帰属する当期純利益 118,063 120,328 (1.9) -

>>> 次年度業績予想 (売上、営業利益等)

事業動向

4月1日付で、自動車事業本部と情報通信部門のシステム事業部を統合すると同時に、自動車事業本部に「ソフト戦略室」を新設する組織改正を実施すると発表した。自動車事業本部は、自動車内に搭載されるワイヤーハーネスなどの車載部品、システム事業部は、ITS(高度運転支援システム)分野で交通インフラを支える交通管制システムなどの製品・システムをそれぞれ開発・製造している。今後、車がインターネットなどで外部と接続するコネクテッドカーの普及が見込まれることから、モビリティー分野でのコネクテッド領域に関連する経営資源を集約し、車載部品とITSの連携や、製品の開発体制を強化する。(2018年4月2日付日刊自動車新聞より)

協業

米アクアンティアと自動運転を見据えたマルチギガビット・イーサネットシステムの製品開発で協業すると発表した。住友電工はアクアンティアのマルチギガビット技術を自社の車載コネクターやワイヤーハーネスに活用し、車内の通信データ量が膨大化する自動運転を実現する車内通信網の提供を目指す。アクアンティアは、データセンターや企業のITインフラ、自動車市場向けイーサネットチップを開発する会社。住友電工は協業を通じて、自動運転やコネクテッドカー領域での存在感を高める狙い。 (2019年3月15日付日刊自動車新聞より)

米EV Safe Charge社と協業し、電気自動車 (EV) に搭載するモバイルアプリを開発すると発表した。住友電工が持つITS (高度道路交通システム) を活用したサービスを展開することで、EV普及のスピードアップにつなげる。アプリ名は「EV Safe Charge App powered by Sumitomo Electric」。住友電工は、天候による道路状況や渋滞状況などクラウドを活用したテレマティクスサービスをアプリに導入。あらゆるシーンを想定して、ドライバーに最適なタイミングで充電を促す。同アプリは2019年の夏~秋ごろに完成する予定。完成後に自動車メーカーと協力し、車載化を目指す。(2019年1月18日付日刊自動車新聞より)
 

中期経営計画

2022年度に売上高を17年度実績から約6千億円増となる3兆6千億円、営業利益率として同0.4ポイントアップの6.4%を目指す中期経営計画「22ビジョン」を策定したと発表した。コネクテッドカーや自動運転車、車の電動化に対応した新製品などを開発して事業の拡大を図る。計画のコンセプトは「総力を結集し、つなぐ、つたえる技術で、よりよい社会の実現に貢献する」。同社が手がける五つの事業のうち、営業利益の構成比では自動車が45%を占めて最大だ。今後、全体の成長を図りながらバランスのとれたポートフォリオを目指す。ものづくり力の強化や、グローバルな市場環境の変化を先取りしたビジネスモデルの実現、自動車やエネルギー分野の変革を先取りするイノベーションの創出と迅速な事業化に重点的に取り組む。(2018年5月29日付日刊自動車新聞より)

 

研究開発費

(単位:百万円)
  2019年3月期 2018年3月期 2017年3月期
全社 129,627 117,735 115,155
-自動車関連事業 81,850 71,766 70,894


 

研究開発活動

ワイヤーハーネス/車載エレクトロニクス機器事業
-同社と住友電装、および両社の共同出資によるオートネットワーク技術研究所を中心に、安全・快適・環境のニーズに対応した新製品の開発を実施。
-ワイヤーハーネス:

  • 次世代車載システムに対応できるハーネスアーキテクチャーを構築し、それに必要な要素技術の開発を推進している。
  • 環境対応としてハーネスの軽量化に取り組んでおり、銅に比べ軽量なアルミを使ったワイヤーハーネスを量産し、さらに高強度な電線を開発しエンジンルーム等への適用範囲拡大の取り組みを進めている。
  • 市場規模が拡大しているEV/HEV車用高圧ハーネスやコネクター、バッテリー内配線モジュール等の開発を推進している。

-車載エレクトロニクス機器:

  • 電源系、情報系のネットワーク化に対応すべく、電源制御機器や半導体デバイス、ボディ制御ECU、次世代の車載LAN (Local Area Network) 製品の開発を進めている。

-住友理工

  • 体圧を検知する「スマートラバー (SR) センサー」を自動車のシートに埋め込み、呼吸や心拍などのバイタル情報によってドライバーの異変を検知、危険を回避する乗員状態検知機能の実用化に向けた開発や、電気自動車 (EV) および燃料電池自動車 (FCV) 向けの環境対応製品の技術開発などに取り組んでいる。

ー住友電気工業は、大出力充電器用コネクタケーブル「SEVD-11U」を開発し、発売したと発表した。従来品と比べて1.9倍の出力を実現し、バッテリー容量の大きな電気自動車の充電に対応する。定格出力は直流600ボルト、200アンペア。従来の「SEVDシリーズ」の設計を踏襲し、操作性や安全性を確保した。チャデモ1.2規格に準拠する。北米のUL認証を取得しているほか、今後はEUの安全規格であるCE認証を取得する予定。(201875日付日刊自動車新聞より)

 

設備投資額

(単位:百万円)
  2019年3月期 2018年3月期 2017年3月期
全社 190,314 171,110 183,693
-自動車関連事業 91,043 77,008 76,946


-自動車関連事業では、ワイヤーハーネス・防振ゴムの増産および合理化のための投資を実施。

 

設備投資の見通し (2020年3月期)

-全社で193,000百万円の投資を計画。
-自動車関連事業では、106,000百万円の投資を予定している。

 

海外投資

<ウクライナ>
ー同社子会社のSumitomo Electric Bordnetzeは、Volkswagen向けに電動ワイヤーを生産する工場をウクライナのKhmelnytsiyに開設すると発表した。2018年に500人を雇用し、今後2年以内にさらに1,500人を雇用する計画。(2018730日付 Ukraine Invest プレスリリースより)

<メキシコ>
ーメキシコ子会社Sistemas de Arneses K&S Mexicanaは、4.7百万ドルを投資し、メキシコ中部グアナファト州San Felipeにワイヤーハーネス工場を開設した。敷地面積7,000平方メートル。稼働開始時の従業員数は220人だったが、将来的には900人超まで増やす計画。3本の生産ラインを設置した新工場は、K&Sのメキシコにおける最大の生産拠点となる見通し。工場からは、日産のメキシコAguascalientesや米テネシー州Smyrna、ミシシッピ州Cantonにある工場で生産される「March」や「Versa」、「Sentra」、「Altima」など向けにハーネスを供給する予定という。(2018620日付 Mexico-Nowより)