(株) ジェイテクト 2018年3月期の動向
業績 |
(単位:百万円) |
2018年 3月期 |
2017年 3月期 |
増減率 (%) |
要因 | |
全社 | ||||
売上高 | 1,441,170 | 1,318,310 | 9.3 | -全社としては、日本・中国を中心に販売が増加したことにより増収。 -機械器具部品部門としては、円安の効果に加え、ステアリング、軸受の販売が大幅に増加したこと等により増収。 |
営業利益 | 81,391 | 77,442 | 5.1 | -全社としては、増収及び円安の効果等により増益。 -機械器具部品部門としては、円安や増収の効果があったものの、売価水準の低下や研究開発費等の増加により前年度並み。 |
経常利益 | 82,571 | 78,096 | 5.7 | - |
親会社株主に帰属する当期純利益 | 49,697 | 47,522 | 4.6 | - |
国内事業
-2018年6月、2019年から愛知県内にある2拠点で新開発のリチウムイオンキャパシタの量産を開始すると発表。2019年4月に東刈谷事業場 (刈谷市) で月2千セル、秋からは花園工場 (岡崎市) で月4万セルを生産する計画。開発品はセ氏マイナス40度~85度の環境下で使用でき、電動パワーステアリング (EPS) の補助電源として活用できる。
-2017年8月、トルク感応型LSD「TORSEN」の小型トラック用製品を開発し、量産を開始したと発表した。生産拠点は同社狭山工場。
-2017年5月、富士機工のシート事業をタチエスに移管するとともに、ジェイテクトが実施する富士機工を完全子会社化するための株式公開買い付け (TOB) にタチエスが応募することで合意。同年12月、ジェイテクトが富士機工の株式を追加取得し、子会社とした。
海外事業
<モロッコ>
-成長が見込まれるアフリカ市場への橋頭堡として、モロッコでステアリングシステムの量産を2020年9月に開始する計画。2019年1月に工場建屋を建設し、子会社の富士機工が生産を担当する。現地の欧州完成車メーカーの工場に供給する方針。
<中国>
-2017年12月、中・大型車向け電動パワーステアリング (EPS) の生産を本格化すると発表した。約40億円を投じて天津市と廈門 (アモイ) 市の生産拠点に計2ラインを新設する方針。
<インド>
-2017年5月、Sona Koyo Steering Systemsの買収がインド競争委員会 (CCI) より承認された。同年6月、株式の購入手続きが完了、同社を子会社化。
研究開発費 |
(単位:百万円) |
2018年3月期 | 2017年3月期 | 2016年3月期 | |
全社 | 55,267 | 48,213 | 46,296 |
研究開発拠点
<日本>
事業部 | 名称 | 所在地 |
ステアリング事業本部 | 東部テクニカルセンター | 埼玉県 狭山市 |
中部テクニカルセンター | 愛知県 岡崎市 | |
西部テクニカルセンター | 奈良県 橿原市 | |
軸受事業本部 | 東部テクニカルセンター | 埼玉県 狭山市 |
中部テクニカルセンター | 愛知県 豊田市 | |
西部テクニカルセンター | 大阪府 柏原市 |
-秋田県で自動車部品向けソフトウェア開発拠点「JTEKT IT開発センター秋田」を2017年11月に設立。センターでは、電動パワーステアリングシステムなど自動車部品のより高度なソフトウェアを開発する。
製品開発
<ステアリング事業>
大型車両向けコラム同軸アクチュエーター
-バスやトラックなどの大型車両向けにステアリング操作の自動化を可能にするコラム同軸アクチュエーターを2020年をめどに実用化する。コラム同軸アクチュエーターはシステムから舵角の指令を受け取り、アクチュエーターが人に代わってステアリングを操作する。トラックやバスといった油圧パワーステアリングを搭載している大型車の操舵を自動化するもの。早期に実用化して大型車での先進運転支援システム(ADAS)や自動運転技術の採用に寄与する。
ステアバイワイヤーシステム
-2020年をめどにステアバイワイヤーシステムの第1弾モデルを実用化する。通常時は電子制御で操舵し、緊急時にはクラッチ機能によりステアリングホイールと前輪の車軸を機械的に接続し、冗長性を確保する。すでに機能開発は完了しており、安全性を検証する段階にある。自動運転の対応に向け、2025年にも車両とステアリングの挙動制御を完全に独立して行うステアリングシステムを開発する計画。
<駆動事業>
プラネタリーギヤ用かしめタイプ長寿命シャフト
-2017年10月、オートマチックトランスミッション(Step式 AT、CVT、HV)内のプラネタリーギヤユニットに使用される「プラネタリーギヤ用かしめタイプ長寿命シャフト」を開発したと発表した。特殊な熱処理を施すことで、耐久性においても従来比で2倍以上の長寿命化を実現した。2020年に量産を開始し、国内外の自動車メーカーや変速機メーカーなどに向けて年間3億円の販売を目指す。
<軸受事業>
HV用モーター向け軸受
-2018年4月、HVモーターの高速化に対応する新たな軸受を開発した。二つの保持器を組み合わせて両側からボールを支持する新しい構造を採り入れた。片側のみで支える現行品と比べてモーターが高速で回転しても保持器が変形しにくく摩擦も少ない。従来製品と比べて1.3倍以上の回転数を実現できる。
長寿命スラスト針状ころ軸受
-2017年9月、従来比3.5倍の長寿命化を実現した自動車用変速機向け軸受「長寿命スラスト針状ころ軸受」を開発したと発表。表面処理や熱処理を工夫し、軸受のサイズを従来通りに維持しながら耐久性を大幅に向上した。トランスミッションやコンプレッサー用に2020年から量産を開始し、国内外の自動車メーカーや変速機メーカーなどに向けて年間144万個の販売を目指す。
ディファレンシャル向け低トルク玉軸受
-2017年7月、自動車用デファレンシャル向けに低トルク玉軸受を開発したと発表した。円すいころ軸受で活用した油量制御技術を採用し、油の流れを最適化することでエネルギー損失を従来比最大30%低減する。車両の燃費性能を1%向上できるという。自動車・アクスルメーカー向けに2020年から量産を開始し、年間5億円の売り上げを目指す。
設備投資額 |
(単位:百万円) |
2018年3月期 | 2017年3月期 | 2016年3月期 | |
全社 | 66,642 | 66,438 | 63,140 |
-機械器具部品 | 58,753 | 59,029 | 56,524 |
機械器具部品
-2018年3月期は、各地域の生産能力・技術開発力の設備増強等を実施した。
設備の新設計画 |
(2018年3月31日現在) |
事業所名 | 所在地 | 設備の内容 | 投資予定 総額 (百万円) |
着手 | 完了 予定 |
花園工場 | 愛知県 岡崎市 |
機械器具部品 製造設備等 |
3,302 | 2018年4月 | 2019年3月 |
岡崎工場 | 愛知県 岡崎市 |
機械器具部品 製造設備等 |
2,751 | 2018年4月 | 2019年3月 |
奈良工場 | 奈良県 橿原市 |
機械器具部品 製造設備等 |
2,639 | 2018年4月 | 2019年3月 |
ダイベア (株) | 大阪府 和泉市 |
機械器具部品 製造設備等 |
1,920 | 2018年4月 | 2019年3月 |
AUTOMATION DIRECT. COM INC. | 米国 ジョージア州 |
建物、物流設備等 | 1,600 | 2018年4月 | 2019年3月 |