(株) ケーヒン 2019年3月期の動向

業績

(IFRS基準、単位:百万円)
  2019年
3月期
2018年
3月期
増減率
(%)
要因
売上収益 349,220 351,494 (0.6) -アジア及び中国での二輪車・汎用製品の販売増加があったものの、北米での四輪車製品の販売減少及び新興国通貨安の影響で減収 
-二輪車、汎用製品 100,334 96,104 4.4
-四輪車製品 248,885 255,390 (2.5)
営業利益 26,259 28,313 (7.3) -電動化対応のための研究開発費及びインドにおける二輪車電子燃料噴射システムに係る費用の増加を合理化効果で吸収したものの、新興国通貨安による為替影響により減益。
税引前利益 24,759 27,145 (8.8) -
親会社の所有者に帰属する当期利益 15,706 17,824 (11.9) -

地域別動向

日本
-二輪車・汎用製品は、主にインド、タイ向けの販売が増加。
-四輪車製品は、国内向けの販売増加があるものの、米州、中国向けの販売減少に加え、欧州での空調製品の販売が減少。
-全体の販売は増加となり、売上収益は159,179百万円と前年度比2,018百万円の増収。

米州
-二輪車・汎用製品は、南米での販売が増加。
-四輪車製品は、北米での販売が減少し、全体で販売減少となった。
-売上収益は為替換算上の減収影響も合わせ、92,570百万円と前年度比6,573百万円の減収。

アジア
-二輪車・汎用製品の販売増加に加え、四輪車製品はインドやタイで販売が増加。
-売上収益は為替換算上の減収影響があるものの、113,203百万円と前年度比3,793百万円の増収。

中国
-二輪車・汎用製品や四輪車製品の販売が増加。
-売上収益は為替換算上の減収影響があるものの、85,622百万円と前年度比2,905百万円の増収。

 

事業動向

<電動化>
電気自動車 (EV) の熱マネジメントシステムの自社開発を目指すなど次世代電動車技術の構築に本腰を入れる。今年度から英国に本拠を置くエンジニアリングサービス会社「HORIBA MIRA」 (マイラ社) との提携に基づく事業を開始し、EVシステム全体の研究開発体制を強化した。ケーヒンは昨年の東京モーターショーで次世代電動車技術「Eドライブシステム」を初公開している。これをベースにEVの車両システムをトータルで捉えた研究開発を進め、将来的な電動車システムの提案力を高める方針。 (2018年7月11日付日刊自動車新聞より)

宮城製作所(宮城県角田市)で2019年度にハイブリッド車(HV)や電気自動車(EV)の駆動用モーターを制御する「パワーコントロールユニット(PCU)」の中核部品「インテリジェントパワーモジュール(IPM)」の生産能力を現在の2.5倍となる年25万台に引き上げる。主要納入先のホンダをはじめ、自動車各社が車の電動化を加速している中、電動車両向け部品の投資を積極化する。また、中国ではEVやプラグリンハイブリッド車(PHV)の生産を自動車メーカーに義務付ける「新エネルギー車(NEV)規制」が19年に始まることから電動車の急速な普及が見込まれる。ケーヒンはこれに対応するため、中国でもPCUを現地生産する準備も開始した。PCUの組み立てのみを行うか、IPMも現地生産するかは未定。需要動向を見ながら20~22年度頃に生産を始める方向で検討を進める。(2018年5月18日付日刊自動車新聞より)

 

<日本>
同社100%出資の国内生産子会社であるケーヒンワタリとケーヒンサクラを10月1日付で合併すると発表した。両社の事業内容は、二輪車・汎用製品および四輪車製品の製造販売。宮城県亘理町と同県角田市に所在する両社の生産機能および管理運営を一本化することで、効率向上と競争力強化を図るのが狙い。存続会社はケーヒンワタリとし、合併後の新社名は「ケーヒンマニュファクチュアリング」。資本金は4千万円で、ケーヒンが全額出資する。(2018年8月6日付日刊自動車新聞より)

<中国>
2020年以降、電動車両向けPCU (パワーコントロールユニット) を中国で現地生産すると発表した。電動車の普及に伴って需要拡大が見込まれることから供給体制を拡充する。また、製品開発体制を見直し、主要納入先であるホンダ以外の納入先を積極的に開拓していく。電動車向け製品の開発に注力するとともに、新規納入先の開拓で、30年までに売上高を現状比で約倍増となる6千億円を目指す。19年度にPCUの生産能力を17年度比2.5倍の年産25万台に引き上げるのに加え、20~22年度には中国でもPCUを量産する。需要動向に合わせて将来的には米国での現地生産も視野に入れる。(2018年12月11日付日刊自動車新聞より)

中国子会社の東莞京濱汽車電噴装置が、中国での二輪車および四輪車の電動車用製品の販売拡大に向け、上海市に営業拠点を開設したと発表した。20188月に営業を開始し、パワーコントロールユニット、バッテリーマネジメントシステムなどの販売拡大を目指す。(2018810日付プレスリリースより)

 

2019年3月期の主な受注

OEM モデル 納入製品
ホンダ 日本「CR-V」 パワーコントロールユニット 、電子制御ユニット、電子制御スロットルボディ、ポート内噴射用インジェクター、四輪駆動用電子制御ユニット
ホンダ 「Clarity PHEV」 パワーコントロールユニット
ホンダ 北米「Passport」 V型6気筒エンジン対応電子制御ユニット、燃料供給製品
Ford 北米「Ranger」 熱交換器コンデンサー
スバル 日本「Forester」
ハイブリッド
トランスミッション用コントロールバルブ

 

第13次中期経営計画 (2018年3月期~2020年3月期)

-電動化に向けた組織力強化
・xEV(エックスイーブイ)事業戦略室を新設
・BMS開発部を新設
・パワーモジュール領域の生産技術力強化
-燃料供給技術領域の進化
・上流開発を推進
-新規顧客開拓に向けた体制強化
・社長直轄の拡販事業部を新設

-設備投資総額: 700億円規模(第12次中期480億円)
・インドでの二輪車のFI化やxEV関連の投資に加え、上流開発に向けた試験設備などを導入
・対連結売上収益設備投資額比率5% →7%

-研究開発費総額:670億円規模(第12次中期576億円)
・開発フロー改革による効率の向上を図りながら、新規分野へ開発資源を追加
・対連結売上収益研究開発費比率6% →7%

2020年3月期の見通し

(IFRS基準、単位:百万円)
  2020年3月期
(予想)
2019年3月期
(実績)
増減
(%)
売上収益 350,000 349,220 0.2
営業利益 18,500 26,259 (29.5)
税引前利益 16,000 24,759 (35.4)
親会社の所有者に帰属する当期利益 8,300 15,706 (47.2)


>>>次年度業績予想 (売上、営業利益等)

研究開発費

(単位:百万円)
  2019年3月期 2018年3月期 2017年3月期
全社 24,658 22,771 19,404

-2019年3月期の研究開発費は、25,500百万円を予定。
 

研究開発拠点

日本 台場R&Dオフィス
(東京都江東区青梅)
日本 栃木開発センター
(栃木県塩谷郡高根沢町)
日本 角田開発センター
(宮城県角田市)
米国 Keihin North America, Ltd.
(インディアナ州アンダーソン)
タイ Keihin Asia Bangkok Co., Ltd.
(バンコク)
インド Keihin India Manufacturing Pvt. Ltd.
(ハリヤナ州 グルガオン)
中国 Dongguan Keihin Engine Management System Co., Ltd.
(広東省東莞市)
中国 Keihin R&D China Co., Ltd.
(上海市)
ドイツ Keihin Sales and Development Europe GmbH
(バイエルン州)

新設したパワートレーンの電子制御領域の開発拠点「台場R&Dオフィス」 (東京都江東区) の開所式を開催した。これまでエンジンの上流領域のソフトウエア開発は本社 (東京都新宿区) で手がけていたが、開発体制を強化するため、オフィスを台場に移転、優秀な人材確保を図る。エンジンを制御するソフトウエア開発の上流領域まで担うことで、次世代車の開発にリソースを集中させている自動車メーカーの負担を軽減、システムを構成する製品の受注につなげる。(2018年4月7日付日刊自動車新聞より)

 

研究開発活動

四輪事業
-環境先進対応エンジンの燃料供給系及び吸気系製品の開発 (商品化)
-ガソリン直噴インジェクター及びポートインジェクターの開発 (商品化)
-代替燃料供給系製品とシステムの開発 (商品化)
-エンジン及びパワーリヤゲート用電子制御ユニットの開発 (商品化)
-電動車用モーター/バッテリー制御ユニットの開発 (商品化)
-リチウムイオンバッテリー用セル電圧センサーユニットの開発 (商品化)
-電動車用パワーコントロールユニットの開発 (商品化)
-カーエアコンシステム製品の開発 (商品化)
-カーエアコン用熱交換器の開発 (商品化)
ー電動車対応カーエアコンシステム、部品の開発

ー東北大学流体科学研究所と共同で、車輌の電動化として期待される基盤技術の研究を201841日から開始すると発表した。両者は、20154月に共同研究部門「先端車輌基盤技術研究(ケーヒン)」を共同で設立し、今回が2期目。同研究部門では、主に数値流体力学(Computational Fluid Dynamics)を用いたシミュレーション技術および実験検証の高度化と、その応用に関する研究を行っている。20184月から20213月までのケーヒンⅡでは、電動車輌に向けた熱マネ・熱制御、モーター高効率化に向けた電動化技術の研究や、電動車輌用高熱流束冷却システム、小型・低負荷空調ユニットの熱流動可視化と高精度予測及び最適化の研究を行う。(201849付プレスリリースより)

設備投資額

(単位:百万円)
  2019年3月期 2018年3月期 2017年3月期
全社 29,746 18,873 16,575
  地域別 日本 7,958 7,455 6,355
     米州 1,817 3,476 3,973
     アジア 12,857 2,038 1,320
     中国 940 1,092 1,720

ーインドでの二輪車電子燃料噴射システムに係る投資及び電動車用次世代製品の量産開始のための設備投資により前年比大幅増。

2019年3月期の設備投資

-投資対象別:生産投資 23,572百万円、研究開発投資 1,208百万円、その他投資 4,967百万円

設備の新設計画(2020年3月期)

(2019年3月31日現在)
セグメントの名称 投資予定金額 (百万円)
日本 13,658
米州 3,727
アジア 15,334
中国 7,064
合計 39,810

-投資対象別:生産投資 23,929百万円、研究開発投資 2,280百万円、その他投資 13,601百万円